No.485797

咲-saki-月宮編 第17局 不運

白昼夢さん

---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---

2012-09-18 21:24:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:554   閲覧ユーザー数:547

途中経過・中堅戦 前半戦終了時

 

2年 凪原 茜(吾野)   116800点

2年 折原 泉 (月宮女子) 108600点

2年 堂寺 秋 (越谷女子) 96600点

2年 臼井 有紗(名細)   78000点

 

『さて!もうまもなく埼玉県地区大会決勝、中堅戦後半戦開始時刻になります!』

『前半の月宮女子、折原選手の活躍には目を見張るものがありましたね』

『そうですね、初出場ながらこの面子相手にトップの成績で前半戦を終えています、いやー素晴らしい!っと選手の方が揃いましたね!それでは中堅戦後半戦、開始します!』

 

 

第17局 不運

 

東家 2年 凪原 茜 (吾野)

南家 2年 臼井 有紗 (名細)

西家 2年 折原 泉 (月宮女子)

北家 2年 堂寺 秋 (越谷女子)

 

東4局 親・堂寺 秋

 

11順目、越谷女子、堂寺秋のツモ番。

『自漠!門清ツモ赤、8000オール!』

9索を卓に叩き、手牌を倒す。東4局、秋が門清を和了した。

 

『おおっと!越谷女子、堂寺選手!清一色を和了!、門前自漠赤1で倍満です!』

『各校聴牌には気づいていたようですが、仕上がるのが早く対処することが出来ませんでしたね、この和了で越谷女子、逆転トップです』

 

東4局・一本場 親・堂寺 秋

 

『ロン、七対子ドラドラ、6400の一本場は6700です』

次局、和了したのは名細高校の臼井有紗、放銃したのは泉である、待ちは場に2枚切れてる西での地獄単騎だった。

『はい』

(2枚切れの西待ち…運がなかったなあ)

 

南1局 親・凪原 茜

 

(点差を詰めたい所だが…なかなか攻めにいける手がこないなあ)

後半戦の泉は中々に苦戦しているようだった。しかし9順目にして聴牌する。

 

泉の手牌

 

二二二三四五⑦⑧⑨23南北ツモ北 ドラ1

 

ドラも役も無い手、両面ではあるのでとりあえず立直して吾野の親を蹴ろうと南を手に取る。

 

『立直』

『ロン』

(吾野…張ってたのか…)

『なっ……!』

振り込んでしまった、そして倒された手牌を見て愕然とする。思わず声が出てしまうほどだ。それは…

 

茜の手牌

 

一一一七七七444南發發發

 

『四暗刻単騎、48000!大会で役満なんて始めて和了ったよー』

和了した茜はにこっと笑う。

 

『おおーっとー!役満、役満だあぁー!吾野高校、凪原選手!四暗刻単騎を和了ー!振り込んでしまったのは月宮高校、折原選手、ここでこの失点は痛すぎるぞー!』

『これは折原選手、運の無い放銃になってしまいましたね、ギリギリまで南を抱えてしまったことが悔やまれます』

『そしてこの和了で吾野高校、またもトップに躍り出る!越谷女子に一歩も譲りません!』

 

南1局・一本場 親・凪原 茜

 

(こんなタイミングで…いや、悔やんでも仕方ない!ちょっとでも取り返さないと!)

『ポン!』

一巡目、いきなり發を鳴く。

『ポン!』

立て続けに2萬も鳴く。そして聴牌

泉の手牌

 

六六六八八西西  二二〔鳴二〕 發〔鳴發〕發 ドラ⑥

 

聴牌して4順後、8萬をツモってきた。

『自漠!發混一対々、2100・4100』

(西なら跳満だったんだが…この際贅沢は言ってられないな)

 

『月宮女子、折原選手、自漠です!満貫の和了で他校を追い上げようとしています!』

『あの振込みの後からでも気持ちをしっかり切り替えて打ててますね』

 

南2局 親・臼井 有紗

 

『立直』

14順、親の有紗から、立直が入る。

(くっ、追いつかれたか)

立直はしていないが、泉も張っていた。

泉の手牌

 

四四六七八⑥⑦⑧23478 ドラ6

 

ヤミピンフ、だが6索が出れば断ヤオ三色ドラが付いて満貫の手だ。ここまでに2度ほど9索の出和了りを見逃している。

(欲張りすぎたか、これ以上の失点は避けたいが…!)

同順、泉のツモ、9索。

『自漠、ピンヅモのみ、400・700』

(ここで安めの自漠…流れがないなあ、まあ立直をかわせただけでもよしとするしかないか)

 

『自漠です!またも月宮女子、折原選手の自漠!親である臼井選手の立直を華麗にかわしての和了りです!』

『親リーを潰せたのは良かったですが、6索ツモなら跳満だっただけに、ちょっと惜しかったですね』

 

南3局 親・折原 泉

 

『立直』

1順目、秋からのダブル立直が入ってしまう。

(うん、無理!)

