No.472252

太陽みたいな、君と乙女♪-恋姫†乙女伝- 序

月千一夜さん

さて、さてさて
皆さんが寝た頃を見計らって投稿しますww


さて、キミオト♪

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2012-08-19 02:56:15 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7973   閲覧ユーザー数:6010

人は常に、何か・・・“刺激”を求めているものだ

 

いきなりだが

本当に、唐突な話だが

俺は、そう思っている

 

それだけではない

人はいつだって、欲張りだ

 

今よりも、楽しい毎日を

それが叶ったのなら、さらに楽しい毎日を

それがまた、叶ったのなら、もっと楽しい毎日を

それがまたまた、叶ったのなら・・・

 

繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し

何度も、何度も

いつまでも、繰り返す

 

そんなものだろう

人間なんていうのは

 

しかし、だ

 

そうしていった先、果たして・・・終わりは、あるのだろうか?

もう終わりだと、そう思った矢先

また新たな刺激を、求めてしまうのではないだろうか?

 

なんて、言ったところで

その一番最初の段階で躓いてしまっている俺には

まだ、何もわからないのだけれど

 

それでも、あえて、もう一度言おう

 

 

 

人はいつだって、“刺激”を求めている生き物なんだと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなわけで、今・・・猛烈に彼女が欲しいんだ」

 

「待て、今の長ったらしい前語りのオチがそれなのか?」

 

 

朝の通学路

俺の隣を歩く幼馴染は、心底呆れたように溜め息をついていた

 

銀色の髪を揺らし、黒いジャージを着込んだ、そんな幼馴染の彼女

名前は、“黒崎夕華(クロサキユウカ)”

幼い頃、本当に小さい頃からの付き合いで、家も近い

そんな彼女のあだ名は、“華雄”という

“夕華と華雄って、なんか響きが似てるよな”という、三国志好きな俺の一言が切欠となり

以来、俺は彼女のことをそう呼んでいる

本人も嫌ではないらしく、むしろ気に入っているらしい感じさえするから

まぁ、いいのだろう

 

さて、そんな彼女

華雄に呆れたような目で見られる俺

名前は、“北郷一刀(ホンゴウカズト)”

“彼女いない歴=年齢”な、ちょっとお茶目な、聖フランチェスカ学園に通う、二年生だ

いや、正しくは“今日から、二年生”かな?

長かったような、短かったような

そんな一年生としての生活を無事に終了し、いよいよ今日

俺は、二年生になる

 

そんな折

俺は、先ほどのような、難しいことを考えていたのである

まぁ、あれだ

つまり、結局のところ

俺が、何を言いたかったのかというと・・・

 

 

 

 

 

 

「今年こそ!

彼女をつくって、寂しかった学園生活をバラ色にしてやるっ!!」

 

 

・・・というわけである。敬具

 

 

 

「馬鹿だな・・・」

 

 

そんな俺の力説も虚しく、隣を歩く華雄はまたも溜め息

やれやれ、こいつ・・・俺がどれだけ本気か、まるでわかっていないな

 

あぁ、思えば

去年は、本当に散々だったな

 

入学当初は、まだよかった

あの頃は女子の方からも、気軽に話しかけて来てくれたし

俺も、普通に話すことが出来た

 

だけど、ある日を境に・・・“何故か”、突然学園中の女子から避けられるようになったのだ

 

女子の方からは、一切話しかけてこなくなったし

こっちから話しかけても、顔を真っ赤にしながら走って逃げてしまうし

まともに話しかけてくれる女子はなんて、幼馴染の華雄くらいなもんだった

 

 

くそ・・・俺がいったい、何したって言うんだよ?

 

 

 

「とっ、とにかく!

今年こそは、運命の出会いを見つけてみせるっ!!」

 

 

そして、彼女をゲットだぜ!!

 

 

「はいはい、ワロスワロス」

 

 

と、そんな俺のさらなる力説虚しく

華雄は軽く聞き流し、話は終わったとばかりにスタスタと歩いていく

つ、冷たいですよ華雄さん

やべぇ、泣きそうだ

 

 

「ていうか、こら華雄

さっきから、なんか冷たくないか?

幼馴染が、こんな頑張ってるんだからさ

もっと、こうさ、応援とかしてくれてもいいじゃないかよ」

 

「誰が、お前の応援などするものか」

 

 

冷たく、そう言い放ち

華雄は何故か、ピタリと足を止める

 

 

 

 

「それに・・・そんな出会いなどあったら、その・・・わ、私が困る、じゃないか」

 

「ん・・・?

今、何て言ったんだ?」

 

「っ・・・もげろって言ったんだ、この“歩く公然猥褻物”!!」

 

「もげろって、何が!?

ていうかなんだ、その歩いてるだけで捕まりそうな名前は!!?」

 

「知らん!

