No.493059

Sonic・the・hedgehog 【Running out of control ――― EMERALD】(6)

こたさん

いつものようにソニックとエッグマンは戦っていた。ソニックが七つのカオスエメラルドを使いスーパーソニックへ変身し、誰もが勝負はついたと確信した… しかし、異変は起こった。 突然暴れ出し、ソニック達を攻撃するカオスエメラルド。一体カオスエメラルドになにが起こったのか? そして、禍々しい暗黒色のハリネズミ――「ダーク・ザ・ヘッジホッグ」。彼の目的は?そしてその正体は? ソニック達の新たな冒険が始まる!――― どうも、こたです。別のサイトで書いていたので知っている方は知っていると思われる作品を読みやすくリメイクしたものです。現在執筆中の『超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue wind~』の方もよろしくお願いします!

2012-10-07 00:09:00 投稿 / 全25ページ    総閲覧数:1209   閲覧ユーザー数:1206

――――あれから一ヶ月が過ぎた。

 

今日の空は少し薄暗かった。

ソニック達はダーク打倒に向け、緊迫感を覚えながらもそれぞれトレーニングに励んでいた。

 

 

「ハァッ!!」

 

ソニックはいつものスピードより更に速く都を走り回った。

 

「ハッ!」

 

シャドウは荒野でダークの姿をイメージし自主練習を続けた。

 

「カァッ!」

 

「タァッ!!」

 

シルバーとハイクは基地内でコンビを組みハイクは射撃訓練、シルバーはサイコキネシスを使い弾丸を

跳ね返し、ハイクがそれを避けるといった特訓を積んでいた。

シルバーもまたハイクに弾丸状のサイコキネシスを放つという、まるで西部劇のような光景だった。

 

 

――――残りの三人は―――

 

基地内の工作室で三人は『ある物』を作っていた。

 

「エッグマン、こんな感じでいいかな?」

 

テイルスは少し炭で汚れた顔で尋ねる。

 

「まだじゃな。あともう少しじゃ。」

 

同じくエッグマンも顔を黒くしていた。

 

「おおおりゃあぁ!!」

 

ジュワ――――!!

 

ナックルズは特化した力を使い、溶けて赤くなった鉄をバケツ一杯の水の中に流し込む。

 

まるで鍛冶屋のような光景だった。

 

 

 

 

 

それから数時間が経った。

 

 

 

「いよいよ決戦じゃな。」

 

司令室で大きなモニターの前に立っているエッグマンが告げた。

 

「うん」

 

テイルスは力強く頷いた。

 

「けどダークが動き出していないぜ?どうなってんだ?」

 

シルバーは首を傾げる。

 

「今ソニックが偵察に行ってるからもう少ししたら何か分かるんじゃないかな?」

 

 

 

プシュ―――!

 

「Hey guys!!」

 

テイルスが言うと同時にソニックが入ってきた。

 

「あ!ソニック、どうだった?」

 

「ダークの奴居なかったぜ!俺達が怖くなって逃げ出したんじゃないのか?」

 

ソニックは余裕たっぷりに告げた。

 

「居なかった?」

 

ハイクは聞き返す。

 

「ああ!街中走り回ったけど何処にも居なかっ――――」

 

ピキィッ!

 

しかしシャドウは何か大きな力を感じ取り、刮目した。

 

 

 

 

ド――――――ン!!!!!

 

 

 

 

ソニックが話している最中に地面が大きく揺れ全員が倒れる。

 

「わ、WHAT!?」

「―――――ダーク!」

 

シャドウ揺れがおさまらない内からまるで何事も無いかのように立ち上がり、司令室を走り出た。

 

「お、おいシャドウ!?」

 

立ち上がることの出来ないソニックはその名を呼ぶことしか出来ない。

 

 

 

シャドウが出て行ってから数分が経ち、揺れが止まった。

 

「何が起こっているんだ!?」

 

シルバーの言葉と同時に全員が基地の外に出る。

鼠色だった空はいつの間にか真っ暗になっていた。

雨は降っていないが唸るような雷鳴が響く。

基地の外に出たソニック達は大きく周りを見渡した。

 

「――――え!?」

 

テイルスは絶句した。

 

「どうしたテイルス?」

 

ハイクが尋ねるとテイルスは恐怖で引きつった顔で静かに遠くを指差す。

全員が震える指が示した方を見た。

 

「――――な―――」

 

その光景を目にした瞬間、全員の顔が凍りつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで悪い夢でも見ているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

巨大化し、龍のような姿に変化したダークが都を崩壊させていた。

その刹那、ダークが天を仰ぎ咆哮を上げた。あんなに遠くに離れているというのにダークの啼き声は

ハッキリと聞こえた。

餌食となった大都市は大きく炎上し、黒煙が立ち上っている。

 

ドガァァッ!!!!!

 

ダークの背後に大きな雷が落ちる。

 

「……へっ!やっと姿を現したか!随分とイカしたボディになってんじゃん♪」

 

ソニックは強張っていた表情を和らげ笑みを見せる。

一方で未だ恐怖に慄いているテイルスは叫び声を挙げた。

 

「ソニック!!」

 

見るとダークは大きな腕を振り上げ、更に崩壊寸前の都を襲おうとしている。

 

「くそっ!このままじゃ都が―――!!」

 

ナックルズは叫んだ。

その時だった。

 

 

 

シュンッ!

 

 

ドガァァァッ!!!

 

 

突如ダークの顔で爆発が起きた。

 

「!?」

 

全員が驚いた。

 

ダークは威嚇するように何かを睨んでいた。

その視線の先には赤い光となり、ダークの周りを猛スピードで回っている彼が居た――。

 

「――――――シャドウ!?」

 

シルバーは叫んだ。

 

「まさかシャドウが1人で戦っているのか!?」

 

ハイクも叫ぶ。

 

「大変だ!早く助けに行かないと!!」

 

テイルスは駆け出そうとするが―――

 

ガッ!

 

「俺達は残ろう。」

 

ナックルズに腕を掴まれる。

 

「ナックルズ!?」

 

テイルスは振り返る。

 

「悔しいが、俺達が行っても足手まといになるだけだ。ここはソニック達に任せよう。」

「そんな……!!僕達にも何か出来ることが―――」

「テイルス!!!」

「………」

 

テイルスは俯いた。

 

「………うん、分かった。ソニック、絶対無事に帰ってきてね!!」

「ALL RIGHT!!分かってるって!行くぜ、シルバー、ハイク!」

 

ソニックは走り出した。

 

「ダーク……お前に世界は壊させない!俺達がお前を滅ぼしてやる!!」

 

シルバーは青白い光をまとい、ソニックに負けないスピードで飛行した。

 

「よし、行くぞ!」

 

ハイクも駆け出そうとするが――

 

 

「待ってハイク!」

 

テイルスが呼び止めた。

 

「なんだ?」

「渡したいものがあるんだ。ちょっと来てくれないかな?」

「え……急いでるんだけど……」

「すぐ終わるから来て!」

「あ、おいっ」

 

テイルスが駆け出すとハイクも基地の中に入っていった。

 

 

 

 

「こりゃあ酷いな……」

 

ソニックは走りながら崩壊した都を見回し呟く。

 

「まるでイブリースに街を目茶苦茶にされた時とそっくりだ……!」

 

飛行しながらシルバーはかつての目を覆いたくなるような凄惨な光景を思い出し、

ギリギリと歯軋りをした。

二人の目前にはもはやハリネズミの形をしていないダークの姿があった。

その姿は遠目で見るより遥かに巨大で禍々しかった。

ソニック達は足を止める。

 

「オノレ小賢シイ偽者メ……!!」

 

ダークは自分の顔の周りで猛スピードで移動するシャドウを睨めつける。

 

「カオススピア!」

 

シャドウの声だけが聞こえるもののシャドウの姿は確認できなかった。

 

ドドドン!!

