No.504225

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百二十二技 実際的で理想的

本郷 刃さん

第百二十二話です。
SAO内での結婚について、キリトとアスナが話しをします。

どうぞ・・・。

2012-11-04 09:41:28 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10301   閲覧ユーザー数:9650

 

 

 

 

 

 

第百二十二技 実際的で理想的

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

奴に逃げられたので、俺はすぐに宿へと引き返した。中に入る前に凶器に使われた短剣を回収しておいた。

 

部屋の前に着くとノックをして名前を名乗り、中へと入る。

 

「アナタ、なんて無茶な…こと、を……っ」

 

ワルイ、スグニオサマルカラ……(悪い、すぐに治まるから……)

 

俺の『怒気』を感じ取ったのかアスナが怯んだようだ。

 

俺は壁に頭を押しつけて深呼吸をし、心を落ち着ける。

 

ここに来る前にこうしておけばよかったと少し後悔。

 

「ふぅ……すまない…」

 

「う、ううん、大丈夫……それで、どうだった?」

 

俺は首を横に振って答えた。アスナは「そう…」とだけ言った。

 

シュミットを見てみると、恐怖のあまりか体を震えさせている。

 

目の前で友人があんな事になったのだ、当然だろう。

 

「やっぱり、あれがグリムロックなのか…?」

 

「そうなんじゃないのかしら…」

 

「ち、違う…。あれは、グリムロックじゃない……」

 

怯えながらも言葉にしたシュミットに俺はどういうことなのかを聞いた。

 

グリムロックはもっと身長が高く、

あの背丈にあのローブは『黄金林檎』のリーダーであるグリセルダのものである、と彼は言った。

 

シュミットは「あれはリーダーの幽霊だ」と呟いている。

 

「なんであれ、グリムロックは捜しださないといけないな。

 シュミットさん…、グリムロックがよく訪れる場所とかしらないか?」

 

「……それなら、あいつが気に入っていたNPCのレストランがある…。

 そのかわり、俺をDDAの本部まで送ってほしい…」

 

「わかった。ああ、そうだ……あと黄金林檎のメンバー全員の名前も教えてほしい。生存確認を行いたいからな」

 

彼は頷くと部屋に備え付けてある机の上にあった紙とペンを使い、

レストランの場所とメンバー達の名前を書いてくれた。

 

その後シュミットを聖竜連合の本部に送り届け、俺とアスナは教えられたレストランへと向かった。

 

 

 

その店はレストランとは言えず、酒場だった。

 

丁度良く前には宿屋があったので、俺達は二階にある一室を借りて張り込む事にした。

 

アスナがグリムロックの顔を知らないことを指摘したが、とりあえずは身長と体格で見極めることを伝えた。

 

そうして酒場から目を離さないようにしていると、アスナがいい香りのするオブジェクトを差し出した。

 

「いいのか?」

 

「うん。だけど耐久値がそろそろ切れるから、早く食べたほうがいいわよ」

 

それを聞いて俺は包み紙を剥がした。中身は大きなバゲットサンドだった。

 

俺は酒場に視線を向けたままそれを頬張っていく。感想はかなり美味い、その一言だ。

 

同時に俺は特有の温かみを感じとった。

 

「ごちそうさま、美味しかったよ。ありがとな」

 

「どういたしまして」

 

彼女は微笑を浮かべながら答え、それを見て確信した。

 

「……手作りだろ、今の」

 

「う、うん、そうだけど。どうして分かったの?」

 

「なんていうか…温かさがあったから、かな。

 偶にティアさんとカノンさんが俺達に作ってくれるんだけど、その温かさに似てたからだよ」

 

「そ、そうなんだ…///」

 

その会話で俺達の間には奇妙な沈黙が流れる。

 

しばらくそんな空気を味わうことになりながらも、俺はどこか心地良さを感じていた。

 

そしてアスナが再び声を掛けてきた。

 

「キリト君のいるギルドはレアアイテムのドロップってどうしてるの?」

 

「ギルド? 俺、ソロだけど…」

 

「あれ? でも、『黒衣衆』なんでしょ…?」

 

どうやらアスナは勘違いをしているらしい。

 

「く、くくく……(ぷるぷる)」

 

「な、なんで笑うのよ//////!?」

 

しっかりとしているようで意外と抜けている彼女に笑ってしまう。

 

アスナは顔を赤くして非難の目を向けている。

 

「いや、悪いな。どうも勘違いをしてるみたいで…」

 

「勘、違い…?」

 

「ああ。『黒衣衆』はギルドじゃない、俺達の総称だ」

 

「ということは……非公式ギルド?」

 

「うん」

 

「私の…勘違い?」

 

「そういうことだな」

 

「っ~~~~~/////////」

 

暗くても真っ赤になっているのがよく分かる。女の子らしい一面を見て、俺は笑みを浮かべる。

 

かといってこれ以上余計な事を言えば、攻撃されそうなので話を続けることにした。

 

「まぁ、黒衣衆でパーティを組む場合だと、必要そうな人に渡す、ってところだ。

 それ以外の場合だと自己申告をしたうえでドロップした奴のものだな。そっちは?」

 

「うちもドロップした人のもの……私、思うの。

 この世界で結婚すると、アイテムやコルが共通化されるでしょ?

 それって、今までは隠せてきたレアアイテムとかも隠せなくなるけど、

 その分結婚での重みがあって凄く良いと思うの。プラグマチックだけど、ロマンチックだとも思うの」

 

そう言ったアスナの表情は恋する女の子であった。

 

改めて、自分はこの娘に惚れているのだと理解できる。俺は微かな笑みを浮かべて言う。

 

「実際的で、だけど理想的、か……確かにそうだな」

 

酒場からは目を離さずに会話をしていたが、ここでシュミットから受け取ったメモを確認する事にした。

 

「アスナ、店の方を見ててくれ。少し確認をしておく……アスナ?」

 

「う、うん、まかせて///」

 

ぎこちない反応をする彼女に疑問を持ちながらも、メモをアイテムストレージから取り出し確認を行う。

 

黄金林檎のメンバー達の名前を見ていく内に、微かにだが違和感を覚えた。

 

それを突き止めるべく何度も目を通していき……それに気付いた。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

今回の話しは原作のシーンを使いました。

 

相変わらず本作のキリトは鋭いですね~w

 

ちなみにあと、三話ほどで「圏内事件編」が終わります。

 

アンケートへの参加も是非、お願いします。

 

では・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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