No.533976

超次元ゲイムネプテューヌmk2BURST

レオさん

来週から検定試験が多くなり、更新が難しくなります。
ご了承下さい。
では、本編です。

第十話 ラステイションの教祖との取引

2013-01-20 08:21:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:599   閲覧ユーザー数:589

ユニと喧嘩別れの様な形で分かれてしまった後、シンヤ達はラステイションへ戻って来てすぐにギルドへクエストの完了を宣言しに向かった。

もしかしたら、其処でユニが待っているかもしれない、という僅かな願望を抱きながら向かったのだが、そこにユニの姿は無かった。受付の係にも聞いてみたが、その様な人物は来ていない、とのことだった。

クエストを完遂し、ラステイションのシェアも回復できたのだが、やはりネプギアの表情は晴れないままだった。

シンヤはそんなネプギアにこう告げる。

 

「ネプギア、ユニの事で落ち込んでいるのは分かる。だけど、アイツも姉を失って辛いんだろう。分かってやれ」

 

「はい…分かってます。でも…」

自らを責めようとするネプギアを手で制し、更に続ける。

 

「言わなくても良い。それに、アイツも言い過ぎたと思っているだろうから、次に会う時はちゃんと謝るだろう。…だが、その時はお前も謝れよ」

その言葉に、ネプギアは驚いた表情になる。

 

「え? 何でですか?」その答えに少し呆れ顔になる。

 

「何でですか? じゃ無いだろう。ユニお前を睨んでたぞ」

 

「え? そ、そうなんですか?」

 

「あぁ。ちゃんと気付いてやれ。と言うわけで、ちゃんとお前も謝るんだぞ」

 

「は、はい。分かりました」

と頷いていたところで、話の話題を変えてきた。

 

「じゃ、次はゲイムキャラの情報収集だな」

 

「そうね。虱潰しに住民から情報を聞いてみましょう」

 

「それしか無い、か。なら、聞き込み開始だ」

 

「…全然見つからないですね、ゲイムキャラさん」

コンパが言う。実際、聞き込みを始めて早一時間。

虱潰しに聞いていったが返事はどれも「知らない」と言う言葉だけであった。

 

「これだけ聞いてもダメってことは、街の人は誰も知らないんでしょうか?」

 

ネプギアが諦めムードに入ろうとしたとき、アイエフがため息をつきながらこう言って来た。

 

「そうね…仕方ない、教祖の所に聞きに行ってみましょうか」

言うと、ネプギアは思い出したかのような表情をする。

 

「教祖…あ、そうですよね。ラステイションにもいーすんさんみたいに、教祖がいるんですよね」

 

「あいちゃん、気付いてたら、なんでもっと早く言ってくれないですか?」

聞くと、ため息をつきながらもそれに答える。

 

「仕方ないって言ったでしょ。…あんまりいい評判聞かないのよね。ここの教祖」

 

「と、言うと?」聞くと、アイエフはため息をつきながら答える。

 

「行けば分るわよ」

そう言って、ラステイションの教会へ向かうのであった。

 

教会の中はプラネテューヌと同じくガランとしており、中には誰も居なかった。教祖の姿も見られなかった。恐らく奥の教祖室に居るだろうという事でアイエフの「失礼します」コンパの「おじゃましますー」の声で中に入ると、ビジネススーツとハーフパンツを着用した女性がまるで待っていたかの様に立っていた。

 

「ようこそ、ラステイションの教会へ。僕がこの国の教祖、神宮寺ケイだ。ボクに直々に

話があるそうだね。プラネテューヌのアイエフさんにコンパさん」

その言葉に驚くコンパ。

 

「え? わたしたちのこと知ってるですか?」

それに当然のような顔をして答える。

 

「情報収集はビジネスの基本だからね。あなた方がこの国に来てからの動向は一通り抑えさせてもらっているよ」

 

「…噂通りの奴みたいね」

アイエフが警戒しながら言う。すると

 

「あの、私達、古のゲイムキャラを探しているんです。ケイさんは何かご存じないですか?」

と、ネプギアが聞くと、少し考える動作をしそれに答える。

 

「知らなくもないけれど…さて、今この時、僕の持つ情報にはどれほどの価値があるのかな」

 

「…価値?」それに首を縦に振る。

 

「そう。その価値に見合うだけのモノを貰わなければ、ビジネスは成立しない」

 

「わたし達、そんなにお金持ってないですよ?」

顔に微笑を浮かべてそれに答える。

 

「ご心配なく。金銭には不自由していないからね。だからあなた方には、労働力を提供して頂きたいと思っている」

 

「具体的には?」

 

「今、この国ではあるモノの開発の途中でね「それの完成に必要な材料を集めて来い…か?」

…その通りだ。何故分かったんだい?」

聞くと、ため息をつきながら答える。

 

