No.475010

遊戯王GX †青い4人のアカデミア物語† その2

赫鎌さん

一章は終わらせたいです。

2012-08-25 04:04:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1684   閲覧ユーザー数:1593

 

「……いや、広すぎだろ」

 

 合格の吉報から一週間。俺は大洋の真ん中に位置する孤島の学校、デュエルアカデミア本校へと来ていた。

 孤島と言っても交通手段はない訳ではなく、合格者を乗せたヘリが本土からここまでの足となった。

 入学前に制服も渡されており、その色でアカデミアの寮が決まる。これはどうやら、ここ本校だけの特色らしい。俺のいたノース校中等部から、エスカレーター式で入れるノース校高等部にはこうした色分けはなかった。

 ちなみにカラーリングは、成績上位者からオベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドの順。

 そして俺に割り当てられた制服の色は青。即ち、オベリスクブルーである。

 入学式までまだ時間があり、自分がこれから世話になる部屋を見に来たところ、冒頭の台詞に戻る。

 

「30インチテレビにキングサイズベッド、個人パソコンにソファー。果てには備え付けのバスルーム……」

 

 思わず、どこのホテルだ、と突っ込みたくなる。

 とは言っても、このアカデミアの経営系列は、世界でも有数の大企業である海馬コーポレーションらしい。デュエルモンスターズを大々的にプロデュースしているだけあって、デュエリストの養成には手を抜かないといったところだろうか。

 

 ──コン、コン

 

 しばし部屋の豪華さに呆然としていると、背後のドアからノックの音が聞こえた。

 

「はい」

 

 開けると、そこには切れ長の目をした、俺より頭半分ほど高いブルー生徒がいた。

 

「君が早乙女ケイか」

 

「……お前は?」

 

「俺は丸藤亮。ここの隣の部屋に入る事になったから、その挨拶をと思ってな」

 

 随分丁寧である。

 立ち振る舞いもどこか気品が感じられる。相当良い家柄の者なのかもしれない。

 

「ああ。俺は早乙女ケイだ。よろしく丸藤」

 

「なに、亮で構わないさ」

 

 そして中々、フレンドリィな一面も持ち合わせていた。

 

「そうか。ところで亮」

 

「む?」

 

「……お前の後ろに張り付いているそれはなんだ?」

 

 亮の背後から、茶色い毛が出たり引っ込んだりを繰り返している。

 相当怪しいと思うが、ここにくるまで気づかなかったのだろうか。

 

「……吹雪。何をしている」

 

「ち、チガウヨ? 別ニ亮ガ自分カラ人ニ関ワルノガ珍シクテツイテ来タンジャナイヨ?」

 

 完全に不審者である。

 

「亮。この頭の残念な物質αはなんだ?」

 

「人間扱いすらされてない!?」

 

「俺にも覚えがないな」

 

「君もか!?」

 

 訂正。不審者ではなく、ただのツッコミ芸人だったようだ。

 

「コホン。えー、改めてケイ、僕は天上院吹雪だ。気軽にブッキーとでも呼んでくれ!」

 

「ああ。よろしく吹雪」

 

「スルーか!?」

 

 やはりツッコミ芸人のようだ。

 

「吹雪。お前は俺の向かいだったようだが、荷物整理は終わったのか?」

 

「え? まだだけど?」

 

「…………」

 

「イタタタタタ!? ちょ、亮! 耳! 耳はやめて!」

 

「さっさと片付けるぞ。ケイ、また後でな」

 

 悲鳴を上げながら引きずられて行く吹雪。そして連行する亮。

 ユニークな友人が早速できてしまった。

 

 

 

 

 

「……まあこんなものか」

 

 あらかた荷物整理も終わり、後は入学式の時間まで待つだけとなった。

 手持ち無沙汰に先程の二人の部屋を訪れると、扉の前にいても中から声が聞こえてきた。

 

『あれ? 亮ーぅー。ここにあった写真知らないー?』

 

『ああ。それなら既に飾っておいた』

 

