No.472059

時代は三十年後 IS世界へ~(とある傭兵と戦闘機) 第五話

 前はスト魔女の世界  今度は元の世界の三十年後の世界へと飛ばされた主人公  戦闘機が旧世代と呼ばれる世界で、傭兵はIS学園の生徒として活動する事に

2012-08-18 20:39:27 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3302   閲覧ユーザー数:3114

 

 

   ~第三アリーナ第一ピット~

 

 

 真耶「あ、来ましたね~」

 

ファクトリーで待っていたのは副担任の山田真耶先生だった

 

 千冬「連れて来ましたよ、今回のテストパイロット」

 

 「よろしくお願いします」

 

テストパイロットなのか・・・まあ試作機だし、そうなるのは当然か

 

 真耶「でも本当に大丈夫なんですか?」

 

 千冬「また前のような事になるかもしれないが・・・やってみない事には分からない」

 

ん?なんか山田先生が険しい顔してるけど・・・何かあったのかな?

 

 千冬「あ~それではフェイリールド、昨日言った通りフィッティングとフォーマットを行う」

 

先生がそう言うと目の前のハッチが開いていく

 

そして

 

 真耶「これが第二世代型試験用IS、打鉄零式 ”改”です」

 

目の前にある灰色のそれは静かに鎮座していた

 

本体の基礎は訓練用の打鉄と同じように見えるが

 

肩のアーマー部には航空機のような羽がついており、腰部アーマーは簡略化されてそこにも大型の翼がついている

 

バックパックのスラスターが三つに増えており、全体的に訓練用みたいながっちり防御型ではなくすっきり軽装備高速戦闘型という感じだ

 

 千冬「ではフィリア、コイツを装着しろ」

 

そう言われて機体に歩み寄って触れるが

 

 スゥッ・・・

 

この前の訓練機に乗ったときみたいな感覚とは違い、背筋に冷たいモノが這う感じがした

 

 千冬「どうした?早く装着しろ」

 

それでもやらなければならない

 

 「・・・分かりました」

 

返事をしてISを装着する

 

 千冬「背中を預けるように、座る感じでいい」

 

言われた通りにISを装着する

 

それから自動的に体に部品が装着されていく

 

 (アクセス・・・フォーマッティング)

 

そんな機械音声と共に空中投影ディスプレイに情報が表示される

 

それから自分の視覚、聴覚などの感覚が機体各センサーと同調する

 

補助用のバイザーを装着し本体とリンクさせる

 

同調した感覚は周りの物がよりクリアーに感じられるようになる・・・だが

 

 「(・・・なんかおかしい)」

 

フォーマッティング途中なのだが、背筋の冷たい感覚は消えなかった

 

そして

 

 ピィィンッ

 

そんな頭を突き抜ける感覚と共に私は意識を失ったーーー 

 

 

 

 

   千冬視点

 

 

 真耶「今の所精神状態、意識共に問題ありません」

 

今、フィリアの初期設定などをしているのだが

 

 「(前の起動実験みたいな事にはなるまい・・・)」

 

あのIS、打鉄零式は起動実験の最中に突如謎の暴走を始めて研究施設を破壊した

 

その後完全に施設が破壊されると同時に活動を停止。

 

テストパイロットは無理なGにより全身打撲。それ以来零式は機体、コア共に完全に凍結された

 

だがその装甲などのデータは後の量産型の打鉄に生かされているのだが

 

 「(あの時の暴走は未だ原因不明、束に聞いても良くわからないという回答が帰ってきた)」

 

製作者にも分からない欠陥、それは不安要素以外のなんでもない

 

たまたま政府から零式を譲ってもらう事になったが、本来機体は展示用もしくは解体訓練用に使うつもりだった

 

だがそこにコイツが現れた

 

現在IS適性がSの者は私を含む世界に何人かが確認されていたが

 

それを上回るS+という適性を出した者は未だ世界に確認されていない

 

そこで私はこう考えた

 

 

 こいつなら零式を扱えるのではないのか?

 

 

零式は実際に正常稼動する事なく凍結されてそのまま真価を発揮できないまま欠陥機と呼ばれた

 

だがもし正常に稼動すればどうなるのか?