「…俺によくそう言った頼みごとをしてくる人が居るからな。それでなんとなく予想はついていたさ」

そう語るシンヤの脳裏には、榊に軽い様子で依頼をされ、数々の超強力なアラガミ達との激戦が流れていた。

それを頭の片隅に仕舞い、話を元に戻そうとする。

 

「で、その材料と言うのは?」

その言葉で話の話題が元に戻る。

 

「そうだったね。その材料だけど、聞いたことぐらいあるかな。宝玉と血晶と呼ばれる物なんだけど…」

材料の事を聞いた途端、アイエフの表情が驚愕に変わる。

 

「なっ!? それって…両方とも超レア物素材じゃない!?」

 

「そんなに珍しい物なんですか?」

そう言ったネプギアにアイエフが説明する。

 

「希少価値が高すぎて、まず市場には出回らない代物よ。どこで採れるかだって分かったものじゃない…いくらなんでも条件がキツ過ぎるわ!」

 

「そう思うなら、この話はなかったことに。僕が情報の価値を見誤ったというだけだ」

文句を言うアイエフに、当然のように言葉を返すケイ。

 

「く…足元を見て…」

悔しがるアイエフ。

 

(血晶か…。確か向こうに少しくらい在庫があったはずなんだがな…)

などとシンヤが考えていると、ネプギアが

 

「分かりました。探してきます。それを持って来れば、ゲイムキャラのことを教えてくれるんですね?」と、言ってきた。すると、ケイがもう一つの条件を出してきた。

 

「それともう一つ。三年前…そして最近、ギョウカイ墓場で起こった事を教えてほしい」

 

「わたし達がギョウカイ墓場に行ったことも知ってるんですか!?」

再度ケイの言葉に驚くコンパ。

 

「知っていたわけじゃないけど、この程度は憶測でね。何せ生きた証拠である、ネプギアさんが目の前にいるんだから」

 

「ネプギアの事も、最初から分かって訳ね」

アイエフが更に警戒を強めるが、それを気にせずネプギアに問いかける。

 

「…で、ノワールは無事なのかい?何故ネプギアさんだけがこの場に?」

 

「ノワールさんなら、お姉ちゃん達と一緒に…」

続きを言おうとした所で、アイエフがネプギアの前に立ちふさがる。

 

「おーっと! ビジネスの基本はギブ・アンド・テイクでしょ。先にこっちの情報だけもらおうってのは、マナー違反じゃないかしら?」

そう言われ、ケイはアイエフ達に軽く謝罪する。

 

「む…これは失礼。それでは先に、二つの材料の調達をお願いしよう。その後に、互いの情報を交換するという事で」

 

「了解した。では…あ、忘れる所だった」

教会から出て行こうとしたとき、シンヤが教会に来たもう一つの理由を思い出した。

 

「すまない、もう一つお願いをしても良いか?」

 

「お願い?内容にもよるけど、場合によっては何か差し出して貰うけど、良いかい?」

 

「あぁ、構わない。で、そのお願いだけど、転送装置を貸してもらえないか?」

その言葉に少し首を傾げる。

 

「転送装置を? …理由を聞こうか」

 

「武器のメンテナンスをしたいんだ」

 

「武器のメンテナンスの為に転送装置を借りる? 武器のメンテンスくらい自分でやれば良いのでは? と言うより、転送装置を使ったところで武器はメンテナンスで出来ないだろう?」

言われ、内心で(やはり駄目だったか…)とため息をつく。

他に方法が思い浮かず、正直に話す事にした。

 

「……信じられない話だとは思うが、聞いてくれ……」

シンヤはこれまでの経緯を話した。自分が異世界の住人だという事、その世界を食い荒らす敵の事、そして自分がその敵を倒すために居る事、最後にこの世界に来たきっかけ、この世界にも異世界の敵が出現している事、この世界に自分が使っている武器をメンテナンスする技術が無いため、元の世界でメンテナンスしてもらう為に転送装置を貸して貰いたいと言う事を話した。

それを最後まで聞いていたケイはとても信じられないような表情と、面白いものを見つけたような子供の表情を浮かべていた。

 

「……とても信じられる内容ではないね」

 

「でしょうね、でも、事実なんですよ」

 

「ふむ…」

しばし考えた後、ケイは答えを出した。

 

「使用してもいいけど、それには一つ条件がある」

 

「その条件は?」聞くと、ケイは微笑を浮かべ,こう答える。

 

「なに、簡単な事だ。君が異世界から来た証拠を見せてくれれば良い。出来れば、その異世界の敵とやらの映像や情報が欲しい所だね」

と言った。

 

(……なるほど、そういう事か)

シンヤはケイの言わんとすることを理解した。

そして少し考える動きをした後、答えを出す。

 

「分かった、用意してくる。その代わり、ちゃんと使わせてくれよ」

 

「あぁ、約束は守るさ」

 

「そうか。では、失礼します」

と言って、教会から立ち去るのであった。

 


 
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