No.494918

■30話 汜水関の戦い・前編■ 真・恋姫†無双~旅の始まり~

竜胆 霧さん

編集して再投稿している為以前と内容が違う場合がありますのでご了承お願いします

2012-10-11 12:05:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1972   閲覧ユーザー数:1875

■31話 汜水関の戦い・前編

―――――――――――――――――――

 

汜水関から時雨は反董卓連合軍を悠然と見下ろす。

 

何かの策か? 随分と少ない数で来たものだ……もしかして罠を考慮して? いや、まさかな。反董卓連合が出来てさほど時間はたっていないし罠が張られていると看破するだけの要素は無いはずだ。

 

となると、独走と見てまず間違いないが。

 

「先鋒は袁術か? いや……孫の旗か、まぁ誰だろうとやることは変わらんか。罠の確認は行ったか?」

 

孫権と孫策か……孫権はわかるが孫策は確か恋姫無双ではそれほど活躍していない。というかあまり描写されていなかった。江東の麒麟児としてその名は轟いているけれど、一体どういった人物なのかさっぱり分からない。

 

「っは! 罠は全て準備を完了しており、なんら問題ありません」

「今は落とし穴だけで十分だろう、敵の行軍が遅くなり次第両端から射かけて頭を冷やしてやれ」

「了解いたしました」

 

あっちゃんが指示を再度確認して部下の下へと走っていく。

 

「罠を使うなど卑怯ではないか?」

 

横に控えていた華雄がそんなことを言って来る、こいつの性格の調教はなかなか上手くいかなくて困ってしまう。なまじ実力があるものだから尚更である。

 

「確かに卑怯だと思われるかもしれんが今の俺に必要なことなんだ。お前達を助けるためにな」

「い、いや! やはり武人ならば正々堂々戦わねばならんだろう!」

 

少し赤くなりながらも了承してくれない華雄。全く華雄らしすぎるなと思わずにはいられない。

 

「華雄、俺はお前達に死んで欲しくはないんだ……。だから眠っててくれ」

 

何か言い出す前に手刀ですばやく華雄を気絶させる。

 

これも策とはいえ、嫌な役回りだよなとしみじみ思う。仲間に手を上げるのは何時になってもなれないものだ。

 

「かごめ、弓隊を動かしてくれるか?」

「わかった……」

 

かごめは必要なこと意外戦場では何も言わない。

 

やっぱりいい子だと思う。こんな汚い戦を手伝ってくれるのだから。

 

っと無駄な事考えてないで華雄を運ぶか。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

袁術に先鋒を任された時から嫌な予感はずっとしていた。

 

相手は母さまに軽く捻られた華雄のはずだけどなぜかしら?

 

瞑琳はこと武に関しては優秀だと言っていたけれど出てくる様子もないのに嫌な予感はは消えてはくれない。

 

「なんだか嫌な感じがするわね……左端に軍を寄せて」

「雪蓮、確かにお前の勘は良く当たるが今軍を左に寄せれば上から何か落とされれば直に直撃してしまう」

 

確かにそうなのよね……でもこのまま真ん中を行軍した方が嫌な感じるのも確か。といってもこの戦場自体から嫌な感じがして仕方が無い。

 

「瞑琳……お願いよ」

 

どうせならまだ気分がマシな道を歩きたいので瞑琳を上目遣いで攻撃する。

 

「わかった、雪蓮がそこまでいうなら仕方がない」

 

瞑琳は私の言うことを聞いて時折従ってくれるがこういう時瞑琳でなかったらと思うとぞっとしないでもない。

 

元々私の勘というのは酷く曖昧で、絶対じゃないのだから聞く必要など無いのだ。きっと他の人だったら聞き届けてはくれないと思う。

 

瞑琳が軍を左端に寄せてくれたおかげで多少ではあるが嫌な感じが減った気がする。

 

私達は寄ってしまったけれど、果たして後ろに居る袁術はどう動くのかしら? とふと疑問に思う。袁術を立てないといけないので命令されてしまえば真ん中の道に戻らないといけない可能性もある。

 

