No.527203

新春スペシャル作品  忍者大戦ヤグラ  その2

BLACKさん

この作品は「ハヤテのごとく!(アニメ3期)」と「世界忍者戦ジライヤ」を見た影響で作った作品で両作品を足して2で割った作品となってます。割合としてはハヤテ7:ジライヤ3くらいになってます。

2013-01-03 17:04:14 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1069   閲覧ユーザー数:1050

主な登場人物

 

 

芥子頭治(からし とうじ)

 

主人公、男性。18歳。黒髪短髪。

忍者の任務中に唯衣と出会ってしまい、執事をやることになり、執事をやっている。ほぼ万能だがどこか抜けている。

何故万能かと言うと、彼が世界忍者の一人だからである。

世界忍者としての実力も本物。忍者の格好をしている時は「ヤグラ」と名乗っている。

忍者の流派は「日隠流(ひがくれりゅう)」

 

 

 

 

凪村唯衣(なぎむら ゆい)

 

ヒロイン、女性。16歳。銀長髪。

大富豪の凪村家の令嬢。頭脳明晰、スタイル抜群のほぼ万能だがどこか抜けている。

忍者に興味を持ったために頭治を執事に迎え入れる。

 

 

 

ユリア

 

女性。17歳。紫色の長髪。

頭治が執事をやる前から唯衣の専属メイドとして働いてる女性。スタイル抜群。

外国の大学を飛び級で卒業している。そのため学校に行っていない。ほぼ万能だが頭治と唯衣同様、どこか抜けている。

世界忍者ではないが、実力は世界忍者に匹敵する。

 

 

 

凪村友里(なぎむら ゆり)

 

故人。享年25歳。茶髪長髪。

唯衣の母親。唯衣と似たような顔立ちでスタイルも抜群だったが、成績はそうでもなかった。そして天然。

 

 

 

カイル・ハイム

 

故人。享年20歳。銀髪短髪。

唯衣の父親とされる人物。何らかの事情で友里の前からいなくなってしまった。

実はある物が目当てで凪村家に侵入した泥棒だが、友里に見つかってしまうものの、そのまま友里と恋に落ち、唯衣が生まれる。

何やらその死や泥棒したのにはとんでもない理由があるとか……。

 

 

 

 

 

頭治や唯衣の友人達

 

 

 

 

 

織田巽香(おだ せんか)

 

女性。17歳。黒髪セミロング。

頭治と同じ世界忍者。忍者時は「セン」と名乗っている。

忍者の流派は「織田流」

 

 

 

山本和樹(やまもと かずき)

 

男性。16歳。茶髪短髪。

頭治と同じ世界忍者であると同時に唯衣の同級生。忍者時は「レッパ」と名乗っている。

忍者の流派は「邪滅流」

 

 

 

賀上梁(かがみ りょう)

 

男性。17歳。黒髪短髪。

頭治と同じ世界忍者。忍者時は「シシガ」と名乗っている。

忍者の流派は「獅子流」

 

 

 

宮木葵(みやき あおい)

 

女性。16歳。青長髪。

唯衣の同級生で生徒会長。頭脳明晰で武道全般の達人。

かなりしっかりしているためによく唯衣などのフォローをする。

 

 

 

凪村號(なぎむら ごう)

 

男性。58歳。白髪短髪。

唯衣の祖父で唯衣の母である友里の父親。

凪村家を大富豪にした人物。

16年前に一度起こったことをきっかけに烈山(頭治の父親)と出会い、仲良くなる。

そのことは頭治と唯衣は知らない。

 

 

 

芥子烈山(からし れつざん)

 

男性。58歳。白髪短髪。

頭治の父であり「日隠流」を教えた師父でもある。

若くして現役を退いてはいるが、実力は今でも一級品であり、世界忍者最強とも謳われている。

頭治が唯衣と会うきっかけを作った人物でもある。

 

 

 

 

 

魔血(まけつ)一族

 

 

正体不明とされる悪の世界忍者の集団。物語開始前から世界をまたにかけ、暗躍している(らしい)。

一族と言っているが血の繋がりがあるのは一部の者だけで、部下(もっぱら戦闘員)は妖術で生み出された鴉天狗の化身。

魔血一族の長は魔血潔斎。黒い鬼の仮面をかぶっている。幹部はその娘、魔血霞。潔斎の被っている仮面を半分にしたような仮面をかぶっている。

 