 

そしてダークの顔に複数の光の矢がぶつかり炸裂する。

 

「ガアァァッ!!!」

 

ビ―――!!ビ――!!

 

ダークはまるで狂ったように眼から閃光を放つ。

 

ドガンッ!!ドガンッ!!

 

ビームは近くの建物に当たり爆発を起こす。

その瓦礫がソニック達に降りかかった。

 

「へっ!」

 

ソニックは走り出す。

 

「ハァッ!!」

 

シルバーは腕を前に突き出すと瓦礫が青白く光る。

 

「いい加減にしやがれこの化け物がぁっ!!」

 

バッ!!

 

シルバーが腕を振ると瓦礫がダークの顔目掛けて飛んでいく。

 

ドガアァッ!!

 

見事に命中するとダークはシルバーを振り返る。

 

「HEY!俺はここだぜ!?」

 

背後から声が聞こえてダークは振り返る。

そこには勢いよく回転し球体状になっているソニックの姿があった。

 

「ハァッ!!」

 

ドガァッ!!

 

ソニックは一気に自分の姿より何十倍以上もあるダークの顔に肉薄し、

回転の力を利用した鋭い蹴りを放つ。

しかし、ダークは表情一つ変えず動じないため効いているのかは分からなかった。

 

クァッ!

 

ダークはソニックに大きく口を開けた。

 

「WHAT?」

 

ドンッ!!

 

ダークはソニック目掛けて闇色の大きな光線を放った。

 

「おわぁっ!?」

 

空中で不意をつかれたソニックは動くことが出来なかった。

 

「ソニック!」

 

シルバーはソニックを庇い光線目掛けて両手を突き出す。

 

コォォッ!!

 

シルバーとソニックの前に大きな魔方陣のような模様の入ったサイコキネシスの盾が現れた。

 

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

 

 

そして盾が闇色の光線を防いでいく。

 

「く……くくくく……!!」

 

シルバーは歯を食いしばる。

 

ビシュッ!!

 

ダークは口から光線を放ちながらさらに再び眼から閃光を放つ。

その閃光までもが盾にぶつかる。

 

「まだまだ……!!こんなもんじゃないぜ!」

 

シルバーは必死に強大な力を押さえつけながら叫んだ。

 

バババッ!!

 

しかし、ダークの鋭い爪がソニック達に飛来してきた。

 

「チッ!シルバー!」

 

「うわぁっ!」

 

ソニックはシルバーの腕を掴み猛スピードで滑空した。

 

ドガ―――ン!!

 

焦点を盾から外した光線はそのまま建物に当たり大爆発を起こす。

ダークは爆発に巻き込まれる。

 

「「うわぁぁっ!!」」

 

一方のソニックとシルバーは爆風で吹き飛ばされた。

しかし、そんなソニック達にダークの爪が遅いかかる。

 

「くっ、Here we go!!」

 

ソニックは空中で体勢を整え、シルバーの腕を掴んだまま空中を動き回り爪を全てかわした。

しかし、爪は再びソニック達に向かって襲い掛かる。

 

「くっ……!」

 

シルバーは腕を伸ばそうと試みるが間に合いそうに無かった。

すると―――

 

 

「カオススピアッ!!」

 

ドドドッ!!

 

その刹那、爪に光の矢が当たり爆発を起こす。

そのまま爪は消滅した。

 

「「!?」」

 

二人は顔を上げた。

 

「「シャドウ!?」」

 

正体は言うまでもなくシャドウだった。

三人は一旦着地した。

 

「君達は何をしにきた?僕の邪魔をしにでも来たのか?」

 

シャドウは二人に背を向け冷ややかに言う。

 

「まぁそう言うなってシャドウ。」

 

シャドウは鼻を鳴らす。

 

 

「グオオオオオオオォォォォォォッ!!!!」

 

ビリビリと大地に大きな振動を奔らせんばかりにダークは咆哮する。

 

「随分と騒がしくなったな。あの物静かな物腰は何処に消えたのかねぇ。」

 

ソニックは煩そうに耳を塞ぎながら皮肉を言う。

 

「虫ケラドモガ……逃ゲズニオレノ所ヘ来タコトハ褒メテヤル。」

 

ダークはソニック達を見下ろし不気味な声で告げる。

 

「へっ!わざわざパーティーにお呼ばれされたのに行かないなんてことそんな失礼なことするわけ無いさ!」

「ダガ貴様ラガ来タトコロデドウニモナリハシナイガナ……」

「御託はいい。さっさと勝負をつけるぞ。」

 

シャドウは構える。

 

「フン……偽者ガ……昔ノ姿デモ俺ニ勝テナカッタ分際デヨクモソウ大キナコトガ言エタ物ダナ……」

「偽者?ハッ、プロフェッサーの失敗作が何を戯言を……」

「――――ナンダト?」

「どうやら貴様は僕が生まれた真の理由を知らないようだな。」

「真ノ理由……ダト?」

 

「僕が生まれた理由それは―――地球を守ることだ。僕はそれをプロフェッサーに託された。いや、

プロフェッサーではない……マリアにそう託された。人類を滅ぼすためだけと言う貴様は怒りに囚われたプロフェッサーの失敗作に過ぎない。たかが失敗作に僕を倒すことは出来ない。」

 

「ホウ、言ッテクレルデハナイカ……!」

 

ダークは笑みを浮かべる。

 

「ナラバシャドウ、ソノ力デ俺ヲ止メテミルガイイ!」

 

ダークは腕を振り上げた。

 

「行くぜダーク!It’s show time!!」

 

ソニックの声を合図に三人はそれぞれ別方向に大きく跳躍する。

 

ギンッ!

 

ダークはシャドウを身震いするほど鋭い眼光で睨む。

 

「シャドウ、マズハ貴様ヲ片付ケテヤル!」

 

ダークは猛スピードで移動するシャドウめがけて腕を振り下ろす。

 

「ハァッ!」

 

シャドウはスピードを上げて軽々とダークの攻撃をかわす。

 

「!!」

 

バババッ!!

