No.479147

及川✝無双 三幕 「追っかけ?殺し?ありがとな・・・」

karasuma326さん

及川の活躍するssを見たことなかったので
なんとなく書いてみました。

2012-09-03 00:40:29 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:944   閲覧ユーザー数:876

~前回のあらすじ~

 

おっすオラ及川!

 

突如異世界に飛ばされた及川←(界〇様)

そこで三人の少女と出会った。

三人の名は、趙雲、程立、戯志才。三人とも三国志に出てくる、猛将智将の名であった。

三人の名を聞いた及川はここが後漢王朝の時代だと気づく。

 

そんな及川は、程立の真名を呼んでしまうといった出来事もあったが、

自分の成すべき事を探すため、三人と別れ、旅立つのであった。

 

次回、ドラゴンb

 

「ちょい待ちやっ!まだ本編すら始まってへんで!つかドラゴンじゃねぇよっ!」

 

いやだってワシ次回予告担当じゃから。

 

「んな事は知らへんがなっ!はぁ~本編始まるで・・・」

 

及川✝無双 三幕 「追っかけ?殺し?ありがとな・・・」

 

及川が趙雲達と別れて早一ヶ月。

南を目指しながら、今のこの大陸の状況や、天の御使いについて聞いて回っていた。

 

何故南なのかは、及川曰く。

 

「南に行けば女の子の服装が薄くなるやん。暑いんやし。」

 

・・・との事だ。

 

その間の路銀は、ボールペンと、手鏡を売って稼いだ。

どちらもこの時代にはひとつしか無い、というのを売り文句にした所、とある

豪族の目にとまり、一年は遊んで暮らせる様な金額を手に入れた。

 

そして、当の本人及川はと言うと。

 

「「「ほあああああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

「ほああああああああああ!!!!!!」←及川

 

・・・何かに嵌っていた。

 

「みんな大好き~?」

 

「「「天和ちゃぁぁぁぁぁん!!!!」」」

 

「みんなの妹?」

 

「「「地和ちゃぁぁぁぁぁん!!!!」」」

 

「とっても可愛い?」

 

「「「人和ちゃぁぁぁぁぁん!!!!」」」

 

「みんな~今日もいっぱい楽しんでってね~!!」

 

「「「ほああああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

「ほああああああああああ!!!!!!」←及川

 

 

~数刻後~

 

 

及川の姿はとある宿の一室にあった。

 

「いや~今日の三人はいつも以上に輝いとったな~

 始めて会った時から天使やと思うとったけど、本当に癒されるわ~」

 

黄色い頭巾を取りながらそう一人つぶやく及川。

 

「天の御使いの情報は全く無し。元の世界に帰る情報も無し。

 ワイの情報集収能力をもってしても駄目とわ。こりゃもう八方塞がりやわ。

 真剣にこの世界で生きる覚悟決めんとな~」

 

及川が、天和達の追っかけをしているのには訳があった。

役職などに付いていない及川が、情報を集めるにはある程度の人脈が必要だった。

その為に選んだのが、この天和達であった。

 

この三人の追っかけはかなり広い範囲で増えており、集団と化してきた。

集団になれば自然に情報が入ってくる。

及川はそこに目を付けた。

 

因みに、及川は張三姉妹と解釈しておらず、天和ちゃん達としか認識していない。

よって、この集団があの乱の発端となるとは毛の程も気づいていない。

 

「しっかし、この集団はホンマにアイドルグループの追っかけやな。

 まぁこんなご時世やし、癒しを求めるんは分からんでも無いけど。

 ファン共が異常な程熱狂しとるからな~

 ここに居るんもそろそろ潮時か・・・」

 

そんな事を考えながら、及川は意識を手放した。

 

~次の日~

 

 

ドンドンドンッッ!!

 

早朝。けたたましく鳴り響く戸を叩く音。

 

「ん~?なんやねんこんな朝早くから~?」

 

及川はボリボリと寝癖の立った頭を掻きながら、返事をする?

