No.496953

IS 飛翔する白き翼 第2話

更新遅くてすみません!!今回はヒイロvs千冬もあります!!

2012-10-16 22:11:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6689   閲覧ユーザー数:6443

第2話

 

車内にて

 

行先まで時間がかかるため事情聴取は車の中で千冬とヒイロの二人きりで行われたことになった。ただし、音声データは本部に送られる。

 

「・・・まず、情報を開示するには条件がある。それを認めなければなら何も出す気はない」

 

「条件だと?」

 

「そうだ。まず、一つ目に情報はこちらが選んだものだけにしてもらう。そして、二つ目だがガンダムについての技術協力はしない・・・三つ目に俺とガンダムには手を出さないことだ・・・」

 

「・・・・・わかった。交渉してみよう」

 

(まずいな・・・流れは今コイツがにぎっている・・・・)

 

そう思いながらも千冬は上層部に携帯で連絡を取った。20分ぐらいすると話が終わりになってきたようだった。

 

「・・・・・・・はい、私は認めたほうがいいかと・・・・・・わかりました。・・・・・・では、そのようにします」

 

そう言って千冬は携帯を閉じた。

 

「上からもその条件を飲むということだ」

 

「・・・了解した」

 

そう言って自分の世界について話し出した。しかし、ゼロシステムや自分が工作員だった事、などは伏せて・・・・

 

「・・・・・・これが全てだ」

 

ヒイロの話を聞き千冬は言葉を失った。なにせ、MSやMD、コロニーなどこの世界ではありないものが存在している別の世界があるという事なのだから、到底信じられるものではない・・・・だが、ヒイロの言葉には信用できるほどの説得力があった。

 

(MSやコロニーなどは私たちの世界より進んでいるな・・・・だが、それよりもコイツのほうが気になる・・・言動といい、この冷静さといい、一夏の話もそうだが、只者ではないな・・・まるで訓練された特殊部隊員のようだ…)

 

「という事はお前は別の世界から来たという事なのか?」

 

「そうなるな・・・だが、俺もなぜここに来たのかはわからない。さっき言ったように光に包まれたらいつのまにかあそこにいたんだ・・・・・次はこの世界について知りたい」

 

「そうだな・・・では・・・・・」

 

そして、千冬も自分の世界について話し出した。ヒイロは千冬の言葉を聞いても全然驚きを表情に表さなかった。

 

「これで全部だな・・・何か質問があるか?」

 

「いや、大体理解した・・・」

 

(俺たちの世界とはちがい平和なようだ・・・・だが、このまま平和とは思えん・・・・)

 

自分の世界の戦争を思い出し、ヒイロはそんな風に考えた。すると、目的地についたのか大きな校門のなかに入っていった。

 

 

公立IS学園・・・ISの操縦者育成を目的とした教育機関である。今は2週間後の入学式や新学年の準備の為、生徒は居らず教師や学園関係者などが準備にいそしんでいる。特別車に乗せられたヒイロはISの解析の為、このIS学園に連れてこられたのだった。

 

地下2階特殊実験室

 

千冬と共にヒイロがこの部屋に入ると、顔にしては大きいメガネをかけた緑髪の山田 麻耶が巨大なモニター前の椅子から勢いよく立ち上がった。部屋内にはほかにも女と体格のいい男が何人かいた。

 

「織斑先生!弟さんは大丈夫でしたか!?」

 

「大丈夫だ。コイツが助けてくれたからな・・・」

 

そういって隣にいるヒイロに視線を向ける。

 

「では、そちらが先ほど連絡のあった・・・」

 

そう言って真耶はヒイロに好奇心の目を向けた。ヒイロはそれに気づいたがあえて無視していつでも脱出できるように部屋を観察している。

 

「そうだ。山田君、上はどうなっている?」

 

「はい!織斑先生からの連絡ですでにテレビ会議が開始されており、ここのデータはリアルタイムであちらに流れるようになっています。急ぎその不明ISについて調べろとのことです。あと、これで指示を出すと」

 

そう言って千冬にヘッドフォンを渡した。

 

「そうか・・・では、ヒイロそこの機器にISをセットしろ」

 

ヒイロは無言でその機器に近づくとペンダントとなった待機状態のガンダムを置き、真耶と席をかわった。そして、少しキーボードを打つと途端に画面にはパスワード入力のアイコンが大量にあらわれる。そのセキュリティーの高さに傍からみていた真耶は唖然とした。

