No.490920

恋姫†無双 関羽千里行 序章

Red-xさん

初めまして。れっどと申します。
この作品は恋姫†無双の2次創作となります。
設定としては無印関羽ルートクリア後となっています。
長編はおろかこういった作品を書くのが初めてなのでお見苦しい点は多々ありますが、最後まで書きあげたいと思っておりますので何卒温かい目で見守ってやって下さい。

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2012-10-01 16:30:50 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:9183   閲覧ユーザー数:5211

 

序章 第1話 ―新たなる外史―

 

 

??「ご主人様っ!」

 

 薄れていく意識の中で誰かの呼ぶ声がする。それはどこかで聞いたことのあるよな...

 

??「行かないでください、ご主人様!」

 

 そうだ、それは愛しい人の声。ずっと一緒に過ごしてきた、自分を慕ってくれる声。その声に向かって手を伸ばす。そう、彼女の名は...

 

??「私を...私を一人にしないで...っ!」

 

 

 

 

 

 暖かなまどろみの中で俺は目を覚ました。朝の新鮮な空気と畳のい草の匂いが意識を鮮明にしてくれる。

 

 すぐ隣では幾多の戦を一緒に潜り抜けてきた女の子が穏やかな寝息を立て、それでいて至極幸せそうな表情で眠っていた。毎朝見る光景であっても今のようについつい見入ってしまうものだ。

 

 吸い込まれそうなほど黒くつややかな瞳。

 

 その瞳の色と同じく、まるで黒曜石を溶かし込んだような煌めきを放つ真黒の絹髪。

 

 彼女の名前は姓を関、名を羽、字を雲長。そして真名を愛紗。

 

 外史の世界からこちらの世界に戻ってきてからすでに1年、彼女もこの世界に大分慣れてきていた。それでもやはり都会に行くと様々な機会の音や動きに驚いたり、都会の人が来ている服の露出度に顔を赤くしたりとなかなか可愛い顔を見せてくれるものだ。とはいっても服についてはあの世界の方が過激だったような気もするのだが...

 

 そんなことを考えているとこちらを見つめる視線に気がついた。

 

愛紗「おはようございます、一刀。」

 

 彼女がとても穏やかな笑顔でこちらを見つめていた。

 

一刀「うん、おはよう愛紗。」

 

一刀「それでは...いただきます!」

 

愛紗・一鉄「いただきます。」

 

 愛紗とおじいちゃんと朝食をとるのは毎日の日課である。もっとも、その前にある鍛練という名のしごきも日課になってしまっているのだが。鍛錬でへとへとになったそのあとに朝食を作るのも自分というのはなんという理不尽なのだろうか。

 

一刀「そういえば昨日の試合は凄かったね、愛紗も結構苦戦してたんじゃないの?」

 

愛紗「そうですね、あの日本刀というのはやはり非常に厄介です。あの攻撃の種類の多さには驚きました。模造刀だったからよかったものの、真剣であれば腕の1本くらいは覚悟せねばならなかったかもしれません。」

 

一刀「ああいう武器はあっちにはなかったからなぁ。俺も詳しいわけじゃないんだけど、あの武器はあっちのみたくただ型に流し込んで作るんじゃなくて、たくさん作るのに工程があって、鉄も何度も叩いて鍛え上げるから軽くても凄く強度があるんだよ。」

 

 愛紗は時々おじいちゃんが見つけてくる対戦相手の相手をしている。さすがは三国志において軍神と言われた関羽だけあって今のところ負けたことはない。しかし、事情を知っているおじいちゃんが連れてくるだけあって平和な時代だと言ってもみんな相当の使い手だ。昨日のようにかなりいい試合をする人もいて見ているこっちもどきどきしてしまう。もちろん俺も愛紗に稽古をつけてもらっているがあそこまでの試合はすることはできない。

 

一鉄「ふむ...あれほどの使い手であっても愛紗ちゃんの実力には及ばないか。もうちょっとわしが若ければ愛紗ちゃんをあっと言わせることくらいはできるんじゃが。」

 

愛紗「またまた...いつも朝の鍛錬で本気でかかってこられるのでこちらもいっぱいいっぱいなんですよ、お爺様。」

 

