No.514290

東照権現と独眼竜は未来へ行く 第七話

鉄の字さん

他のBASARAキャラ出すべきかな………?いや、それだとタイトル変わるよな…………

次は政宗VS一夏です!

2012-12-02 13:03:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2825   閲覧ユーザー数:2608

 

 

 

光が収まると気絶したセシリアをお姫様抱っこした家康はセシリアと保健室に行った。

その光景にクラスメイトが黄色い声を上げたのは言うまでもない。

 

 

「さてと、では…………」

 

 

「織斑先生っ!」

 

 

教室に戻ろうと言いかけた所に、山田先生が走りながら………

 

 

「きゃうんっ!!」

 

 

否、転びながらピットに入って来た。

 

 

「どうした山田先生?」

 

 

「あぅ〜、ハッ!き、来ました!織斑君の専用ISが!」

 

 

「「は?」」

 

 

まさかこのタイミングで?

と思った一夏と箒。

 

 

「ほお、もう来たのか。織斑、篠ノ之、こっちに来い。」

 

 

千冬と山田先生は二人を引き連れてピット搬入口へ向かう。

 

 

斜めに噛み合うタイプの防壁扉は、重い駆動音を鳴らしながら開き向こう側を晒していく。

 

 

そこに、『白』が、いた。

 

 

「これが………」

 

 

「はい!織斑君の専用IS『白式』です!」

 

 

無機質なそれはずっと一夏を待っていたように見えた。

そう、こうなることからをずっと前から待っていた。

この時を、ただこの時を。

 

 

「織斑、すぐに装着してフォーマットとフィッティングは実戦でやれ。」

 

 

「実戦って、セシリアは気絶したし、家康もセシリアを連れて行って………」

 

 

そこで一夏は眼目にいる元世界最強の自分の姉が闘うのでは、と少し恐怖心が沸く。

 

 

「何を言っている。スクリーン見ろ。」

 

 

「スクリーンって………」

 

 

 

 

 

『Are you ready girls!!?』

 

 

『『『『Yeah!!』』』』

 

 

『Put ya girls on!!』

 

 

『『『『Yeah!!!』』』』

 

 

『Got it!派手に楽しめよ!!Partyの始まりだ!!!』

 

 

『『『『Yeah!!!!』』』』

 

 

 

 

 

 

「アレだ。」

 

 

「何時の間に!?」

 

 

そこにはさっきまでそこにいた筈の政宗がスクリーンに映っていた。

 

 

「わ、私が専用ISが来たと言った瞬間にISを展開して飛び出して行きましたね………」

 

 

「行動速っ!?」

 

 

「とにかく、お前の相手は伊達だ。心してかかれ。」

 

 

「…………分かりました。」

 

 

直ぐに白式を装着する一夏。

繋がる様な一体感とクリアな感覚が前進に行き渡る。

 

 

ーーー戦闘待機状態のISを感知。操縦者伊達政宗。ISネーム『蒼龍』。戦闘タイプ近距離型。

 

 

(あれが政宗のIS…………)

 

 

政宗のISは家康と同じ様に何時もの戦鎧と腰に付けた六振りの刀。

脚はもちろんISの物である。

そしてその背中には蒼く強強しい翼のウイングスラスターが付いていた。

 

 

カタパルトへ進もうとした所ISのハイパーセンサーで何か言おうとしている箒が目に入った。

 

 

「箒。」

 

 

「な、何だ?」

 

 

「行ってくる。」

 

 

「あ………ああ。勝ってこい。」

 

 

その言葉に頷き一夏は政宗が待つ所へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

「よぉ、来たか一夏。」

 

 

「政宗、箒と試合してお前が強いって言うのは知っている。だから負けるかもしれない。だけど俺は皆を守る為に強くなる!」

 

 

「Ha!いい根性してるじゃねぇか一夏!だったらこの竜を本気にしてみな!!」

 

 

一瞬の静寂が流れ試合開始のブザーが鳴る。

政宗は六振りの刀『景秀』の一振りを抜刀し、一夏は近接ブレードを展開する。

 

