No.467278

IS・B ~インフィニット・ストラトス・ブレイヴ~ 第七章 中編 進化する三つの光

激突皇さん

第七章 中編

2012-08-08 21:19:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3538   閲覧ユーザー数:3506

『まゐさんには、意識は無かった・・・お前が・・・救って、や・・れ・・・』

月光の最後の言葉が頭を過ぎる

俺はいったい、どうすればいいんだ・・・

「・・・そんなこと、決まっている」

『行くんだな、ダン』

そう呟くとライジングが実体化して俺の目の前に立つ

「ライジング・・・」

『何も言わなくていい、守るんだろ、お前の大事なモノを。 なら俺は、お前の力となり、どこまでもついていくさ』

とそれだけ言ってライジングはカードに戻った

「ありがとう、ライジング・アポロドラゴン・・・」

そして俺はカードを握り締め・・・・・

 

 

 

 

「駆け上がれ、神の名を持つ赤き龍! 太陽神龍ライジング・アポロドラゴン!!」

 

 

 

 

アポロドラゴンを展開してまゐがいる場所へと飛び立った

待っていろ、まゐ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく目標の座標に向かって飛んでいると・・・

「・・・いた!」

銀色のIS、銀の福音とまさにダークヴルム・ノヴァと呼ぶに相応しいISを身に纏った・・・まゐがいた

「・・・・・・・・・・」

「まゐ!俺だ!!ダンだ!!」

「・・・・・・・・・・」

駄目か、一度はこちらを向いたがそれだけで反応はない

やはり意識は無いみたいだな・・・

『敵機確認 迎撃モードへ移行 「銀の鐘」 稼働開始』

まゐの方に気を取られていると銀の福音が攻撃体勢に入り、まゐも俺を敵と判断したようだ

「・・・まゐ、俺は激突王とか世界の救世主とか言われてたけど・・・やっぱり不器用みたいだ」

俺は言いながらカードを取り出す

「だからこれしかお前を救い出す方法が思いつかない・・・俺はこのバトルで、お前を救いだす!!」

そしてカードを掲げ

「ブレイヴ! 武槍鳥スピニード・ハヤト!」

スピニード・ハヤトを召喚し、すぐさまブレイヴする

「いくぞ!!」

背中から槍を取り、二人に斬りかかる

「・・・・・・・・・・」

「なっ!?」

だがその攻撃はまゐに止められてしまう

「くっ、ブレイヴキラーか・・・」

ダークヴルム・ノヴァの効果はやはり受け継がれているのか

まゐとぶつかり合っていると横から光弾が飛んできた

「くそっ」

俺は槍を手放し、スピニード・ハヤトの高速移動で回避する

ここはスピードで翻弄して・・・

「・・・・・・・・・・」

「なにっ!?」

だが一瞬でまゐに間合いを詰められてしまい、その爪による攻撃をもろに喰らってしまう

「ぐあっ!!」

さらに後ろから銀の福音が光弾を放つ

「しまった!」

くそっ、こんなところで・・・!

 

 

 

 