 

しかしダークの腕が降りおろされたところからマシンガンのように多数の弾丸のような黒い物体が

シャドウに襲いかかる。

 

「シャドウ!!」

 

シルバーは腕を弾丸の方に突き出し青白く光らせた。

 

「邪魔ダ!!」

 

ドガァッ!!

 

「うわあぁっ!!」

 

シルバーが腕を伸ばす隙にダークはシルバーを大きな腕で殴り飛ばした。

 

「シルバー!」

 

ヒュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ――――

 

ドガ――――ン!!!

 

ソニックは叫ぶがシルバーはビルの瓦礫だらけの地上に勢いよく叩き付けられた。

 

「チッ!」

 

一方のシャドウはシルバーが動きを止めていた隙に弾丸をかわした。

 

「カオススピアッ!!」

 

ドドドン!!

 

光の矢がダークの顔に当たり爆発する。

 

「ドウシタ兄弟?ソノ程度カ?」

 

しかしダークは爆発を物ともせずにシャドウに告げた。

 

「僕を兄弟呼ばわりするな!貴様と兄弟になった覚えはない!」

 

ドンッ!

 

再びシャドウは一気にダークの顔面目掛けて肉薄する。

 

ガガガガガガガガガガガガッ!!

 

そして凄まじい勢いで攻撃ラッシュをした。

 

「虫ケラガ!!」

 

バキッ!!

 

「グハァッ!!」

 

ダークはシャドウを殴り飛ばした。

ダークはシャドウをさらに追撃しようと口を大きく開く。

 

「シャドウ!!」

 

バッ!

 

ソニックはシャドウめがけて大きく跳躍する。

 

カァッ!!

 

 

ダークの口から闇色の光線が放たれる。

 

「くっ……ッ!!」

 

シャドウは体勢を整え避けようと試みたが間に合わず、やむなく防御体勢に入った。

光線はシャドウの眼と鼻の先にまで来ている……。

 

ガッ!

 

「!」

 

しかしソニックに腕を掴まれ光線から離れた。

 

「無事か!?シャドウ!」

「邪魔だ!」

 

バキィッ!

 

「うわぁっ!」

 

しかしシャドウはソニックの腕を使いまるで鉄棒で逆上がりをするように回りソニックを

ダーク目掛けて蹴り飛ばした。

 

「このまま奴に突っ込んでやる!」

 

ソニックは勢いよく吹っ飛ばされながらも勢いよく回転しだした。

 

「ハァッ!!」

 

ドガッ!!

 

鈍い音をたてソニックはダークの顔に突っ込んだ。

 

「ゴミガ!!」

 

バキィッ!!

 

「ぐあッ!!」

 

しかしまたもやダークの腕に弾き飛ばされた。

 

「消エロ!!」

 

ダークは吹っ飛ばされているソニック目掛けて再び大きな拳で追撃する。

 

――――その時だった

 

ドォンッ!!!

 

バキィッ!!

 

「!!」

 

突如現れた光がダークの腕を弾き飛ばした。

 

「待たせたなソニック!!」

「お前は……!」

 

そこに居たのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイク!」

 

ダークの腕に向けて拳銃の照準を合わせているハイクだった。

拳銃の銃口からは小さく煙が出ていた。そこにハイクはガンマンのようにフッと息をかける。

ソニックは一旦地面に着地しハイクに近寄った。

 

「待たせたな!ちょっと寄り道してたぜ!」

 

タッ!

 

続いてシルバーが着地すると少し送れてシャドウも三人と少し離れた場所へ着地した。

 

「遅いぜハイク!」

 

シルバーは背を向けながらも視線だけをハイクに向けていた。

しかし、そう安堵してはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ゴオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

 

ビリビリビリッ!!

 

 

突如ダークが咆哮をあげたかと思うと怒涛の如く衝撃波がソニック達に襲い掛かる。

 

「グッ!」

 

ソニック達はその衝撃を耐え抜くとダークを睨む。

 

―――ギンッ!

 

 

ダークはハイクを睨めつける同時に不気味な笑みを浮かべた。

 

「クックック……誰ガ来タノカト思イキヤアノ時ノハリネズミデハナイカ……」

「あの時の……だと?」

 

ハイクはダークを睨み聞き返す。

こいつが何を言っているのかが分からなかった。

 

「ハイク、ダークを知っているのか!?」

 

ソニックは顔をハイクに向け尋ねる。

 

「アア、知ッテイルサ。」

 

ハイクの代わりにダークが答える。

 

「随分ト前ダッタカ……俺ガシャドウヲ探シテイタ時ニ見ツケタ……」

「何を言っている!?」

 

ドンッ!

 

まるで聞きたくないことを聞くかのようにハイクは顔を顰めダークの顔面へと肉薄する。

 

「『グレネードフラッシュ!!』」

 

ドォンッ!

 

そして即座に背中から少し大きめの銃器を取りだしダークの顔へ大きな光線を放つ。

光線はダークの顔に覆いかぶさった。

 

「ククク……」

 

しかしダークは動じずに不気味な笑みを浮かべる。

 

「これならどうだ!」

 

ハイクは銃器をガトリングとグレネードランチャーに取り替える。

 

「いっけぇ―――――!!!」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!

ドッドッドッドッドッドッドッドッド!

ドガ――――ン!!

 

ハイクは片手にガトリング、もう片方の手にグレネードランチャーを持ちダークの顔だけでなく

胴体全体に乱射した。

 

「お、おいハイク!」

 

ソニック達は爆風に巻き込まれそうになり走りながらもハイクに声をかける。

 

「うおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

まるで狂ったように乱射するハイクをダークはそれでも動じずに睨み続けた。

 

「………コノ光景、覚エテイル」

 

ダークは徐に腕を振り上げる。

 

 

「――――貴様ニ初メテ会ッタ時モコウダッタナ」

 

ブンッ!

 

「なっ!?」

 

乱射に気を取られていたハイクは顔を上げると顔色を変えた。

 

ドガァッ!!

 

「ぐぁッ!!」

 

ハイクはダークの巨大な拳の一撃をもろに喰らった。

 

ギュウウウウゥゥゥゥゥ―――――ゥゥゥン!!!

 

ドガァァッ!!!

 

ダークはそのまま拳ごとハイクを地に叩きつける。

 

「ぐあああああああああッ!!!!」

 

バッ!

 

ハイクの悲痛な叫びが響き、シャドウが大きく跳躍した。

 

「カオススピアッ!」

 

ドガンッ!!

 

光の矢がダークの顔面とハイクを攻撃した腕に当たり爆発を起こす。

 

「グッ!」

 

不意をつかれダークは少しだけ怯んだ。

 

「ダーク、貴様の狙いは僕では無かったのか?

それとも、僕に勝てないと悟り僕以外を狙いだしたか?」

まるで嘲笑するかのようにシャドウがダークに言い放つ。

 

「……シャドウ」

 

わなわなと震えながらダークが自分の顔より高い所に居るシャドウを睨む。

 

「……イイダロウ!!ソンナニ早ク死ニタイノナラマズハ貴様カラアノ世ヘ送ッテクレル!!」

 

バッ!