 

「伊達政宗、推して参る!」

 

 

「行くぞ!!」

 

 

まず最初に一夏が仕掛ける。

一気に詰め寄り近接ブレードを右に真横に振るが当然の如く防がれてしまう。

そこから流れる様に次は体を捻り左に一閃。

だがそれも政宗は楽々と防いでしまう。

 

 

斜めに、縦に、右に、横に、あらゆる角度から攻撃を仕掛けるが政宗はまさに余裕という表情で防いだ。

 

 

「クッ………」

 

 

「おいおい、もう終わりか?」

 

 

「ま、まだだ!!」

 

 

後ろへ飛び一旦距離を置く。

 

 

(いくらやっても防がれる!だけど死角なんて政宗が作るわけないしな…………)

 

 

その時、白式のハイパーセンサーで政宗の顔にある物が映る。

 

 

(………駄目元でやってみるか!)

 

 

ウイングスラスターを吹かして政宗の右側を狙う。

政宗の右側は眼帯が覆っている為、政宗は見えないはず。

 

 

「ッ!」

 

 

「うらぁぁぁぁあああ!!!」

 

 

反応が遅れた隙を狙って一気に接近し、斜めに袈裟斬りをする。

しかし…………

 

 

ーーーカキンッ!

 

 

鳴り響いたのは鉄の甲高い音。

決まったと思った一夏は突然の事に思考が停止する。

それもそのはず、右側が見えないはずの政宗は右側の刀を左手で抜き取り一夏の攻撃を受け止めたのだ。

 

 

「Ha!まさか眼帯してるから右側は見えないと思ったんじゃねぇのか?」

 

 

「なっ!?」

 

 

「悪いが俺は特殊な状況にいたからな。右目の事なんかとうの昔に克服してんだよ!」

 

 

左手の刀で一夏のブレードを弾くと左回転して右手の刀で力一杯白式を地面に叩きつけた。

 

 

「グアッ!!」

 

 

「YaーHaー!まだまだこれからだぜ一夏!?」

 

 

「まだ………やれる!」

 

 

「Good!そうでなくちゃな!!Come on!ド派手なpartyと行こうぜ!」

 

 

政宗が叫ぶと同時に一夏は飛び上がりブレードを構え政宗に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

「伊達君や徳川君、凄いですね。IS乗り始めて数週間とは思えませんね。」

 

 

「あいつらは元のステータスが半端ではないからな。ISの操縦の困難さを莫大な経験で補っているのだ。」

 

 

「でも織斑君も伊達君と何とか渡り合ってますね。」

 

 

「付け焼き刃程度の練習が功を奏したか。しかしあの馬鹿浮かれてるな。」

 

 

千冬の視線には丁度一夏が入っている。

 

 

「え?どうしてですか?」

 

 

「あいつの手を見てみろ。開いたり閉じたりしてるだろ。あれは浮かれている証拠だ。」

 

 

「へぇー、やっぱり姉弟だからそういう所が分かるのですね。」

 

 

「ま、まあ、なんだ。あれでも一応私の弟だからな…………」

 

 

「あー、照れてるんですかー?照れてるんですねー?」

 

 

「………………」

 

 

刹那、山田先生の頭は千冬の腕の中に収まっていた。

 

 

ギリリリリリリリ!

 

 

山田先生が気づかぬ内にヘッドロックが炸裂した。

 

 

「いたたたたたたたたたた!!!?」

 

 

「私はからかわれるのが嫌いだ。」

 

 

ぎゃあぎゃあ騒ぐ中、そんな様子にも気に留めず心ここに在らずと言った感じでずっとスクリーンの中の一夏を見つめていた。

 

 

「一夏…………」

 

 

 

 

 

 

「ハァ………ハァ…………」

 

 

「ほぉ、中々保ったじゃねぇか。」

 

 

「うるせぇ。勝手に言ってろ。」

 

 

口では軽口を叩けるもののシールドエネルギーは半分を切り、自分の体力も限界に近づいていた。

 