 

零式は完全に試験機として製作されたため、バススロットなどに多数の試作武装がインストールしてある

 

だが正常稼動しない事にはそれを使うことができずに、埃を被っている

 

カタログスペックは確実に現行第二世代トップクラス、改修を施した今は恐らく第三世代に匹敵するほどの機体に仕上がっているハズ

 

 「(改修といっても束が送ってきた各装備、装甲を付加しただけなのだが)」

 

現在フォーマッティングは正常に行われている

 

 「これなら問題は・・・」

 

フォーマットが完了すると思った瞬間、整備用パネルから警告音が発せられる

 

 真耶「センサー接続にエラー発生、搭乗者の意識レベル低下!!」

 

 「くっ・・・やはり駄目かッ!!」

 

恐らく全実験と同様の暴走が始まった

 

だが今回は何も対策をしていない訳ではない

 

 「山田先生、緊急停止実行」

 

 真耶「強制停止プログラム実行、機体を強制停止させます!!」

 

山田先生がプログラムを実行する・・・が

 

 ビーッ

 

音と共に画面に表示されるエラーという文字

 

 真耶「ッ!?機体がプログラムを拒絶、駄目です止まりません!!」

 

今アリーナは半分解放されているので、アリーナに零式が出れば他の生徒に被害が出る可能性がある

 

緊急アナウンスをかけてマイクに呼びかける

 

 「非常事態発生、試験用ISが暴走。生徒は速やかに第三アリーナから退避せよ!!」

 

緊急事態に備えてアリーナにいる生徒全員を避難させる

 

 ギギギギ・・・バギンッ

 

金属が変形する音と同時に機体拘束用のフレームが破壊される

 

 「まさか、アリーナに出るつもりか!!」

 

アリーナにはまだ一般生徒が残っているハズ

 

そして零式はカタパルトのハッチをこじ開けてアリーナに出る

 

ISを持たない私達に零式を止める手段はない

 

 

 

 

 

 

   一夏視点

 

 

 千冬「非常事態発生、試験用ISが暴走。生徒は速やかに第三アリーナから退避せよ!!」

 

いつものメンバーとアリーナで特訓している最中に流れる緊急アナウンス

 

 リン「何!?何なの!?」

 

 セシリア「どういう事ですの!?」

 

皆が何が起こったか理解できてないみたいだ。だが

 

カタパルトのハッチが変形してその隙間から銀色のISが出てきた

 

 リン「コイツね、暴走したISっていうのは」

 

 セシリア「そのようみたいですわね・・・」

 

そのISはぱっと見打鉄みたいだが雰囲気や装備が違う

 

 IS「・・・・・・・」

 

そのISは空中から俺達を見下ろしている

 

 リン「(前は恥ずかしい姿をみせちゃったけど今回こそ・・・)」

 

 セシリア「(名誉挽回するチャンスですわね・・・)」 

 

俺はどうすればいいのか分からずにただそのISを見つめていた

 

 リン「一夏っ!!アイツを止めるわよ!!」

 

 セシリア「一夏さん!!アレを止めますわよ!!」

 

いつに無く真剣な表情の二人がそのISに向かって突っ込む

 

そしてリンの双天牙月がそのISを斬りかかる・・・だが

 

 ブンッ

 

 リン「・・・え?」

 

そのISはリンの高速の一撃を紙一重でかわし、

 

 ガキィッ

 

 リン「うぐぅっ!!」

 

リンの腹部を蹴り飛ばした

 

 セシリア「たいした技術でしてね、でもこれはどうですッ!!」

 

セシリアのブルーティアーズのビット四機が敵に踊りかかる。だが

 

 ガッ ガシッ

 

 セシリア「そんな・・・ッ!?」

 

そのISはそのビットの二機を素手で掴みとり

 

 ミシミシ・・・メキッ

 

平然とそれを握り潰した

 

残り二機の攻撃をいとも簡単に回避してセシリアに接近する

 

 セシリア「くっ・・・でも、これはどうです?」  

 

セシリアが残り二つのビットからミサイルを発射。

 

これなら掴み取る事はできない。だが

 

 ヒュッ    

 

そんな風を切る音と共にISは一瞬でセシリアの背後に回りこみ

 

 ガシッ

 

セシリアを後ろから拘束する

 

 セシリア「ちょっと!?何を・・・ッ!!」

 

そして気がつく。あのISはセシリアを盾にするつもりだ

 

 「セシリアッ!!ミサイル!!」

 

そして気がついた時には遅かった

 

 ドドォンッ

 

二機のミサイルの爆煙IS二機を包む

 

 セシリア「ぐッ・・・・・」

 

二つのミサイルを正面からくらったセシリアが落下する

でもあの機動・・・ 

 