 

今まで何をされても動かなかったダークがシャドウに向かって飛来する。

 

「ほう……面白い!」

 

ギュンッ!!

 

シャドウの姿が光の矢のようになり音速でダークの周りを動き回る。

 

ダッ!

 

「ハイク――!!」

 

ダークの拳から解放されたハイクにソニックとシルバーは近寄った。

 

「ぐ………ッ!!」

 

ハイクはかなり深いダメージを受け、あまり体の自由が効かない状態だった。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

ソニックがハイクの頭を抱きかかえその名を呼ぶ。

 

「ぐ………あ………?」

 

ハイクはソニックの顔を薄目になりながらも見る。

 

「!!!」

朧気に映るソニックの顔――そして何かを思い出す。

その刹那、鋭い頭痛がハイクを襲う。

 

「うああ………ああああ……あああ!!!」

 

ハイクは頭を抱えた

 

「おい、どうしたんだ!?」

 

シルバーが叫んだ。

しかしその声も今のハイクには届いていない――――そう判断することが出来るほど

ハイクの様子は尋常ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ザッ

 

 

「今日からこのGUNに新しく入隊することになった―――――だ。」

 

GUNの司令官が「彼」を隊員たちに紹介した。

 

ここはGUN―――「Guardian Units of Nation」即ち「国家防衛軍」の基地内だった。

清清しい青空の下で多くの武装した人間を前に「彼」は一歩足を出す。

 

 

「よろしくな!」

朱色の姿の「彼」は馴れ馴れしく全員に挨拶する。

その様子に、隊員達はざわめきだした。

 

「おい……あれ、ハリネズミじゃねえか?」

「あいつが新入隊員?何かの間違いじゃないのか?」

「静かに!彼は入隊試験を過去二番目に優秀な成績で合格した優秀者だ。人間ではないからといって見縊らないように!」

 

白髪のまさに司令官と呼ぶにふさわしいその姿が隊員を静めた。

 

(二番目?)

 

「彼」は眉を少しだけ吊り上げた。

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

「彼」は司令官に尋ねる。

 

「君、いい加減に司令官に対してのその嘗めた態度を」

「一番は誰なんだ?」

 

ピキッ……

 

司令官の額に無数の血管が浮かび上がる。

 

「―――ガン・ザ・ヘッジホッグ君だ。今日は来ていないが……彼も君と同じだ」

 

小刻みに震え怒りに顔が歪みそうになるも、司令官は必死に作り笑いを浮かべる。

 

「同じ?」

 

司令官は答えなかった。

 

「………ガン・ザ・ヘッジホッグ―――」

 

「彼」は静かにその名を口にする。

 

 

 

 

 

 

「今から射撃訓練を始める!全員構え!」

 

チャキッ!

 

司令官の声を合図に隊員達は銃の標準を各自の前にセットされている小さな的に向けた。

それは三十メートル程離れている彼らにとって、命中させるのは困難に思えるほど小さかった。

 

「撃て――――!!」

 

ドォンッ!!

 

隊員達は一斉に引き金を引いた。

 

しかし隊員達の弾丸は的に当らない。

 

「クソッ!」

「チッ!」

 

隊員達は苛立ったように舌打ちをする。

 

だが―――――

 

 

バチンッ!

 

「!?」

 

二つ的が倒れる。

その音に隊員達は振り返る。

 

「……たいしたことねぇな。」

 

「彼」は銃口にふっと息をかけ、つまらなそうに言う。

 

「おお……ッ!」

「すげぇ……!」

「流石トップと二番目だ……!」

 

(トップ?)

 

最後に誰かが言った言葉が気になり「彼」は振り返る。

 

「………?」

 

しかし倒れた的は分かるものの、当の本人の姿は隊員達の姿に阻まれ確認することが出来ない。

 

 

「トップの二人以外当たらないとは何事だ!!お前達はGUNの隊員としての自覚が無いのかッ!!!」

 

落雷のごとく司令官の怒鳴り声が響き、隊員達は振り返る。

 

「全員今から基地内のグラウンドを百週!!それから再び射撃訓練に入る!!」

 

ザッ!

 

隊員達は敬礼すると一斉にグラウンドを走り出す。

 

ギュンッ!!

 

「!!?」

 

しかし隊員達は目を疑った。

 

二つの影がグラウンド内を眼にもとまらない速さで回っているのだ。

瞬く間に恐らく十週は回っている。

 

「な……!!?」

「何なんだあの二人は……!?」

「化け物か……?」

 

一方で走っている内の一人―――「彼」もまた眼を疑っていた。

 

(―――俺と同じスピード……!?)

 

自分のほぼ真横を走っているその影を見ながら「彼」はそう思う。

しかしその姿ははっきりとは確認出来なかった。

 

 

――――キッ!

 

あっという間に百週走り終えた二つの影はそのまま再び銃を握る。

 

ドォンッ!!

 

そして二人は立っていた残り全ての的を倒した。

 

「な……ッ!!」

 

隊員達は最早驚きを言葉にすることが出来なかった。

 

「……ったく、つまんねぇ」

 

「彼」はつまならそうに小さくため息をつく。

 

 

 

 

「――――!!―――!!おい!居ないのか!!?」

 

基地内に司令官の怒鳴り声が響く。

 

「司令官、どうかしたんですか?」

 

彼は尋ねる。

 

「――が来ていない!どうやらサボっているようだ!」

 

「………?どうしてサボってるって分かるんですか?

 

「奴から休暇届は貰っていない!なのに奴が訓練に来ない!

しかも今回が初めてではない!完璧なサボりだ!」

 

彼は呆れたように頭を掻く。

 

「……はぁ、まぁ優秀な新人は入ってすぐにサボりだすってのがお約束ですからね。」

 

「まぁいい。ガン、あいつを連れてきてくれ!」

 

彼―――ガンは少しだけやる気の無いように敬礼する。

 

「了解」

 

ギュンッ!

