No.506029

落日を討て――最後の外史―― 真・恋姫†無双二次創作 20 後篇

ありむらさん

良い感じのところで、あさきゆめみしを聴きながら読んでください笑

2012-11-09 13:14:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7121   閲覧ユーザー数:5464

【20】

 

 3

 

 にゃあと猫が鳴いた。

「おお、おまえは風の言っていることが分かるのですか。しゅんらん」

 そう言うと、縞猫は途端にそっぽを向いて首を傾げる。

「こりゃこりゃ、気まぐれにもほどがあるのですよ、しゅんらん」

 昼下がり、陳留の街の一角で、風は野良猫の集まりを見つけた。朝方には孫家との会談があり、いささか疲れていた。少しのんびりしてみようと、猫の会合に顔を出してみた次第である。

 猫には適当に名前を付けてみた。

 縞柄がしゅんらん。

 ぶち柄がけいふぁ。

 まだらもようが、りんちゃん。

 白いのがかりん。

 黒いのが――おにいさん。

「ですから、お兄さんは風に隠し事をしているのですよ、おにいさん」

 黒猫がまるい目でこちらを見上げている。

「こちらのおにいさんは分かり易いのです。その目は……『とっとと喰いもんよこさんかい、わりゃ』という目なのです」

 風は干し魚取り出すと、指先で裂いて猫たちに与える。

 のんびりしていた猫たちは、途端、狂ったように魚に飛びついた。

「ふふふ。いじきたないのです、けいふぁ。おお、かりんは意外と気弱なのです。しゅんらんは、やっぱりあつかましいのですー」

 そんなことを言いながら、猫たちに恐る恐る手を伸ばすが――。

「おおっ、りんちゃんが威嚇するのです。こっちのりんりゃんも根性きついのですー」

 けれども、代わりに黒猫がすり寄って来た。

「こっちのおにいさんは……お兄さんなのです」

 黒い猫の頬は温かかった。

「なあーご」

 辺りに誰もいないのを確かめて、鳴きまねをしてみる。

 すると黒猫から、穏やかな返事が「なぁお」と返ってきた。

「おお、『まだ魚が欲しいんかい、わりゃ』と言ってみたのですが、どうやらつうじたようなのですー」

 黒猫は屈んだ風の膝を前足でつんつんと叩いて、魚を催促する。

「にゃぁあーご」

 再び鳴きまねをしながら、黒猫をいじくりまわすと、黒猫は観念したようにごろりと横になった。

「またまた通じたのです。『魚が欲しくばおとなしゅうせんかい、わりゃ』と。言ってみるものなのですねー」

 仰向けになり、こちらに腹を向ける黒猫の前に、魚をぷらぷらさせてやると、黒猫はそれを捕まえようと、前足をひょこひょこさせる。

「おお、おにいさんの黒豹さんが丸見えなのですよ。はじらいもなく股を開くとは、おにいさんは他の雌猫たちをさそっているのですかねー」

 

「馬鹿なこと言わないでくれよ」

 