 愛紗ははにかみながらそう答えた。事実、お爺ちゃんは今までの対戦者と比べても一番愛紗に肉薄していると思う。ただ長引くと大きな動きをした時に歳のおかげで腰がやられてしまうのでまだお爺ちゃんが愛紗に勝てたことはない。ただそれを言うとお爺ちゃんとの鍛錬が壮絶なことになるので絶対に口には出せない。お爺ちゃんは愛紗と鍛錬をするようになってからとても愛紗を気に入っており、縁側で将棋やお茶の相手をしている愛紗をよく見かける。愛紗の方もお爺ちゃんのことは好いてくれているようでなによりだ。

 

一鉄「そういえば二人は今日何か予定があるのか?何か支度をしていたようだが。」

 

一刀「ちょっと散歩にね。俺たちがこっちに戻ってきてからちょうど1年たつし、見てこようと思うところがあるんだ。」

 

一鉄「そうか。帰りが遅くなるときは言うんじゃぞ。この辺りはまだ熊が出るからな。」

 

愛紗「その時は今夜の夕飯は熊で鍋にしましょう。」

 

 いや、愛紗が熊くらい倒せるのはわかるけど俺は熊の調理なんてできないぞ...などと笑顔でそういう愛紗に頭の中でツッコミをいれつつ朝食をとり、俺たちは出かけた。

 

 

愛紗「ここが一刀の通っていた学校ですか...なんだがどこかの城のようですね。」

 

一刀「確かに広いけど俺たちがいた城ほど広くはないよ。でも施設はたくさんあるね、プールとか、図書館とか。そういえば歴史の資料館もあったな。」

 

 俺はこの世界を旅立つ前に及川から聞かされた展示品の妄想話の多くが当たっていたことを思い出して苦笑した。

 

 この世界に戻ってきてすぐ、俺は学校を中退した。なのでここに来るのも1年ぶりになるし、中退してしまったので中に入ることはできない。しかし外から眺めるだけでも学校で過ごした平和な日々を思い出すことはできた。ただ、それらの思い出もあっちで過ごした日常を思えば霞んでみえるような気もした。

 

 そうして愛紗に学校の説明や思い出話をしながら学校のまわりを歩いていると、ある地点で足が止まった。

 

一刀「そうそう、ここで俺が逃げる左慈を見つけて追い詰めたと思ったら逆に襲われたんだよな...」

 

愛紗「...っ!?左慈め...天の国でまで一刀に手を出すとは許せん!」

 

一刀「ふ、あははは!」

 

愛紗「一刀!?いきなり笑い出して...私は何かおかしなことを言いましたか?」

 

怪訝そうにする愛紗をおいて俺は1年前と同じやりをしたことを思い出し笑った。すると

 

??「ずいぶん楽しそうだな、どうせならもう1度襲ってやろうか?」

 

 後ろから何やら不穏な気配がした。既に警戒態勢をとっている愛紗がにらむ方向をみると、噂をすれば影とでも言おうか、誰あろう左慈が不敵な笑みを浮かべてこっちを見ていた。しかも服装は出会った時のようにフランチェスカの制服を着ていた。

 

愛紗「おのれ、貴様!何しにここに現れた!本当に一刀を襲うというのなら徒手空拳とはいえど容赦はしないぞ!」

 

左慈「まあ落ち着け。今のは冗談だ。俺にお前らをどうこうする気はない。今のところはな。」

 

一刀「それはどういうことだ?」

 

警戒する愛紗にかわって今度は俺が尋ねた。

 

左慈「話がある。とりあえずここではまずいからどこか別のところへ行くぞ。そうだな、おまえの今の住み家にでもしておくか。」

 

愛紗「何をそんなたわけたことを...」

 

一刀「わかった、そうしよう。」

 

愛紗「一刀!?こいつをお爺様のところにあげるわけには...」

 

一刀「確かにこんなやつを相手にするのにここでは目立ちすぎる。おじいちゃんも事情はわかってくれるだろうから大丈夫さ。それに1年もたった今になって俺たちの前に現れてきたことには何か理由があるはずだ。」

 

愛紗「わかりました...一刀がそういうのであれば。」

 

 しぶしぶ愛紗は俺の判断に従ってくれた。確かにあいつのしてきたことを考えれば警戒するのも仕方がないが、愛紗にも今になって左慈が現れたことに何か思うところがあったのだろう。それになんとなく俺にはこの後の展開が分かる気がしたのでこいつの話を聞かないわけにはいかなかった。

 

 

左慈「単刀直入に言う。お前は外史に帰れ。」

 