 

ガンはそのまま猛スピードで基地を後にする。

 

 

 

 

 

 

基地から少し離れた草原で「彼」は昼寝をしていた。

優しい風がそっと草を撫でサァァと心地良い音をたてる。

天気も良かった。澄んだ青空に雲が点々とゆっくりと移動しながら浮かんでいる。

 

(なんて――――平和なんだろう――――)

 

気持ち良さそうな表情を浮かべ「彼」は眼を閉じていた。

 

「――――こんな所に居たのか」

 

「!?」

 

突如声をかけられ「彼」は体を起こす。

 

「アンタは?」

 

目の前には自分にそっくりな姿をしている黃色のハリネズミが立っていた。胴には自分と同じように

ベルトを巻いている。しかしその数は三本だった。無造作に肩にかけてあるベルトが二本交差している。

そして「彼」は声をかけた。

 

「俺はガン。ガン・ザ・ヘッジホッグ!」

「ガン……!!?」

 

「彼」は眼を見開く。

ガンはそっと「彼」に歩み寄り隣に座った。

 

「それにしてもお前、訓練サボっていいのか?司令官怒ってたぜ?」

 

ガンは苦笑いを見せながら語りかける。

 

「………」

 

しかし「彼」は何も言わなかった。

 

「おい?どうした?」

 

ガンは「彼」の顔を覗き込む。

 

「――――アンタが――GUNのトップ――」

 

「彼」は静かに告げる。

 

「そうらしいな。」

 

しかしガンは他人事のように言う。

 

スッ―――

 

徐に「彼」は立ち上がる。

 

「――――なぁ、俺の頼みを聞いてくれないか?」

 

「何だ?」

 

ガンも立ち上がった。

 

 

「――――俺と勝負して欲しい。」

「…………」

 

ガンは何も言わなかった。

 

「俺は自分は完璧だと思っていた。だが、その俺を上回るというアンタの力を見せてもらいたい。」

「へぇ……大人しそうな奴かと思ってたけど案外プライド高ぇんだな」

 

バッ!

チャッ――

 

「彼」は大きくバックステップし腰のベルトについたホルダーから拳銃二丁を取り出す。

 

「勝負………ねぇ」

 

ガンは腰についた草を叩き落としながら言う。

 

スッ―――

 

そして背中につけていた広い銃口と大きな形のレーザー銃を取り出す。

 

「―――手加減は無しだぜ?」

 

そう告げるとガンは少しだけ笑顔を見せた。

穏やかさの裏に圧倒的な力を感じさせる笑みを――。

 

「ああ!」

 

「彼」も意気込み、答えた。

 

ヒュウウウウゥゥゥゥゥゥゥ…………ン

 

二人の間に静かに風が吹く。

 

 

 

ギュンッ!

 

二人は大きく跳躍する。

 

「ハッ!」

 

「彼」は両の拳銃でガンを撃つ。

 

ギュンッ!

 

しかしガンの移動スピードが凄まじく弾丸は当たらない。

 

チャキッ!

 

続けてガンも「彼」にレーザー銃の照準を合わせる。

 

ビシュッ!ビシュッ!!

 

ガンは「彼」目掛けて小さなレーザーを放つ。

 

「!!」

 

「彼」は咄嗟にそのレーザーに拳銃の照準を合わせる。

 

ダンッダンッ!!

 

バシュッ!

 

拳銃の弾丸とレーザーがぶつかり相殺する。

 

「へぇ……やるじゃん!」

 

バババッ!

 

「彼」は拳銃を弄った。

 

ビシュッ!

 

そして拳銃の銃口から小さなレーザーが放たれ剣状になる。

 

「!?」

 

ガンは余裕の笑みから一気に真剣な面持ちになる。

 

「行くぜッ!!」

 

ドンッ!

 

「彼」は銃を握りしめるとガンに一気に肉薄する。

そしてそのまま切りかかった。

 

ガキィンッ!!

 

「くッ……!」

 

ガンは持っていたレーザー銃の銃口から「彼」同様小さな剣状のレーザーを出し、受け止めていた。

 

「ハァッ!」

 

ガッ!!

 

ガンは腕に力を込め「彼」を弾き飛ばす。

 

スタッ!

 

二人は地に着地する。

 

バッ!

 

二人は跳躍し剣で押し合う。

 

ガッ!キィンッ!!バチィッ!

 

レーザーの剣と剣がぶつかり合い、激しく火花を散らす。

 

タッ!

 

何度か交差すると、二人は同時に距離をとった。

 

「これで決める!」

 

ガンは銃を元に戻すと照準を「彼」に向ける。

 

「!?」

 

「彼」は拳銃を構えたままガンを睨む。

 

コォォォォォォッ!!

 

ガンのレーザー銃の銃口に光が集まる。

 

「―――なッ!」

 

「彼」のその声にガンはふと我に帰った。

この銃は威力が高いためあまり使わないようにしていたのを戦闘に夢中になっていて忘れていた。

 

「しまった!避けろ――――!!!」

 

ガンは叫ぶ。

 

 

ドンッ!!!!

 

 

ガンのレーザー銃から大きな光線が放たれる。

 

「!!!」

 

 

しかし遅かった。

 

 

 

「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

「彼」はその光線をまともに喰らう。

 

 

「しまったッ!!―――――!!!!」

 

 

ガンは叫んだが―――その叫びも最早「彼」には届いていない。

 

 

 

 

 

 

「――――痛ッ!」

 

身体のどこかが痛む。

 

だが、何も見えない。

 

分かるのは――――痛みだけ。

 

「――――!!」

 

何だか騒がしい。

 

誰も居なく、何もないのに何故だか騒がしい。

 

「――――ナン――――ダ――?」

 

 

 

「おいッ!大丈夫かッ!?」

 

ガンは目の前のベッドで身体中を包帯で巻かれた「彼」を呼び続けた。

 

さっきから何度も呼びかけているものの、「彼」は目を閉じたまま動くことは無かった。

 

「一体何故こんなことになったのだ?」

 

後ろ手に両手を組みながら立っていた司令官が尋ねる。

 

「……………」

 

ガンは何故だか申し訳無さそうに司令官から顔を背けた。

 

「――――こいつが、突然俺と勝負したいと言い出して戦ったんです。戦っている最中、俺は夢中になってあの銃――――『ブラームス』を使ってしまったんです。」

 

「何ッ!?あれを使ったのか!?」

 

「つい我を忘れてしまって―――――」

 

「馬鹿者!!あれは絶対に使うなと言ったはずだろう!!今回は新人が奇跡的に一命を取り留めたから良かったものの最悪こいつを消していたのかもしれんぞ!!貴様は『グレネードフラッシュ』の威力の強さを自覚していないのかッ!!」

 

司令官はガンに憤慨する。

 

 

 

「グレネード―――フラッシュ?」

 

「「!?」」

 

突如ベッドから声が聞こえ、二人は顔を向けた。

 

「新人!!」

 

「気がついたのか!?」

 

二人が目にしたのは、弱々しい眼差しを二人に向けている「彼」だった。

 

「あの弾丸……グレネードフラッシュって言うのか……効いたぜ、ガン」

 

まるで後輩とは思えない口調だ―――そう思ったが、ガンの顔には安堵が広がった。

 

「もう大丈夫なのか?君」

 

司令官が尋ねる。

 

「ああ、もう平気さオッサン」

 

 

 

ピキッ……

 

 

 

「オッサ………ン?」

 

司令官の笑顔が引き攣り、額に多数の血管が浮かぶ。

後ろで組んでいた拳もわなわなと震わせた。

 

「君……仮にも司令官である私に向かってそ――」

「やっぱアンタトップだけあって強いな、ガン。」

 

司令官の言葉を遮り「彼」はガンに話しかける。

 