 

「どちらさまですか~?」

 

「ここに我等の天和ちゃん達を応援している者がここに居ると聞いてやって来た。

 今すぐ広場に集まれ。集会だ。」

 

「(集会?なんや怪しいな。)分かりました~すぐ行きすんで。」

 

そうして及川は制服ではなく、普通の民が着る服の上に、

顔が隠せる位のローブを羽織って腕に黄色い布を巻き、最後に眼鏡を付ける。

 

「怪しいとこで顔さらすんは不味いからな~」

 

そんな一独り言をこぼしながら荷物を纏め、宿を出た。

 

広場に行ってみるとかなりの数の人が集まっていた。

 

(おいおい。何が始まるんや?ざっと数えても数百はいるで。

それに皆なんか物騒なもん持っとるし。)

 

及川の言うように、広場にいる人間の手には包丁や剣、槍や棒などが握られていた。

気になった及川は、すぐ近くに居た男に話しかける。

 

「すんません。これから何が始まるんですかい?」

 

「オメェ知らねえのか?昨日の公演の後に地和ちゃんが大陸を取るって言ってな。

 俺達はその為に集まった私兵さ。」

 

(はぁ?地和ちゃんが大陸を?それって歌でって意味ちゃうの?)

 

「流石は皆の天和ちゃん達だぜ。この腐った世の中を変えようと立ち上がるなんてよ。」

 

とその男から話を聞いていると、ある男が広場の中央に出てきた。

 

「よく集まってくれた諸君っ!ここにいる者は天和ちゃん達の為なら命を捨てられる。

 そういう者達という事で、問題ないか!?」

 

「「「おおおおおおおお!!」」」

 

肯定の意を込めた割れんばかりの声が広場を包む。

 

「私の名前は馬元義!私は天和ちゃんよりこの軍を率いる者として任命された。

 よろしく頼む!!」

 

(軍だぁ?どうやら本当に危ない感じになってきたで。)

 

「天和ちゃん達は、この腐りきったこの世の中を嘆いている!

 旅をする中で、賄賂や重税!暴政や圧政を敷いている街や村を多く見てきた三人は

 どうにかしたいと思ってらっしゃる。だが、あの三人は我らの歌姫!

 三人の手を血で汚していいと思うか!?」

 

広場に居る者は及川以外が首を横に振る。

 

「否っ!断じて否!だから我々は今こそ立ち上がろうではないかっ!

 天和ちゃん達の望む世の中の為っ!腐りきった漢を叩き潰すために!」

 

「「「おおおおおおお!!」」」

 

そう言って広場の人間は自らの得物を突き上げ、鬨の声を上げる。

 

「だが、私達だけではとてもじゃ無いが漢には勝てない。そこで私は悪辣なる漢を倒さんがために隣の村に協力を求めた。

 しかし、その村の人間は『ここの領主は悪い人ではない。今の暮らしに満足している』

 などと腑抜けた事を言った。諸君、どう思う!?」

 

(どうも何も普通の暮らししてんやから、態々自分から戦火に突っ込む馬鹿おるかって。)

 

「許せねぇっ!!」 「自分達だけ良ければ良いのかよっ!!」 

「俺達は毎日苦労してるのにっ!」 「天和ちゃん達に歯向かう奴は殺せっ!」

「殺せっ!」 「臆病者には死を!」

 

「その通りだっ!よって我々はこれよりその村の人間たちに制裁を加えに行く!

 天和ちゃん達の為にっ!

 皆、武器を取れっ!!」

 

「「「おおおおおおお!!」」」

 

(なんでやっ!なんでそうなるねん!)

 

及川はその場から逃げようとするが。

 

「おい、お前。何も持ってないじゃないか。これでも持っておけ。

 安もんだが、無いよりマシだろ。一緒に頑張ろうぜ。」

 

と、大男に安っぽい槍を渡され、そのまま肩を組まれながら移動することになってしまった。

 

そうして、一軍はとなり村に向かって進軍していった。

 

進軍中も及川は逃げるに逃げれなかった。

先程。村からでて数分経った頃、一人の男が軍から逃げ出した。

だが、直ぐ様捕まり首を切られた。

 

及川も、今逃げ出しても先程の男の二の舞になると分かっていて、

逃げ出すことが出来なかった。

 

 

そうして暫くすると、目的の村が見えてきた。

 

「さぁ諸君っ!あいつ等は天和ちゃん達の敵だっ!