下半身に手を当てながら自分で考えろ、この超絶鈍感男っ!!!!」

 

「あ、おい、ちょっと待ってくださいよ華雄さん!!」

 

 

なんか朝っぱらから、とんでもないことを叫びながら、全速力で駆け抜けていく華雄

あぁ、そういや華雄さん、陸上部のエースですもんね

ものっそい早いです

クーガー兄貴も、ビックリの速度です

 

 

「あぁ、もう!」

 

 

追いつけないだろうと思いながらも、その後を追いかけようと俺も走り出した

 

その、直後のこと・・・

 

 

 

 

「うぉわっ!?」

 

「はぅあっ!?」

 

 

 

まぁ、なんだ

随分とベタな展開なのだが

丁度曲がり角から歩いてきた一人の少女と、結構な勢いでぶつかってしまったのである

その威力は、2人して其の場に倒れてしまったという状況で、まぁ察することが出来るだろう

 

 

「ってぇ・・・」

 

 

なんて、そんな声をあげながら、ゆっくりと立ち上がる

そして俺は、すぐに少女に手を差し伸べた

 

 

「君、大丈夫?」

 

「は、はい」

 

 

その手を掴み、少女はようやく立ち上がった

長い黒髪の、背の低いその少女は、それから“ハッ”となり、慌てて頭を下げる

 

 

「そ、その、すいませんでしたっ!」

 

「い、いや、君が謝ることじゃないよ!

俺がちょっと、注意力散漫だっただけで・・・」

 

 

と、ここまで言って、俺は気づいた

彼女の右膝

そこに、微かだが血が滲んでいるのである

 

 

「はぁ・・・何が、運命の出会いだよ」

 

 

いきなり、女の子に怪我なんかさせて

そんなこと、言う資格なんてないじゃないか

ホント最低だな、俺

こんなんじゃ、きっと今年もまた、寂しい一年になるだろうなぁ・・・

 

って、自己嫌悪してる場合じゃないな

 

 

 

「ちょっと、ごめんね」

 

「はい?」

 

 

言って、俺はポッケから一枚のハンカチを取り出した

それから、彼女の膝に巻いていく

瞬間、少女が“はぅあ!?”なんて奇声をあげていたが、気にしない

数秒後、彼女の膝には、俺のハンカチが結ばれていた

 

 

「よし、とりあえずは大丈夫かな

けど、一応後で消毒しといてね

それから・・・本当にごめんね」

 

 

そう言って、俺は大きく頭を下げた

すると少女は、焦ったように、手をブンブンと振る

 

 

「き、気にしないでくださいっ!

こっちこそ、ハンカチを汚してしまい、申し訳ありませんっ!」

 

「いや、それは俺のせいだから

本当に気にしないでいいからさ」

 

 

“とにかく、ごめんね”と、俺はまた頭を下げた

と、ここで俺は気付く

目の前の少女なのだが

よく見れば、俺と同じ学校

“聖フランチェスカ”の制服を着ているのである

 

 

「君、聖フランチェスカの生徒だったんだ」

 

 

俺の言葉

彼女は、ちょっと照れくさそうに笑う

 

 

「は、はい

今日からから、聖フランチェスカに通うことになります」

 

 

ということは、彼女は新入生ということか

確かに、制服を着ている少女は、何処か初々しい

 

 

「そうだったんだ

なら、君は俺の後輩になるんだね」

 

 

後輩、か

なんか、良い響きだな

 

 

「けど、だったらよかった

怪我をさせた責任、とれそうだね」

 

「せ、責任ですか?」

 

「ああ、そうだよ

学校について時間ができたら、俺が責任もって保健室に連れていけるってこと」

 

 

言って、俺は笑う

すると少女は、何故か頬を赤く染め、勢いよく首を横に振った

 

 

「そ、そんな、申し訳ないです!!」

 

「いいから、気にしないで

俺が、そうしたいだけだから」

 

 

“トン”と自身の胸を叩き、俺はまた笑った

それから、笑いながら言葉を紡ぐ

 

 

 

「俺の名前は、“北郷一刀”

君の先輩として、怪我の責任くらいとらせてくれよな」

 

 

 

俺の言葉

彼女はさらに顔を赤くさせ、口をパクパクとさせていた

が、やがてゆっくりと

確かに、その首を、縦に振るのだった

 

それを見届け、僅か数秒後

俺は、“ハッ”となる

 

チラリと見た腕時計

その針が指し示す、時刻を見てだ

 

“八時”

 

新入生の集合は、八時半

しかし、在校生の集合時間は違う

 

その時刻は、“七時三十分”

 

 

つまり・・・

 

 

 

 

 

 

「や、やっべぇぇえええええええ!!!!??」

 

「はぅあっ!!!??」

 

 

突如響いた俺の叫びに、少女は大いに驚いていた

が、そんなことすら気にならないほどに

俺は、焦っていた

それはもう、盛大に、だ

 

 

「ち、遅刻だぁぁああああああ!!!!!」

 

 

叫び、俺は駆けだしていた

そういや、今日はギリギリの時間に家を出たんだった

色々あって、すっかり忘れてたよチクショウ!

 

とにかく、急がないと!