 

 

 

 

父の死と遺品のことを翌日。

その報を聞いた唯衣は少し戸惑っていた。

 

「お嬢様、紅茶をお持ちしました」

 

広い居間にいる唯衣のところに頭治が紅茶を持ってくる。

 

「ありがとう。それと言葉使い」

「いやな、真剣な顔してるからこちらも少し丁寧な言葉使いにした方かいいかと思ったんだが、逆効果か」

「……ごめんなさいね、そこまで考えてたなんて……」

「いいんだよ、で、そんな真剣な顔をしてるのはやはり親父さんのことか?」

「ええ」

「遺品、何があるって言ってたんだ? 俺まだ聞いてないけど……」

「一つだけだそうよ」

「一つだけ?」

「ええ。懐中時計が一つ」

「それってもしかして……」

「多分、魔血一族の探してる銀嶺」

 

そのことを聞いて頭治も少し固まる。

 

「だったら取りに行った方がいいんじゃ……。魔血一族のことだからもうその情報を得ている可能性も……」

「あるわね。でもあのままにしておくのもいいのかと思っているの」

「なんで?」

「あと6日のうちに取りに来ない場合は処分するって……」

「なるほど。完全になくなっちまえば魔血一族の目的も果たせないって事か……」

 

頭治は何故か納得したが、首を横に振った。

 

「ってダメだろ。いくら警察とかがいて、厳重な場所に保管されてるにしても相手は魔血一族。どんな手を使ってくるか分からない」

 

頭治はやはり取りに行くべきだと主張する。

 

「でもね、爺様少し前にこんなこと言ってたのよ。

『銀嶺は呪いの時計。持っているだけで不運をもたらす』って……」

「不運をもたらす。じゃあ潔斎達は持ってるだけで不運になるのか? それともその不運を他人にまき散らす力でもあるのか?」

 

頭治は考えるが、今の情報量では考えつかない。

 

「とにかくいきなり私達が行くのもどうかと思うの。敵もすぐには動かない可能性あるし……」

「そうだな~。マジでどうするかだ」

 

頭治と唯衣は考える。

 

「あの~唯衣」

 

そこにユリアがやって来る。

 

「どうしたの?」

「唯衣にお客さんが……」

「私に?」

 

唯衣が玄関まで行ってみる。玄関を開けるとそこには一人の短い銀髪少女がいた。

 

「始めまして、お姉ちゃん」

「…………」

 

唯衣は玄関を閉める。

 

「ちょっと! お姉ちゃん!」

 

少女は玄関を叩く。

 

「いいのか?」

「いきなりお姉ちゃんはないでしょ」

「確かに……」

「私はミヤコ・ハイム! お姉ちゃんの従妹だよ!」

「従妹?」

「それにハイムって……」

「確か親父さんの名字と同じだよな?」

 

唯衣は玄関を再び開ける。

 

「……話を聞いてあげる」

 

唯衣はミヤコを招き入れ、居間で話を聞く。

 

「それで従妹ってどういうこと?」

「うん、説明するね。私のお父さん……レオン・ハイムがお姉ちゃんのお父さんの弟なの」

「ああ。それで従妹なのか」

「確かにそれなら銀髪ってのも納得できるけど……」

 

正直な話、こんな時にそんな親戚が来るなんてタイミングがよすぎると三人は思った。

 

(どう思う?)

(罠っぽいわね……)

(ああ、魔血一族が絡んでるに違いない。だけど……)

(全く関わってない可能性もなきもあらずよね)

「ミヤコさんですよね? 失礼だと思うけど、血液検査とかしていいかしら?」

「……いいわよ」

 

そしてユリアは早速凪村家お抱えの医者などを呼び、すぐに血液と念のためのDNA検査を行った。

凪村家お抱えの医者達の技術は目を見張るものであり、鑑定の結果は3時間で出た。

 

「結果が出たわ。ミヤコさんは正真正銘、唯衣の親戚よ」

「でしょ」

「そうね」

 

唯衣もひとまずは胸をなでおろす。

 

(でも血魔一族の刺客の可能性も……)

(とりあえず用心はしておくとするか)

「それでどうするの?」

「お父さんもお母さんも交通事故で失くして……。遺品整理の時にお父さんにお兄さんがいてそれでその子供いるってのを聞いて……」

「わざわざ来たのね」

「大変だったでしょ」

 

ユリアが紅茶をだし、ミヤコはそれを飲む。

 

「ありがとう」

「じゃあとりあえず一緒にここに住む?」

「いいの?」

「親戚ならいいでしょ」

「ありがとう、お姉ちゃん」

 

ミヤコの目には涙が流れる。

 

「いいのか?」

「いいの」

 

唯衣は頭治に耳打ちする。

 

(それに相手が何するにしても側においていた方が行動が読めやすいじゃない?)