 殺し!っ!奪えっ!全ては天和ちゃん達の為にっ!!!」

 

「「「おおおおおおお!!!!」」」

 

武器を振り上げ一心不乱に村に突撃する暴徒達。

及川はあまりの異様さにその場を動けなかった。

 

「何をしているのですか貴方は?」

 

と、声をかけてきたのは馬元義だった。

 

「い、いや、ワイは・・・」

 

「まさか逆らう気ですか?私に逆らうのは天和ちゃん達に逆らうのと同じこと。」

 

そう言って手を上げると、三人の男が及川に剣を向ける。

 

「さぁどうしますか?行くのですか?行かないのですか?」

 

この状況で及川に残された答えは一つしかなかった。

 

「い、行きます!」

 

及川は、恐怖に打ち勝てず村へと走った。

そこで、及川が見たものとは。

 

「な、なんや、ねん。これは・・・」

 

そこでは、抗う事も出来ない村人達を追いかけ、殺し、身ぐるみを剥ぎ、

家に押し入り金品を強奪する。

 

つい昨日までは共に歌を楽しんでいた仲間が、血眼になって剣を振るい、

槍を突き刺し、人を殺していく。

 

「お、おええぇぇぇっっ!」

及川は、飛び散る肉片や、至る所に飛んでいる血を見て耐え切れず

腹の中の物をぶちまけた。

 

 

そんな中を及川は亡霊のようにただ歩いた。

すると、村の奥の方に歩いていくと人だかりが出来ていた。

 

「母様は私が守る!!」

 

大きな丸太を削った棍の様な物を持った少女と、倒れた年配の女性を

五人の暴徒が囲む様に立っていた。その周りには何人か暴徒が倒れている。

恐らくその少女が倒したんだろう。

 

「この小娘がっ!!ぶっ殺してやる!!」

 

「焔耶っ!逃げなさいっ!」

 

「嫌だっ!母様も一緒にっ!」

 

「私はもうっ、足が・・・」

 

少女の母親と思われる女性の足には、大きな切り傷が出来ていた。

 

「なら二人仲良くあの世に逝きやがれーーー!!」

 

「「っっ!!」」

 

少女は、母親の方を向いていた為反応が一瞬遅れた。

だが、その一瞬が命取りだった。

男の振るった刃は、少女に・・・

 

刺さることなく、母親の胸を貫いた。

母親が咄嗟に少女の前に立ちふさがったのだ。

 

「・・・ごぼっ!!」

 

「あ・・ぁぁぁ。」

 

母親は最後の力を振り絞り。

 

「に・・げ・なさ・・・ぃ」

 

そう言い残し、この世を去った。

 

「ぁ・ぁぁぁ・・母・・・様・・・」

 

少女は力が抜けた様にその場に座り込み、母親の亡骸を、ただ見つめていた。

 

「へへっ手こずらせやがって。」

 

そう言って舌なめずりをしながら、剣の腹を手の平で叩きながら少女に近づく。

 

(・・・な・・なに・・・何しとるんや・・・

 助けな・・・あの子を助けな・・・あかん・・・動けよ・・・ワイの足・・・

 動けってっ!!)

 

及川の意思とは裏腹に、足は地震が起きたかの様に震え、

一歩も動こうともしない。

 

(ワイのアホッ!!ええから動けって!そないに自分の命が大事やんかっ!

目の前に居る女の子一人助けられんでそれでも男かいなっ!)

 

自らの中で葛藤が渦巻く及川。

右手に持った槍を持つ力が次第に強くなる。

 

(あいつ等は今ワイに気がついてない!不意打ちでヤッテしもうて、女の子を連れてさっさと逃げればいいんや。

ただそれだけの事やろっ!)