 突然の声に胸が跳ねたのは内緒だ。

「それから、猫に不穏な名前を付けるのも禁止」

「気配を決して風に近づくとは、お兄さん、風を襲うおつもりでー?」

「……襲わんよ」

 苦笑しながら、虚は屈むとまだら模様の猫を途端にてなづけた。

「おお、行きずりの男に身体を許すとは、りんちゃんはとんだめすぶたなのです」

「これは戯志才さんなのか」

 禁止などと言いながら、虚は虚で楽しそうだった。

「あんなことの後だ。風、街に出るなら護衛くらいつけてくれ」

「では、お兄さんは風を探しに来てくれたのですね」

 猫から視線を上げて、虚を見る。

 虚はこちらの視線に気づきながらも、まだ猫を見ていた。

「そうだよ」

「ふふふ。見つかってしまったのですね、風は。お兄さんは雌猫の匂いに敏感なのです」

「嫌な言い方だな」

「敏感なのは、お兄さんの黒豹さんなのです?」

「こりゃ」

 つんと、指先で額を突かれた。

「あう。お兄さんの指先でなす術もなく躾けられてしまったのです」

「だから言い方をだな」

 困ったように笑う虚の肩に、まだら猫がぴょんと飛び乗った。

 風はそれをついと捕まえると、白猫にべしゃと押し付けた。

「これは風のお兄さんなのです。めすぶたのりんちゃんは、かりんとくんずほぐれつしていればいいのです」

 白猫は華琳な訳か、と虚はさらに笑った。

 風は黒猫を抱えて、話を切り出す。

「朝廷に行ってしまうのですね、お兄さん」

「ああ。明日孫尚香の所在をあちらさんに知らせたら。彼女らの出立の後に出るよ」

「風は。――風のことは、連れて行ってくれないのですね」

「風には陳留の留守を任せたい」

 虚の視線は真剣だった。

「ずるい、言い方なのです」

「――だな」

「どうして朝廷がお兄さんを呼び出したのか、お分かりですか」

 そんなことを訊く。

 虚に分からぬわけがないのに。

「朝廷と『別の天』を許すわけにはいかないのだろう。俺を呼び出し、天ではないと認めさせるか、或いは天を騙った不届き者として処刑するつもりか」

「お兄さん」

 そっと手を伸ばして、虚の着物の袖をつまんだ。

「昼休みが終わるぜ、風」

 虚は風の手をそっと振り解いた。

 彼は――。

 この男は何も言ってはくれないのだろうか。

 虚はすっと立ち上がると、こちらにも立つよう促す。

「軍師程昱が仕事サボったんじゃ、色々回らなくなる。桂花も病み上がりだ。さあ、城に帰ろう」

 虚は淡く笑んでいる。

 他に、何か云うことはないのか。

 処刑されるかもしれないと分かっていて、それでも行くというのなら。

 もう明日、行ってしまうというのなら。

 何か、何か。

 ――風に、何か言ってはくれないのですか。お兄さん。

 けれども、そんな心の声を知ってか知らずか、虚はするりとこちらに背を向けて歩き出してしまった。

 風の腕の中で、黒猫の『おにいさん』が情けない声を上げた。

 何も言ってくれないのなら。

 もう、言葉はいらないと思った。

 

 

 4

 

「出立の前日が風呂の日とは、これも何かの巡り合わせか」

 湯船に身を沈めて、ため息交じりに虚は言った。

 夜はすっかり更け、雲一つない濃紺の空には、白い月が上がっていた。

 薄らと明かりの灯った湯殿には、淡く湯気が充満していた。  

 書類は纏め終えた。

 なるべく詳細に、孫尚香の軟禁環境を書き記したつもりである。自ら作った組織ながら、改めて御庭衆の優秀さを思い知った。

「まあ風呂は、華琳が入りたかっただけだろうなあ」

 そう言いながら、虚は肩を竦めてひとり笑う。

 風呂場での独り言は、結構好きだった。

 実際言葉にすると、考えは良く纏まるものである。華琳がわざわざ用意した男湯を使用するのは、虚だけであるから、ひとりごとも言い放題だった。

 万徳などには入っても良いと言ってあるのだが、あれは遠慮ばかりして決して入ろうとはしなかった。お硬い男なのである。

「時代が、動く――か」

 明日は出立である。

 洛陽まではさして掛かるまい。

 そしておそらく、時代は反董卓へと流れて行く。

 否、恐らくもう流れ始めているかもしれぬ。

 董卓は既に何進に呼ばれ朝廷入りしたと聞く。とすれば、そろそろ何進と十常侍の対立が激化し、何進が暗殺されてもおかしくない。

「まあ、殺されるかもしれんのは俺もだがな」 

 すっと、心が冷徹になる。

 軍師の心情になる。

 何進の方には――話は伝えてある。向こうが承諾するか否かは、五分と五分だ。

 こちらが到着するまで生きていてくれればいいのだが、と虚は空を見上げた。

 が、すぐに視線を下ろす。

 人の気配がした。

 

 知っている、気配だった。

 

 女が。

 少女がひとり、湯殿に歩み入ってくる。

 恥じらうように、白い布で華奢な裸身を際どく隠し、けれども真っ直ぐな足取りでこちらに向かってくる。

「風――何してる」

 虚の問いに、風は答えない。

 ただ、白い足取りでこちらに向かい、そろりと湯船につかる。

「風、待て。どういうつもりだ」

 返答はない。

 風がさらに歩を進め、布を手放す。

 少女の裸身が完全に露わになる。

 細い鎖骨が。

 ささやかな双丘が。桜色の先端が。

 白い腰が、腿が。

 全てが虚の眼前にさらけ出される。

 それだけは――許されない。

 風が何をしようとしているのか。

 死地に赴こうとする己を相手に、どのような行為に及ぼうとしているのか。

 それが分からぬ虚ではない。

 だが、それだけはだめなのだ。

「――お兄さん」 

 そして、その時が来たのだと、そんなことを思ったりもした。

「よせ、風。突然何なんだ」

「お兄さんは、風がお嫌いですか。風には魅力がありませんか。身体の幼い女の子はお好きでないですか」

「そんなことは――」

 風はそっと虚の手を取り、それを己の乳房にあてがった。

 吸い付くような柔肌は、熱く上気していた。

「よせっ」

 慌てて手を引く。

「お兄さんは、どうして何も言ってくれないのですか」

 零すように言った。

「必ず帰ると、言ってはくれないのですか」

「――」

「お別れの言葉も、言ってくれないのですか」

「――」

「お兄さんは分かっているのですか。朝廷に行くと云うことがどれだけの重みをもっているのか。殺されてしまうかもしれないのです。幾らお兄さんでも、二十万の禁軍をひとりで相手にすることは出来ないのです」

