No.481013

ぬこの魔法生活 第32話

pluetさん

A's編

2012-09-07 21:09:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3781   閲覧ユーザー数:3452

 

 ◆ 第32話 八神家訪問 ◆

 

 

 

 前回の料理(毒物)を食べてから、美由希さんの作ってくれるごはんが食べられるようになりました。

 どうも、食べ物のありがたさを改めて痛感したぬこです。

 

 そんなこんなで日曜日になったわけでありまして、現在 ぬこはご主人とユーノを引き連れて八神家までやって来ています。

 とりあえず、まだ闇の書とかの話はしてないです。先入観なしではやて嬢やシグナムさん達に会ってもらいたいんで。

 ま、ご主人は知ったとしても変わらずにいてくれるとは思いますけどね。

 

 (あっ、ご主人ここですよ)

 「うん、ありがと。ユーノ君、手がふさがってるからインターホン押してくれる?」

 「分かった」

 

 

    ピンポーン

 

 

 極一般的なインターホンの音が鳴り響き、しばらくするとマイクのところからはやて嬢の声が聞こえてきた。

 

 「はーい、どちらさんですかー?」

 「あ、あの、私、高町なのはと言います! みぃ君に連れて来てもらったんですけど……」

 「合言葉をお願いします(キリッ」

 「えっ? み、みぃ君! どういうことなのっ!?」

 (あーなんというか、こういうの大好きな娘なんで……)

 

 どう考えても以前遊びに行った時にはなかった件。

 

 「ちなみに合言葉の最後は決めポーズで」

 「え、えぇーーーーッ!?」

 「……それって僕らもやるのかな?」

 (やらせない理由がないと思われる)

 

 というか、なんとなく合言葉が想像できるこの灰色脳細胞が憎い。

 

 「んじゃ、いくでー」

 「み、みぃ君! 私、合言葉なんて知らないよ!?」

 (あぁ、そっちは大丈夫なんでポーズでも考えておいてください)

 「や、やらなきゃダメなの……?」

 (まぁ、どうせ中からこっちの事も見てるんでしょうし……)

 「う、うぅ~~」

 「なのは……」

 

 ご主人は頭を抱え始めた。

 それにしてもはやて嬢自重しねーな。端っからクライマックスすぎるだろ。

 というか、ぬこもポーズどうしよう。荒ぶる鷹のポーズでいいのかしらん?

 それにしてもこのぬこ実に乗り気である。自分で言うこっちゃないけども。

 

 

 「片手に」 (ピストル)

 「心に」  (花束)

 「唇に」  (火の酒)

 

 

 (ごしゅじーん、次ですよー)

 「え? も、もう!?」

 

 「背中に」

 (人生をッ!)  シャキーンッ!!

 

 

 

 

 

 

 「うん、オッケーや。入ってもええよー」

 (だそうです)

 「はぅ、恥ずかしかったぁ……」

 「あはは、そんなこといいながらノリノリだったじゃない」

 「そういうユーノ君だって! わざわざ人間の姿になってやってたじゃない!」

 「だ、だって……あっちの姿だったらポーズなんてとれないじゃないか」

 「みぃくんはとってたもん!」

 

 後ろの方で二人してギャーギャー言い合っている。

 ちなみにご主人たちがどんなポーズだったかはご想像にお任せします。

 

 「まぁ、合言葉なんて言わなくても、最初から開いてるんやけどね」

 

 がちゃりと玄関を開けながらはやて嬢が顔を出してくる。

 まあ、そんな気はしてましたが、あの二人には黙っておこう。

 主にご主人の名誉とか、羞恥心のために。

 

 「ま、改めていらっしゃい」

 (お邪魔しますよっと。ごしゅじーん、入らないんですかー?)

 「あ、今行くよ!」

 

 

 まぁ、こんなgdgdな感じで二人は出会ったのであった。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 中に入るとはやて嬢とシグナムさん、それにヴィータ嬢が迎えてくれた。

 とりあえず、玄関で自己紹介なのである。

 

 「えっと、こんにちは。なのはちゃんで、ええんかな?」

 「うん。私もはやてちゃんって呼ぶね! こっちはユーノ君」

 「ユーノ・スクライアです」

 「あれ? ユーノ君っていうのはフェレットってみぃ君に聞いとったけど……」

 (普段はフェレットとしてウチの家族を騙してるんです。そして、夜な夜な……)

 「ち、違うっ! 人聞きの悪いこと言わないでよ!」

 「あはは、あっ、こっちもちゃんと紹介せんとあかんな」

 

 はやて嬢が後ろに控えていたシグナムさんに促す。

 

 「シグナムだ。よろしく頼む」

 「はい、よろしくお願いしますね」 

 「んで、こっちが……って、ヴィータ、そんなとこにおったら紹介できんやろ?」

 

 はやて嬢に言われて、ぶすっとしたままこちらを睨みながら挨拶をするヴィータ嬢。

 

 「……ヴィータ」

 「うん、よろしくね。ヴィータちゃん」

 

 なんだかまだ納得いってないみたいですな。

 だが、そんなことは既に読みきっています! 対策はばっちりだぜ!