 

そうしている間にも、暴徒の五人は少女に近づいていく。

 

(今ヤレば!・・・ってちょい待ちや。ワイはあいつ等、殺さんといかんのか・・・

ワイに手加減して相手を倒せる様な力は無い。ヤルなら本気でヤらんといかん。けど・・・

だけどそれじゃ女の子がっ!!)

 

様々な葛藤が飛び交う中、及川の耳には何も聞こえなくなった。

周りの喧騒も、村人の悲鳴も、暴徒の怒号も。

しかしそんな中、たった一言だけ聞こえた声があった。

 

「た・・助け・・て・・・誰か・・・助けて・・・」

 

 

「っ!!・・・おおおおおおっっ!!」

 

及川の中で何かが弾けた。

 

(やったる!やったるで!何も言い訳はせえへん!あの女の子を助ける為にワイはこれから

人を殺す!そんな事は分かってる!だけどな、ここで動かへんかったら、ワイがワイで無くなるんや!

ご先祖様、こんな駄目なワイを守ってくれっ!)

 

数メートルしか無い五人との間を詰め、今まさに剣を振り下ろそうとしていた

男の腹を持っていた槍で貫く。

 

「・・・ごはっ!!」

 

その男は、一瞬の内に絶命した。

 

槍を引く抜く及川の目には涙が溢れていた。

 

「はぁはぁはぁはぁはぁ。」

 

「テメェ何しやがるっ!」 「裏切り者だ!殺せっ!」

 

そうして、及川の存在に気がついた四人の内二人が切り掛ってきた。

 

(確か本で読んだ事があるで。槍は腰を落として、左半身を前に出して構える。

んで、自分の間合いに入られる前にリーチの長さを活かして、突くんだった気がする。)

 

及川は自分の記憶を頼りに、左を前に出して中段に構える。

そして、男が自分の間合いに入った時。

 

「はあああああぁぁぁぁ!!」

 

右の手に力を目一杯いれ、男の腹を貫く。

だが、一人の男に集中し過ぎてもう一人の男が斬りかかって来た。

 

「死ねっ!!」

 

「うわああっ!!」

 

咄嗟に槍を投げ捨て躱し、地面を転がる及川。

男がその瞬間を逃すわけなく、さらに追撃してくる。

 

「うおおおおぉぉぉ!!」

 

「っ!喰らえやっ!」

 

及川は咄嗟に握った砂を男の顔目掛けて投げつけ、それはモロに男の目に入った。

 

「ぐあああっ!」

 

すぐそばに落ちていた包丁を拾い上げ、男の肩を一突きし男の持っていた剣を奪う。

 

「はぁはぁはぁはぁ。」

 

(後・・・二人・・・)

 

 

「死ねやっ!!」

 

二人の内剣を持った男が斬りかかってくる。

 

「っ!」

 

一瞬反応が遅れて、肩の所が少しだけ切れる。

 

「ぃっつ~!」

 

転がりながらそう呟く及川。

そして自分のバックの中に手を入れ、ある物を取り出す。

 

「へへっ終わりだよ。」

 

「それはお前の方やわっ!」

 

及川は手持ち用の花火に火を点けて、男の目の前に出す。

火の点いた花火は、赤い閃光を放ちながら火花を散らす。

昼間とは言え花火の閃光を目の前で見てしまった男は目が眩んでしまう。

 

「おおおぉぉぉぉぉ!!」

 

ジュシャッ!!