『は? え、ちょっ! なにこの規則正しい貼り方!? コルクボードの写真ってもっとこう、バラバラに貼られてるもんじゃないの!?』

 

『そうなのか? 俺なりに並べてみたんだが……』

 

『君はもっと柔軟な発想を持った方が良いよ……』

 

 まだ荷物整理が終わりそうにないようだ。

 これから残り時間、どう過ごそうか……。そう考えていた矢先、廊下の窓から外の景色を見ると、裏の木の下で誰かがデュエルディスクを構えているのが見えた。

 明るい髪色で、白い制服を着ている。あれは確か、特待生の色だったはずだ。

 本来のブルー、イエロー、レッドとは別に、アカデミアでは白い制服の生徒がごく少数在籍している。

 それがデュエルアカデミア特待生。本来はブルーであるはずが、特別成績優秀なブルー生徒は特待生制度を受ける事ができる。その証が、あの白い制服である。

 特待生制度は受験時、所属中等部からの推薦を受け、難解な試験をクリアすることで受ける事ができるものである。が、アカデミア在籍時は、成績優秀者が申請する事で受けられることもある。

 今の時期は、新入生以外は実家に里帰りしているため、窓から見える特待生は必然的に新入生ということになる。

 

「(デュエルディスクを構えているということはデュエル中……。相手は誰だ?)」

 

 残念ながらこの角度では相手の様子までは見えない。見たければ近くに行く他ないだろう。

 ちらり、と時計を確認する。入学式まであと一時間。

 それだけ確認すると、俺は急いで裏門へと向かった。願わくば、デュエルが終わらないようにと思いながら。

 

 

 

 

 

「……俺のターン、ドロー! 場の『ジェルエンデュオ』をダブルコストに、『光神機-轟龍』(ATK2900)を召喚! 轟龍で、守備表示の『ゴブリン突撃部隊』(DEF0)に攻撃! ギガ・ボルテージ!!」

 

「う、うわああああ!!」

 

 ??? LIFE1800 → 0

 

「ひ、ひええええ!」

 

 着いた途端最後の攻撃でデュエルが終わるや否や、相手の生徒は全速力で逃げ出した。

 着ていた制服の色から、同じブルー生徒であるといことはわかったが、俺にはそれ以上に気になる事があった。

 

「……」

 

「ちょっといいか」

 

「!」

 

 突然声をかけられたことに驚いたのだろう。こちらを睨むように振り向いた。

 今さっきのデュエルで勝利した、特待生の新入生。そいつは一言で言い表すなら、剥き出しのナイフ、といったイメージがしっくりくるような、攻撃性を前面に出した気迫があった。

 

「……なに、かな」

 

「怪しい者じゃないさ。お前と同じブルー一年生、早乙女ケイだ。お前は?」

 

「……藤原優介」

 

「藤原か。さっきのデュエル、見事だったな」

 

「……どうも」

 

 どうにも警戒されているようだ。それも当然だと言えば当然だ。いきなり目の前に現れ、話しかけてくるような奴を信用しろというほうが無理がある。

 ……多少強引ではあるが、仕方ない。

 

「藤原。デュエルしないか?」

 

「はぁ?」

 

 案の定「何言ってんだこいつ?」という顔をされた。

 が、ここで引くなんてことはしない。

 

「入学式まで時間があるんだ。ここはデュエルの都デュエルアカデミア。暇つぶしに、一回くらい良いだろ?」

 

「……まあ、構わないよ」

 

 そういうと畳んでいたデュエルディスクを起動する藤原。どうやらOKのようだ。

 俺も愛用のデッキを装填し、少し距離を取る。

 

「それじゃ始めようか。デュエル!!」

 

「お手柔らかに。デュエル!」

 

藤原優介 LIFE4000

早乙女ケイ LIFE4000

 

「先攻は俺がもらうよ。ドロー!」

 

 まずは藤原の先攻。先程の最後の一ターンを見る限りでは、どうやら天使族デッキの使い手だったようだが、実際の内容はわからない。その意味でも、今回は先手を譲る方が得策だろう。