 

そう思い、俺は全力で駆けて行く

暴走エヴァも、ビックリの勢いでだ

そんな中、俺はふと思い出す

 

 

「あぁ、そういや彼女の名前・・・聞いてなかったなぁ」

 

 

なんて、思ったところで

今さら引き返すのも、無理な話だ

そんなことしてたら、さらに遅れてしまう

 

仕方ない、か

後で、それこそ空いた時間にでも、一年生の教室に行ってみよう

 

それにしても・・・

 

 

 

「新学期早々遅刻なんて・・・やっぱ今年も、ダメな気がするんですけどっ!!」

 

 

 

叫び、尚も俺は駆けて行く

一年の初っ端から、大いにやらかしてしまった自身に対し

割と本気で、泣きそうになりながら・・・

 

 

 

 

 

 

 

ーーー†ーーー

 

 

“刺激”っていうか、さ

俺が欲しかったのはきっと、思わず“ワクワク”してしまうような

そんな毎日だったんだと思う

 

毎日が、楽しくて、ドキドキして、退屈しない

そんな日常が

俺は、欲しかったんだ

そんなの、無理かもって

半ば、諦めながらも

 

 

しかし・・・まぁ

この願いは、結果から言うと、叶うことになる

 

けど、それは・・・

 

 

 

 

「遅くなってごめんなのです、“亞莎(アーシェ)”」

 

「大丈夫

そんな待っては・・・“明命(ミンメイ)”?

その膝、どうかしたの?」

 

「は、はぅあ!?

こっ、これは、その・・・」

 

 

 

 

俺が望んでいた

願っていた“ワクワク”よりも、遥かに“度が過ぎていて”

 

 

 

 

「“華琳(カリン)様”、何かあったのですか?

今日は、いつもよりご機嫌がいいようですが?」

 

「ふふ・・・当たり前でしょう?

今日という日を、どれだけ待ちわびたか

貴女ならわかるでしょう、“秋蘭(シュウラン)”」

 

「ふふ、愚問でしたね」

 

「わかってるじゃない

さぁ、早く行きましょう

“愛しい彼”に、会うために」

 

「御意」

 

 

 

 

むしろ、ワクワクなんて軽く飛び越えて

たまに“ドロドロ”したりしてさ

 

 

 

 

「ほら、“愛紗(アイシャ)ちゃん”!

急いで急いでっ!!」

 

「お、お待ちください“桃香(トウカ)様”!

廊下を走ってはいけませんっ!!」

 

「もう、そんなこと言ってたら席とられちゃうよ!?」

 

「っ・・・うぅ、それは、その・・・」

 

「ほら、もう!

早く早く!!」

 

「ちょ、桃香様!?

そんな引っ張らないでくださいっ!!」

 

「愛紗ちゃんだって、早く会いたいでしょ?

私たちの、“ご主人様”に♪」

 

 

 

 

そのくせ、たまに胸が温かくなったり

どこか、癒されてみたり

 

 

 

 

「ねぇ、“思春(シシュン)”

どう・・・おかしなところはないかしら?」

 

「大丈夫です、“蓮華(レンファ)様”

これならば、“あの御方”も蓮華様のお姿に、目を奪われることでしょう」

 

「そ、そうかしら?」

 

「ええ」

 

「ふ、ふふ・・・“乙ゲーム”で毎日シュミレーションしたかいがあったということね」

 

「そうですね

“何処にも出かけないで、カップ麺を食べながらやり続けた成果が出たのでしょう”」

 

「あ、あんまり褒めないでよ

照れるじゃないwwww」

 

「ならば、急ぎましょう

もう間もなく、入学式が始まってしまいます」

 

「そうね

それじゃ早速、行きましょう・・・食パンをくわえながら!

そして“彼”と、ぶつかるのよ!!」

 

「御意(あぁ・・・ダメだ、この人)」

 

 

 

 

まぁ、とりあえず

“退屈”だけは、絶対にしないような

そんな毎日が

俺のことを、待っていたんだ

 

 

 

 

「あらぁん?

何かしら・・・イイ男と出会えそうな、そんな気がするわぁん♪」

 

「うむ!

ワシのハートも、むねむねしてきおったぞい!!」

 

「あぁ、滾る・・・滾ってきましたよぉ(悦)」

 

 

 

 

うん

正直、最後のは、激しくいらないんだけど

 

とにかく、だ

退屈なんかとは、遥か程遠い

そんな毎日を過ごすことになるのだ

 

それでは、そろそろ“開幕”といこうか

 

 

俺と

そして、たくさんの“乙女”からなる

 

どこまでも

どこまでも、果てしなく

 

“破天荒”な物語の幕を、開くとしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪太陽みたいな、君と乙女♪-恋姫†乙女伝-≫

   ~開†幕~

 

★あとがき★

 

まずは、序章

こっからして、当初よりもかなり内容が変わっております

初っ端、明命フラグが立ってます

 

さて、次回は壱話

ここでもまた、大きく変化が見られることでしょう

 

でわ

またお会いする日まで


 
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