 

「なんなんですか!このセキュリティーの高さは!?」

 

するとヒイロはとてつもない速さでキーボードを打ち出した。それと同時に、アイコンも消えていく。そして、5分経つ頃にはすべて解除され、画面にはウイングガンダムの情報が表示された。

 

「これは・・・・」

 

ウイングガンダムのスペックが表示されるとその場が静寂に包まれた。そして、その静寂は真耶の言葉で破られた。

 

「そんな・・・これはもうISじゃありません!!シールドバリアーが存在しませんし、シールドエネルギーとは別に永久機関のジェネレーターが搭載されていて武器などのエネルギーはここから供給されています。ですから、絶対防御が発動しない限りシールドエネルギーが減ることはありません・・・だけど、装甲に使われているガンダニュウム合金という物もかなりの防御性能を持ってます。なのに、機動性は現行IS最速・・・このスペックだと第3世代以上・・・しかも、水中や宇宙空間でも稼働可能・・・・これじゃあ第4世代です!!」

 

真耶はそれからも続けた・・・

 

「そして、何よりまだ開発されていないビーム兵器を標準装備されています!!特にこのバスターライフルは1撃でIS1個小隊を消滅可能・・・・ビームサーベルは水中でも一切威力が減衰しないほどの高出力・・・・ほかの武器も同様にISとしては異常すぎます・・・・・」

 

だが、ヒイロは表示されたデータはスペックだけで、それ以外はコード解除時に並行して隠ぺい並びにトラップをしかけた。

 

「これが出せる全てだ。あとは、無理に解析しようものならトラップが発動するようにしてある・・・・」

 

そう言ってヒイロは席を立ち、ペンダントを手に取った。

 

「まったく、これはISとはいえないな・・・」

 

(これをみれば半信半疑だった委員会の者どももこれでは信じるしかないだろうな・・・)

 

委員会もガンダムの性能には驚愕したのだろうヒイロとウイングの処遇を決めるのにその日では終わらず、ヒイロは警備室を借りて監視カメラのある中で寝ることになった。そして、ヒイロは敷かれた布団の上に横になるとあの光に包まれた時を考えていた。

 

(・・・・しかし、なぜ俺のISがあの時一緒にあったゼロではなくウイングなのか・・・・。それに、あの光の中俺は確かに声をきいた・・・『守・・・・って、・・・この・・・・世界を・・・・・』と・・・・あの言葉は一体どういう意味なのか・・・・)

 

答えが見つからないままヒイロは眠りについた。

 

 

 

 

IS委員会特別会議

 

緊急会議の為、各国の代表とはテレビ会議という形になっておりIS学園では会議室に理事長とその夫、千冬を筆頭とする教師陣などの学園関係者が勢ぞろいしていた。

 

「ウイングは我がアメリカの所属にするべきだ!!」

 

「いや、我々ドイツにこそ!」

 

「私たちイタリアだ!!」

 

何処の国もオーバーテクノロジーであるウイングガンダムを欲している為、議論は全く進まなかった。しかし、理事長の夫であり、事実上の運営者である轡木 十蔵の言葉により議論に終わりが見えてきた。

 

「・・・このままでは終わりませんな・・・では、ここで提案ですが・・・IS学園に入学させるというのはどうでしょうか?どうせあなた達にとってはユイ君のことは考えていらっしゃらないようですからな・・・・」

 

その事に各国の代表はなにも言い返せなかった。

 

「・・・異論はないようですな。では、これでヒイロ・ユイ君は我がIS学園に入学させるということで終わりですな・・・」

 

十蔵の言葉により、ヒイロ・ユイはIS学園に入学することに決まった。

そして、それ十蔵は妻である表向きの理事長に笑みを浮かべた。理事長も笑みを返すと、すぐに千冬のほうに向きなおった。

 

「決まりましたね・・・さて、ヒイロ・ユイ君には明日編入試験を受けてもらいましょう。そうですね・・・模擬戦の対戦相手は・・・・」

 

「それは私にやらせていただけませんか!」

 

理事長の言葉に千冬が誰よりも早く志願した。一夏から聞いた戦闘の様子、ウイングガンダムのデータを見てから千冬のなかでヒイロと戦ってみたいという気持ちが生まれていたのだ。

 