 

「俺は『ジェルエンデュオ』(DEF0)を守備表示で召喚。こいつは戦闘じゃ破壊されない。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 『ジェルエンデュオ』は最後のターン、轟龍の生け贄に使用されたモンスター。つまり、手札には上級モンスターが眠っていると考えた方がいいだろう。

 ……とは言っても、俺のやることにさしたる問題はないのだが。

 

「俺は『逆巻く炎の精霊』(ATK100)を攻撃表示で召喚。更に魔法カード『ダブルアタック』を発動。手札からモンスターカード一枚を捨て、そのレベル未満のモンスター一体の攻撃回数を増やす。俺はレベル四の『機動砦のギア・ゴーレム』を捨て、レベル三の『逆巻く炎の精霊』の攻撃回数を二回にする」

 

「けど、『ジェルエンデュオ』は戦闘では破壊されない。無駄だよ」

 

「ああ、分かっている。『逆巻く炎の精霊』で攻撃!」

 

「無駄だと言っているだろう! 何をするつもりだ!」

 

「『逆巻く炎の精霊』の効果! こいつは、直接攻撃できる! マジカルファイアー!」

 

「なっ!? ぐぅぅぅ!!」

 

 藤原優介 LIFE4000 → 3900

 

 炎の精霊の持つ杖の先から、魔法により作られた炎が藤原に放たれる。

 藤原がダメージを受けた瞬間、『ジェルエンデュオ』はフィールドから姿を消した。

 

「くっ……『ジェルエンデュオ』はダメージを受けたとき、破壊される……!」

 

「『逆巻く炎の精霊』の効果! 直接攻撃に成功した時、攻撃力を1000上昇させる! そして炎の精霊は、もう一度攻撃できる! ツイン・フレイム!!」

 

「ぐ、ああああ!」

 

『逆巻く炎の精霊』ATK100 → 1100

 

 藤原優介 LIFE3900 → 2800

 

「更に攻撃力が上昇! カードを一枚伏せ、ターンエンド!」

 

『逆巻く炎の精霊』ATK1100 → 2100

 

「……俺の、ターン! ドロー!」

 

 『ジェルエンデュオ』が破壊されたことにより、藤原は上級モンスターを召喚することができなくなった。

 となれば、次にくるのはなにか……。

 

「……俺は、伏せていた速攻魔法『光神化』を発動! 手札の天使族モンスター一体を特殊召喚する! こい、『光神機-轟龍』(ATK2900)!!」

 

「最上級モンスターを特殊召喚だと!?」

 

 先程はフィニッシャーとして十分な力を見せつけた『光神機-轟龍』。その大きな身体を、こちらに見せつけ威嚇してくる。

 

「安心しな。『光神化』で召喚されたモンスターは攻撃力が半減し、エンドフェイズに破壊される」

 

『光神機-轟龍』ATK2900 → 1450

 

 攻撃力の半減した轟龍は一回りか二回りほど小さくなり、先程の威厳も半減した。

 この攻撃力では、攻撃力の上がった『逆巻く炎の精霊』を倒すには圧倒的に足りない。

 だが何の策もなしに自壊するモンスターを召喚したようには思えない。

 次になんらかの手を打ってくる事は明白だ。

 

「そして俺はここで、速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動する!」

 

「地獄の、暴走召喚?」

 

 あまり聞き覚えのないカードに、眉をひそめる。

 状況からして、モンスターが特殊召喚されたときに発動するものだとは思うのだが……。

 

「このカードの発動条件は厳しくてね。相手フィールド上にモンスターが表側表示で存在し、ダメージステップ時以外で、自分の攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功したとき、チェーンが乗っていない場合に限り発動できる。そしてその効果は、自分のデッキ・手札・墓地から、特殊召喚したモンスターと同名のモンスターを可能な限り召喚するというもの! 俺は『光神機-轟龍』(ATK2900)をデッキから一体、手札から一体呼び出す! こい、『光神機-轟龍』!!」