 「(前みたいな無人機ではないみたいだが・・・あんな機動を取って搭乗者は大丈夫なのか?)」

 

ISにはある程度Gなどから身を守る身体保護がある。だが無理な動きや機動をすると、やはり身体に負担がかかる

 

ましてや、ハイパーセンサーが追いつかない程の一瞬でセシリアの背後に回りこんで急停止、これは相当な負担が体にかかっていたハズだ

 

 IS「・・・・・・・・・・」

 

それでも活動を止めないISが目の前に居る

 

その時、通信が来た

 

 千冬「織斑、お前達なぜそこに居る!!今すぐに退避しろッ!!」 

 

オープンチャンネルで怒鳴ってくる千冬姉だが

 

 「俺はアイツを止める。止めなきゃ誰がアイツを止めるんだ!!」

 

そう、代表候補生二人を軽くあしらったコイツは、この前の無人機とは比べ物にならないほど強い

 

それに・・・

 

 「それにこのままじゃあのISの搭乗者が・・・!!」

 

さっき述べた通りISが暴走しているのなら搭乗者の意思、生命活動維持共に無視しているという事だ

 

このままでは搭乗者の命が危ない

 

 千冬「ならばそのままの状態を維持しろ!!すぐに教員部隊を送る!!」

 

 「わかった!!」

 

コンタクトを切ってから正面でそのISと向き合う

 

 「何としても止めてみせるッ!!」

 

俺はそのISに突っ込む

 

 

 

 

 

 

   フィリア視点

 

 

 

意識が途切れた後、私は良くわからない場所に一人で佇んでいた

 

 「ここは何処だろう・・・」

 

辺り一面青空の風景だ、足元でさえも青空で彩られた世界

 

そうして周りを見回してみると、小さな川があった

 

川の所に行ってみるとそこには少女がいた

 

 「ねぇ、ちょっといいかな?」

 

話しかけると少女は振り向いてくれた

 

そして驚いた

 

少女の顔立ちは、まるで小さい頃の私そっくりだったのだから

 

 「ここは何処か知ってる?」

 

とりあえず質問してみる

 

 少女「ここは私の世界・・・」

 

良くわからない返事に少し戸惑う

 

 少女「あなたも私を欠陥品って言うの?」

 

 「欠陥品?」

 

 少女「わたしを作った人はみんな欠陥品って私を呼んでたから」

 

 「・・・理由は?」

 

 少女「私を動かせる人が居なかったから・・・」

 

 「・・・それは何故?」

 

 少女「私を本当に理解してくれる人が居なかったから」

 

 「・・・・・・・」

 

 少女「前の人も、その前の人も・・・私を道具とか兵器だって言ってた・・・」

 

少女は泣きながら話してくれた

 

ここで山田先生の言っていた事を思い出す

 

 

  ISにも意識と似たようなものがあり、お互いの対話ーーつまり一緒に過ごした時間で分かり合うというーーー

 

 

 少女「あなたも私を・・・道具って言うの?」

 

少女は少し悲しそうに俯いている

 

確かにISは現代の通常兵器を圧倒する性能を持っているとされており

 

アラスカ条約とやらでISの軍事利用、つまり兵器として利用する事が禁止されているらしいが

 

全ての操縦者がそのISを本当に理解しようと思っているかどうかは疑わしい

 

それこそ、その 女性にしか扱えない という絶対条件は、世界を大きく変える程の影響力を持っていた

 

ましてやその試験機を作った人間は、この子を 兵器 として生み出したのだから

 

テストパイロットも然り、本当に深く理解しようとしてなかったハズだ

 

ISのコアは今現在、一人の開発者にしか製造できないらしく完全なブラックボックスらしい

 

何が起きても不思議ではない完全に詳細不明な代物

 

それでも私はーーー

 

 「そんな事言わないよ」

 

 少女「・・・え?」

 

元の世界でも私は機体を ”道具”として見た事なんて一度も無い

 

一緒に戦いを生き抜く相棒なのだから

 

機体が破損するたびに申し訳なく思うし、それでも機体は私をここまで生かしてくれた恩人でもある

 

だから私は、命を預ける戦友 として機体と共にあの戦争を生き抜いた

 

 「私にとって、機体は自分の大切な仲間なんだよね」

 

頭の中に自分のイーグルが浮かぶ

 

機体に助けられた事は数えきれないほどある

 

だから私は嘘偽り無く答えた

 

 少女「・・・ほんと?」

 

 「うん。胸を張って言えるよ」

 