(なるほど……)

 

そしてミヤコは唯衣の家に住むことになった。

 

 

次の日になる。

 

「ねえお姉ちゃん」

「何?」

 

ミヤコが唯衣に尋ねてきた。

 

「お姉ちゃんのお父さんとお母さんは?」

「…………」

「お姉ちゃん?」

「唯衣のお父様もお母様もなくなっているのよ」

「え?」

「母さんは私が五歳の頃に病気で、父さんも事故に遭ったらしいの」

「遭ったらしい?」

「私もよく分からないんだ。一昨日になって事故死したって情報が来てね、遺品も取りに来いって言われたの」

「取りに来いってどこに?」

「アメリカのニューヨーク」

「だったら行こうよ、お姉ちゃん」

「なんで?」

「なんでって、お姉ちゃんのお父さんのでしょ? だったら家族が取りに行かなきゃ……」

「…………」

 

唯衣は考える。

 

「……正直、その人のことを自分のお父さんって実感がないの。だから行かない」

「行かないって、ダメだよ! せっかくの血の繋がりのある人なんでしょ!」

「そうなんだけどね……」

 

ミヤコに言われてもやはり実感の湧かない唯衣。

 

「…………だったミヤコが行けば? ミヤコも家族になるんじゃないの?」

「それが唯衣、警察は息子か娘かその人のご両親か兄弟じゃないとダメって言ってるの」

「一等親だけってことか……」

 

唯衣は再び考える。

 

(警察の言い分はともかく、ミヤコの……魔血一族の方が気になる。

もしもミヤコが魔血一族と繋がりがあるとしたら…………)

 

唯衣は決断する。

 

「ミヤコ……ミヤコには悪いけど、やっぱり私行かない」

「え?」

「とにかくこの話はもう終わりにして。お願いね」

 

唯衣は立ち上がる。

 

「お姉ちゃん、どこに行くの?」

「どこって学校よ。私、高校二年生だし…学校行くのは当たり前でしょ。それじゃあ行ってくるね」

 

唯衣は学校へと向かった。

 

「あれ? お前は学校行かないのか?」

「お父さん達が死んでから色々あって学校やめたの」

「そうか。お前歳いくつ?」

「15歳。高校一年生」

「そうか……ユリアさん、教えてやってくんねえ?」

「別にいいわよ」

 

ユリアが勉強を教えると言う。

 

「でもユリアさんって……」

「安心しな、この人こう見えても飛び級でアメリカの大学を卒業してるんだ。かなり頭いいぞ」

「あんたは?」

「俺は高卒だ。まあ俺は別にいいし、親父も特に文句は言ってねえ。それじゃあユリアさん、お願いしますね。

俺がかなりに買い物とかしてきますから……」

「お願いしますね」

 

そしてミヤコの勉強をユリアが見ることになり、家事の大半は頭治がすることになった。

 

「ただいま~」

 

数時間後、唯衣が帰って来る。

 

「お帰りなさい、唯衣」

「さてと……」

 

唯衣は自分の部屋に入り、着替える。

そして居間にやって来て、早速テレビゲームをする。

 

「今日はガンガンやるわよ!」

「負けないぞ! 唯衣!」

 

唯衣と頭治が一緒になってオンラインゲームを大画面でプレイする。

 

「何あれ?」

「唯衣はああ見えて結構なゲーマーなのよ。

頭治さんはその唯衣に感化されてやってるの」

「そうなんだ……」

 

唯衣と頭治は楽しそうにゲームをする。

 

「ねえお姉ちゃん、私もしていい?」

「いいが、二台しかないぞ」

「だったら俺が代わるさ。俺もまたしたいことあるし」

 

頭治がミヤコと代わる。

 