 

「ククク、だがな一夏。そんなんじゃ守れる者も守れねぇぜ。」

 

 

「ッ!」

 

 

「お前はここにいる誰よりも弱い。そんなお前が誰かを守ることなんか出来やしねぇぞ。」

 

 

「それは…………」

 

 

「俺もそうだった。」

 

 

「え?政宗が………?」

 

 

一夏は信じられない顔をして政宗を見た。

今、自分を打ち負かしている程の男が守ることができなかったとは思えない。

 

 

だが政宗の顔が何よりの証拠だった。

 

 

政宗は昔、天下を目前とした豊臣秀吉を倒す為に秀吉が北条氏政が城主を務める小田原城を攻めている所に乱入する予定だったが、それを阻んだのが秀吉の左腕と呼ばれ後の西軍の大将を務める石田三成だった。

 

 

石田三成率いる豊臣軍に伊達軍はなす術もなくただ倒されていくだけだった。

 

 

三成の攻撃による気絶から目を覚めると政宗の目の前には正に地獄絵図が広がっていた。

 

 

赤で濡れた自身の軍の旗。

幾つにも折れたり欠けたりして地面に突き刺さった刀。

血だらけになり倒れる自分の右目。

鎧を血に染め倒れた部下達。

 

 

泣いた。

声を上げ、無くなった隻眼から涙を流し、声が枯れるまで政宗は泣いた。

 

 

 

「俺に助けてくれと叫ぶ声もあった。俺の身代わりになった奴もいた。俺は………そいつらを守れなかった。」

 

 

「……………だったら。」

 

 

「An?」

 

 

「俺は強くなって強くなって強くなって強くなって!!政宗や家康、箒、千冬姉、皆を守れるくらい強くなる!!!」

 

 

決意を決めた一夏のその顔に政宗は見覚えがあった。

 

 

ーーー真田…………

 

 

かつての大将になりきれず死んだ様な顔から成長し真の大将になった宿敵の顔に一夏は似ていた。

そう思うと自然と笑みが溢れた。

 

 

「俺や皆を守る、か。Haーha!おもしれぇこと言いやがるな!だったらなぁ…………」

 

 

言い終わると同時に政宗の体に蒼い雷が迸りだし、構えた刀の先に人大の雷の球が形成された。

 

 

「俺を越えてみな!!HELL DRAGON!!」

 

 

放たれた雷の球は光速の速さで進み一夏はそれを避けることが出来ず直撃してしまった。

 

 

 

 

 

「一夏!!」

 

 

「ふん………機体に救われたな馬鹿者め。」

 

 

 

 

 

「Ha!まだ終わりじゃねぇよな一夏!?やっと“目覚めた”んだからな!」

 

 

煙が舞う中その煙の中心に向かい声をあげる政宗。

そして徐々に煙は晴れそこにはさっきとは全く別物の装甲を付けた一夏がいた。

 

 

「ああ、待たせたな政宗。」

 

 

白式は工業的な凹凸は消え、滑らかな曲線とシャープなラインが特徴的な中世の騎士を思わせる形へと変化していた。

そして近接ブレードも姿を変え、日本刀の様な刀身へとなっていた。

 

 

ーーー近接ブレード・雪片弍型

 

 

雪片、かつて世界最強へと立った自分の姉、織斑千冬が振るっていた唯一の武器。

 

 

「俺は世界で最高の姉さんを持ったよ。」

 

 

フッと笑うとそのまま倒れるようにと体を傾け一気に加速。

政宗に向かって行った。

 

 

「らぁ!!」

 

 

「ッ!」

 

 

シンプルに真横に振るう。

だがその速さに政宗は驚き防ぐが今までより比較にならない威力で少し体勢が崩れる。

 

 

「〜♪重い一撃を放てるようになったじゃねぇか。」

 

 

「ああ、これでやっと、この機体は俺専用になった。」

 

 

「成る程な。」

 

 

鍔迫り合いから一夏を弾き後ろへ飛ぶ政宗。

 