「・・・・・そうですね。あなたになら任せても良いですね・・・わかりました・・・許可しましょう」

 

それにより、ヒイロ対千冬の戦闘が翌日行われることが決まった。

 

 

翌日 

 

朝食後、ヒイロは真耶から今後の処遇と今日の日程を聞いた。

 

「ユイ君はこれからここIS学園に入学してもらい、ここの生徒となることが決められました。ウイングガンダムは日本倉持技研で奇跡的に開発された試験機という扱いで、あなたはそのテストパイロットという事になります。そして、今日はこの後、その為の編入試験を受けてもらいます。試験の内容は社会科を除くペーパー試験と教師との模擬戦です。良いですか?」

 

「・・・構わない」

 

ヒイロがそれを承諾すると、会議室に案内され、用意されたテストを受けた。教科の内容はヒイロの世界とはあまり大差なかったので3時間を予定されていたが、1時間で終了した。

 

「・・・・では、1時半より模擬戦になります。それまでは、ここで自由にしててください。なにか、必要なものはありますか?」

 

「ノートパソコンを貸してもらいたい。この世界についてまだ知らないこともあるからな・・・」

 

「わかりました。お弁当と共に用意してみます」

 

そういうと真耶はヒイロから受け取ったテストを持って会議室からでた。

 

 

 

 

職員室

 

「すごいですね・・・満点ですよ」

 

「そちらもですか・・・私の所もそうです」

 

ヒイロのテストを採点した教師からは驚きの声が上がっていた。

 

「そういえば、織斑先生は?今日はユイ君との模擬戦では・・・山田先生、なにか知りませんか?」

 

「織斑先生でしたら、アリーナでISを使った練習を朝からしてるみたいですね。かなりユイ君との試合を楽しみにしてましたから・・・」

 

そう言って真耶は千冬の席に目を向けた。

 

会議室

 

ヒイロは提供されたパソコンに仕掛けがないことを確かめると、ISについての事を調べていた。

 

「織斑 千冬が言っていたことに嘘はないようだな・・・・それにしても、このISを開発した篠ノ乃 束は一体・・・」

 

ISの基本的なことを調べ終わると、今度はできるかぎりの各国の軍事力をハッキングにより調べだした。

 

(俺の世界に比べれば軍事、科学力は低いな・・・だが、ISについてはMSと同レベル…)

 

そんな時、ドアがノックされ真耶が入ってきた。

 

「ユイ君、模擬試験の準備ができました。着いてきてもらえますか?」

 

「わかった」

 

ヒイロはハッキングの証拠を消すと真耶について行った。

 

 

第1アリーナ

 

ピットに案内されたヒイロはそこで真耶に試験の内容を説明された。

 

「試験の内容は相手のシールドエネルギーをゼロにすれば終了です。ただ、ユイ君のISは特殊ですので武器にリミッターをつけてもらいます。特にバスターライフルにはリミッターをつけた状態で3発までとします。よろしいですか?」

 

「・・・・問題ない。・・・起動」

 

そう言うとヒイロはウイングを展開した。

 

「では、そこのカタパルトから発進してください」

 

ヒイロは無言でうなずくとカタパルトからステージに飛翔した。

 

 

 

ステージ

 

ピットから発進したウイングを待っていたのは打鉄を装備した千冬だった。

 

「待っていたぞ、ヒイロ」

 

「織斑 千冬・・・・」

 

千冬の装備しているISは、武士をイメージに防御力を重視して開発された純国産第二世代型IS『打鉄』。基本武器は刀型ブレード一つだけだが、防御力の高さ、安定した性能、コントロールのしやすさから他のISにも引けを取らない機体である。そのデータは先ほど日本政府へのハッキングの際に習得済みなのでヒイロの頭には入っている。そして、千冬の事も調べているときにたまたま見つけていた。

 

ヒイロは千冬に促され、ウイングを正面に着地させた。

 

「試験については山田先生から聞いているな?」

 

「ああ・・・」

 

その言葉に満足したようにうなずくと、千冬は腰に下げられていた刀を抜いて、正面に構える。そこに真耶によるアナウンスが入る。

 

「これより、ヒイロ・ユイ君対織斑 千冬先生による模擬戦を開始します。両者ともによろしいですか?」

 

「こちらはいつでも構わん」

 

「こちらもだ・・・」

 

千冬とヒイロがそう返すと同時に、ISのディスプレイに表示された開始予告が赤から点滅する黄色になった。

 