 

袈裟に切りつけ、男の肩から腹下まで一気に振り抜く。

 

(後・・・一人・・・)

 

そう思いながら及川は最後の一人を睨みつける。

 

すると。

 

「ひ、ひいいいいぃぃぃぃぃ!!」

 

武器を捨てて逃げ出していった。

 

「はぁはぁはぁはぁ。」

 

(もたもたしてられん。さっき逃げた奴がいつ仲間連れてくるかもしれへん。)

 

そう思いながら、顔を俯かせ座り込んでいる少女に近づく。

 

「嬢ちゃん、立てるかい?」

 

及川はなるべく怖がらせない様に、整わない息を無理やり静めて話しかける。

 

「母様・・・私が守るって・・・言ったのに・・・私のせいで・・・」

 

少女の目には大粒の涙が。

そして及川は、少女を抱きしめた。

 

「すまん。ワイがもっと早く覚悟決めてたら、嬢ちゃんのかあちゃん助けられたかも

 しれへんかった。ワイのせいや。嬢ちゃんは悪くない。本当に、すまんかった・・・」

 

「ひ・・ひっく・・・うわぁぁぁぁぁ!!」

 

少女はダムが決壊した様に泣き出した。

そして、ただ泣き続けた。

少女は泣き止んだ途端、安心したのか、眠りについた。

及川はその子を担いで、その場を去ろうとしたが。

 

「どこに行くんですか?」

 

後ろを振り返ると、馬元義を先頭に何十人もの暴徒が及川の行く手を阻んでいた。

幸い、反対方面は誰も居らず、森になっているので逃げるには最適だが、

女の子を担ぎながらとなると、森に入る前に捕まってしまう。

 

「ああ、すんませんな。ちょいと野暮用思い出してしもうて。

 帰らして貰いま。」

 

そう言いながらバレない様にまたバックの中に手を入れ、ある物を出す。

 

「それは無理な相談です。貴方は我々を裏切った。裏切り者には制裁を与えなくては。」

 

「ふんっ!ワイは元々お前らの仲間になったつもりはあらへんで。」

 

「そうですか、なら。」

 

馬元義は手を上げ。

 

「死になさいっ!」

 

振り下ろすと同時に何人もの男が襲いかかってくる。

 

「まだ死ぬわけにはいかんのやっ!」

 

そう言って及川は、二つの筒のような物を投げつける。

導火線には火が点いており、そして、普通の花火の何倍の火花が散る。

 

及川が投げつたのはドラゴン花火。

棒状の花火と違って高く、多く火花が散る。

 

「うわあぁ!!なんだ!!」

 

行き成り現れた火花の柱。

生物の本能が働き皆花火の前で立ち止まってしまう。

 

その間に及川は、少女を抱きかかえ槍を持ち森に逃げ込む。

 

「何をしてるんですかっ!!早く追いなさいっ!!!」

 

元義がそう指示するが中々動けない。

その隙に及川は少女を連れて逃げ出したのであった。

 

 

~数刻後~

 

 

森に入った後何人か暴徒に見つかり戦闘になり、及川自身は傷を負ったが、

なんとか振り切り森の奥深くにある洞窟に逃げ込んでいた。

 

及川の体の至る所に傷があった。

 

「はぁ、何とか振り切れたか。一時はどうなる事かと思うたわ・・・」

 

その瞬間、及川を目眩が襲う。

 

「ううっ!はは、安心したらなんや眠くのうてきたわ。誰も・・来んな・・よ・・・・・・」

 

そうして及川は眠りに着いた。

 

 

 

「お前さえいなければ・・・」 「お前が殺したんだ・・・」

 

「お前は人殺しだ・・・」 「俺達と一緒の血まみれの手だ・・・」

 

及川の殺した男達が何度も囁いてくる。

四人とも、骸骨だけの姿となって及川を追いかけてくる。

 

「ワイはお前等なんかと一緒やない!」

 

そう言った及川の目の前に男達を殺した時の記憶が映し出される。

 

槍で腹を貫き。肩を突き刺し、男を切り裂く。

何度も何度も何度も繰り返されて、男達は囁いてくる。

 

「お前は人殺しだ・・・」 「人殺し・・・」 

「人殺し・・・」  「人殺し・・・」

 

「ワイは・・・確かにワイは人殺しや!けど、あの子を助ける為やったんやっ!」

 

そう叫んだとき、暗闇の中に一筋の光が差し込んだ。

 

 