そう思って後ろの様子を部下に指示して調べさせることにした。結果如何では瞑琳に説き伏せてもらわなくてはいけない、本当に苦労をかける。そんな友がいて幸せだと戦場で感じてしまう自分がどうしようもないと苦笑しながら前を向き進軍していった。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「孫策が左に寄ったじゃと? どういうことなのじゃ七乃」

「んー、孫策さんは無駄に勘がいいですからねー。もしかしたらこの先に何かあるのかもしれませんね」

「ならば妾たちも左によるのじゃ!」

「そうですね。兵の皆さん、左に寄ってください」

 

そういって七乃が指示をし、軍全体が左に寄っていく。

 

(早く蜂蜜水が飲みたいのじゃ、さっさと終わらんのかのう……)

 

袁紹に総大将を取られた腹いせもあったが何より蜂蜜水が早く飲みたくて進軍したなどとは誰もわからなかったのは救いかもしれない。

 

何せ歴史に残る戦いの先端がくだらない理由で切って落とされたのだから。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

落とし穴を避けた? 一体どうやってわかったんだ……まさか一刀が情報を? いや、それはないはずだ。

 

もし一刀の持っている情報がリークされているのであれば端によることもせずすぐにそこで止まるのが正解だ。

 

もしくは誰かに先頭を任せ、落とし穴に落とし足場にして前に進むはずだ。ということは勘か? そんな超能力的な勘があるのか不思議だが女の人の身体能力が化け物な世界である、そんな力があったとしても何ら不思議ではない。

 

「伝令! 左端から岩を落とせ。大きな岩ではなく小さい方だけを使えと伝えろ。その後は各自一斉掃射……わざわざ寄ってきてくれた敵を殲滅して差し上げろ」

 

「っは!」

 

どうやって落とし穴の存在を知ったのかはわからないけれどそう簡単に汜水関にはたどり着けんよ。

 

それにしても落とし穴紀霊隊で頑張って掘ったのにな……こうまで綺麗によけられると少し悲しい。

 

ま、どうでもいいか……今はただ目の前の死を見つめなくてはいけない。それが俺の出来る最大限の報いなのだから。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

間違った……進んではいけなかったんだ。

 

私の勘が危険を告げている。ここに留まることの危険性を、進むことの危険性を訴えてきている。今までに無いほどの絶望感が身を身を包む。

 

此処まではっきりと感じたのは初めてだ。だからだろうかこれほどの焦燥を感じるのは。

 

「瞑琳! 部隊を撤退させて!」

「各員駆け足、前へと急げっ」

 

こちらの指示とは全く真逆へ走るように指示を出す瞑琳を見て声を荒げる。

 

「め、瞑琳!」

「雪蓮、後ろに袁術が付いてきているの……このまま反転して撤退してもいい的になるだけよ」

 

焦るあまり今の事態を把握し損ねていた。そうだった、袁術もこちらの動きに乗って左に詰めているのだ。こちらから真ん中にずれて後ろに後退する事も出来るかもしれないが、恐らく後ろを袁術が塞いでくるだろう。こうなるとどうすることも出来ない。

 

駆け足で走りながら考えていると後ろに盛大な音共に岩が落ちてくると、岩に塞がれて遅くなった所に矢が降りかかって来た。

 

後ろから兵士達の悲鳴が聞こえてくる。

 

「祭、穏、明命! 各自混乱する部隊をまとめ、落ちてくる岩と矢に注意しながら前進しなさい。袁術が後ろから退き次第反転し撤退する!」

「「「っは!」」」

 

自分の判断の遅さに嫌気が差す。それでも自分を責めて立ち止まっていればそれだけ味方の屍が増えて行くのだからままならない。

 

せめて迅速に行動するしかない、最悪を場合を想定して行動するしかない。

 

「蓮華は自分の身の安全を確保しなさい。思春、任せたわよ」

「っな!? 姉様! それは一体どういうことですか」

「わかりました」

 

怒る妹が可愛いが今は構っている暇が無い。護衛である思春の腕は確かだ、矢程度なら防いでくれるだろう、もし岩が振ってきてもその身を挺して救出にあたれる人物なので任せて置けば安心だ。