左慈は愛紗に向かってそう言った。そう言うだろうと思っていた俺は驚かなかったが、愛紗の方を見ると愛紗も別段驚いているような素振りはなかった。俺はそのまま左慈に訪ねた。

 

一刀「理由を聞こうか。」

 

左慈「ふん、ただ帰れと言ったところで納得はできないか。全く面倒くさい奴だ。」

 

 左慈は心底めんどくさそうな表情をすると話始めた。

 

左慈「お前らみたいな奴にもわかりやすく説明するとだな、関羽、お前がいなくなったせいで外史に異常が発生しているんだ。関羽雲長と言えば正史においても知らない人がいないほどの超有名人だ。そのお前がいなくなったことで、外史から関羽という存在が消え、多くの事象がなくなったり、変化している。普通、そこらへんの一般人ごときが消えたところで大した影響は出ないし、ちょっと能力や権力があるやつが消えたところで、同じくらいの器も持った人間が代わりにすげ代わるだけで問題は起きない。

 

 だが、関羽、おまえは別だ。軍神と謳われたほどのお前の代わりになるやつが、あの外史にはいなかった。武力だけならまだしも、お前は有名すぎたんだ。それも、ただの外史ならば問題はない。外史の間でも道ができることはある。だが、お前たちがいた外史は、正史の人間が1から作り上げた、初めの外史だったのだ。正史の他の人間が、想念を寄せる前のな。その初めの外史からその登場人物が消える。こんなこと、絶対に起こりうることはないはずだったんだ。

 

 そして問題なのは、俺は管理者だしこの世界には影響を与えないようほとんどこっちの世界にはいないが、お前がこっちに来てもう1年になる。お前、こっちの世界の武人の相手をしているだろう。それは別の外史の存在であるお前の存在をこの外史の世界に無理やり書きこむ行為だ。それによって、この外史の中に新たな物語が作られ始めている。北郷、貴様があの世界で長い間暮らしていたようにな。そうなってしまえばもう変更はできなくなってしまう。あの外史を基点として様々な外史が消えることになるぞ。」

 

 左慈が一気に話し終えると関羽は押し黙った。おそらく今の話を飲み込むため、頭の中で整理しているんだろう。それならばと俺は今の話をまとめつつ疑問を投げかけた。

 

一刀「大体の話はわかった。愛紗がいなくなったことで、あっちの世界がなくなりかけてるんだよな。でもそれは愛紗自身が悪いとかってことではないぞ。評判なんて後から勝手についてくるものだしな。試合の方も俺やお爺ちゃんが勝手に始めたことだから気にすることはない。そこで俺から2つ疑問がある。まず1つ、愛紗が戻ると外史が消えるのを防げるんだよな。ならなぜ前の外史を消そうとしていたお前がそんなことをする?」

 

左慈「ふん、確かに俺は前にお前たちがいた外史が壊れることを望んでいた。管理者なんて役目、もううんざりだからな。だがな、こっちにも事情ってものがあるんだよ。」

 

 そこで左慈は言葉を切った。何か言いたくないことでもあるらしい。だがそれはどうやら俺たちに危害のあることではなさそうだ。

 

一刀「なら次の質問だ。ざっくり言うと有名な人物は存在の代えが利かないんだよな。だったら...何で前の世界には劉備玄徳がいなかった?」

 

 愛紗がはっと息をのむ音が聞こえた。こっちの時代にきて、愛紗も正史の方の三国志に触れたのだ。その中で自分が生涯をかけて忠義を尽くした義兄弟がいたことを知った。前の外史では出会わなかったもののやっぱり気にはなったのだろう。かくいう俺も三国志の時代にきて劉備に会わなかったことには違和感があった。それについて、1つ自分の中でも仮説を立てていたのだが...そう考えていると左慈がこちらの心のうちを覗くかのようにそれを口にした。

 

左慈「どうやら何か思うところがあるようだがおそらくお前の考えは間違ってないぞ。そうだ、お前はあの世界で劉備玄徳だったんだ。正確には役割としてだけどな。実際にはあの世界に劉備玄徳という人物は存在していた。お前が来なければ劉備はそのままそこの関羽や張飛と出会い、あの有名な桃園の誓いがあっただろう。いや、もしおまえがあのときあの世界に降りる時期が違ったら、劉備たちと4人で誓いを立てていたかもしれないな。

 