 

 (ご主人、例の(ブツ)を…)

 「(ブツ)って言わないでよ……あの、ヴィータちゃん?」

 「……なんだよ」

 「これ、みぃ君からヴィータちゃんが楽しみにしてるって聞いたからお土産なんだけど……」

 「あっ……これは……」

 

 入場! 秘密兵器の入場です!

 我らが翠屋におけるリーサルウエポン、シュークリームである!

 

 「あ、翠屋のシュークリームやん。ええの?」

 「うん、お母さんがお友達に持って行ってあげなさいって」

 「………と…」

 「えっ?」

 「ありがとって言ってんだよ!」

 「ふふ、どういたしまして!」

 「んじゃ、それシャマルに渡してきてくれる?」

 「うん、分かった」

 

 ぬはは、計画通りなのだ。

 あの時結局納得いってなさそうだったから物で釣ってみました。

 そんな餌であたしが釣られクマー

 

 「主、そろそろ中で……」

 「あ、そやね。ごめんな気がきかんで」

 「ううん、大丈夫だよ」

 「お邪魔します」

 

 とりあえず、中でお茶をしながらお話をすることに。

 あ、シグナムさんにご主人にまだ闇の書のこと伝えてないって言わなきゃな。

 

 (シグナムさん、シグナムさん)

 (む、なんだ?)

 (うちのご主人にはまだ闇の書のこと伝えてないんで……今日、話そうと思います)

 (そうか……)

 

 シグナムさんは難しそうな顔をしている。

 まぁ、そんな顔をするのもしょうがないやね。

 

 

 でも、まぁ―――

 

 (大丈夫です。うちのご主人を甘く見ないでくださいよ?)

 (何?)

 (ご主人は高々ロストロギア程度で態度を変えるような娘じゃないです。友達を助けるためなら、ウチのご主人は最強ですよ)

 (……そうか、信頼しているのだな)

 (そりゃ勿論。そちらさんの信頼関係にも負けないと自負していますよ)

 (フフ、そうか)

 

 などと言いながら互いの主の後を追う二人なのであった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 「ちょう、お茶淹れて来ようと思うんやけど、何がいい?」

 「えと、私は何でもいいよ?」

 「僕も皆と一緒のでいいよ」

 「ん、それじゃあ紅茶にするな」

 「あ、はやてちゃん。私もお手伝いします」

 

 シャマルさんがはやて嬢を手伝いに行ったので、とりあえず先にザフィーラさんを紹介してもらうことに。

 

 「ザフィーラだ」

 「わ、アルフさんみたいだね」

 「はやての使い魔なんですか?」

 「使い魔ではない守護獣だ」

 『……?』

 (前から思ってたんですけど、使い魔と何が違うので?)

 「む……」

 

 ……。

 アレ? もしかして触れちゃいけないことだった?

 

 「そーいえば何が違うんだろうな」

 「おい、ヴィータ(小声」

 「え、えと、大丈夫です! その、かっこいいと思います!」

 「なのは……それはフォローなの?」

 (……とりあえず、騎士の動物みたいな意味合いって事なんじゃないんですか?)

 「! そ、その通りだ」

 「……どもってんじゃねーか」

 

 まさかの追い討ち。

 汚いな、さすがヴィータ嬢汚い。

 

 (ヴィータ嬢、せっかくのフォローが台無し……)

 「うっさい。大体そのヴィータ嬢ってのやめろよ!」

 (む、ダメですか?)

 

 首を傾げながら聞いてみる。

 久しぶりに見るポを使ってみるテスト。

 

 「うっ……だ、ダメだっ! ……そんなのガキっぽいじゃねーか!」

 

 ぬこの見るポのこうげき!

 どうやら効果はいまいちのようだ……

 ガキっぽいとか言われても見た目 完全に幼女ですがな。

 言ったら、ぶっ叩かれそうですけども。

 

 (むぅ、んじゃどう呼べば?)

 「普通にヴィータでいい」

 (りょーかいです)

 

 まぁ、確かに見た目こんなでもぬこの中の人よりずっと年上かもしれないしね。

 

 「それで、ホントにあの高町にゃの、なぬ……?」

 (なのはです)

 「ぐぬぬ、言いにくいんだよっ!」

 (知らんがな)

 「とにかくっ!あいつは、信頼できるんだろーな」

 

 なんかそれだけ聞くと、ぬこはすでに信頼されてるように聞こえる件。

 実際どうなんだろうね? ぬこって信用されてんの?

 

 (それはもう。というか、ヴィータだってうすうす分かってるんじゃないんですか?)