 

「思春!」

 

今度は部下に食って掛ろうとする未だ若い妹に苦言を呈す。

 

「蓮華……あなたは私がいなくなった時私の後を継いでもらわなきゃいけないの。それを理解して頂戴」

 

本当なら構っている暇など無い、だというのに構っている自分の甘さにほとほと呆れてしまう。けれどコレが自分なのだ。

 

「ね、姉様……」

 

心配してくれるのはわかるけど、今はなんとしてもここを切り抜けなきゃいけない。決意を新たに矢や落ちてくる岩に注意を促し避けに徹する。

 

そうして防衛してからどれほど経っただろうか。一気に事が起こりすぎて把握できていないが図った様に転機か訪れた。

 

「雪蓮、どうやら攻撃が袁術に集中し始めたみたい」

「一体どうして……? まあいいわ、すぐに袁術が退くだろうからこちらも退くわよ!」

「「「「っは!」」」」

 

疑念はあるが折角のチャンスを無駄にする必要はない。袁術が酷い被害を被り撤退するのに合わせてこちらも即座に引き始めた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

孫の旗がいっこうに落ちない、俺の罠にかかりながらもむやみやたらに混乱せずに最低限の指示は出せている様だ。

 

まさかここまで戦上手だとは……まだ経験不足な孫権が指揮しているとは思えないし、これが江東の麒麟児の手腕といったところだろうか。

 

本当は第一陣にはもっと早めに退いて欲しかったんだけど中々上手くいかないものだ。

 

後少し進めば俺自らでないといけなくなるので本当に困ってしまう。まだその時ではないので早々に撤退してもらわなくてはいけない。

 

「伝令、弓隊と岩を袁術に集中させろと伝えろ。孫策の退路を開いてやれ、死兵になって無駄に死んでもらっても困る」

 

伝令があっちゃんとかごめに伝え終わり袁術に攻撃が集中するのを見届ける。

 

慌てて逃げ出す袁術の後ろにしっかり引っ付いて孫策たちも逃げ出していく。

 

これでひと段落かと一息ついて目の前の自体の対処に赴く。

 

そろそろ華雄が起きるだろうし、ご機嫌でも取りに行くかな……。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

時雨の策は理解していたがここまでのものだったのか……。

 

それにしてもあの手紙に書いてあった落とし穴は本当に完成しているのか? 現実味が無いがもし本当に作り上げたとしたら一体どれだけ試行錯誤しているのだろうか。

 

それは想定外ながらも外れてしまったがそれでもここまで被害を与えるというのは凄まじい。とてもではないが岩と矢の降り注ぐあの場所へは行きたくない。

 

でもま、本当なら中央の大きな落とし穴に一度はまって警戒して脇を進むところに軽く岩と矢を当てて撤退させる手はずだったが想定外の自体にも迅速に対応して策どおりに進めるところはさすがだ。

 

それにしても孫策は落とし穴の存在を知っていたのだろうか? でも一体どうやって?

 

時雨が情報を流すとは思えないしこちらもまだ流していない……となると考えても無駄か。

 

とりあえずこの情報をさっさと公孫賛と劉備に伝えるか……。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「曹操から情報が流れてきた?」

 

愛紗がやって来た白蓮の言葉を聞いて驚く。

 

「連中桃香の所にも行くっていってたから、どうなったと思ってさ……ちょっと様子見に来てみたんだけど」

「うん、ちょうど私達もその話をしていたんだけど……どう思う? みんな」

 

私は所詮お飾りのリーダーだし、こういった判断は賢い皆にまかせておけばいいよね。と半ば心の中で自虐しながら皆に意見を募る。

 

「罠ではないのですか? この同盟軍、どうにも胡散臭いことが多すぎる……」

「やれやれ……。愛紗は疑心暗鬼が過ぎるのではないか?」

 

愛紗の言葉に呆れを交えて星が意見する。私もちょっと怪しいかもなんて思っていただけに痛い。

 

「朱里ちゃんはどう思う?」

 