「ふん、貴様の力はこの程度か」

なにが起こったのか一瞬理解できなかった

「ら、ラウラ・・・?」

目の前にはラウラがいた

見るとAICで銀の福音の攻撃を防いでいた

「貴様は私が倒す、それまで生きてもらわねば困る」

こちらをチラリとだけ見てぶっきらぼうにそう言う

「な、なんでお前が・・・」

「ラウラだけじゃないわよ」

その声と同時に青いビットが現れそれからビームが、右から衝撃波が、左からレーザーが放たれた

「・・・・・・・・・・」

それを銀の福音とまゐは難なくかわしてしまう

「はぁぁぁぁぁぁああ!!」

だが避けた先に箒が斬りかかる

まゐは爪で受け止めるが少しずつ押されている

「箒!くるよ!!」

「くっ!」

声に従い、箒はまゐから離れる

するとそれまで箒がいた場所を光弾が通り過ぎる

「さすがに手ごわいわね」

「ですがこれぐらい無くては手応えがありませんわ」

「さぁ、次いくよ」

声に振り向くと鈴、セシリア、シャルロットがいた

「な、なんでお前等がここに・・・」

「それはこっちのセリフだ」

俺の疑問に箒がそう言う

「私達は命令違反をしたダンを連れ戻すよう言われたのよ」

「ぐっ・・・」

まさか千冬先生がもう手を打ってくるとは・・・

「み、みんな、俺は・・・」

「でもその前に・・・」

「え?」

俺が言おうとする前に箒達は武器を構える

「一夏さんと月光さんの」

「仇、討たないとね」

「みんな・・・」

そうだよな、みんな一夏と月光の仇を撃ちたいはずだ・・・

「ダンはあの黒いISに用があるんでしょ?」

「銀の福音は私達に任せろ」

「ダンはそっちを頼む」

「・・・あぁ、任せろ!」

俺は再び背中の槍を手に取り

「いくぞ!」

掛け声と共に一斉に飛び出す

箒達は銀の福音を対峙し、俺はまゐと再びぶつかり合う

「うおぉぉぉぉぉおお!!」

絶対に助け出す

待ってろ、まゐ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ざざぁん・・・・・・

ざざぁ・・・・・・

「ここは・・・?」

一夏はなぜか太陽が照りつける砂浜にいた

「---♪ --♪」

「ん?」

そこにどこからか歌声が聞こえてきた

「ラ~♪ ラララ~♪」

歌っていたのは白い髪の少女だった

少女は歌に合わせて波打ち際で踊っていた

一夏は不思議とその歌に引き付けられ、近くの木に腰を掛けてボォっとその歌を聴いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ここは・・・」

俺は目が覚めると見覚えのある場所にいた

旅館の部屋だというのは判るがどの部屋かは判らなかった

「そっか、俺あいつ等にボッコボコにされたんだっけ・・・」

悔しいが、あいつ等には全く歯が立たなかった

ぼやける記憶を引き出し、思い出す

「・・・ハッ! ストライク・ジーク!フェニック・キャノン!」

思い出した、俺の体だけでなく、あいつらもボロボロになって・・・

「くそっ、俺は・・・」

守れなかった

一夏も、相棒も・・・

「ちっくしょう・・・」

『・・・・・いつまでそうやって落ち込んでいるつもりだ?』

布団に拳を打ち付けていると聞きなれた声が聞こえてきた

「ストライク・ジーク・・・お前・・・」

『お前は、仲間が戦っているのにこんなところでふて腐れているつもりか?』

「なに?」

仲間が、戦っている?

『今、ダン達はお前と一夏の仇を討つためにヤツらと戦っている』

「みんな・・・」

なんだよ、これじゃあ守ってるんじゃなくて、守られてんじゃねぇか

「・・・おい、相棒」

『・・・なんだ?』

 

 

「もう一度いけるな?」

『当たり前だ、俺を誰だと思っている?』

 

 

そう言うとストライク・ジークはカードになる

だがそのカードはあちこちに傷が付いていてストライク・ジークがどれだけダメージを負っているかが判る

まぁ、俺もボロボロなんだがな

「いくぜ、相棒」

だが俺もこいつも承知の上、だからこそお互い、遠慮も躊躇も無い

あるのは・・・

「貫け、闇夜に光る月の牙! 月光龍ストライク・ジークヴルム!」

お互いを信じる気持ちだけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波の音を聞きながら目の前にいる少女の歌を聞いてしばらく経った

いや、実際は数分も経ってないのかもしれないし何時間も経っているのかもしれない

なんて考えていると少女がピタリと動きを止めた

気になった俺は立ち上がり、少女の下へ歩み寄る

「どうか、したのか?」

声をかけるも反応なし

代わりに空をじっと見つめているだけだった

「呼んでる・・・・・行かなきゃ」

「え?」

突然なにか言ったので視線を戻すとそこにはあの娘はいなくなっていた

「・・・力を欲しますか?」

「え・・・?」

後ろからまた別の声が聞こえてきたので振り返ると海の中に膝下まで沈めている女性が立っていた

その女性は白く輝く甲冑を身に纏い、まるで騎士のような格好だった

「力を欲しますか?・・・・・・何の為に・・・・・・」

「んー、難しいこと訊くなぁ・・・・・そうだな。 友達を---いや、仲間を守る為かな」

「仲間を・・・?」

「なんていうか、世の中って結構色々戦わないといけないだろ?  単純な腕力だけじゃなくて、色んなことでさ」

俺はなぜかこの人に思っていたことをすらすらと話していた

「そういうときに、ほら、不条理なことってあるだろ。 道理のない暴力って結構多いぜ、そういうのから、できるだけ仲間を助けたいと思う。 この世界で一緒に戦う---仲間を」