しかし、そうはならなかった。お前は劉備よりも先に関羽と張飛に出会ってしまい、新たな外史の突端が作られた。それにより、お前は存在として劉備としての役目を与えられた。普通ならそれほどの存在の入れ替わりなど起きないがお前が別の外史から来たイレギュラーであったということと、お前の性質と劉備の性質が似ていたことが影響したんだろう。お前の仲間が正史で蜀と呼ばれる陣営に属する者ばかりであったのもそれが理由だ。」

 

 どこかしっくりこないがやはりそうか。しかし、劉備玄徳が存在していたというのは驚いた。俺が劉備になり代わったというのなら劉備は平和に農民でもしていたのだろうか。いや、待て、そんなことよりもっと重要なことがあるんじゃないか...そんなことを考えていると左慈が愛紗に対して口を開いた。

 

左慈「話はわかったか。お前は外史に戻る必要がある。出発は今夜0時だ。小物くらいは持てるから荷物をまとめておけ。ただし外史に大きな影響を与えるようなものは持って行けないぞ。」

 

 そこまで言うと今まで黙っていた愛紗は何かを恐れるように口にした。

 

愛紗「...一刀はどうなる?」

 

愛紗「私は...ご主人様と...一刀と離れたくなかったからあの時手を伸ばした。そうして今一刀と一緒にこの世界で生きていくことができている。でもおまえの話からすれば一刀はイレギュラー...異分子なのだろう?だとするとこれから向かう世界には来ることができない...違うか?異分子である一刀が戻ってくるだけだったならあっちの世界は無事だったのだろう。ならばあの時手を掴んでも掴まなくても私と一刀は離ればなれになるということになる。そんなこと...私の存在する理由となったこの人と、離れ離れになるなんて私は認めない...っ!」

 

 堰を切ったかのように愛紗の感情が爆発した。目には涙さえ浮かべている。そうだ、左慈の話の通りならば外史を正しい方向に導かねばならない...それならば俺というイレギュラーな存在はその邪魔にしかならないはずだ。自分のせいだとかそんなことではなく、愛紗は俺と離れることを恐れていたのだ。もちろん、俺も愛紗と離れるなんて考えられない。

 

 鬱にかかりそうになっている俺を見て心底楽しそうに左慈が言った。

 

左慈「離れたくないのか?」 

 

一刀・愛紗「当たり前だ!」

 

 二人が声をそろえて叫んだ。それほど、自分たちの心は通じ合っているのだ。それを聞いた左慈はあらかじめそれを用意していたかのように答えた。

 

左慈「方法ならなくもない。」

刀「それはいったいどんな方法なんだ?!」

 

 余裕のない俺を見るのは左慈にとってこの上なく楽しいらしい。左慈はにやりと笑ってこういった。

 

左慈「さっきも言ったがお前は前の外史で劉備玄徳という役割を担っていた。1度それができたんだ。ならば北郷一刀。お前がもう一度劉備の役割を取って天下を統一するんだ。簡単な話だろう?」

 

 なんだ、そういうことか。確かに簡単な話ではあったがどう考えても簡単ではない。またあの大陸を最初から統一しろということだからだ。だがやるしかない。それが俺と愛紗が一緒に生きていくための条件であるならば。

 

 愛紗の方を見るとどうやら愛紗も覚悟はできたようだ。二人で、また仲間を集めて大陸を統一する。その途方もない工程も愛紗と一緒ならば乗り越えることができると感じた。

 

左慈「どうやら方針は固まったようだな。二人も外史に送り込むなんて面倒なんだが。いいか、あの外史において大陸の統一というのはもっとも重要な事象だ。ゲームに例えたらあれがシナリオのエンディングだな。エンディングさえ迎えてしまえば細かな違いであるサブイベントなど外史では問題にはならない。お前たちが主人公で失敗した時は当然ゲームオーバー、どうなるかわからないぞ。本当にいいんだな。」

 

一刀・愛紗「もちろんだ。」

 

また二人声をそろえてそういった。一度は沈んだ心も今はすっかりやる気に満ちている。

 

左慈「なら今夜0時、二人でまたあそこに来い。」

 

 それだけ言うと左慈は音もなくその場から消えていった。二人ともしばらく口をつぐんでいたがやがて愛紗が口を開いた。

 

愛紗「お爺様にお別れを言わねばなりませんね。」

 

 

―現代編epsode1―

 