「罠ではないでしょうね……。曹操さんは野心の塊ですし、敵には容赦ないでしょうが味方の足を引っ張って自らの評判を落とすような人でもありません。それに伝令に来たのは天の御使いです。ここで罠だったとしても曹操さんにとって得どころか損しかありません」

 

さすが諸葛亮孔明、天に名高き(予定)朱里ちゃんである。理路整然とした物言いになるほどと感心してしまう。

 

確かに来たのは天の御使いだった。優しそうな人でもうちょっと話したかったけど何か考えてるみたいで話しかけられなかったのはいい思い出だ。

 

「それに孫策さんが汜水関の攻略に失敗した情報は、こちらでも確認しています」

「華雄ってそんなに強いのか? 撤退するのが早すぎるのだ」

 

確かに小競り合い程度でもまだ時間がかかるはずだ。鈴々ちゃんの言う事になるほどなーと思いながらそうだよねと相槌を打つ。

 

「それが……どうやら罠が仕掛けられていたらしいです。そのおかげで袁術軍は半壊、孫策さんの軍もかなり消耗しているとか」

「華雄って奴は卑怯なのだ!」

「確かに鈴々のいう通り、武人にあるまじき奴だな」

 

確かに卑怯だと思うな。愛紗ちゃんと鈴々ちゃんじゃなくても怒っちゃうよ。

 

「実は華雄さんがやっているというのも定かではないんです。華雄さんは武に関しては優秀ですが、他のことはダメダメといっても過言ではありません……それなのにこの策、というより罠には一部の隙もないのです」

「罠に隙がない?」

 

それってどういうことだろ?

 

「孫策さんは中央になにかあると踏んで端を通りました。でも結果は落石と矢の集中攻撃……そして曹操さんの情報では中央にいくつか落とし穴があり、そしてその先にもやはり罠があると」

「なんだそれは! それでは攻められないではないか!」

 

それもそうなんだけど曹操さんはなぜ最初から情報を開示しなかったんだろう? もしかして袁術ちゃんが独走しちゃったから?

 

それとも後で気づいたのかな? やっぱり私が思い悩んでもあんまりいい答えが思い浮かばない。きっと朱里ちゃんが考えてるはずだから今は話を聞いておこう。

 

「そうなんです。もし進むとしても端、もしくは落とし穴を調べながら中央。けれど進めたとして他にどんな罠があるのかもわかりません」

「それなら迂回すればいいのではないか?」

 

星ちゃんが言うとおりだ。迂回しちゃえば罠なんてどうでもいいよね……?

 

「そうもいかないです。反董卓連合が結成されてからそこまでたっていないのにここまで準備をしているなんて、兵糧も制限がある私達にとって相手に時間を与えるだけあちらが有利になってしまいます」

「それじゃあどうすればいいのだ?」

「曹操さんはこちらに情報を流して実力を測ろうと思っているのだと思います。それに答えるにはさきの戦いを経験した孫策さんと手を組まなければなりません」

「孫策さんと?」

「そうです。罠の把握、そして中央に何がどれぐらいあるのか知りたいんです。そして二つの部隊で進行すれば恐らくはいけると思います。ただ部隊を損耗してしまった孫策さんがそれに答えてくれるかどうか……雛里ちゃんがいればまた違う考えも思いついたんですが」

 

雛里ちゃんはお留守番してるんだっけ。ってことは……えーっと、難しくてあまりわかんなかったけど要するに孫策さんをどうやって説得するか考えればいいのかな?

 

「いいわよ」

「え!? そ、孫策さん」

 

ビックリした。まさか考えてる時に孫策さんがいきなり来るなんて、白蓮ちゃんもさっきから黙ってばかりだと思ったら孫策さんを連れて来てたのか……。

 

「私達からもお願いしようと思っていたけれど、まさか同じ事を考えているなんてね」

「こちらとしてはありがたいですけど、そちらの部隊はかなり損耗しているはずです」

「そうなのだ! 兵士達が怪我していたら罠を切り抜けられないのだ!」

「そうなんだけど、まぁ勘っていってもわかんないわよね……」

 

勘? 一体何を言っているんだろう。

 