 

 

 

 

「・・・なら俺からも聞いていいかな?」

 

 

 

 

またしても後ろから声がして振り返る

そこには白銀の髪で冷たいけど、真っ直ぐな瞳をした男性がいた

その人もなんていうか・・・鎧とかは着てないけど、騎士って感じの人だった

「えっと、なんですか?」

「君は、どう守りたい?」

「え?」

どう、守りたいって・・・?

「ただ力を振るい、敵を倒すか? それとも力を受け止め、自分を犠牲にするか?」

「・・・・・」

その人の言葉はすごく重たく感じた

よく判らないけど、俺にだけじゃなくて、自分自身にも言ってるような・・・

「・・・俺は、敵を倒したりもするし、自分を犠牲にもすると思う」

俺の言葉をこの人は黙って聞いていた

「でもそれは守るってことだとは思わない、上手く言えないけど・・・戦った後、みんなで笑っていられれば俺はそれでいい。 その為に、俺は戦う」

「・・・・・・・・・・」

言い終わるとその人は目を瞑り、黙ってしまった

「あの・・・」

「・・・君ならできる。 きっとな」

「え?」

それだけ言うとその人はいなくなってしまった

代わりに

「ねぇ、早く行こう」

白いワンピースの少女が俺の手を取り促す

「ほら、ね?」

この娘の言葉に俺は頷く

するとこの世界が眩いほどの光を放ち始める

「な、なんだ?」

そして俺は光に包まれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁあ!!」

「あのバカの仇!!」

私と鈴は交互に攻撃を繰り出し銀の福音を追い詰めていく

それにたまらず上空に逃げるが

「させないよ」

「私達がいることもお忘れなく」

シャルロットとセシリアがその先に待ち構え、援護射撃をし

「・・・そこっ!」

ラウラがAICで動きを鈍らせつつレールカノンで攻撃していく

この連続攻撃を受け、銀の福音の動きが鈍くなる

「これ結構有利なんじゃない?」

「油断するな、あっちがどんな奥の手を隠しているかわからないぞ」

追い詰めながら余裕の言葉を発しているとラウラが指摘する

「わ-ってるわよ、箒!最後の一撃、決めなさい!」

「判った!」

指摘された鈴は投げやりに返すと私にとどめを指示し、銀の福音に衝撃砲を放つ

それに便乗してセシリアとシャルロットも援護する

私は鈴に頷き、両手に持つ刃にエネルギーを込める

「今ですわ!」

「いって、箒!」

「決めろ!」

そして銀の福音の方翼を砕いたのをきっかけにみんなが私に叫ぶ

「はぁぁぁぁぁあ!!」

一気に加速して銀の福音に刀を振り下ろす

その刃が肩に食い込む、だが・・・

「くっ」

銀の福音は刀を掴み、完全に勢いを止める

そして残っている翼のスラスターが開き、エネルギーがチャージされる

(こんなところで・・・!)