「お前も、『グレネードフラッシュ』をもろに喰らってピンピンしてるとは……なかなかやるじゃん。」

 

二人が笑顔で話している最中、司令官は落ち着くためウォッホンと一つ咳払いをした。

そして、平常心を取り戻した司令官は徐に口を開く。

 

「君達、暫く共に行動するかね?」

 

「「……え?」」

 

突如司令官から言われた言葉の意味が分からず二人は聞き返す。

 

「はっきり言って、君達は訓練も要らないほどの腕の持ち主だ。他の隊員が訓練している間に

君達のその俊足と射撃能力で世界をパトロールしてもらいたい………どうかね?」

 

司令官の提案に二人は顔を見合わせる。

 

そして少しだけ沈黙が流れた後、二人は顔を司令官に向けなおす。

 

「はいっ!」

 

ガンははっきりと答えを告げる。

 

「ナイスアイディアだなオッサン!」

 

「彼」も答えた。

 

「君、ホントにその呼び方は――」

「よーし、頑張ろうぜガン!」

「ああ!よろしくな!」

 

二人笑顔を見合わせているのを前に司令官はブルブルと震えながら俯く。

 

 

「無視するなぁ――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!」

 

 

 

 

 

それから数週間が経った。

 

「んじゃ、パトロール行ってきます!」

 

ガンと「彼」は司令官に敬礼する。

 

「ああ、頼んだぞ。」

 

ギュンッ!!

 

二人は司令官の前から一瞬にして姿を消す。

 

 

「あの二人……仲良いよなぁ。」

「ホントの兄弟みたいだよな。」

「トップ1,2の二人組か……俺もいつかはそう言われてみたいものだな。」

 

キッ!

 

騒めき出した隊員達に司令官が一瞥を投げた。

 

「貴様ら、雑談をする暇などあるならさっさと訓練しないか!!!」

 

怒鳴ると隊員たちは蜘蛛の子を散らすように各々の持ち場についた。

 

 

 

 

 

 

 

二人は砂漠を走っていた。

 

そして一旦足を止める。

 

「あーーー!!あっついな!」

 

そして忌まわしげに太陽を仰ぐ。

 

「砂漠だから仕方ないさ。」

 

ガンは額につたう汗を拭いながら地図を開く。

だが、その地図はその周辺の地図ではない。世界地図だった。

 

「ここはもう行ったよな」

 

「ああ、て言うかもう行ってない所なんてないんじゃないか?」

 

少しボ――っとしながらも「彼」は答える。

 

 

「―――――!!――――!!」

 

 

ガンの声ははっきりと聞こえない。

 

 

「――――!!―――おい!―――!聞いてるのか!?」

 

 

目の前にぼんやりと黄色い姿の誰かが映る。

しかしはっきりとした輪郭すら解らず、霞んで見える。

 

 

「―――え?」

 

「彼」は尋ねる。

 

「―――――ったく、寝ぼけやがって!」

 

「――――?」

 

ガンが何を言っているかわからなかった。

 

「―――――ほら、さっさと行くぞ!――――!」

 

ガンが「彼」に踵を返し、さっさと歩き出してしまう。

 

「――あ、待ってくれ!」

 

「彼」は手を伸ばながらもガンの後に続く。

 

「行くってどこにいくんだ?」

 

「彼」は歩きながら尋ねる。

 

 

「…………」

 

ガンは足を止める。

 

「どうした?」

 

「彼」は尋ねる。

 

ガンは振り返った。

 

「………適当に走り回ってみるか?」

 

「え?」

 

ガンの言っている意味が分からなく聞き返す。

 

「今日も世界は平和だ。だから平和である内に世界を回ってみないか?俺達がいつ消えても

悔いのないようにさ……」

 

まるで自分が居なくなるのを予言するかのように告げるガンに「彼」は失笑する。

 

「なんだよ、アンタが消えちまうみたいな言い方」

 

ガンは少しだけ顔を上げる。

 

「……俺達はGUNの隊員。やり方は少し強引ではあるかもしれないが、何かあるいは誰かを

守るための組織だ。誰も死なせないために訓練をする。だがな、何かを守るときには必ず犠牲が

必要になるんだ。その犠牲は自分になるかもしれない。……ホントは俺はお前が羨ましかったのさ。」

 

「羨ましかった?」

 

「ああ。司令官は怒っていたが、お前があの日訓練をサボっていた日、俺はお前が凄いと思ったんだ。

自分にやるべき仕事がある時にお前は堂々と自分のために時間を使っていた。仕事でもなんでも一生懸命になるのは大切だ。だがな、生きている間に少しでも多く自分に時間が使える……それは素晴らしいことだぞ。ましてこの毎日が命懸けのようなGUNに入った以上、オレ達の一生は制限されちまったような

もんさ。だから消える前に世界を走り回って世界を堪能しないか?」

 

「……………」

 

「彼」は俯いた。

 

バッ!

 

そして突如顔を上げる。

 

「大丈夫!俺達は消えないさ!でもまぁ、世界を走り回るってのは悪くないかもな!」

 

「彼」は笑顔で告げる。

 

「じゃあ、堂々と仕事サボって世界を走り回ってみますかぁっ!」

 

ギュンッ!

 

ガンも笑顔で言い、二人は猛スピードで砂漠を後にする。

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後――――

 

 

 

 

 

「皆の者!準備はいいな!?」

 

司令官は多くの隊員に声をかける。

 

衛兵達は返事をする代わりに敬礼する。

 

「都に突如現れた『黒の組織』……奴等を一掃し、都を救うのだ!」

 

司令官が叫ぶと隊員達の背後にある基地の重厚な扉が開き、衛兵達は都へ走り出していった。

 

「行くぜガン!」

 

「ああ!遅れんなよ!」

 

ギュンッ!!

 

二人は他の隊員達より先に都へ飛び出していった。

 

 

 

 

 

「なっ―――!」

 

「彼」は絶句する。

 

今までに何度も見てきたあの賑やかな大都市が宇宙人のような姿をしている化け物の連中

―――『黒の組織』によって半壊させられていたのだ。

なんとかまだ原型をとどめている大きなビルですら一階が溶けてしまったかのように無くなっており、

黒煙が立ち上っていた。アスファルトの地面も無残に抉られており、高速道路も崩れ落ちていた。

空は禍々しく赤く、空から化け物が―――『黒の組織』が次々と舞い降りてきている。

 

 

「なんだよこれッ……!!」

 

「彼」はギリギリと歯軋りをする。

 

「!!」

 

そんな「彼」を横にガンは一早く周りの異変に気づいた。

 

「おい……来たぞ。」

 

「え!?」

 

ガンが囁くように言うと「彼」も周りを見渡す。

 

二人の周りを――大勢の宇宙人の化け物が囲っていたのだ。

 

二人は背中を合わせる。

 

「へぇ……俺の初任務にこんなに観客が入るとはねぇ……」

 

「余裕こいてる場合か!」

 

にやける「彼」にガンが突っ込む。

 

「行くぜ、一匹も逃すな」

 

「おう!」

 

バッ!!

