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真・恋姫†無双~赤龍伝~第110話「秘湯?孫呉の湯」

さん

ひさびさに拠点のようなお話です。
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長~~い目で見てくださると助かります。

2012-10-15 18:22:44 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2893   閲覧ユーザー数:2614

真・恋姫†無双~赤龍伝~第110話「秘湯? 孫呉の湯」

 

司馬懿が洛陽から姿を消してから半月が過ぎた。

 

呉・魏・蜀連合は大陸全土に細作を放ったが、未だに司馬懿の手がかりを掴めないでいた。

 

司馬懿が大陸から姿を消した事により、大陸には仮初めの平和が訪れていたが、司馬懿が姿を消したと同時に、大陸全土では異常気象が多発し始めていた。

 

吹雪・熱波・暴風雨・洪水・地震など、様々な自然災害が各地を襲っていた。

 

 

―――建業―――

 

今日も建業の空は厚い雲に覆われて陽の光も差し込まず、昼間だというのに薄暗く、時折雪がチラついていた。

司馬懿の悪夢の牢獄から解放された赤斗は、火蓮たちとともに建業へと帰ってきていた。

 

小蓮「寒いよ~」

赤斗「シャオ、大丈夫? 今日はもう帰ろうか?」

小蓮「え~! そんなのヤダ~! せっかく赤斗との久しぶりのお出かけなのに!」

赤斗「でも、風邪を引いたら大変だよ」

小蓮「シャオなら大丈夫だから、早く行こ♪」

そう言うと小蓮は、赤斗の手を引いて建業の街を進んでいった。

 

 

―――火蓮の屋敷―――

 

火蓮「シャオはどうした?」

冥琳「小蓮様なら、風見と一緒に街に出掛けられましたが」

火蓮「何だ赤斗と出掛けたのか」

冥琳「以前から約束していたようで、今朝元気良く出掛けられました」

火蓮「そうか。シャオにも寂しい思いをさせていたからな」

冥琳「はい。私たちが留守の間も、しっかりと国を守って下さいましたからね」

火蓮「司馬懿の行方が分かれば、再び戦いは始まる。それまでは好きに遊ばせてやろう」

 

 

小蓮「ん~~~~ふふ~~~ん、ら~~♪」

小蓮はご機嫌に歌を歌いながら進んでいく。

赤斗「シャオ、どこまで行く気だい?」

小蓮「いいから、シャオについて来て♪」

 

赤斗は街を出て郊外の森までやってきていた。

 

小蓮「おーーい! 周々! 善々! 出ておいでーー!」

小蓮は立ち止まると茂みに向かって叫んだ。

暫くすると、茂みの奥から大きな獣が二匹姿を現した。

 

赤斗「虎に…パンダぁ!? 」

茂みから突然現れたホワイトタイガーとパンダを見て赤斗は身構える。

 

小蓮「待って赤斗! その子たちはシャオのお供なの」

赤斗「お供?」

小蓮「うん♪ この子が周々で、あっちの子が善々だよ♪」

笑顔で小蓮は赤斗にホワイトタイガーの周々とパンダの善々を紹介しながら、周々に跨った。

 

赤斗「……咬まない?」

小蓮「大丈夫。この子たちはシャオと一緒で良い子だもん。そんな事しないよ♪」

赤斗「……」

恐る恐る赤斗は手を伸ばし、周々の頭を撫でた。

赤斗「へぇー、本当だ。良い子だね」

周々は赤斗に大人しく頭を撫でさせてくれた。

小蓮「でしょー♪」

赤斗「シャオ♪ 善々にも触っても良いかな?」

パンダやホワイトタイガーを触る経験なんて、そんなに有るものじゃない。

元々動物好きでもある赤斗は、興奮を隠せずに尋ねた。

小蓮「いいよ♪ 善々おいで」

小蓮に呼ばれて、のっし、のっしと善々はゆっくりと近づいてきた。

本当に小蓮の言う事をよく聞く。

赤斗「じゃあ……」

赤斗は手を伸ばして、今度は善々の頭を撫でた。

赤斗「うわ~♪ パンダなんて初めて触ったよ♪」

小蓮「よかったぁ♪ 赤斗が喜んでくれて♪ それじゃあ周々」

小蓮に促された周々が小蓮を乗せたまま歩き出す。

赤斗「目的地はまだ遠いいの?」

小蓮「もう少し♪」

笑顔で小蓮は答えるのだった。

 