「じゃ」

 

頭治はそう言って居間から去っていく。

 

「……このゲームどうするの? お姉ちゃん」

「これはね……」

 

唯衣は親切にゲームの操作法をミヤコに教える。

 

「本当の姉妹みたいね」

 

それを見ていたユリアはそうつぶやいた。

中庭では頭治が木の整えを修業がてらやっていた。

 

「せい! たあっ!」

 

木の枝を上手く切ったりする。

 

「後20本!」

 

頭治は木の整えを続ける。

そんな日々が3日続く。

そして遺品を取りに行かなければならない期限まで残り2日となっていた。

その日の夕方である。

 

「お姉ちゃん……本当にお父さんの遺品を取りに行かなくていいの?」

「いいのよ、別に……」

 

唯衣は冷めた態度で言う。

 

「…………」

 

ミヤコの目には涙が溜まっていた。

 

「お姉ちゃんがこんなにも薄情だったなんて……お姉ちゃんのバカ!」

 

ミヤコは屋敷を飛び出してしまう。

 

「…………」

「いいの? 唯衣」

「いいのよ……」

 

そうは言っても少し寂しそうな顔をしていた唯衣。

 

 

ミヤコは屋敷を飛び出して、少し近くの林に来ていた。

 

「お姉ちゃんの……バカ……」

 

ミヤコは走って出て行ったために息切れを起こしていた。

そして涙も流れていた。

 

「うまく連れ出せないようだな、ミヤコ」

 

そこに一人の女性の声がした。

その女性とは魔血一族の魔血霞だった。

 

「霞さん」

「だが凪村唯衣は少なからず情を持っているようだ。ならば凪村唯衣は動かす方法として……」

 

霞が指を鳴らすとそこに鴉天狗達が現れ、ミヤコを捕える。

 

「な、何をするの?」

「お前をエサに凪村唯衣をおびき出す!」

「そうはさせんぞ!」

 

そこに手裏剣が複数飛んでき、霞が弾き返す。

 

「何者だ!」

「俺達だ!」

 

そこに現れたのは、頭治と同じ世界忍者の織田巽香、山本和樹、賀上梁の三人だった。

 

「貴様らは、ヤグラの仲間達!」

「その子をどうするつもりなの! 魔血霞!」

「知れたことを……。人質にして凪村唯衣をアメリカのニューヨークに連れ込むまでよ」

「そうはさせないぜ!」

「いくぜ!」

 

三人は忍装束に早変わりする。

 

「織田流正統、刀忍(とうにん)セン」

「邪滅流正統、巫忍(ぶにん)レッパ」

「獅子流正統、牙忍(がにん)シシガ」

 

巽香は銀色の忍装束を身に纏い、刀忍センと名乗る。

和樹は紫色の忍装束を身に纏い、巫忍レッパと名乗る。

梁は黄色の忍装束を身に纏い、牙忍シシガと名乗る。

 

「かかれ!」

 

霞が叫ぶと鴉天狗達が一斉に姿を現し、三人と戦い始める。

 

「お前は私と共に来い!」

 

その間に霞がミヤコの手を掴み、無理矢理連れて行こうとすると……。

 

「待ちやがれ!」

 

そこにヤグラとしてやって来た頭治がやって来た。

 

「ヤグラ!」

「その子は渡さないぜ!」

「奴も止めろ!」

 

霞が再び叫ぶとまたしても鴉天狗が増える。

鴉天狗達が妨害している間に霞はミヤコを連れて逃げようとする。

 

「邪魔するんじゃねえ!」

 

ヤグラも必死になって閃光神堂剣を抜き、鴉天狗達と戦う。

その間に霞はミヤコを連れて逃げる。

しばらく二人が林を走っていた時である。

 

「追いついたぞ!」

 

ヤグラ達四人は鴉天狗達を全滅させ、霞とミヤコに追いつくことが出来た。

 

「さあ、その子を返しなさい」

「くっ……」

「! 全員気をつけろ! 上から何か来るぞ!」

 

霊感などに関しては敏感に感じ取れるレッパが叫ぶ。

全員が上を向くと霞とミヤコの上には紫色の雲が渦巻いていた。

 

「何だあれ?」

 

するとその紫色の雲から雷が落ち、それはミヤコを包む。

 