それから少女は少し泣き顔になりながら

 

 少女「ぐすっ・・・ありがとう・・・」

 

 「どういたしまして。」

 

専用機・・・私の相棒になるこの子の頭を撫でた

 

 少女「・・・あの・・・」

 

 「ん?どうかしたの?」

 

少女はすこし俯いて

 

 少女「わたしのなまえ・・・」

 

確かにいつまでたっても少女じゃ不便だ

 

 「ん~そうだね~・・・」

 

そこでふと、思い出す

 

この子にぴったりの名前

 

 「零式・・・レイなんてどう?」

 

零ってたしかレイって読み方があった事を思い出す

 

 少女「レイ・・・」

 

 「気に入らなかったら別のを考えるけど?」

 

それから少女は笑って

 

 レイ「すごくいい名前です・・・ありがとうございますっ!!」

 

よかった、喜んでくれた

 

 「いえいえ、私は・・・フィリアって呼んでね」

 

 レイ「分かりました、フィリアさん」

 

 「レイちゃん、これからよろしくね」

 

 レイ「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

そしてその直後、周りが目もくらむような光に包まれて、私は再び意識を失った

 

 

 

 

   一夏視点

 

 

 「うおぉぉぉぉッ!!」

 

俺は正面から目の前のISに正面から突っ込んでいったが

 

 ガキィンッ

 

 「ッ!?」

 

そのISは俺の雪片二型を肩の翼で受け止める

 

搭乗者を確認しようとしたが、バイザーを装着していて確認できなかった

 

 IS「・・・・・」

 

 ガッ

 

 「ぐふっ!!」

 

そしてお返しと言わんばかりにカウンターをくらった

 

だが普通の蹴りの為、シールドエネルギーは30ちょっと減っただけでまだまだ大丈夫だ 

 

 「これなら ”零落白夜”を使える・・・」

 

俺は意識を雪片二型に集中させる

 

だが・・・

 

 ヒュッ

 

目の前からISが消えた

 

ハイパーセンサーがアラートを出すが反応が間に合わない

 

 ドガッ

 

 「ぐあっ!?」

 

さっきセシリアがくらったように、一瞬で後ろに回りこんで攻撃というやつだ

 

なるべくこういう動きをさせたくないが、一人ではこれが限界だ。

 

だがそれは一人ではの話で

 

 ヒュンッ

 

 IS「・・・・・・!!」

 

 セシリア「私をお忘れで?」

 

二機のビット兵器、ブルーティアーズ がISを攻撃する

 

だが先ほど同様、ISは最小限の動きで回避してビットを捕まえようとする・・・だが

 

 ドオッ!!

 

 IS「・・・・・ッ!?」

 

ISの背中に衝撃砲 龍砲 が直撃する

 

 リン「アンタ、とりあえずお返しよッ!!」

  

さっき腹を蹴られたお返しなのだろう、アイツは根に持つからな

 

そうして動きを止めてもらっている隙に 零落白夜を発動させる

 

 キィィィィン・・・

 

いくつかのウインドウが表示され、真ん中に表示される文字

 

 (エネルギー転換率90% 零落白夜 使用可能)

 

それが表示されると共に雪片弐型が光の刃を展開する

 

この技は自分のシールドエネルギーを大幅に削る分、相手のシールドを切り裂く事ができる

 

相手のシールドを切り裂くという事でISの絶対防御を発動させ、相手のシールドエネルギーを大幅に削る事ができる

 

いわば ”自分の体力と引き換えに相手に大ダメージを与える”という事だ

 

相手を一撃で無力化する為にはコイツを使うしかない

 

そして俺は背中のスラスターにエネルギーを集中させて、瞬間加速 イグニッションブーストを発動させ一気にISとの距離を縮める

 

 「うおぉぉぉぉぉッ!!」

 

そのままISに切りかかる

 

 IS「・・・・・!!」

 

ISは左手に部分的シールドを展開して剣戟を受け止めようとした。だが

 

 パキィンッ!!

