No.475218

アンリエットさん、誕生日おめでとうございますー!!【ミルキィ】

外野伽夜さん

アンリエットさん誕生日短編です。ちょっと百合風味でシャロちゃんが絡んできます。でも基本的にはギャグ。

2012-08-25 17:41:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:879   閲覧ユーザー数:876

 

 

「アンリエットさん!お誕生日おめでとうございます!!」

「しゃ、シャーロック!?」

 言いながら抱きついてきたシャーロックを受け止めると、シャーロックは勢いよくアンリエットの胸に当たりぼよよんっと弾んだ。

「えへへ~アンリエットさんのぼよよんあったかいですー」

 笑顔で言いながらすりすりとアンリエットの豊かな胸に頬を擦りつける。

「きゃ、シャーロック、おやめなさい……!」

 アンリエットはシャーロックの顔をどうにか突き離そうとしたが、がっちり腰を掴まれていてはどうにもならなかった。

「……もう、しょうがないですわね……」

 抵抗を諦めたアンリエットは、シャーロックの頭を優しく撫でてやる。

「アンリエットさんのお手々気持ちいいですー」

「そう?それはよかった」

 頭を撫でられたシャーロックは、

「アンリエットさんにはいつも優しくしてもらってるから、一番におめでとうを言いたかったんです」

上目づかいでそう言った。

「ありがとう、シャーロック」

「プレゼントもあるんです!」

「あら、何かしら?」

 アンリエットが小首を傾げて聞くと、シャーロックは満面の笑みを浮かべて言った。

「あたしです!今日はアンリエットさんの為になんでもします!」

「!」

 アンリエットが驚いた顔をしたのを見て、シャーロックはきょとんとした顔になり、次に目をうるうるさせて、

「あの、あたしがプレゼントじゃ嬉しくないですか……?」

と言った。

「そ、そんなことはありません!!」

 アンリエットは慌てて否定した。

「ほんとですか……?」

「当たり前です。可愛い後輩に想ってもらえて、嬉しくない生徒会長などいません」

「!えへへ、あたしも嬉しいです~!」

 シャーロックは再度顔をアンリエットの胸に擦りつけた。

「もう……」

 アンリエットはそう呟くとゆったりと微笑んだ。

「シャーロック?本当になんでもしてくれるのですね?」

「はい!なんでも言って下さい!アンリエットさんの為ならなんでもします!」

 きらきらした瞳で元気よく言う。

「ふふ。そうね、まずは、このまま頭を撫でさせてもらってもいいかしら?」

「はい!いくらでもどうぞですー!」

 シャーロックはぎゅううと抱きつくと、頭のてっぺんをアンリエットの方に向けた。

 

「なあ、アルセーヌ様はなにしてんの?」

 頭の後ろで腕を組んだ根津がそう聞いた。目の前には生徒会長室の扉がある。

「なんかさっきからぶつぶつ言ってる声が聞こえるんだけど」

「うっつくしいアルセーヌ様は、うっつくしいそのトイズでー……ご自身を高めておられるのっ!さっ!!」

 二十里がいつもと変わらぬ様子で肌を露出させ自身の乳首を見せつけながら言った。

「は?」

「アルセーヌ様はトイズの鍛錬をなされているのだ」

 掃除を終えてきたのか、箒を持ったままの石流がそう言う。

「アルセーヌ様はしばらく部屋に入るなと仰っていた。トイズの精度を高める為に一人になりたいのだそうだ」

「トイズの精度……幻惑のトイズの練習してるってことか!」

 根津は片方の手のひらにもう片方の拳をぽんっと乗せながら言った。

「練習などという生易しいものではないのだろう。我々には計り知れないことがこの部屋の中で起きているに違いない」

「んー……ワンダフォウー!!!」

「流石だな……」

 3人はそれぞれ生徒会長室の扉を見つめた。

「よし、私たちもアルセーヌ様に見合う素晴らしいプレゼントを見つけなければな」

「ってーか、俺たちが選んできたプレゼントにお前が一々難癖付けるからなかなか決まらないんだろ」

「何を言っている!麗しく気高いアルセーヌ様に見合う麗しく気高いプレゼントを用意せねばならんだろう!妥協はせん!」

「アァルセーヌ様に相応しいプレゼンっ!それはつまりこの、美しいっ美しすぎるっ美しすぎてーもう僕困っちゃうぅ~、なこのぼくっ!でき!ま!り!」

「「それはない」」

 3カードはあーでもないこーでもないと喧しく騒ぎながら、その場を離れた。

 

 そしてそのすぐ後。

「よーし、みんな準備はおーけーですか?」

 生徒会長室の前にはミルキィホームズが集まっていた。

「もちろんよ!今日はアンリエット生徒会長の誕生日!」

「いつもボク達助けてもらってるから、ちゃんとお祝いしないとね!」

「プレゼントは……お花しかないけど……いっぱい集めてきたから……」

 4人の手にはそれぞれ学園の歩道や裏庭から集めてきた花(雑草)が両手いっぱいに握られていた。最初は学園の花壇から持ってこようとしたのだが、花壇を管理している石流に怒られてやめたのである。

「こういうのは気持ちが大事なんです!きっとアンリエットさんにおめでとうの気持ちは伝わるはずです!」

 シャーロックは両手を握りしめて力強く言う。握っていた花(雑草)がぐちゃりとつぶれる、が本人も他の3人も気付かない。

「そうだよね!ダイジョブダイジョブー!」

「きっと……気持ちが伝われば……」

「屋根裏部屋から私たちを普通の部屋に戻してくれるはずよ!!」

 4人の心は一つになっていた。

「よーし!じゃあドア開けちゃいますよー、こういうのはサプライズが重要だっておじーちゃんが言ってました!だからドアをこんこんしないでそのまま開けちゃいまーす!」

 シャーロックは花(雑草)を持ったままドアノブを掴んだ。ドアノブは花(雑草)の茎からにじみ出た汁でぐちゃりと湿った。

「ん?アンリエットさん誰かとお喋りしてるみたいです。ちょーどいいです!きっとすごくびっくりしてくれるはずです!」

 シャーロックは顔を輝かせた。

「じゃあ、ドア開けちゃいまーす」

 ドアノブがひねられ、がちゃ、ぎいいっと扉が開かれる。

「アンリエットさーん!お誕生日おめでとうございますー!!」

 今日はアンリエットにとって素敵な誕生日になりそうだ。

 

おわり

 

 

 
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