 

「なら、俺もほんの少し本気を出そうか…………」

 

 

一旦手に持った刀を収め、腕を交差させてそれぞれの手に三振りの刀を指の間に挟む。

 

 

「ま、政宗、何するつもりだ?」

 

 

一夏の問いに答えることはなく、代わりにニヒルな笑みを浮かべる。

 

 

そして、この世界に入って初めて独眼竜の六の爪が放たれた。

 

 

「Let’s danci’n!Yeah!!」

 

 

六振りの刀が抜刀されると同時に辺りに雷が迸り爆風を生んだ。

 

 

「う、嘘だろ………?」

 

 

「Yaーha!どうした一夏!?こんぐらいで怖気付いちゃ困るぜ!皆を守るんだろ!?」

 

 

「ッ!………ああ、そうだな!」

 

 

お互い無言で笑い合いながら静かにそれぞれの得物を構える。

数秒の静寂が流れ二人の動きは静から動へと変わる。

 

 

「Let’s party!Hear we go!!」

 

 

「うぉぉおおお!!!」

 

 

お互い防御をせずただ攻撃をするだけの剣劇。

だが第三者から見たそれは荒々しくも美しく、騒がしくも綺麗な音色を醸し出していた。

 

 

時に離れながら接近する時に切り結び辺りに火花を散らしながらISで移動する。

両者互角かと思われたが徐々に一夏の方が劣勢になっていった。

 

 

「くっ!」

 

 

「Break!Jet-X!!」

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

両手を交差するように上から振り下ろし迫る六爪に雪片でなんとか防ぐがそのまま押し切られ地面に叩きつけられた。

 

 

(クソッ!明らかに手数が違う!それに刀を指に挟んで振り回すなんてどんな握力してんだよあいつ!?)

 

 

圧倒的は手数と圧倒的な威力で相手の反撃を許さず龍の如く容赦なく相手を叩き潰す最強の剣技それが六爪流。

その猛攻を受け、一夏は慄いていた。

 

 

(シールドエネルギーは………もうないな。)

 

 

白式のシールドエネルギーはとっくに二桁を切っていた。

 

 

ーーーでも俺は容易くやられねぇぜ政宗。

 

 

「政宗!そろそろ決着をつけようぜ!」

 

 

「Ah?もう幕切れか?それとも何かideaでもあんのか?」

 

 

「さあな?で、どうする?」

 

 

「Ok!売られた喧嘩は買う主義だ!乗ってやるぜ!」

 

 

気分が興奮していた為か一夏の案にあっさりと乗り、六爪を収めると地面に下りて来た。

 

 

「行くぜ政宗。」

 

 

「Show downだ一夏。」

 

 

お互い相手の目を見る。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

お互い足を一歩前に出す。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

お互い己の武器を構える。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

お互い無言で微笑み合う。

 

 

「…………!」

 

 

「…………!」

 

 

一方はエネルギーを展開したブレードを振りかざし、一方は雷を纏った一振りの刀を振りかざす。

 

 

刹那、二人の間に光が生じたと思うと次は大気を揺るがす程の衝撃波が生まれアリーナ全体が振動した。

 

 

土煙が止むとお互い背を向け合いながら静かに立つ二人の姿が見えた。

 

 

「Nice faightだったぜ一夏。」

 

 

「ああ、自分でも驚いてる。でも…………」

 

 

そこで白式が強制的に解除され一夏は前のめりに地面へと倒れる。

 

 

「…………悔しい………な………」

 

 

そこで一夏は意識を失い目を閉じた。

 

 

 

『試合終了。勝者、伊達政宗。』

 

 

試合終了のブザーと共にアリーナにいた生徒は最大最高の歓声を二人に浴びせた。

政宗は蒼龍を解除すると一夏を持ち上げ肩に乗せそのままピットへ向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥州筆頭 伊達政宗。その決意、最後まで見届ける事を誓う。」

 

 

政宗は誰も聞こえないような小さな声でそう呟いた。


 
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