※この物語は恋姫無双(無印)の関羽ルートクリア後の続きからです。ただし、関羽と2人だけの外史というわけではなく、一刀の世界(外史)にやってきたということに設定が変更されています。関羽と戻ってきたという意味では別新たなの外史とも言える。また、管理者の道云々の下りから一刀君が正史の人間であることも考えれられますがここでは外史の人間ということにさせてもらいます。(二人しかいない世界というのは本編でも推測だったようなのでこのように注釈をつけさせてもらいました。)

 

 外史の世界から帰ってきて、これからの具体的な方針を考えた時、まず考えたのは愛紗を家族にどう説明したかというものだった。当然戸籍もなどないし、いきなり女の子を住まわせてくれなどと言ったら母親など卒倒するだろう。あの餓えた獣の巣窟である男子寮にこのまま連れていくなどもっての外だ。ましてやその彼女が自分のことを「ご主人様」などと呼ぶのだからどこに連れて行ってもいらぬ誤解を受けるのは目に見えている。いや、唯一俺の話を信じてくれて、助け舟を出してくれそうな人に心当たりがあるが...

 

愛紗「えーと、ここはご主人様の世界なのでしょうか?」

 

 彼女の声にハッとし、一番混乱しているのはまず彼女であろうと気づく。

 

一刀「そうみたいだね、どうやらここは俺が初めて左慈に襲われて愛紗の世界に飛ばされたところみたいだ。」

 

愛紗「...っ!?左慈め...天の国でまでご主人様に手を出すとは許せん!」

 

 自分のために怒ってくれる愛紗に嬉しく思いつつも俺は今後の方針についておおざっぱにまとめて彼女に伝えた。

 

一刀「愛紗聞いてくれ。ここが俺の世界ならもうすぐみんな起きてくる時間だ。俺はこの世界の制服だからいいけど愛紗の格好は目立ちすぎる。すぐに移動するぞ。愛紗のことを助けてくれそうな人に心当たりがあるんだ。」

 

愛紗「それは誰のことなのでしょうか、ご主人様?」

 

一刀「俺のおじいちゃんさ。それと愛紗、この世界にいる間は『ご主人様』じゃなくて俺を名前で呼んでくれないか?」

 

愛紗「ええ!?わわ、私がご主人様を名前で!?(そ、そんな、嬉しいこと...)」

 

 どうやら愛紗にとって俺を名前で呼ぶことには相当の抵抗があるらしい。なぜか顔を赤くしたり、何かぼそぼそと呟いている。

 

一刀「とにかくまずは移動しよう。今何時だろう...もうすぐ電車の始発ぐらいの時間だと思うけど...ある程度見られてしまうのは仕方がないか。というより愛紗は電車に乗ったこと無いんだよな...あれ、そもそもお金があったっけ...」

 

 どうやら俺も相当にテンパっているようだ。そんな俺を見て冷静さを取り戻したのか、愛紗が手を握ってきた。

 

愛紗「大丈夫です。二人一緒ならきっとなんとかなりますよ、...か、一刀。」

 

一刀「お、おう。そうだな...」

 

 赤くなりながらそう口にした彼女があまりに可愛かったので、ついつい俺も赤くなってしまった。

 

握っていた手にさらに力を込める。

 

もう2度と離れないように。

 

 これから二人の新しい物語を作っていくんだ。

 

 愛紗に言われた言葉を思い出しながら俺たちは歩きだした。

 

...その後、道中のあらゆるものを見て驚いたり、威圧したり、襲いかかったりしそうになる愛紗をなだめながら、俺たちはなんとか一刀の祖父の家にたどり着いた。

 

―あとがき―

 

初投稿です!見て下さった方は本当にありがとうございました。文才などかけらもない私ですが、なんとかこの物語の終端は迎えたいと思っていますのでお付き合い願えると嬉しいです。

 

この話は恋姫無双の初作の関羽ルート後からの話になります。元になっているのは無印ですが真の方からもキャラクターが出てくるので両者の間をとったような作品になるかと思います。時間がたった今更なんで?という点に関しては萌を遊んだのが今年になってからということで、それを受けて書こう書こうと思っていたらこんなに時間が経ってしまいました。ちなみにこの作品は無印で描かれなかったここはこういうことなんじゃ?という妄想と、某萌将伝であいしゃああああ!となっていた私の欲求不満で作られています。こんな身勝手な作品ですが、見ていただけると嬉しいです。

 

初投稿なのでお見苦しい点や至らない点が多々ありますが、なるべく読んでいただく皆様が楽しめるような作品にしたいと思っていますので、ご指摘・ご指導のほどよろしくお願いします。

 

 

 
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