「分かっている」

「冗談でなく、死んでしまうかもしれないと分かっているのですか」

 賭けになる。

 五分と五分の賭けになる。賽は投げている。

「分かっていて、風に何も云うことはないのですか」

 考えぬようにしていた。

 風に嘘はつけぬ。ゆえに、必ず帰るとは言えぬ。

 風に別れは言えぬ。自分のものにするといった以上、主としての地位を放棄することは出来ぬ。

 策は打ってある。考えられる以上、最善の一手である。

 しかし、それも十割成功するとは言えぬ。

 だから――何も言えぬ。

 八方ふさがりだった。

 だから考えぬようにしていた。

「俺を、信じてくれ」 

 白々しい台詞だった。

「信じているのです」

 風は身を投げ出すようにして、虚の胸に飛び込んだ。

 女の体温が触れる。

 甘く汗っぽい体臭が、虚の鼻孔を撫でた。

「落ち着け、きみらしくない」

「風は、風なのです」 

「だから――」

「信じているのです。風はお兄さんを信じているのです。だから、もう言葉はいらないのです。代わりに」

 お兄さんが欲しいのです、と風は言った。

「嫌ですか。お兄さんは、風を抱きたくはないですか」

「そんなことは」

 ない。

 ないのだ。

 だが、出来ぬ。

 風が清く、美しく、魅力的に見えるほど、虚は彼女を抱くことが出来なくなる。

 まざまざと見せつけられてしまうからだ。

 己が薄汚いものだと、知らしめられてしまうからだ。

 己の醜悪な部分が浮き彫りにされてしまうからだ。

「俺は、帰、る。だから」

 しどろもどろになる。こんな自分は久し振りだった。

「風も」

 風も、女なのですよ。

 彼女はそう言った。

「信じていても、欲しいと思ってしまうのが女なのです」

「……出来ない」

 声が震えはじめる。

 押し込めていた。

 これまでずっと。

 けれども、風に迫られるほど、それが涌き上がってくる。

「――お兄さん」

「風」

 虚は短く彼女を呼んだ。

「きみは、汚物にまみれた両手で、穢れない赤ん坊に触れることが出来るか」

「……お兄さん?」

「きみは魅力的だ。美しい。だが、俺がきみを抱くということはそういうことなんだ」

 ああ、言う時が来たのだ。

 こういうひと時は、得てしてまるで心の準備が出来ていない時に、やってくる。

「俺は薄汚い人でなしなんだ」

「お兄さん」

 風が手を伸ばし、虚の頬に触れようとする。虚はそれを優しく制した。

 彼女の主でいることは出来る。

 彼女を守ることも出来る。

 けれども彼女を抱くことだけは出来ない。

「俺は」

 俺は。

 悪鬼。人でなしの化生である。

「俺は」

 その所以は。

 その理由は。

 

「――親殺しなんだ」

 

 風の表情が固まる。

「俺は向こうの世界で選ばなければならなかった。全てを堪え耐え忍び、負け犬として人間に留まるか。復讐の悪鬼と化して、両親を殺すのか」

「……復讐、なのですか」

「俺の親は家柄ばかり気にする馬鹿な親だった。名家北郷家の御曹司として俺を狂愛していた。その延長線上のつもりだったんだろうな。俺の親は、俺の友達を嬲り殺しにした」

 風が息を呑んだ。

「俺の家のためには邪魔だったらしい。俺のためを思えばこそなのだと、親は言った。だが――俺は許せなかった」

 ――俺は。

「俺は、親と親の狗ども七人を殺して、この世界に来た。どうしても、どうしても許せなかったッ。両親は死の瞬間まで、俺に愛していると言っていた。だが、俺はそれでも許すことが出来なかった」

 殺したんだ。

 

「やつらは、『俺の目の前で』友達を嬲ったんだ……ッ!!」

 

 言ってしまった。

 儒教世界において親殺しなど禁忌中の禁忌である。

 侮蔑すべき悪行である。

 だからこそ。

 北郷一刀は、悪鬼なのだ。

 恨んだとはいえ、最後の瞬間まで愛の言葉を口にしていた親を殺したのだ。

 薄汚れている。

 ああ、本当に。

 美しい風を前にすると、思い知らされる。

 己の醜悪さを見せつけられるのは、恐ろしいことだ。苦しいことだ。逃げ出したいことだ。

 だが、それだけは許されぬ。

 だから北郷一刀は北郷一刀(にんげん)を捨て、虚(おに)となった。 

 残った一刀の残り滓は、真名の返礼にと配っている。形見分けのようなつもりだった。

「触れられない」

 虚は言った。

「俺は男として、女のきみに触れられない。抱けないんだ」

 風を。

「真っ白なきみを――汚したくない」

 瞬間、息が詰まった。

 唇を塞がれている。

 押し付けるだけの、不器用な口づけだった。

「お兄さんは、ひとりぽっちだったのですね」

「――」

「どれだけみんなを大切に思っても、いつも一歩退いているのは、そのせいだったのですね」

「――」

「深く入り込もうとしないのも、深く入り込ませようとしないのも、そういうことだったのですね」

 風は再び、唇を押し付けてきた。

 