私は刀を手放し、銀の福音の翼からエネルギー弾が放たれる瞬間、上に加速して回避する

「負けて、たまるかぁ!!」

そして落下しながら蹴りを叩き込む

その瞬間、足の装甲が開き、エネルギーの刃が発生した

その刃がもう片方の翼を切り落とし、銀の福音は墜落していく

「やった・・・」

ついに倒した、私達の力で・・・

勝利を確信し、みんなの方を向こうとすると

「・・・えっ?」

銀の福音が墜落した先から光弾が飛んできた

振り向くと銀の福音が蹲るような格好で宙に浮いていた

「翼もないのに、どうして・・・」

「あれは、まさかっ・・・」

セシリアが呟き、シャルロットがはっとしたような表情をする

「・・・第二形態移行」

ラウラがぼそりと噛締めるように言う

第二形態移行だと?それって・・・

「っ!箒!」

「っ!?」

鈴に言われて反応する

銀の福音は瞬時に翼を再び戻し、光弾を放った

なんとか避けられたが髪を縛っていたリボンが千切れてしまう

「くっ」

だがそんなことを気にする間もなく、銀の福音は光弾を連射する

「こいつ、さっきより速くなってる!?」

鈴が驚愕の表情で叫ぶ

鈴の言う通り、先ほどまでと光弾の数も早さも上がっている

私達はそれを避けるので精一杯だった

「このままでは、まずいな」

「でもいったいどうすればっ」

たしかにこのままでは埒が明かない

「くぅっ、こんのぉ!」

その時、鈴が駄目元で衝撃砲を放つ

避けられると思ったその攻撃は・・・

「あ、当たった?」

以外にも命中したのだ

「もしかしたら、まだ第二形態移行したばかりで上手く操れてないのでは?」

「その可能性はあるな」

「なら、もう一度!」

私はさっきの要領で足からエネルギーの刃を発生させ、銀の福音に突っ込む

「これで・・・っ!」

だが私は気が付かなかった

その肩にまだ私の刀が刺さっていることに

「箒!」

銀の福音は刀を抜き取り、私に投げつけた

まずい、避けられない

思わず目を瞑り、衝撃に備える

「・・・・・え?」

だがいつまで経っても衝撃が来ることはなかった

不思議に思い、目を開くと・・・

「よう」

「あっ・・・・・」

そこには純白のISを身に纏い、白い剣を握った・・・

私にとって、一番大切な人・・・

「待たせたな、箒」

「いち・・・か・・・」

織斑一夏がいたのだった

「お前、怪我は!?」

「ん?気が付いたら治ってた」

な、なんだそれは・・・

でも・・・

「・・・よかった」

「え?何か言ったか」

「な、なんでもない! それより」

「あぁ、倒そう、あいつを」

一夏は真剣な眼で銀の福音を見る

銀の福音は肩に刺さるもう一つの刀を抜き取り、海に投げ捨てた

「で?どうやって倒すつもり?」

それを見ていると鈴が近くまで飛んできてそう言ってきた

「まぁ、一夏さんのことですから・・・」

「なにも考えていないだろうな」

「ぐっ・・・」

同じように飛んできたセシリアとラウラにそう言われて苦い表情になる一夏

図星だったようだ

「でも下手に作戦考えるよりかはいいかもね」

「だな、それにそんな暇もないようだ」

シャルロットの言葉に頷きながら銀の福音の方を見る

すでに翼にエネルギーを溜めていて、打ち出そうとしていた

「そうみたいね、私達で援護するから、一夏、箒、あんた等で決めなさい!」

「おう!」

「判った!」

そして鈴の声と共に放たれた光弾をかわして、私達は散らばる

こんどこそ、決めてみせる

そう強く意気込む中、ふと視界にダンが移りこんだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁあ!!」

「・・・・・・・・・・」

こうしてまゐとぶつかり合ってからしばらく経つ

まゐの動きに翻弄されつつもスピニード・ハヤトのスピードを活かし、なんとか対抗している

「はあ、はぁ・・・・・」

だがさすがに体力も尽きてきた

それに対してまゐは息一つ切らさず、攻撃を仕掛けてくる

「くっ」

それを槍で防ぎ、逆に押し返す

「・・・・・・・・・・」

それにしても、この動きはなんなんだ?

突然目の前に現れるこの動き・・・

加速、というわけでもさそうだ

そういえば、箒達が相手をしていたときはこの動きは見えなかったな・・・

「・・・まさか!」

あることに気が付いた俺に、わずかに隙ができたのか

まゐが再びいきなり目の前に現れたのに、俺は反応できなかった

「しまった!」

そしてまゐの繰り出す黒い閃光を喰らい、俺の意識は遠くなる・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ダン」

・・・ここは?