「ミヤコ!」

「なにこれ?」

 

ミヤコの体は宙を浮き始める。

 

「これは……?」

 

そしてその雲からまったく知らない女性が現れる。

 

「何者だ貴様?」

 

そのセリフを言ったのは霞であった。

 

「あいつが知らない?」

「第三勢力って事か?」

「誰だ手前!」

「私の名を教えるほど、私はお人好しではない」

 

その女性がミヤコに近づいていく。

 

「させるか!」

 

シシガが手に付けた爪で女性に襲い掛かるが、女性の体は透き通ったようにシシガの体をすり抜けた。

 

「何!?」

「幻覚?」

「いや、あれは幻覚じゃない。実体だ。だが普通のじゃない!」

 

レッパが除霊の札のようなものを出し、それを女性に向けて投げる。

女性は先ほどのシシガの攻撃と違い、手から小さい結界を張り、その攻撃を防いだ。

 

「やはり霊体的存在……」

 

レッパの邪滅流は霊などの奇怪なものを滅ぼすのに特化した流派であった。

そのため霊体的存在の女性にはある意味天敵であるのだ。

 

「そんな奴がミヤコをどうするつもりだ!?」

「知れたことを……この娘を人質に凪村唯衣を銀嶺の元に行かせるまでよ」

「手前も……だと……」

 

その言葉にヤグラは驚きを隠せない。

そして女性はミヤコを掴む。

 

「さようなら」

 

女性とミヤコはその場から姿を消し、紫色の雲も消えていった。

 

「待て! くそ!」

 

霞はその場から逃げていく。

 

「待て!」

「追わなくていいわ。それよりも……」

「くっ!」

 

ヤグラは近くの木にやつ当たりのように手を叩きつける。

 

 

それからすぐ、頭治は先ほどまで起こったことを唯衣よりも先に父である烈山に伝えた。

 

「ふむ、魔血一族とはまったく別の霊感的なものか……」

「親父、なにか知らないか?」

「すまないが、儂にもわからん。だが調べてみようとは思っている。

日隠流は古くからある流派だ。もしかしたら邪滅流のように霊的なものと戦い、記録しているかもしれん」

「あの書庫をか……」

 

頭治は芥子家にある古い書庫を思い出す。その書庫にある文献の数は半端ではなく、頭治は全部見るのもつらいとしてほとんど見ていない。

 

「それでお前はどうする気だ?」

「どうするって……」

「その娘の為にアメリカに行くのかということだ」

「魔血一族と関わってる可能性はあるけど、人命が関わってるしな。

とりあえず唯衣……いや、お嬢様にこのことをご報告したいと思っています」

「いきなり執事口調になってもあまり意味ないぞ、頭治」

「……すんません」

 

父の烈山に報告を終えた後、頭治は唯衣に報告した。

 

「ミヤコが!?」

「ああ。魔血一族じゃない奴も目的は銀嶺みたいだ」

「霊でさえ欲しがるものって一体……」

「ただ不運をもたらす懐中時計じゃないってことね……」

「唯衣」

「……ミヤコとの繋がりも気になるけど、アメリカに行きましょう。

父さんの遺品……銀嶺の回収に行くわ。

ユリア、すぐに自家用ジェット機の手配をよろしく」

「わかったわ」

「それで頭治も一緒に行くのよね」

「もちろんだ。お嬢様の親戚をお助けせねばなりませんからね」

「やっぱり、あんたの執事口調、似合ってないわね」

「とほほ……」

 

頭治、唯衣、ユリアは自家用ジェット機でアメリカのニューヨークに向かうのだった。

それとほぼ同じ時、魔血一族の隠れ家では……。

 

「なに? ミヤコ・ハイムが謎の女に連れて行かれた?」

「申しわけございません!」

 

霞が潔斎にその報告をしていた。

 

「我ら魔血一族以外に銀嶺を狙う者がいたとはな……」

「父上、銀嶺には一体どんな秘密があるのですか?」

「お前には教えておこう」

 

潔斎は銀嶺の秘密を教える。

 

「…そんなものが……」

「儂にはどうしてもそれが必要なのだ。だがその者が現れた以上儂も自ら行くとしよう」

「既に準備は整えています」

「では行こう!」

 

潔斎と霞、魔血一族も銀嶺を求めてアメリカに向かうのだった。


 
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