No.486553

魔法少女リリカルなのはmemories 第五章 ベルカ時代の記憶(メモリー) 第六十九話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-09-20 20:56:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1709   閲覧ユーザー数:1662

「誰ですか?」

 

 フィルノと一緒に聖王の末裔であるナノハを待っていると、突然ドアをノックする音が聞こえてくる。

 カリムはノックしてきた人物に対して、誰なのかという事を問うのであった。

 

「フィルノ、言われた通り来たけが」

「あぁ、やっと来たか。中に入ってきてくれ」

 

 だがそのノックした人物はカリムに対してではなくてカリムと一緒に居るだろうと思ったフィルノに向かって言うのであった。

 カリムはノックしてきた人物の声を聞いて、どこかで聞いたことがある声だと思い、その答えはドアを開いたときにすぐに理解するのであった。

 そしてフィルノの言葉によってドアの先に居た人物、ナノハはドアを開いて中に入ってくるのであった。

 またドアが開いたと同時にその人物の顔を見たカリムは驚きを隠せないでいた。

 

「ど、どうしてあなたが!?」

「……やっぱり、そういう反応をしてくるか」

 

 実は聖王教会に来るまでフィルノがカリムが居る部屋に居るとは聞いておらず、聖王教会に来てフィルノの居場所を聞いたらカリムが居る部屋に居ると言われたので、カリムが今の自分を見たら驚くだろうと思っていたナノハは予想通りのカリムの驚に対してなぜかため息を吐くのであった。

 それからナノハは驚いているカリムを無視してフィルノの方へ向ける。

 

「それでフィルノ、ここに来たのは構わないが、どうやって私を聖王の末裔だと説明するつもりなんだ?」

「その件については一応こっちで考えがある。本当の事を言えばシルヴェルンの末裔の姉妹を連れて来れば手っ取り早いとは思ったが、彼女たち来れば混乱する可能性もあったので君だけに来てもらった」

「私が聞いた答えにはなってないと思うのだが。まぁ、今の騎士甲冑を見れば分かるかもしれないと最初は思ったが、それは知っているだろうと思うし。ティルヴィングを出せばいいとも考えたが、ティルヴィングの正体を聖王教会が知っているかどうか……」

「……一応ティルヴィングの事については知ってるわ。聖王教会は表にはその情報を流していないし一部しか知らないのだけど、聖王オリヴィエ様が昔使っていた剣であると」

 

 ナノハがどのように証明すればいいのか考えていると、先ほどまで驚いていたカリムが落ち着いたようで、ナノハに向けてそう伝えるのであった。

 それを聞いたナノハは手っ取り早いと思い、簡単に証明できるだろうとおもったのですぐに行動に出ようとする。

 

「じゃあ、私がそのティルヴィングを見せれば良いか?」

「……いや、そこまでする必要もないわ。外の聖王教会の人を黙らせたという事は彼らにも証明したという事でしょ」

「まぁ、確かにその通りで私としても楽だから構わないが」

 

 実ははやてに会う前、ナノハは聖王教会の人間たちに自分が聖王の末裔だと証明するために聖王教会の司祭に会って彼にティルヴィングが本物だと見せたのである。それからナノハの魔力が聖王の魔力……この場合はクローンであるヴィヴィオの魔力とかなり似ている事から聖王の末裔だと信じてもらえたのである。

 なのはの頃は自分たちがオリヴィエの子孫だと気づかれないようにしていたので、魔力を調べても出てこなかったのだが、聖王の力を持っているナノハには魔力を一部見せただけで気づかれてしまうのであった。だからカリムはそれを確認せずとも平気だと言っていたのだ。

 

「それでフィルノ、私が聖王オリヴィエ様の末裔だと聖王教会に教えてけど、その後は何かあるのか?」

「先ほどナノハが来る前にもし本当に聖王の末裔だったら聖王教会が中立の立場を取ると言っていたからな。後話すとしたらあれくらいだな」

「……あぁ、確かにヴィヴィオとアインハルトの二人は何とかしたけど、イクスヴェリアに関しては聖王教会に何とかしてもらいたかったからな」

「それはどういう事ですか?」

 

 カリムはフィルノとナノハの会話を聞いていて、どういうことなのか気になっていた。

 どうして今イクスヴェリアの名前が出てきて、それと管理局がなにか関係するのかと思っていた。

 そんなカリムにナノハは正直に答えることにした。先ほど自分がヴィヴィオとアインハルトを誘拐するためにフェイトと戦い、勝利して二人を連れて行ったっていう事を。

 

「ど、どうしてそんな事を!?」

「それは二人が管理局に利用されないためにだよ。今の私に対抗するために二人を利用されたら個人的に嫌だったし、フェイトに守っているとしても毎日一緒に居られるわけではないもない。もしその間に何かある可能性も考えられたら安全なために私が先ほど行動したの」

「……ようするに、もし管理局がイクスヴェリアで何か言ってきたとしても絶対に引き渡さないようにすればいいという事ですか?」

「そういう事だ。この件に関しては聖王教会としても阻止しなければならないだろうと思うが」

 

 確かにフィルノの言うとおりだった。ナノハが聖王の末裔だと分かっているのならば多数で対抗したとしても多分管理局に勝ち目はないだろうとはカリムも思ったし、もしかしたらヴィヴィオなどを利用する可能性だって考えられた。ナノハやはやてが来る前にフィルノから管理局が裏でやっている事をすべて読ませて貰っているため、そのような事をしてくる可能性は考えられた。

 ちなみに、そんな情報を知っても聖王教会が中立の立場にしたのかと言えば、別に管理局のすべてが悪いとは思っていないからであり、さらに言えば無暗に争いをする必要はないと思ったからだ。多分聖王教会がナノハ側に加わったりしてもそれほど影響はなさそうであったし、逆に邪魔になる可能性だって考えられた。

 だからこそ中立という立場を聖王教会は取ったのである。もちろんナノハが本当に聖王の末裔ではなかったら敵対するつもりではいたが。

 

「確かに、フィルノ・オルデルタから先ほどの情報を貰っていたから、管理局には気を付けるつもり」

「ならよかった。それじゃあそろそろ俺たちは話すことも無くなったし帰るとしますか」

 

 最後にカリムからそれを確認できたフィルノは一度ナノハに視線を送り、ナノハもフィルノの後に付いて行くかのように部屋を後にすることにした。

 そして二人は聖王教会の入り口近くまでお互いに無言のまま歩いて行くと、そこでフィルノが転移魔法を使ってディメルニアへと帰還するのであった。


 
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