 

二人は銃を取り出すと瞬時に大きく跳躍する。

 

 

ダンダンダンダンダンダン!!!!

 

そして地上にいる化け物達に乱射する。

 

 

 

「………状況は?」

 

GUNの司令室で司令官が大きなモニターを前に報告に来た隊員に背を向けたまま声をかける。

 

「街はほぼ壊滅状態です!現在、GUNの隊員達が街を全力で守るために奮闘中!」

 

司令官は眉をひそめ、目を閉じる。

衛兵は言葉を続けた。

 

「なお、未確認情報ですが街の中に『黒いハリネズミ』の姿を確認とのこと……」

「シャドウ!」

 

司令官は目を見開くと同時に隊員を振り向く。

黒いハリネズミと言われ思い浮かぶのはあの憎々しいハリネズミしか居なかった。

 

「その黒いハリネズミは発見次第直ちに射殺せよ!!」

 

「し……しかし彼は以前地球を……」

 

「構わん!これは上司命令だ!!」

 

反論しようとした隊員の言葉を遮り司令官は言い放った。

 

その有無を言わさぬ姿に隊員は敬礼し、司令室を走り出ていった。

 

 

 

 

 

 

化け物たちを一掃し終えたガン達は情けなく尻もちをついた。

 

「あ――――つっかれた―――!!」

 

「彼」は叫んだ。

 

「おいおい、まだ終わってないぜ?」

 

ガンは苦笑いしながらも答える。

二人の息は上がっていた。

 

「倒しても倒してもきりがねぇ!なんなんだあいつら!」

 

「彼」は両手を地面につけ真っ赤になった空を見上げる。

そこからまたさらにあの化け物たちが降り注いでくる。

 

「またかよぉッ!」

 

ジャキッ!

 

「伏せろ。」

 

「えっ?」

 

「グレネードフラッシュ!!」

 

ドンッ!!

 

「彼」が聞き返そうとした刹那ガンは空中に光線を放つ。

 

ババババババババババババ!!!

 

 

化け物たちが光線に当たり消えた。

 

「すっげぇ……」

 

そう思いながら「彼」はガンを振り返った。

 

「………ぶっ!!」

 

そしていきなり吹き出す。

 

「どうした?」

 

ガンは訳が分からないような表情で尋ねる。

 

「ガン……!!アンタ……体真っ黒だぜ……!!?」

 

「彼」は必死に笑いをこらえながら言った。

 

その言葉にガンは自分の体を見下ろした。

 

「……ああ、今の銃を撃った反動で砂埃か何かが飛んで付いたんだろうな。」

 

ガンも苦笑いをした。

 

 

 

 

 

 

「ん……?」

 

GUNの隊員は化け物に警戒しながら街を走っていた。

 

「あいつは!?」

 

そして少し離れた場所にいる黒いハリネズミに気がつくと銃を構える。

 

「……間違いない、シャドウだ。悪いが上司命令なんでな。悪く思うなよ!」

 

 

 

 

 

 

「こりゃぁ基地に帰ったらシャワー浴びねぇとな……。」

 

ガンはもう一度自分の体を見渡す。

 

「ホント、別人みたいだ―――」

 

 

 

 

 

 

 

ドォンッ!!!

 

 

 

 

 

 

銃声が響いた。

 

「彼」は何が起きたか理解できなかった。

 

只々、目の前にいる影がゆっくりと倒れていく。

 

「彼」は反射的にその姿を支えた。

 

「ぐ………ッ」

 

「彼」の腕の中でガンは顔を強ばらせる。

 

 

「………なッ!あれは……ガンさん……ッ!?」

 

撃った隊員はその姿の正体に気づくと青ざめた。

 

「ヒ………ッ!!」

 

咄嗟に逃げようとしたが―――化け物達に行く手を阻まれた。

 

 

 

 

 

「う……ゲホッ!!ゲホッ!!」

 

腕の中で苦しそうな表情を見せるガンに「彼」は顔を歪める。

 

「なぁ……俺は夢でも見てるのか……?何で……何でアンタが死にかけているんだ?」

 

「……いや、夢じゃない。ゲホッ!!現実だ……」

 

「彼」は弾丸が飛んできた方を睨んだ。

 

そこに居たのは化け物達に囲まれているGUNの隊員。

 

「なんでだ……!?何で隊員が……!!?」

 

ガンは「彼」の頭を掴み強引にこちらに向かせる。

 

「いいか……よく聞け……ゲホッ!!いくらGUNの隊員と言っても……相手は人間だ……

俺達同様、間違いを……起こすことだってある……」

 

ガンの言葉は途切れ途切れだった。

それから徐に「彼」を指差し問いかける。

 

「………お前の……名前は……何だ………?」

 

息が荒くなってきたガンは必死に尋ねる。

 

 

 

「……………バレット。バレット・ザ・ヘッジホッグ。」

 

「彼」――――バレットは静かに答える。

 

「いいか………銃―――ガンから放たれた弾丸―――バレットの生み出す結果は……二通りあるんだ……一つは……憎しみで誰かを殺す………バッドエンド………」

 

バレットは頬につたう温かい何かを肌で感じながらガンの次の言葉を待った。

 

「もう一つは………誰かを守るための………ハッピーエンドだ……お前は……憎しみに捕らわれた………バッドエンドに………なってはいけない………」

 

 

ガンは持っていた銃――――『ブラームス』を震える手でそっとバレットに渡す。

 

バレットが受け取るとガンの手は力無く地面に落ちた。

 

「………ゲホッ!!」

 

「ガン……!!いや………兄貴!!」

バレットは涙と悲しみで顔がぐちゃぐちゃになりながらも叫んだ。

 

 

 

最期に見たガンの顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた――。

 

 

 

 

 

 

 

「………バレッ…………ト………後は………た………の………む………………ぜ…………」

 

 

 

 

ガンは動かなくなった。

 

 

 

「……………」

 

バレットは静かにその体を地面に寝かせる。

 

 

 

 

そして赤い空を見上げた。

 

 

 

「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

バレットは叫んだ。

心の底から叫んだ。

叫んで、悲しみを空にぶちまけるかのように―――。

 

 

 

 

背後では化け物達がこちらに向かってゆっくりと歩行してくる。

 

 

バレットはゆっくりと立ち上がり大群を振り返る。

 

 

「…………覚悟しろよ……てめぇら全員………まとめて吹っ飛ばしてやる!!!」

 

ジャキッ!