 

赤斗「これは……」

小蓮に連れられてやってきたのは、森の奥にあるきれいな小川。

そして、小川の近くでは湯煙が上がっていた

 

赤斗「温泉…? こんな所に温泉なんてなかったはず……」

小蓮「この前、遊びに来た時に見つけたの」

赤斗(……これも異常気象の影響か)

小蓮「わ~~~~~い♪」

赤斗が真剣に考え事をしていると小蓮はぽいぽいっと服を脱ぎ捨てた。

赤斗「しゃ、シャオっ!? 何でいきなり脱ぐ!?」

小蓮「ん~? 何でって、服着たままだと、濡れちゃうでしょー」

赤斗「それはそうだけど……」

小蓮「変な赤斗ー♪ ほら、赤斗も早く服脱いで、一緒に入ろ♪」

赤斗「……はいーー!?」

小蓮「な~に? そんなに驚いちゃって」

赤斗「だ、だって、いきなり、一緒に入ろうだなんて……」

小蓮「山での修行の時に、私の裸なんて見たでしょ?」

赤斗「確かに……だけど、あれは水浴びしている時に偶然に…」

小蓮「一緒に水浴びすれば良かったのに」

赤斗「そ、そういう訳にはいかないよ」

小蓮「むふん、て・れ・や・さ・ん♪ ほらほら、寒いんだから早く入ろ♪」

赤斗「はぁー……わかったよ」

赤斗は観念して一緒に温泉に入る事にした。

 

 

小蓮「ふひぃ~~、ごくらくごくらく」

小蓮の小さなお尻は、何の躊躇いもなく赤斗の腰の上に乗っていた。

赤斗「シャオ、もう少し離れてくれないかな?」

小蓮「なぁに~? 赤斗、緊張してるの?」

赤斗「そりゃあ、やっぱりね」

小蓮「ふふ、可愛い」

赤斗(これは……完全にもて遊ばれてるな)

 

小蓮「ふひぃ……こうやって、のんびり浸かるのが気持ちいいね」

赤斗「そうだね~」

赤斗(さて、この状況をどうしよう)

 

小蓮と二人きりで温泉。

この状況はやばい。

赤斗(どうする? このままじゃ……)

 

小蓮「ねえ…赤斗」

赤斗が悩んでいると不意に小蓮が声をかけてきた。

 

赤斗「えっ、な、何かな? ……シャオ?」

 

小蓮の様子がおかしい事に赤斗が気がつく。

先程まで明るく、赤斗の事をからかっていたのに、今は表情が暗い。

 

赤斗「シャオ…どうしたの?」

小蓮「赤斗は……司馬懿が見つかったら、また戦いに行くんだよね?」

赤斗「……まあ、そうなるね」

小蓮「そうなったら、またシャオだけ仲間外れだね」

赤斗「そんな事はないと思うよ」

小蓮「そんな事あるもん! だって、お母様もお姉ちゃんたちも、シャオの事を戦いから遠ざけようとするんだもん! 赤壁の時も、今回の三カ国連合の時もシャオは置いてけぼり……」

赤斗「それは当然だと思うけどね」

小蓮「何で!?」

赤斗「火蓮さんも雪蓮も蓮華も、みんなシャオの事が心配だからさ」

小蓮「シャオだって孫呉の女なのに。シャオだって力になれるんだよ」

小蓮の声が沈んでいく。

 

