No.52039

北郷一刀争奪戦勃発?

叢 剣さん

呉軍EDのエピローグの前の話と思って作りました。

2009-01-13 23:04:28 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:53860   閲覧ユーザー数:33275

 

ある晴れた日の建業での事

 その日、北郷一刀は久々の休日の朝のためか惰眠を貪っていた。

「にゅふふ~、か~ずと♪」

「う~ん・・・・」

「まだ寝てるんだ・・・そうだ♪一緒に寝ちゃおう」

 そのまま、小蓮(しゃおれん)は寝台に上るとそのまま布団の中に入り、一緒に寝始めた。

「一刀、暖かい・・・・・・」

 

 

 

「ん・・・あぁ・・・久々によく寝たなぁ」

 体の上に何か柔らかい感触がする。

「ん?なんだ?この膨らみは」

 布団をめくると、そこには丸くなって寝ている小蓮の姿があった。

「しゃ、シャオ!なんでこんな所に寝てるんだ!」

「ん~?かずと・・・おはよう」

「おはようじゃなくて!なんで俺の部屋にいるの」

「だって、遊びに行こうと思って誘いに来たら、気持ち良さそうに寝てたから一緒にって」

「・・・悪いけど、今日は蓮華(れんふぁ)と市に買い物に行くことになってるんだ」

 その話をしていると、扉がノックされた。

「一刀?まだ寝ているの?」

 その言葉の後に扉を開けた蓮華の動きはその場で止まった。

「ど、どどうして、どうして小蓮がここにいるの!」

「ん?私が一刀を遊びに誘いに来たんだよ」

「じゃあ、何で一刀の上に乗っているの!」

「一刀が気持ちよさそうに寝てたから一緒に寝てただけだよ?」

 話している間も、一向に一刀の上から全く降りようとしない。

「一刀の上から早く降りなさい!」

「ん~♪ヤ・キ・モ・チ?」

「そ、そんなこと・・・・・!」

 すでに、当の本人は蚊帳の外である。

「シャオ、そろそろどいてくれないか?便所に行きたいんだが」

「あ、ごめ~ん」

 その言葉に反応して、のろのろと一刀の上から降りると、寝台に座った。

「小蓮、今日、一刀は、私と、市に買い物に行くんだ、小蓮は留守番だ」

ところどころを強調して言い、特に私というところを強調していた。

「ぶ~私も付いて行っていいじゃない!」

「そんな事、許さないわ!」

「どうして!」

「一刀と市に行く約束をして、ようやく取れた休みだ!二人で居させてくれても、いいでしょ!」

「なぁに!二人でこそこそと逢引してたの!」

「こそこそなどしていない!」

「じゃあ、いつしてたのよ!」

「それは・・・・・その・・・・・・私と一刀の仕事が終わってから」

 最後のほうは聞き取れないほど声が小さくなっていた。

「夜・・・ってことは・・・・・・・!」

 その時、乱暴に扉が開かれた。

「北郷!おらんのか?」

 扉から入ってきたのは祭(さい)だった。

「ん?蓮華様に小蓮様、二人揃ってどうなさいました?」

「祭、あなた仕事は?」

「仕事?あぁ、今日の分は昨日のうちに片づけてしまった、北郷が休みと聞いたのでな、久々に稽古をつけてやろうかと思いまして」

 手に持っている二振りの訓練用の剣を見せる。

「祭までも、私の邪魔をする気か?」

「なんのことやらわかりませぬが、つい先日、北郷に次の休みに稽古をつけてやると言っておいたはずですが?」

 先ほどまで二人が言い争っていたのを知らないため、理由を述べた祭、それを聞き蓮華の機嫌はさらに悪くなっていた。

「一刀さ~ん」

 独特の間延びした声はこの宮廷に一人しかいない。

「あれ~?三人そろってどうしたんですか?」

「穏(のん)まで・・・・・」

「え?蓮華様?」

「のう、穏よ、お主も北郷に用があってきたのか?」

「はい~、今日はお勉強しようと思いまして」

 その言葉道理に、隠の手には数冊の書物が確認できた。

「穏まで・・・もしかして・・・・・」

 その悪い予感は見事に的中した。

「一刀様・・・・・・っ!み、皆さん、お、お揃いで・・・・ど、どどうなさいましたか?」

「亞莎まで・・・・・もしかして」

「お、お休みの時に、一緒にゴマ団子を作ろうと約束をしていたのですが・・・・」

「ゴマ団子とな?ほう・・・・・北郷は料理ができるのか?」

「い、いえ、二人で一緒に参考書を見ながら」

 袖で顔を隠しながら話している亞莎、少しだけ見える顔は真っ赤に染まっている。

「で、いつまでそこにいるつもりじゃ?明命(みんめい)に思春(ししゅん)よ」

 その言葉で、外にいたのであろう二人が入ってきた。

「二人とも何か一刀と予定があったのか?」

「い、いえ・・・私は・・・・」

「思春」

「蓮華様、きょ、今日は水軍の演習をみて、北郷の意見を聞こうと思いまして」

「わ、私は・・・・・・いつでもできますから」

「明命、遠慮しなくていいのよ」

 もう吹っ切れたのか、蓮華は微笑んでいる。

「今日は一緒にお猫様のところに行こうかと…」

「全く、気の多すぎる奴じゃ」

 全員が肯定するように溜息をついた。

「ん?みんな揃ってどうかしたのか?」

 ようやく、問題の人物が部屋へと帰ってきた。

「一刀!行くわよ!」

 機会がこれしかないと思ったのか、蓮華が一刀の腕を引いて部屋を出て行こうとしたが、一刀の空いている腕を祭がつかんでいた、二人の間で綱引きが始まった。

「祭!離して!」

「こればかりは、いくら蓮華とはいえ譲れません!」

「なぜだ!私にとっては大事な買い物なのだ!」

「ほう・・・・・それでは、私たちのはそこまで大事ではないとおっしゃるのか?」

「そ、そういうわけではないのだが・・・・」

 話している間も、二人は一向に一刀を離すそぶりを見せない、それどころかそれぞれの者が至る所に抱きついている。

「一刀!」

「かずと~!」

「北郷!」

「北郷」

「かずと様~」

「一刀様・・・」

「一刀様!」

 すでに身動きをとれるような格好ではない、さらには祭が羽交い絞めにしている。

「祭さん、胸が!胸が当たってる!」

「ん?おぉ、そうかそうかじっくり楽しんでくれ」

 背中に胸をさらに押しつけてくる。

「もう埒が明かないわ、一刀、今日は誰と過ごすの?」

 その一言で、一瞬にして場が静かになった。

「む・・・・・みんなが俺のために頑張って、仕事を終わらせてくれてたなら・・・・だれか選べるわけがないじゃないか」

『はぁ~』

 思わず全員の口からため息が漏れた。

「一刀らしいわ、でも、みんな相手をしてよね?」

 その後、一日変わりで一刀は一人一人ちゃんと相手をしたという、もちろん閨もである。

 

 

 
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