「罠のことならどうにでもなるわ。相手が油断している今が進む好機だと思うの」

 

確かに一理あるかなと思っていると伝令さんが駆け込んできた。

 

「伝令! 敵の兵が移動を開始、汜水関へと引き返している模様です」

「それは本当ですしゅか?」

 

朱里は驚きのあまり噛みながらに伝令に聞きなおす。それもそうだよね、だって退く意味が私にはさっぱりわからないもん。

 

「本当であります!」

「これほどの罠を仕掛けながら簡単に引くなんて……やはりなにか仕掛けてあると思ったほうがいいんでしょうか」

「動かなければ戦局は変わらないわ、それにあなたたち袁紹から先鋒任されたんでしょ?」

「確かにそうですね……朱里ちゃん、愛紗ちゃん、星ちゃん、鈴々ちゃん、私に力を貸して」

「わかったのだ!」「桃香さまのご決断ならば」「いいでしょう」「はい!」

「孫策さん、よろしくお願いします」

「わかったわ。それじゃ私は準備に取り掛かるから」

 

そういって孫策さんは天幕から出て行った。

 

ふぅー、これからが大変だ。

 

「……私もとりあえず参加すればいいんだよな?」

 

忘れられていた白蓮ちゃんを宥めるのが。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

華雄の機嫌をとって頭を撫でている所にあっちゃんがやってきた。

 

「兵の収容完了しました!」

 

もうそんなに……というか華雄もういいかげん満足してくださいと目で訴えてもなんのその、未だに殴った詫びをしろと反対に睨みつけられる。

 

「……む? 兵を戻してしまったのか?」

「ああ、これからもう一仕事するためにね」

「また罠か?」

「……」

 

ここで答えたら面倒そうだと思っているのは秘密だ。

 

「武人として私はお前を止めなければならない」

「それは嬉しいな。だがな、今はそういう気遣いはいらないんだ……だから眠ってて」

 

結局こうなるのかと思いつつまた手刀で眠らせる。

 

今度起きた時には一仕事してもらう予定だけど今度は一体どれぐらい撫でれば許してもらえるんだろうか……。

 

「いいのですか?」

「ああ、怒りが増せばより信憑性も生まれるだろうしね」

「そうではなく……」

 

最後まで策のすべてを知っているあっちゃんだからこその問いだろう、今ならまだ方向転換が出来ると。でもそんなことするつもりなどない。

 

「わかってるよ、でもこれが俺に出来る最善だから」

 

天幕を出てすぐさま指示を出す。

 

紀霊隊を少数を門の外に配置させ、自ら大剣を両手に携え飛影に乗って右の岩場へと移る。

 

「さて、何人引っかかるかな?」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

門の外へと出て行く時雨を見やる。

 

私はここで待機していざという時、時雨を迎えに行かなくちゃ行けない。

 

一対一はもう十分できるようになってきた、でもまだ多人数と戦えない。時間が欲しいのにそうさせてくれない現実が憎たらしい。

 

時雨の隣にいたいのに……でも綾も虎牢関で我慢しているんだ。私も我慢しなくちゃいけないと自分に言い聞かせる。

 

「李福様、紀霊様ならやってのけるでしょう」

「うん……」

 

子萌えさんの言葉に頷く。

 

信じてるから……時雨

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「始まったな……」

 

門から出てきた数人の兵達見ながら言う。

 

「そうね」

 

華琳と前を見ると劉備と孫策が前方へ展開し、袁紹が中央に構えているのが後方からだと良くわかる。きっと上にいる時雨にはこの上もなくハッキリ見て取れるだろう。

 

「俺はそろそろ向かった方がいいのか?」

「それぐらい自分で考えなさい」

「わかった」

 

これからは時雨の策どおりに動かなくちゃいけない。動かなければ甚大な被害が出るし最悪の場合反董卓連合は瓦解する可能性もある。……だけどそれじゃいけないんだよな、時雨。

 

俺は俺に出来る最善を、時雨の策を知っているからこその最善をしてみせるよ。時雨の策を覆せるほどの働きをしてみせる。

 

そう心に誓って前を見据えた。


 
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