 

 IS「・・・・・ッ!?」

 

雪片弐型はそのシールドを切り裂き、ISにダメージを負わせる

 

 「おらぁッ!!」

 

雪片弐型を振りぬいてそのISを地面に叩きつける。だが流石に一撃で戦闘不能にはならず、再び起き上がり俺達をロックする

 

 「まだ来るつもりか・・・」

 

再度の攻撃に身構える・・・が 

 

 IS「ーーーーー・・・・」

 

そのISはいきなり動きを止めた

 

ロックも解除され、そのISはドサッと地面に倒れこむ

 

 セシリア「止まりましたの?」

 

 「そうみたいだな・・・」

 

 リン「全く、人騒がせなISね!!」

 

暴走は止まった・・・みたいだが

 

 千冬「機体の停止を確認、よくやったお前達」

 

 セシリア「代表候補生として当然の事をしたまでですわ」

 

 リン「代表候補生ならあのくらい当然でしょ」

 

なんかすげぇ頼もしい事を言ってる・・・さすがは国家代表候補生。なのだが

 

 千冬「ふむ、お前達の国では命令違反は代表候補生にとって当然の事なのか。よく分かった」

 

 リン・セシリア「「・・・・・・」」

 

二人の表情は一転して暗くなる

 

あの時の指示は 現状を維持しろ だった。うん、命令ガン無視してるね俺達

 

 「でもあのままじゃ搭乗者が危なかっただろ」

 

そう、あのままだとISの搭乗者の命に関わっていた可能性があった

 

 セシリア「そ、そうですわ!!」

 

 リン「そ、そうよ!!」

 

おい、何だその取ってつけたみたいな言い訳

 

というか、このままこのIS放置じゃまずいだろ

 

 千冬「・・・まあいい。織斑、そのISを第一ピットまで運んでくれ」

 

 「わかった」

 

 千冬「・・・教師には、はいと答えろ馬鹿者が」

 

 「・・・はい」

 

そしてそのまま動かなくなったISを抱える

 

 リン「あぅ・・・」

 

 セシリア「あのISの搭乗者が羨ましいですわ・・・」 

 

さっさと行こう。何だか知らんが後ろの二人の視線に息が詰まりそうだ

 

そうしてそのままピットに連れて行った

 

 

 

 

    千冬視点

 

 

あれから数分後、織斑達によってISは追い込まれた  

 

そして零式が再び起き上がった時

 

 ピピピッ

 

 真耶「零式のステータス正常化を確認・・・バイザーセンサー、搭乗者の意識レベルが平常値に戻りました」

 

どうやら暴走は止まったようだ

 

零式は制御を失い、アリーナに力なく倒れた

 

一息ついた所で私はオープンチャンネルで呼びかける

 

 「機体の停止を確認、よくやったお前達」

 

それから馬鹿二人が誇らしげに胸を張っているのだがその二人に釘を刺し、織斑に零式を回収させる

 

 真耶「でもどうして止まったんでしょうか?」

 

そう、零式は織斑のバリア無効化攻撃をくらったものの、シールドエネルギーは100ほど残っていた

 

だが零式は反撃をせずにを活動を止めた

 

 「全く・・・またアイツに聞くしかないのか・・・」

 

ハァ、と大きなため息がこぼれるが、第一ピットに百式を装備した織斑が零式を運んできた

 

 一夏「こいつどうすりゃいいんだ?」

 

 「そこに寝かせろ。お前は戻れ」

 

 一夏「わかった」

 

とりあえず織斑を帰らせた後、ISを装着解除しようとするが、まだ完全にシステムが停止してない事に気がついた

 

 真耶「織斑先生、零式がフォーマッティングを実行しています・・・」

 

 「何だと!?」

 

よく見るとフォーマット確認画面が表示されている

 

この状況でフォーマットを実行しているのか!?

 

 (フォーマットセットアップ・・・実行します)

 

空中投影ディスプレイに最終実行プログラムが表示される

 

 真耶「信じられない・・・零式が自らフォーマットを実行しています」

 

今まで零式は外部からのプログラム実行によりフォーマットを試していたのだ

 

理由は、通常機体が自動でしてくれるフォーマットを自動で実行しなかったからである

 

当初はプログラムの不備かと思われていたが、今回の一件でそれは間違であるという事が証明された

 

 (各部情報解析完了・・・一次移行を開始します)

 

その機械音声と共に、零式が光に包まれる

 

そして一回粒子化してもう一度粒子が集まる

 

光が収まった時には零式はファーストシフトを完了していた

 

そして本来の姿をした零式が今、私達の目の前にある

 

 真耶「これが・・・零式の本当の姿・・・」

 

零式はシルバーの機体から白色に変化し、各部アーマーの展開翼には青い塗装が施されていた

 

 「(この塗装は・・・こいつの機体と同じじゃないか)」

 

そう、零式の機体カラーはコイツの戦闘機と同じようなカラーリングになっていた

 