赤斗「そうだね。……でも、借りにシャオが恋のように強くても、火蓮さんたちはシャオの事は心配するし、やっぱり、なるべく危険な目に遭わせないようにするよ」

小蓮「……どうして?」

赤斗「シャオが火蓮さんの娘で、雪蓮や蓮華の妹だからさ」

小蓮「娘だとか妹ってだけで心配されるのはずるいよ! シャオも、お母様たちのこと……」

赤斗「……シャオ。大丈夫だよ。シャオの気持ちは火蓮さんたちにも伝わっているよ」

赤斗はシャオの身体を抱きしめた。

小蓮「赤斗?」

赤斗「ねえ、シャオ。人間ってさ。家族とか友達とか恋人とか、誰か大切な人を守ろうとする時が一番強いんだ」

小蓮「……………………ん」

赤斗「火蓮さんたちは、シャオを守ろうとするから強くなれるんだよ。だから、今は心配させてあげよう」

小蓮「……赤斗」

赤斗「火蓮さんなんか、シャオの事を溺愛してるし、シャオを思う気持ちはすごく力になってると思うよ♪」

小蓮「……ありがと、ちょっとだけ元気出た」

ようやく小蓮に笑顔が戻ってきた。

 

赤斗「それは良かった♪」

小蓮「でも……お母様たちの気持ちだけじゃなくて 赤斗はシャオの気持ちもわかっててね♪」

赤斗「シャオの気持ち……」

小蓮「うん。シャオの気持ちはみんな知ってて? じゃないと安心できなくなっちゃうよ」

赤斗「……火蓮さんや雪蓮と蓮華が大好きで」

小蓮「正解♪ それからそれから♪」

赤斗「藍里とか嶺上も大好きで……」

小蓮「それも正解♪ 次は?」

赤斗「えっ、次!?」

小蓮「ほら~早く~♪」

赤斗「えーーと……僕の事も……好き、とか?」

小蓮「えっへっへー♪ 大正解だよ。よかった、ちゃんと知っててくれて」

 

赤斗「////////」

赤斗は顔が真っ赤になった。

 

小蓮「守られるばっかりじゃないよね? シャオ」

赤斗「うん。シャオにはみんなが元気を貰っているよ。僕も修行の時とかシャオが居てくれて、本当に助かったものね」

小蓮「じゃなくて、お母さんとして赤斗の子供を授かって、守るのもお仕事なんだっけ」

赤斗「はいーー!?」

小蓮「なっまっえ~……は、何にしようかな」

赤斗「そ、それは随分と気が早いんじゃないかな?」

小蓮「そんな事ないよ。でも、生まれてくる子供が幸せに生きていける世の中に早くしないといけないね」

赤斗「……シャオ」

小蓮「また戦いが始まったら、シャオ、待ってる事しかできないから……いい子で待ってる」

赤斗「ちゃんと帰ってくるよ。僕もみんなもね」

小蓮「……約束したよ」

赤斗「任せてよ」

赤斗と小蓮はそっと口づけを交わした。

 

 

小蓮「うーーーん。気持ちよかったーー♪」

赤斗「温泉。しかも露天風呂なんて、本当にひさしぶりだったよ。今日は本当にありがとう、シャオ」

小蓮「どういたしまして」

陽がすっかり沈んだ頃、温泉を存分に楽しんだ二人は城へと帰ってきた。

 

小蓮「あっ、お姉ちゃん。ただいま~」

蓮華「シャオっ! こんな遅くまでドコに行ってたの!」

赤斗「まあまあ、蓮華、落ち着いて」

蓮華「赤斗はそうやって、すぐにシャオを甘やかす」

赤斗「遅くなったのは、僕にも責任があるんだよ。だから、今日は勘弁してあげてよ。ね♪」

蓮華「赤斗がそう言うなら……。それで、今までドコに行っていたの?」

赤斗「えっと……」

赤斗(シャオと一緒に温泉に入っていたなんて言えないよな……どうしよう)

赤斗がどう誤魔化そうか考えていると。

小蓮「赤斗と一緒にお風呂に入ってきたの♪」

赤斗「しゃ、シャオっ!?」

蓮華「い、一緒に、ふ、風呂だとーー!?」

赤斗「ち、違う! 風呂じゃなくて、温泉に入ってきただけだよ!」

蓮華「同じことよ!」

 

その後、赤斗は夜遅くまで蓮華の問い詰められたのだった。

 

 

つづく


 
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