トップの吾野、茜はとりあえず手牌の対子の北を落とす。

(ここに来て、ダブル立直ですか…)

名細の有紗も、諦めたように暗刻の南を切り落とす。

(最後の親番だってのに…参ったなあ、とりあえず安牌)

先ほど茜が切った北をツモってきて、それをそのまま切る。

『引きつよいわー、自漠!ダブリー平和一発ツモ赤、3000・6000!』

赤5萬をツモり、和了する秋。

(跳満親かぶりか…最悪の展開だなあ)

 

『おおっと!越谷女子、堂寺選手!ダブリー一発ツモで跳満です!これでトップの吾野との差を19200点差に詰めました!』

『自分の親番を控えたラス前にしてこの和了りは越谷女子、堂寺選手には中々にいい展開ではないでしょうか』

 

 

オーラス 親・堂寺 秋

 

7順、泉が自身のツモ牌を引いてくる

(終わっちゃったか、しかしこれ以上はないよな…悔しいけど、仕方ない)

和了してしまえば中堅戦は終了してしまう、が、これ以上稼ぐのは厳しいと考え、泉はそのまま手牌を倒す。

『自漠!1000・2000』

 

『中堅戦、終了ー!!中堅戦後半戦は役満も出るという壮絶な打ち合いになりました!そして結果はこうなりました!』

 

途中経過・中堅戦 後半戦終了時

 

2年 凪原 茜(吾野)   144300点

2年 堂寺 秋 (越谷女子) 124100点

2年 臼井 有紗(名細)   80900点

2年 折原 泉 (月宮女子) 50700点

 

『壮絶な打ち合いを制したのは吾野高校、凪原選手!一方、終始安定した打ち筋が光る月宮高校、折原選手でしたが、吾野の凪原選手の四暗刻単騎を直撃、親番での跳被りで最下位に転落してしまいました、後半戦は厳しい展開になってしまいましたね』

『そうですね、目立った落ち度がないのですが、今回は他家の手の仕上がりが早く、終始厳しい展開を強いられていました』

『月宮高校は副将以降の選手の追い上げに期待です!それでは30分のインターバルを持ちまして副将戦の方を…』

 

---月宮女子控え室

 

『ごめんなあ、取り返す所か、差、広げられちゃったよ、不甲斐なくてごめん』

『いやいや、あれはいずみんのせいじゃないってーあの役満なければ二位でプラスだし、あんなの事故事故!』

『対局見てたけど、あの展開では誰がやっても厳しいです、それでも泉姉は役満の後でもきっちり気持ち切り替えて全然よくやれてると思います』

『ツイてなかったわねー泉ちゃん、親番は2回とも大物手をツモられちゃったしねー』

『そ、そうですよ!越谷の人のツモもありましたし、仕方ないですっ』

謝る泉に気にするなとフォローする一同、対局を見ている全員が泉のせいでは無いことを分かっているから尚更だった。

『さあーって、じゃあ次は私ね!可愛い後輩達の為に今日はちょっとホンキだしちゃおうかしらっ』

『すまないね、部長、いい状況でバトンを渡せないで、頑張って』

『はいっ、部長、頑張ってくださいっ!』

『部長、本気を出してくれるのは嬉しいのですが、出来れば今日に限らず毎日出してください』

『ぶちょーがんばー、一位で戻ってきたらかなっちがキスしてくれるってさっ!』

『えっ!本当!羽衣おねえちゃんがんばっちゃう!』

『そんな約束した覚えないんですが』

突然謎の契約が成された事に不満を言う華南。うふふーと微笑みながら部屋を後にする羽衣。

 

---吾野高校控え室

 

中堅戦を茜がトップで終わらせた吾野、茶菓子を食べながら談笑していた。

『四暗刻単騎とか、生まれて初めて和了したよー』

『月宮の折原に直撃で和了できたのはでかかったな、あれが響いたのか後半は失速していたようにみえたし』

『そうですねー、あれ…この人?』

ふと雛姫がスクリーンを見て何かに気づき言う。スクリーンには副将戦の選手の名前と得点状況、対局室の様子が写っている。

『ん、どうかした?』

『月宮の人、この人確か…』

『『…!!』』

『2年前のインターハイを最後に、公式戦に姿を見せないと思ったら、こんな所にいたのか…』

 

 

---越谷女子控え室

 

越谷女子控え室、副将の選手が既に退出し、そこには4人。

『馬鹿な!なんでここに…!』

小野崎樹がスクリーンに表示された名前を見て絶句する。

『高天原…羽衣!』

『名門白糸台の副将…ナンバー2がなんでこんな所に…』

『月宮の副将、そんなすごい人なんですか?』

2年の河野蘭子は先輩達の突然の慌てように思わずそう聞いて見る。

『高天原羽衣、西東京の名門、全国ランキング2位、白糸台高校の、かつての準エースだ』

搾り出すように、樹がそう言った…。

 

 

---対局室

 

羽衣が到着すると、既に他の選手は全員席についていた。

『えー、西家、かしら?よろしくおねがいしますねー』

『あ、よろしくー』

名細の選手が気づき挨拶をする。それに気づき越谷と吾野の選手も視線を向ける。

(嘘…なんで…)

『よ、よろしくおねがいします…』

血の気の引いたような顔で、越谷の選手は挨拶を返す。肩は小刻みに震えていた。

(高天原羽衣…”天衣無縫”の二つ名を持つ、白糸台のかつての準エース…)

『宜しく』

品定めするように羽衣を見て、それから宜しくと返す吾野の選手、ふと横を見ると越谷の選手が震えていた。

(越谷の、怯えているのか?確か越谷は2年前に白糸台のこの選手と相対している筈だ、それほどまでの選手だというのか…?)

全員が席に付き、いよいよ副将戦が始まる。

 

東家 3年 宮前(みやまえ) 里子(りこ) (越谷女子)

南家 3年 柏原(かしわばら) 春奈(はるな) (名細)

西家 3年 高天原 羽衣 (月宮女子)

北家 3年 双柳(なみやなぎ) 詩音(しおん) (吾野)

 

 

『それでは各選手出揃いました!それでは埼玉地区予選、団体戦決勝、副将戦!スタートです!』


 
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