だが何処となく白式に似ている

 

 (一次移行完了・・・三十秒後に待機状態に移行します)

 

そんな機械音声が聞こえて零式は粒子になって消え、倒れたまま起きないフィリアだけがそこに残る

 

 「おい、大丈夫か?」

 

少し肩を揺らしてみると

 

 フィリア「う~ん・・・お腹・・・すいた・・・」

 

おそらく寝言だろう・・・まあ無事みたいで何よりだ

 

しかしあんな動きをして無事なのか・・・やはり流石としか言いようが無い

 

零式は待機状態のヘアピンになって床に落ちていた

 

 「よかったな、零式・・・」

 

やっといいパートナーを見つける事ができて

 

そう心の中で思いながらヘアピンを髪につけてやる

 

 フィリア「・・・すぅ・・・」

 

こうして

 

 

  第二世代型試作高機動IS    打鉄零式 改

 

    

    登録搭乗者         フィリア・フェイリールド

 

 

 

IS学園の専用機持ちリストに彼女の名前が加わった

 

 

 

 

 

 

時は過ぎて 深夜

 

私はとある人物に電話をかけていた

 

私の同級生にしてISの開発者  篠ノ乃 束

 

呼び出し音が鳴ってすぐに通話に出た

 

 束「もしもしちーちゃん?久しぶりだね~!!」

 

 「全く・・・相変わらずだなお前は」

 

久しく連絡を取っていなかったためか、やけにテンションが高い

 

 束「で、用件は・・・零ちゃんの事かな?」

 

零ちゃん・・・零式の愛称だろう

 

 「そうだ・・・アレは一体何なんだ?」

 

前回の起動した時の暴走や今回の暴走・・・不明な点が多すぎる

 

 束「零ちゃんは私が作った子達の中でも最上級に入るくらいの子だったね~」

 

 「私が聞いているのは、何故暴走を起こしたのか だ」

 

 束「う~ん・・・実際には搭乗者が関係してるみたいなんだけど・・・よく分かんないんだよ~」

 

 「わからない?」

 

 束「あの子は確かに他の子に比べてデリケートな部分があったけど・・・そんなに暴走するような子じゃないんだよね~」

 

 「そうか・・・夜分すまなかったな」

 

 束「いえいえそんな事はないよ~束さんはいつでも大歓迎だよ~」

 

それから通話を終わらせ、ベットに横になる

 

こうして忙しい一日は終わった

 

 

 

   束視点

 

 

 「久しぶりにちーちゃんの声が聞けた~」

 

通話を終えた後にゴロンとねっ転がる

 

 「全く倉持技研の連中は欠陥機なんて判断を下すなんて・・・馬鹿の集まりじゃないの~?」

 

零式は私が作った戦闘更新型ISなんだけど、ちょっとコアの方が高性能すぎちゃったんだ

 

それこそ、搭乗者の深層心理を理解できるほどに賢い子だった

 

 「乗る連中がふさわしく無かっただけだもんね」

 

零式は本当にISの事を理解してくれる人じゃないと組めない・・・だから

 

 「零ちゃんと組める人間がいたなんてね~・・・また興味対象が増えそうだよ~」

 

それからパソコンと向き合っていつもと同じ暇つぶしに戻る

 

 

 

それは誰も知らない束のラボでの事であった  

 

 

 

 

 

 

 

    IS設定

 

 

     打鉄零式 改 

 

 

  IS学園が、整備科の訓練用にと受け取った試作第二世代型IS

 

  だが以前に研究所で試験稼動中に暴走、研究所を完全に破壊すると共に活動停止

 

  その一件以来、コア・機体共に凍結されていたが外装などのマテリアルデータ及び推進ユニット  などは

 

  後の量産型打鉄に生かされている

 

  そしてこの貴重な兵器を持て余した国からIS学園に寄贈された   

 

  外装は打鉄よりも軽装備で、背面バックパックには航空機翼が付いており、リアアーマーの方に  も大型の翼が付いている

 

  スラスター系も高出力の物が搭載されており、見た目通りの高機動、高速軽快な飛行性能を持っ  ている

 

  だが装甲はその分オミットされており、他のISと比べて比較的物理ダメージに弱い

 

  未だ不明な点が多く、学園による解析が急がれている状況にある

 

  だがそこには製作者が ”本気”で作ったあるシステムが組み込まれているらしい

 

 

 

 

  ☆意見感想コメント大歓迎☆

  


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
9
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択