No.503270

おっさんPとアイドル(小鳥編その2)

tanakaさん

小鳥さん編、その2です。何気に一番距離が近い二人だったりしますよ。

2012-11-01 23:30:03 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:997   閲覧ユーザー数:930

 真面目で仕事の出来る大人。そんなイメージのあるプロデューサーさんですけど、実はちょっと子供っぽい所もあるんですよ?

 普段はなかなか見ることの出来ない一面ですけど、私は偶に見ることが出来たりします。

 ふふ……実はそれが私のちょっとした自慢でもあるんですよ? だって、それは私に気を許してるってことなんですから。

 

「おーい小鳥ー」

「何ですかプロデューサーさん。もしかしてコーヒーが欲しいんですか?」

 前回聞かせてもらった私にコーヒーを頼む理由。それを聞いてから、プロデューサーさんにコーヒーを淹れるのが楽しみだったりします。

 私の淹れるコーヒーのおかげで、コーヒーが飲めるようになった。私のコーヒーが美味しい。

 そんな風に言われてしまったら、誰だって楽しくなってしまいますよね?

「いや、コーヒーは今は要らない」

「そう……ですか」

 うぅ。私ったら露骨に悲しそうな態度を取ってる。

 子供っぽい反応だっていうのは分かっているけど、それを止めることが出来ない。ほんと、私ってダメな大人ですね。

「コーヒーはまた後でな……」

「あ……」

 私の頭を撫で撫でと撫でてくれる。他の子にするように優しく撫でてくれる。

 それだけでもう機嫌が直ってしまっている。どれだけ単純なのかしら私は。

「ところで小鳥の仕事は後どれくらい残ってるんだ?」

「そうですね……二十分もあれば終わるくらいかと」

「そうか。だったら仕事が終わったら、コレを飲まないか?」

 そう言って、冷蔵庫から缶を取り出す。プロデューサーさんが取り出した缶って……

「ビール、ですか」

「あぁ。事務所で一杯飲むのも悪くないだろ?」

 ニヤリと、まるで子供が悪戯する時のような笑みを浮かべる。

「怒られても知りませんよ?」

「そのために小鳥を誘ってるんだろ。一人で怒られるよりは二人で怒られた方がいいからな」

「まったくプロデューサーさんったら……」

 呆れたような態度を取りながら、心の中では微笑ましく思ってしまう。

 大人でありながら、心は何処までも子供であり続けている。そして、そんな顔を私に見せてくれている。

 それが堪らなく嬉しいって思ってしまいます。

「付き合ってくれるだろ?」

「……今回だけですからね」

「はは、ありがとうな小鳥」

『付き合ってくれるだろ?』プロデューサーさんの今の台詞にドキッとしたのは実は秘密です。

 一緒にお酒を飲みましょう。そんな意味だというのは理解しているのですが、それでも一瞬だけ違う意味に捉えてしまいました。

 男と女の付き合い。そんなことを妄想してしまって、ドキッとしてしまったのです。

 恥ずかしい。ですが、いつかは本当に妄想じゃなくて本当の意味でのお付き合いをしたい。そう思っていますよ?

「それじゃあ、プロデューサーさんのためにサクサクと仕事を終わらせちゃいますよ!」

「あぁ。その間に俺はツマミとかの用意をしておくな」

「お願いしますね」

 微笑ながら私は残りの仕事を片付けていきました。

 

 そして仕事が終わって――

「それじゃあ乾杯といくか」

「はい。何に乾杯しますか?」

「う~ん……大人による子供っぽい悪戯に、かな?」

「ふふっ♪ 怒られないといいですね」

「あぁ。乾杯」

「乾杯、です」

 カツンと二人の缶がぶつかる。そして一気にグイッとビールを飲む。

「んくっ、ん……こく。ぷはぁ……っ♪」

「はぁ……やっぱり仕事終わりのビールは最高だな」

「ええ。これが大人の特権って奴なんでしょうね」

「そうだな」

 こくこく、とビールを飲みながらおつまみを食べる。

 こうして事務所でお酒を飲むのも案外悪くないかもしれませんね。バレた時が色々と怖いですけど。

「やっぱり酒を飲むなら小鳥と飲むのが一番だな」

「え――っ!?」

 まさかの言葉に驚いてしまう。わ、私と飲むお酒が一番ってほ、本当なのでしょうか!?

「付き合いが長いせいか、小鳥と飲んでいる時が一番落ち着くよ」

「そ、そうですか……」

 私は今の言葉のせいで、落ち着かなくなってしまいました。

 無自覚で人をドキドキとさせてしまうプロデューサーさん。この人は一体、どれだけの無自覚を周りに振りまいているのでしょうか?

 私もそうですが、他の子達も可哀想ですよね。

 ですが、私だって負けるつもりはありません。あずささんの言葉を借りるのなら、プロデューサーさんが私の『運命の人』なんですから。

「どうしたんだ小鳥」

「……なんでもありませんよ♪」

 恥ずかしさを誤魔化すようにビールをクイッと飲み干す。

 まだまだ飲み会は始まったばかり。プロデューサーさんとの二人っきりの時間。それをジックリと楽しみましょうか♪

 私だけに見せてくれているであろう、プロデューサーさんの顔を見ながら……

 

 ――と、そこだけで終われば素敵なお話になるはずだったんですが、シッカリとオチはついてしまいました。

 テンションが上がってしまい、バカみたいに飲み続けた結果。二人とも事務所で寝てしまい、それを律子さんに見つかってしまったんです。

 勿論、後片付けもしていないので、お酒を飲んだこともバレてプロデューサーさんと二人で、こっ酷く怒られてしまいました。

 ですが……ふふっ♪ プロデューサーさんと一緒にこういう思い出を作るのもいいと思いませんか?

 


 
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