 

 シュークリーム云々以前に、そもそも、ご主人のニコポに抗える奴なんて早々いないのであるよ。

 

 「ふ、ふんっ、まだ分かんねーよ」

 (さいですか。まぁ、ゆっくり見定めるといいですよ)

 

 結果はすでに見えてますけどねー。

 いずれ、ヴィータはご主人にデレデレになる。たぶんね。

 

 「持って来たよー」

 「あ、はやてちゃん、私も持つよ」

 「ええから、ええから。なのはちゃんはお客さんなんやし、ゆっくりしとって」

 「はい、みぃちゃんのはここに置いておきますね」

 (ありがとうございます、シャマルさん。お茶請けはシュークリームと……クッキー?)

 

 ウチからはシュークリームしか持って来てないから、はやて嬢のところのか?

 

 「あれ? シャマル、こんなクッキーあったっけ?」

 「はいっ! 昨日皆が買い物に行ってるうちに私g『クッキーに手をつけるなッ!!』」

 『ふぇっ!?』

 

 シャマルさんを除く騎士とぬこの声が重なった。

 あばば、えらいこっちゃ!

 

 「シャマル……お前はまだ懲りてなかったのか!」

 「どうやら折檻が足りなかったようだな…」

 「こ、今回は大丈夫! ちゃんと味見もしたし!」

 「前回も味見してただろう!」

 「あかん……あかんよシャマルいくらなんでもそれだけはダメや食べられんって無理無理無理無理無理ムリムリムリmurimuri」

 「お、おい! はやてが、はやてが!!」

 

 壊れたラジオのように無理無理とか言ってるはやて嬢。

 トラウマスイッチが入ったようですね。

 

 (うむ、グッドカオス)

 「み、みぃ君、みんなどうしちゃったの……?」

 「みんな錯乱してるんだけど……」

 (あーシャマルさんの作った物がマズイんです)

 「ちょっと、みぃ君! そんなはっきり……」

 (これでもオブラートに包んでるんです!! 食べた結果がこの前のアレですよ!?)

 「アレって、翠屋で倒れた時の事……?」

 (……はい)

 『 う わ ぁ … … 』

 

 ご主人たちも納得がいったようである。

 まぁ、あのぬこを目の当たりにしたらネ。

 

 ぬこ達そっちのけで説教とはやて嬢の介抱をする騎士たちを眺めながら、呆然と立ち尽くすご主人なのであった。

 

 

 

 

 

 

 そして10分後。

 何とか落ち着いて話す事ができるようになったんで、シャマルさんの紹介。

 

 「シャマルと言います。よろしくお願いしますね、なのはちゃん、ユーノ君」

 「あ、はい。よろしくお願いします」

 「よろしくお願いします」

 

 ちなみに、例のクッキーはタンスの隙間の前に置いてあります。

 ホウ酸団子の代わりですね、分かります。

 シャマルさんは涙目でしたが、仕方がないと思う。

 

 (それじゃ、まぁ、本題に入りますか)

 「本題……?」

 (ご主人達には言ってませんでしたけどね)

 「……?」

 「それはこちらから話そう」

 (ん、お願いしますね)

 

 と言うわけで、説明タイム。

 シグナムさんの口からロストロギアという言葉を聞いたとき

 ご主人とユーノは反応していたが、真剣にはやて嬢の願いとシグナムさん達の想いを聞いていた。

 そしてシグナムさんが話し終わると、ご主人とユーノはしばらく黙って考えているようだ。

 フェイト嬢とアルフさんみたく精神リンクなるものがなくても、

 ぬこにはご主人がその話をどんな風に受け止めたかなんて、訊かなくても分かる。

 

 そして、ご主人は問いかけるようにぬこに視線を向ける。

 それに答えるように、こくんと頷いた。

 

 「うん、分かった。私も、手伝いたい」

 「僕も、あなたの言葉に嘘がないのなら、力になりたい」 

 (とまぁ、予想通りこんな感じにまとまりましたよ?)

 「ふっ、そうだな。……感謝する」

 

 これで目的は達成できた。

 後は、実際どういう手を打つかという事なんですが、それはまた追々決めて行く事に。

 

 折角ご主人とはやて嬢がお友達になったことだし、ずっとこんな話をしてるんじゃあもったいない。

 それからは和やかにお茶を楽しんだり、おしゃべりをして過ごす事になったのであった。

 

 

 

 途中ではやて嬢が、最初の合言葉の映像(サーチャーで撮っていたらしい)をご主人の目の前で上映し始めた所為で、

 ご主人が顔を真っ赤にして暴走し始めたのはいい思い出である。

 ちなみにその映像を見ていたシグナムさん達は、何やら思い出したようで頭を抱えていました。

 シグナムさん達も被害者だったんですね、分かります。

 

 苦労してますねぇ。

 

 

 

 

 

 ◆ あとがき ◆

 読了感謝です。

 はやてとなのはの出会いはこんな感じでした。

 戦闘とか起こらない、実に平和ですねぇ。主に、ぬことはやて、シャマルさんの所為ですね、わかります。

 

 では、誤字脱字などありましたらご報告おねがいします。


 
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