 

『『ギュオオオオオオ!!』』

 

「……そうか、特殊召喚された『光神機-轟龍』の攻撃力は1450に減少している。『光神化』が、暴走召喚の条件を満たしたのか」

 

「へえ、物分かりがいいね。さあ、君もモンスターを出せ」

 

「……俺のデッキには『逆巻く炎の精霊』は一枚だけだ」

 

「そうかい。なら、一体目の『光神機-轟龍』(ATK2900)で『逆巻く炎の精霊』(ATK2100)を攻撃! ギガ・ボルテージ!!」

 

 強大な轟龍の雷撃が炎の精霊に襲い掛かる。

 必死にかわそうとするものの、圧倒的な力の前に耐えられず、炎の精霊は間もなく爆散した。

 

 早乙女ケイLIFE4000 → 3200

 

「そして二体目の『光神機-轟龍』(ATK1450)で直接攻撃! メガ・ボルテージ!!」

 

「う、あああああ!!」

 

 早乙女ケイLIFE3200 → 1750

 

「こいつでとどめだ! 三体目の『光神機-轟龍』で直接攻撃! ギガ・ボルテージ!!」

 

 三体目の轟龍がエネルギーを充填して、発射の準備をしている。

 このままこれを受けたら終わりだろう。だが、そうそう簡単にやられたりはしない。

 

「罠カード『ガード・ブロック』発動! 一度だけ戦闘ダメージを0にして、カードを一枚ドローする!」

 

 轟龍の放った雷撃は不可視の壁に阻まれ、俺に届く事はなかった。

 そしてカードの効果により、一枚ドローする。

 このターンでの敗北を免れたが、依然としてピンチであることには変わりない。

 

「仕留め損なったか……。俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ! そしてこの瞬間、『光神化』で召喚された『光神機-轟龍』(ATK1450)は破壊される」

 

 消えていく『光神機-轟龍』を尻目に、俺は藤原の顔を見た。

 

「……良い顔するじゃないか」

 

「……なに?」

 

 藤原は笑っていた。それはもう、楽しそうに笑っていた。

 先程のデュエルはラストターンしか見ていなかったが、とても楽しそうには見えなかった。

 それが今は、真逆の顔をしていた。

 

「随分楽しそうにデュエルするじゃないか。楽しいか? このデュエルは」

 

「……ふん。早くしな、君のターンだ」

 

「ああ。ドロー!」

 

 ──顔は正直なのにな。

 

 口調は楽しくないと主張しているにも関わらず、その顔、ひいてはその目が全てを物語っていた。

 

「俺は墓地の魔法カード『ダブルアタック』を除外して、『マジック・ストライカー』(ATK600)を特殊召喚!」

 

 ポンッ、とコミカルな音とともに、人形のような小さな戦士が出現する。

 身の丈に合わないハンマーを片手に、二体の最上級モンスターの前に立ちはだかっている。

 

「またダイレクトアタッカーか。けど、そう何度も同じ手を食らうはずがない! 永続罠『スピリット・バリア』発動!」

 

 永続罠。発動した瞬間から場に残り続け、効果を発揮し続けるカード。

 『スピリット・バリア』の効果は確か、モンスターがいる以上戦闘ダメージを受けない、だっただろうか。

 おそらくダメージを受けない限り破壊されない『ジェルエンデュオ』の為に入れていたのだろうが、面倒なことになった。

 

「このカードがあり轟龍がいる限り、いくら直接攻撃モンスターを出しても無駄だ! そして次のターン、轟龍の攻撃で、俺の勝利だ!」

 

 藤原の言う通り、このままただ突っ立っていれば轟龍二体の攻撃で俺のライフは0になる。そして俺のデッキには攻撃力2900の轟龍を上回るモンスターは入っていない。

 ……とは言ったものの、モンスターは、だが。

 

「俺は装備魔法『ニトロユニット』を発動する!」

 

「無駄だというのがわからないのか? いくら装備魔法をつけて強化したところで、ダメージを与えられなければ勝ち目は……」

 