 

ブラームスの銃口に光が集まる。

 

 

 

「グレネードフラッシュ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『黒の組織』が世界から姿を消して一年が経った……。

 

 

 

 

 

「バレット!!どこ行った!?」

 

基地の中に怒声が響く。

 

「どうかしたんスか?」

 

隊員が尋ねる。

 

「バレットを見なかったか!?」

 

「いや……見てないスけど……」

 

「クソッ!またサボリか!!」

 

「またっスか?もう何回目っスかねぇ」

 

「あの日からだ!ガンが殉職してからサボリの回数がますます多くなった!」

 

「相当ショックだったんじゃないスか?事実ガンさんが亡くなってからバレットの様子もおかしかったっスし……」

 

「ったくあの野郎……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見渡す限り広い草原が広がっている…

 

 

 

草原の真ん中で彼は昼寝をしていた。

 

 

太陽が少し眩しい。

だが、そよ風が心地良い。

 

近くで小河が流れている。

水の流れる音が心を静かにする。

 

 

チチチ…

 

小鳥のさえずりが聞こえる。

 

 

 

なんて…平和なんだろう…

 

 

穏やかな表情を浮かべ、バレットは目をつぶりながらそう思っていた。

 

 

 

大きな草が生えているところで、バレットは少しウトウトしていた…

 

 

その時

 

 

「ん…?」

 

空で起きている小さな異変に気づき、バレットはゆっくり目を開ける。

 

 

「…!?」

 

バレットは驚いて体を起こした。

 

少し目を疑った。

バレットの寝ている場所だけ日陰になっている。

 

しかし空に雲は一つもなく、周囲にもその要因となるような物はなかった。

 

「な…なんだこれ…」

バレットは小さく呟いた。

 

 

その時空に気配を感じ、バレットは空を見上げる。

 

 

「違う…シャドウ・ザ・ヘッジホッグじゃない…」

 

どこからか不気味な声が聞こえた。

 

 

「誰だっ!?」

バレットは空を見上げたまま腰のベルトに装着していた拳銃二丁を取り出した。

 

 

「…まあいい、教えてやろう…」

 

シュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ…!!

 

声のする方に禍々しい黒い煙のようなものが集まった。

 

 

鳥達はこの存在に気がついたのか、皆飛び去っていった。

 

 

その煙はだんだん一匹のハリネズミとなった。

 

 

 

 

 

そのハリネズミはゆっくりと地上に降り立つ。

 

 

サクッ…

 

草を踏む音が少し大きく聞こえた。

 

 

「俺の名は…ダーク。ダーク・ザ・ヘッジホッグだ。この世の唯一にして究極の存在…」

 

 

静かな物腰でこそあるが、海の底のように冷たい群青の瞳と漆黒で背中に悪魔のような翼の生えた体を持つハリネズミ――ダークは不敵にそう言い放った。

 

 

「…あんたが俺に何の用だが知らないが…究極の存在だって?ハッ!笑わせるな。悪いが俺にはあんたが究極の存在だなんてちっとも思えないね。」

 

 

チャキッ!

 

バレットはダークに二丁の銃を構えながら言った。

 

 

「…貴様に用は無い…だが、折角だ。俺が究極の存在である証拠を見せてやろう。」

 

ザッザッザッザ…

 

ダークは不気味な微笑みを顔に浮かべながら、「彼」に向かってゆっくり歩き始めた。

 

 

「来るな!」

 

 

ダンッ!ダンッ!!

バレットはダークに銃を撃った。

 

 

 

ビシッ!ビシッ!!

 

 

「なっ…!!」

 

弾は当たったが、ダークは表情一つ変えずに近づいてくる。

 

 

「これならどうだっ!」

 

ジャキッ!

 

 

バレットは一旦銃を下のホルダーに戻し、背中から先程の銃よりも数段威力の高いグレネードランチャーを取り出した。

 

 

「行っけぇ――!!」

 

ドンッ!ドンッ!!ドンッ!!!

 

 

バレットはダークに向かってグレネードを三発撃った。

 

 

 

ドガ――ン!!!

 

 

グレネードはダークに命中し爆発した。

 

 

その衝撃で周りの草が燃えているのが分かる。

しかし、ダークの姿は噴煙で見えない。

 

 

 

シュ~~~ッ…

 

 

煙が大分引いてきた。

 

 

 

 

「…っな!なんだとっ!!?」

 

 

バレットは自らの目を疑った。

 

彼の周囲こそ惨状と化していたものの、ダーク本人は無傷だった。

 

 

 

 

「くっ、くっそぉ――!!」

 

ダッ!!

 

 

バレットは走り出した。

 

 

「俺の足の速さをなめるなよ!!お前なんかに追いつけるものか!!」

 

 

バレットは走りながら振り返った。

 

 

「…っな!?」

 

さっきまでダークが居た場所にダークは居なかった。

 

 

「言っただろう…?この世の絶対にして究極の存在だ…と。」

 

 

「!?」

 

バレットは正面に向き直った。

 

 

そこには片手を「彼」に向けているダークが居た。

 

 

 

「やっ、やばい!!」

 

このスピードだと止まれない!!―――

 

 

ダークの手に紫色の光が集まる。

 

 

 

「…とどめだ。」

 

 

 

ドンッ!!

 

 

ダークの手から黒い閃光が迸った。

 

 

ズガアァッ

「うわああああああっ!!!」

 

バレットはビームに直撃し、空中に投げ出された。

 

 

 

ドザッ!!

 

 

バレットは地面に叩きつけられ、意識を失った。

 

 

「…フン。」

 

蔑むように嘲笑うとダークは姿を消した。

 

 

 

 

 

「…うっ…」

 

 

 

太陽が西へ沈もうとしているとき、「彼」はようやく目を覚ました。

 

 

 

「彼」はよろよろと立ち上がった。

 

「ガッ!!?」

 

全身についた傷が痛み、「彼」は倒れかけた。

 

 

 

 

「…ここは…どこだ…?」

 

 

 

 

 

 

「チッ!」

 

シャドウは舌打ちした。

 

「ハハハッ!!シャドウ、サッキマデノ勢イハドウシタ!?」

 

ダークはこちらに腕を振り下ろしながらも余裕の笑みを浮かべる。

 

状況は悪かった。

さっきから何度も攻撃しているにも関わらずダークの体力は少しも落ちない。

 

「カオススピアッ!!」

 

「ハァッ!!」

 

ドガンッ!!

 

シャドウはダークの拳に光の矢をぶつけるが、勢いは落とせなかった。

 

「クッ!」

 

シャドウは防御態勢に入った。

 

 

 

その時だった―――

 

 

 

「グレネードフラッシュ!!」

 

 

ドォンッ!!

 

 

バチッ!!

 

「!!」

 

ダークの腕に大きな光線がぶつかりダークの腕がずれた。

 

ドガァンッ!!

 

ダークの腕はシャドウにぶつかることなくシャドウの背後にあった大きなビルにぶつかった。

 

「ダレダ!!」

 

ダークは光線が飛んできた方に顔を向けた。

 

 

「ハイ……ク……?」

 

ソニックとシルバーも何が起こったか分からない様子で目の前に立っている姿の名を呼ぶ。

 

 

「………俺は……バレット。ガンから全てを託された弾丸――――バレット・ザ・ヘッジホッグだ!」

 

 

ハイク―――いや、バレットは静かに顔を上げた。

 


 
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