「だ・・う・か。し・・りし・。大丈夫かっ!?しっかりしろ!?」

 

少女の声で及川は目が覚めた。

洞窟の外はすっかり日が暮れていた。

 

「大丈夫か?かなりうなされていた様だが・・・」

 

「ああ、すまん。心配させたわ・・・」

 

少女は及川を心配そうな顔で見続ける。

 

「あの・・・」

 

「ん?何や?」

 

「その・・・助けてくれて・・・ありがとな・・・」

 

そう言って少女は、無理をして笑顔を作り出した。

 

その言葉を聞いた及川の目からは涙が流れていた。

 

「なぁ・・ワイは嬢ちゃん守れたんか?」

 

「ああ・・・」

 

「ほうか・・なら・・・ちょっとだけこれからの事は内緒やで。」

 

「ああ・・・」

 

「・・・うあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ただ、及川は泣き続けた。

押し殺してきた感情を流し出すように・・・・・・・・・・

 

次に及川が目を覚ましたのは、日が出ていて、さらに少女の膝の上だった。

 

「起きたか?」

 

「ああ、起きた。」

 

そう言って起き上がる。

 

「ありがとな・・・ホンマに助かったわ。」

 

「私の方こそ礼を言う、本当にありがとな。」

 

「それと、母ちゃんの事はすまんかった・・・」

 

フルフルッ

 

「あれは、私が未熟だったから。お前はは悪くない。」

 

そう俯きながら少女はそう言った。

 

「そうか・・・そうや。自己紹介せぇへんとな。ワイの名前は及川佑っちゅうや。

 よろしゅうな。」

 

「私の名は魏延。真名は焔耶。

 お前は命の恩人だから、真名で呼んでほしい。」

 

「分かった、焔耶やな。ワイの事は好きに呼んでくれ。」

 

そう言って笑い掛ける及川。

 

「じゃあ、佑と呼ぶからな。」

 

少し顔を赤くしながら言う焔耶を見て及川は。

 

(なんやこの胸のドキドキ感はっ!待て待てこの子は遂昨日知り合ったばかりやぞ!)

 

かなり焦っていた。

 

「う、おっほんっ!で、焔耶はこれからどうするん?

 どこか当てがあるならそこまで送るで。」

 

フルフルッ

 

「親戚は母様だけだ。行くあてもない。」

 

「・・・ならワイと一緒に来るか?気ままな旅で良ければ?」

 

及川がそう言うと、

 

「付いていってもいいのか?」

 

少し不安げに聞いてくる焔耶。

 

「ワイは一向に構わんで。一人旅も虚しくなってきた頃やし。

 それに、焔耶みたいな可愛い娘が一緒にいるのは男として嬉しいわ。」

 

「か、か、かわっ!//」

 

一瞬顔を赤くした焔耶だったが、直ぐに冷静になり。

 

「なら、着いて行く。何というか・・・その・・・」

 

「ん?どないした?」

 

「今は怖くて一人じゃ眠れそうに無いしな//」

 

その瞬間及川の目が光った!

 

「ならワイが毎日添い寝をっ!!」

 

「いらんっ!!」

 

ドゴッ!!

 

抱きつこうとした及川の顔面に焔耶のグーがめり込んだ。

 

「と、取り敢えず。これからよろしくな。焔耶。」

 

倒れた状態で手を差し出す。

 

「変なことしたらただじゃ済まないからな。」

 

そう言って、笑いながら手を握り返す焔耶だった。

 

こうして、及川と焔耶の二人旅が始まった。

 

 

あとがき

 

 

及川なのに何故かシリアスになってしまったkarasuma326です。

 

今回は及川の苦悩、及び戦闘シーンと原作キャラとの出会いを書きました。

はい、お分かりの様にこの作品のヒロインは焔耶です。

なぜなら、私の嫁だから・・・

 

 

そんな感じなのでよろしくお願いします。

 

 

では、次回の及川君の奔走っぷりもお楽しみに

 

 

ではまた~

 


 
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