「いや、俺がこのカードを装備させるのは……『光神機-轟龍』! お前だ!」

 

「なに!?」

 

 轟龍の胸に当たる部分に、巨大なタンクを装備した仰々しい機械がまとわりつく。

 振り払おうとする轟龍だが、機械から伸びるコードが絡まり中々ほどけない。

 

「『ニトロユニット』は強化系装備魔法じゃない。相手のモンスターに装備する事で、装備モンスターが戦闘で破壊されたときその攻撃力分のダメージを与えるカードだ」

 

「けれど、『スピリット・バリア』の効果でダメージは……いや、違う。これは、効果ダメージ!」

 

 藤原の場にある『スピリット・バリア』は、確かに俺のデッキに対して脅威だ。しかし、防げるのはあくまで戦闘ダメージ。『ニトロユニット』による効果ダメージまではカバーしきれない。

 

「そして俺は魔法カード『シャイニング・アブソーブ』を発動! 相手フィールド上の光属性モンスター一体の攻撃力を、自分のモンスターに加算する! これで『マジック・ストライカー』の攻撃力は3500となる!」

 

 『マジック・ストライカー』ATK600 → 3500

 

「攻撃力……3000オーバー……!」

 

「高すぎる攻撃力が仇になったな……。攻撃だ『マジック・ストライカー』!! アブソーブ・ハンマァーッ!!」

 

 『シャイニング・アブソーブ』により輝きを増したハンマーが、轟龍の胸元にしがみつく『ニトロユニット』目掛けて振り上げられる。

 

 ──勝った!

 

 勝利を確信した瞬間、藤原の手が動いた。

 

 

 

 

「残念だけど、この勝負は君の負けだ」

 

 

 

 

「なに……?」

 

 藤原の手に残る一枚だけの手札。それを墓地に捨てると、フィールド上で変化が起きた。

 轟龍の背から生える、毛先が虹色の天使の羽。その羽が轟龍を包み込み、『マジック・ストライカー』の攻撃から身を守ったのだ。

 

「俺は手札から『オネスト』を墓地に捨て効果発動! 自分の光属性モンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手の攻撃力分アップする!」

 

『光神機-轟龍』ATK2900 → 6400

 

「攻撃力6400だとォ!?」

 

「迎撃しろ轟龍!! テラ・ボルテージィ!!!」

 

 ────ジュゥッ。

 

 焼けこげる時間も、破壊される時間も飛ばし、一瞬のうちに『マジック・ストライカー』は蒸発した。

 

「くっ……『マジック・ストライカー』の戦闘では、俺へのダメージは0になる……!」

 

「俺のターン! ラストアタックだ轟龍!! ギガ・ボルテージィ!!!」

 

「ヌオアァァァ!!!」

 

 早乙女ケイLIFE1750 → 0

 

 『光神機-轟龍』の攻撃は一刻の逡巡もなく、瞬く間に俺を吹き飛ばし、ライフを全て削りきった。

 俺のライフ消失と同時に、ソリッドビジョンも消える。吹き飛ばされ仰向けになっていた俺に、藤原が手を差し伸べた。

 

「さっきの奴とは比べ物にならない、良いデュエルだったよ」

 

「……それはなによりだな、と」

 

 立ち上がり自分の服装を見てみる。破れたり泥がついたりということはないが、所々に土ぼこりや木の残骸が付着している。寮に入る前に軽く落とさないといけない。

 

「それにしても、俺に『オネスト』を使わせたのはアカデミアじゃ君が初めてだ。どこかの大会のチャンピオンだったりするのか?」

 

「いや、ただの、ノース校中等部からの進学組だ。そういうお前は……見たところ特待生のようだが」

 

「ん。ああ、そういえば言ってなかったな」

 

 そういうと藤原は改めて自己紹介した。

 

「デュエルアカデミアに特待生として入った、関東ワールドデュエルトーナメントチャンピオン、藤原優介だ。優介とでも呼んでくれ」

 

 

To be continued...


 
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