No.526719

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百八十技 交錯する剣

本郷 刃さん

第百八十話です。
アスナの剣に異変が、そして・・・。

どうぞ・・・。

2013-01-02 16:24:05 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10125   閲覧ユーザー数:9220

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百八十技 交錯する剣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

サブ迷宮のボス〈The watertemple knight(ウォーターテンプル・ナイト)〉を打ち倒した俺とアスナは、大きく一息吐いた。

 

だが次の瞬間!

 

―――パキィィィンッ!

 

「ぇ……」

 

アスナの持っていた『ランベントライト』が……折れた。

 

すぐさま状態を見てみるが、修復は不可能となっている。

 

「ぅ、そ……そん、な…」

 

「アスナ…」

 

見る見ると目尻に涙を溜めていく彼女を優しく抱き締める。

 

「ぁ、ぅ、うぅ…ぐすっ……キ、リト…くん…。わたしの、けんが…」

 

泣き始めてしまったアスナ。

 

当然だろう、彼女にとってランベントライトは自身の相棒で、半身ともいえる細剣だったのだ。

 

俺とて、今まで愛用していた武器達はインゴットにしてから次の武器に引き継いだり、

装飾品などにして身近に残している。

 

それはアスナも同じらしく、それほどまでに俺やアスナにとっては愛用する武器達への想い入れは強いものなのだ。

 

しかも、彼女の愛剣は親友であるリズが作ってくれたもの、申し訳なさもあるのだろう。

 

その時俺は、アスナの隣にウインドウが出ているのに気が付いた。

 

そこには一つのアイテム名が表示されていた。

 

「アスナ、LABのアイテムを見てみろ…」

 

「ぐすっ……『エインシェントライト』…。細剣(レイピア)だけど、これ使えるような物じゃないよ?」

 

手に入れた細剣の攻撃力、耐久値などはかなり低い。見た目も石のように古びている。

 

「確かにその通りだな……けどそれは、このまま(・・・・)使う場合の話しだ」

 

「え…?」

 

彼女の言う通り、使い物になるような武器ではない。

 

「この細剣は武器であると同時に他の細剣と融合させることで次の段階に変化することの出来る物だ。

 かなりの業物に化ける可能性もあるってことだよ」

 

「それじゃあ…」

 

「ああ、ランベントライトを合わせることもできる。あとは、鍛冶師(スミス)の腕の見せ所だけどな」

 

俺の言葉を聞いて、アスナの表情に笑顔が戻った。俺は彼女にただ笑っていてほしいから、だから良かったと思った。

 

「ここを出てリズのところに行こう。早く作ってもらわないとな」

 

「うん。ありがとね、キリトくん」

 

俺とアスナは手を繋ぐと、≪転移結晶≫を取り出して街へと戻ろうとした…が。

 

「結晶が、使えない…」

 

「ほんとうだ…」

 

「とりあえず、扉を開けてみよう」

 

俺達は入ってきた扉を押した、するとあっさりと開いた。訳も分からずにそのまま外に出た。

 

 

 

俺達が神殿の外に出た瞬間、その現象は起きた。

 

神殿の前にある階段を下りたところに光る球体が出現した。

 

驚愕する俺達を余所に、球体は上空へと飛び上がると迷宮区の方へと飛んでいってしまった。

 

「な、なんだったのかな…?」

 

「もしかしたら、今のがイベントなのかもしれないが………あれは…」

 

驚いていたのも束の間、俺はある事に気が付いた。球体があった階段前の場所に『eins(アインス)』という文字がある。

 

もしかしたら……。

 

「アスナ、ここ以外に見つかっているサブ迷宮は五つだったよな?」

 

「うん、そう聞いてるよ」

 

「…この層、ようやく進めることが出来るかもしれないぞ」

 

「ほんとに!?」

 

頷いて応える俺。

 

手早くメッセージウインドウを開くと、俺は推測したことを書き、

ヒースクリフやウェルガー、他攻略組に同時にメッセージを飛ばした。

 

これで情報が集まればいいんだがな…。

 

「情報と推測は皆に知らせたから、今度こそ俺達はリズのところに行こう」

 

「そうだね」

 

転移結晶を使用して、俺達は『リンダース』へと移動した。

 

 

 

リンダースに着いてすぐに、『リズベット武具店』へと直行した。

 

―――カランッカランッ!

 

「いらっしゃいませ。あら、アスナとキリトだったのね」

 

「いらっしゃい、二人とも」

 

店内に入ると、リズとハクヤが迎えてくれた。どうやら他に客はいないようだ。

 

「リズ、ごめんね…」

 

「ちょ、どうしたのよ、いきなり!?」

 

突然謝罪をしたアスナに対して驚くリズ。

 

「どうしたんだ?」

 

「実は……」

 

訊ねるハクヤにアスナが先程までの事情を伝えた。

 

「そうだったの…」

 

「本当にごめ「(ビシッ!)」にゃっ、リ、リズ!?」

 

謝るアスナにリズがデコピンをした。俺とハクヤは微かに笑みを浮かべた。

 

「謝る必要なんてないわよ。この()は、アンタの為に良くやってくれたわ」

 

リズは優しい笑みを浮かべながら、折れた細剣(ランベントライト)を撫でた。

 

「それで…あたしはこの剣と、そのLABアイテムで武器を作ればいいのね?」

 

改めて確認してくるリズ。

 

「ああ、アスナに……新しい(ちから)を、頼む…」

 

「リズ、お願い…」

 

「もちろんよ、このあたしに任せなさい♪ ハクヤ、手伝って!」

 

「りょーかい!」

 

俺とアスナは頼み込み、リズは快く承諾してハクヤに声を掛けた。

 

リズに先導されて俺達は後に続いて工房に入った。

 

そこでアスナは折れた『ランベントライト』と『エインシェントライト』を取り出し、リズに渡した。

 

「インゴットはスピード系の物で良いわよね?」

 

「うん」

 

「OK。それなら、≪イグナイト鉱石≫を使いましょ」

 

ハクヤが炉に火を(おこ)し、リズが最初にエインシェントライトを炉に入れ、

しばらくしてからランベントライトを炉に入れた。

 

最後にインゴットのイグナイト鉱石を入れ、それらが一つになった物を取り出し、ハンマーで既定回数を打った。

 

そして紅く染まっていた刀身が水色の刀身に白色の柄を持つ細剣を現した。

 

「……名前は、『クロッシングライト』…。なんなの、このステータス…」

 

「すごい…」

 

「これは…」

 

「化けるにしても、化けすぎだろ…」

 

ステータス表示を見て驚愕の表情を浮かべるリズ、アスナとハクヤ、俺も覗き込んでみて驚いた。

 

俺達が目にした細剣のステータス、速度ではヴァルの『神龍偃月刀』並に速く、攻撃力と耐久値も魔剣に匹敵する。

 

「正直言うと、いままでで本当の最高傑作よ…。アスナ、アンタの新しい剣」

 

「……ありがとう、リズ…」

 

アスナはリズから受け取った細剣を大事そうに胸に抱き締めた。

 

彼女の相棒であった『ランベントライト』は、新たに『クロッシングライト』へと生まれ変わった。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

というわけで、アスナの剣である『ランベントライト』が『クロッシングライト』へと至りました。

 

いや~、なんか色々と無茶苦茶な展開にしてしまいましたよw

 

けれど、自分自身この描写は元々書きたかったものですから♪

 

それでは次回で・・・。

 

ちなみに、ストックがもう尽きそうです・・・ヤベェ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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