「では・・・・・・・開始してください!!!」

 

真耶のその言葉と同時に表示も緑に変わる。最初に動いたのはヒイロだった。

 

「ターゲット・・・ロックオン・・・」

 

バスターライフルを構え、放ったのだ。IS半機分もある山吹のビームが打鉄を襲う。

 

「ふんっ!その程度!!」

 

だが、千冬はそれを右に必要最低限のステップで避けると、刀を右下に構えヒイロに迫った。ヒイロはライフルをリアアーマーに直すと、左サイドアーマーからビームサーベルを取り出した。

 

「格闘戦で来るというのか・・・面白い!!」

 

「・・・・・」

 

ヒイロは千冬の剣撃をサーベルで受け止める。それから続けてのすさまじい速さで繰り出される千冬の連撃をヒイロはすべて受け止めていた。

 

(なんという反射神経だ!?私の攻撃をすべて受け止めるとは…)

 

千冬がそう思っていると突如ヒイロが受け止めるのを辞め、ブースター使って宙返りをして、千冬の後ろに回った。

 

「何!?」

 

ヒイロが行ったのは戦友であるトロワ・バートンが使っていた方法だ。ヒイロは着地すると即座にサーベルで打鉄の左浮遊型物理シールドと腰部アーマーの一部を破壊した。同時にシールドバリアーも発動し、エネルギーの大半を奪い去る。だが、千冬も負けていなかった。

 

「くっ!!だが、まだだ!!」

 

千冬は斬られ、体勢が崩れているなか刀を右手で逆手に持つと腕と脇の間を通すように勢いよく後ろに突いた。

 

「!?」

 

この攻撃はヒイロであっても反応が遅れてしまい、右腕を掠ったあと、右ウイングの一部に剣先が直撃したのだ。

 

「右推進装置にダメージ・・・戦闘には・・・支障なし。しかし、絶対防御が働いたか・・・。エネルギー残量残り150」

 

右腕を掠めた時、丁度運悪く装甲の薄い所に剣先が近づいた為だろう。掠っただけだったが絶対防御が発動し、エネルギーを削られた。

 

(あの状況で・・・しかも掠っただけで、あの威力か・・・)

 

ヒイロ自身も常人離れした肉体と反射神経を持つが、女であるはずの千冬はパワーならヒイロを超えていた。

2人は一度互いに距離を取り、動かなくなった。その様子に観客席で見ている他の教師陣やIS委員会の役員からはその戦闘の凄さから声一つでない。

 

(面白い!これほどの強さとはな・・・ヒイロ・ユイ!!)

 

(強い・・・この世界にもこれほどのやつが・・・)

 

沈黙を破ったのは千冬だった。

 

「ヒイロ、お前は強い!故に次の一撃で決めさせてもらう!!」

 

「・・・・・」

 

ヒイロは千冬の言葉にサーベルを構えることで答えると、千冬もその意味を理解し刀を正面に構えた。

 

2人が動いたのは同時だった。アリーナの中央で2人の剣が交わり、その反動で舞い上がる土煙が両者を包み込む。

 

 

「どっちが勝ったんだ?」

 

場内の観客が見守る中土煙が収まると、折れた刀を地面に突き立て、機動不能になった打鉄と立っているウイングガンダムが現れた。

 

「しょっ、勝者ヒイロ・ユイ君!!」

 

驚きのあまり声が裏返った真耶のアナウンスと場内の驚き、興奮の声が場内に響きわたる。

しかし、ヒイロはそんなことも気にせずピットへと帰っていった。千冬に至ってはただ、ヒイロの背中を見ることしかできなかった。

 

 

模擬戦後

 

校舎屋上で千冬はブラックのコーヒー片手に模擬戦最後の時を思い返していた。

あの剣と剣がぶつかった時、千冬の方のブレードがもたず、折れたのだ。しかし、千冬はそのことを考えているわけではなく、その直後のヒイロの言葉だった。

 

『俺は弱者だ・・・』

 

その前に自分がヒイロへと言った言葉への回答だということはわかっているのだが、ヒイロのその言葉はとてつもなく重く

感じたのだ。まるで、いくつもの激戦を生き残ってきた戦士のような・・・

 

「ヒイロ・ユイ・・・お前は一体何者なんだ?」

 

千冬の問いかけに答えるものはいなかった・・・・

 


 
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