「孤独は、人を殺します」

 

「俺は――」 

「風は、お兄さんを失いたくありません」

 初めだけなのです、と風は言った。

「恐いのは初めだけなのです。初めの風は白いから、きっとお兄さんは怖いと思うのです」

 だから。

 と風は続ける。

「真っ黒に、汚してください」

「――なに、を」

「真っ白な風を、黒いお兄さんの色に染めてください。外側も内側も、少しも余白がないようにしっかりと、お兄さんの色で彩ってください」

 そうしたら。

「何も、怖くはないのです。汚れるところが、白いところがなくなってしまえば、もう汚すことを恐れなくてもいいのです。風は、お兄さんと同じ色になりたいのです。――風は」

 

 お兄さんのものなのです。

 

 風は淡く、優しく笑んだ。

「風を抱いてください。お兄さんを下さい。風は、絶対にお兄さんをひとりにしないのです。お兄さん、風にお兄さんを刻み込んでください。そして、お兄さんも約束してください。絶対に――」

 絶対に。

 

 風をひとりにしないで、一刀さん。

 

 風が優しく、虚の目元を拭った。

 肩が震えていた。

 胸がつかえて、鼻の奥がつんとなった。

 しかし、縋ってはならない。

 だから、抱きしめようとしてしまったその手を、ぐっと押しとどめて、風を引き離そうとした。

 けれども、その直前。

 風が虚の頭を抱きかかえる。

 風の細腕からは信じられないほど力強い抱擁だった。

 もう――抗えぬ。

 情けなかった。

 鬼だ悪魔だ魔王だとうたわれている男は、たったひとりの少女にすら抗えぬ。

 けれども、あやすように虚の髪をすく彼女の指は、慈愛に満ちていて。

 虚は、溺れそうになる。

 空虚なはずの。

 空虚にしたはずの己の中に、風が染み入ってくる。

 矮小な悪鬼は虚勢と小細工の塊だ。

 本当は誰かに縋ってしまいたい、寂しがり屋の小僧だったのだ。

 だが、露わになったその本性を風は受け止めようとしてくれている。

 否、もしかしたら見抜かれていたのかもしれぬ。

「約束する」

 意図せず、言葉が口をついていた。

「きっときみのところに帰ってくる」

「――はい」

「どんな危機があっても。必ず乗り越えて、きみのもとへ戻るよ」

 風は清廉な雫をその眦から流していた。

 

「一刀さん――風は、あなたを、『北郷一刀』を、心からお慕いしています」

 

「誓う。俺は決して、きみをひとりにはしない。風は、程仲徳は――俺のものだ」 

 

 瞬間、風の表情がくしゃくしゃと歪み、そして湯殿に嗚咽が広がる。

 今度抱きしめるのは、虚の役目だった。

 虚の白い胸の中で、風は膨れ上がった感情を露わにし、大きな声で泣きじゃくっていた。

 

 ※

 

 翌朝、孫家の面々が出立したのち。

 華琳と虚は、万徳、涼伯を伴って陳留を後にした。

 見送りに来た風と、虚は特に言葉を交わさなかった。

 風も、虚も、共に何か言おうとはしなかった。

 ふたりの間には誓いがあった。

 それだけで、十分だった。

 

 

 《あとがき》

 

 

 ありむらです。

 

 まずは、ここまで読んでくださっている読者の皆様、コメントを下さったかた、支援をくださった方、お気に入りにしてくださっている方、メッセージをくださった方、えっとそれから……兎に角応援して下さっている皆様、本当にありがとうございます。

 

 皆様のお声が、ありむらの活力となっております。

 

 

 風さんの回でした。

 展開として唐突かなあと思いつつ、原作では突然朝駆けを仕掛けてくる風さんなので、風呂場突撃くらいはお手の物なのです。

 虚さんと風さんの間に何があったのかはご想像にお任せします。

 

 さて次回から洛陽篇。

 あの人やあの人がやっとこさ登場。

 ふう……赤い髪の大食い怪獣に餌付けする作業に戻るお……。

 

 ありむらでした。

 

 コメントなどどしどしください。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
52
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択