そしてこの俺を呼ぶ声は・・・

「目を覚ませ、ダン」

「・・・っ!お前!?」

目を開き、声の正体を見る

そいつは・・・

「久しぶりだな、ダン」

「・・・パンテーラ」

かつて敵としてバトルし

最後には心を持って、判り合うことができ

俺にジークヴルム・ノヴァを託してくれた人物

パンテーラだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?ダン!!」

銀の福音との戦闘中、ダンが黒いISに落とされたのが見え、思わず動きを止めてしまう

「そんな・・・」

「あのダンがっ?」

その事実に驚いていたのは俺だけなく、みんなも動きを止めてダンが墜落していくのをただただ見入ってしまった

それにより・・・

「っ!みんな!」

「なっ、しまった!」

隙ができてしまい、銀の福音の攻撃を喰らってしまう

「キャアーーー!!」

「セシリア! っ!あぁ!!」

それによりセシリアと鈴が撃墜され、偶然にもそこにあった孤島に墜落する

「くっ、このっ!」

AICで防いだラウラはすかさずレールカノンを放つ、だが軽々とかわされてしまう

「よくも、みんなを!!」

「えぇい!!」

その時、箒が新たに出したで斬りかかり、シャルがライフルを放つ

「うぉぉぉぉお!!」

俺も瞬時加速して銀の福音に向かっていく

「La・・・・・」

しかしそれを上空に飛んで回避し、銀の福音は翼の砲口を全て開き、甲高いマシンボイスを鳴らす

「まずいっ!」

俺がそう言うもすでに遅く、銀の福音は全ての砲口から光弾を全方向に放つ

くそっ、ここまでなのかよ・・・

諦めかけたその時

 

 

 

 

「マジック!アブソリュートストライク!」

 

 

 

 

「・・・え?」

聞こえてきたその声をきっかけに、放たれた全ての光弾はある一点に向かっていく

その方向には・・・

「・・・月光・・・?」

怪我をして、旅館で寝ていると聞いた月光がいた

「月光!よけ・・・」

シャルがなにか言おうとすると月光はなぜかその場に止まって

「・・・・・・・・・・」

何も言わず笑った

そして全ての光弾が月光を一斉に襲った

「そんな・・・」

「バカな・・・」

箒とラウラは唖然として呟く

「嘘・・・だろ・・・?」

俺も目の前で起きている光景に目を見開いて呟く

全ての光弾を喰らった月光はISが砕け散り、真っ直ぐ落下していった

「月光ーーー!!」

そして、シャルの叫びがその場に響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パンテーラ、なんでここに・・・それにここは・・・?」

俺はあたり一面真っ白な空間にいた

見渡す限り真っ白で、何も無い。 そんな場所だった

そして目の前にはグランドコアとして消えたはずのパンテーラがいた

「俺にも判らない、だが一つだけお前に伝えねばならないことがある」

「伝えなければならないこと・・・?」

「あぁ、ダン、お前はまだ自分の力を使いこなせていない」

なに?

「どういうことだ?」

「敵にはできて、お前にはできなかったことがあるはずだ」

敵にはできて、俺にはできなかったこと?

どういうことだ?

「不思議に思ったことはないか?紫のコアの光主と戦って」

まゐと戦って?

・・・まさか

「・・・スピリットの能力」

「そうだ、お前はそれを使えていない。 つまりその力はまだ眠っている状態だ」

「眠っている?」

「それを呼び覚まさせる事が出来るかどうかは・・・お前とそいつ次第だ」

そう言ってパンテーラは俺の後ろを指差す、そこには

「ライジング・アポロドラゴン・・・」

ライジングがこちらを真っ直ぐ見つめ、立っていた

「ライジング、俺はどうすればいい? どうすればお前の力を100%引き出せるんだ」

俺がそう聞くとライジングはゆっくり口を開き

『お前は・・・まゐを愛しているか?』

「・・・・・・・は?」

突然そんなことを言われ、俺はマヌケな声を出してしまう

「な、なんだそれ。 今答えなくちゃ駄目なのか?」

『そりゃあ、まゐは自分の想いをはっきり伝えたというのにお前は返事を返してないではないか』

「いやちょっと待て!なんでそんな話になってるんだ!?」

判らない、どうして真の力の話から俺とまゐの話になってるんだ!?

『で、どうなんだ? 好きなのか?嫌いなのか?』

「そ、それは・・・もちろん嫌いじゃないし、その・・・」

ど、どうすればいいんだ?

こんなこと聞かれたのなんて初めてだし、素直に答えるべきか?いやしかし・・・

『・・・ふっ』

「へ?」

『あっはははは』

どう答えるべきか考えているとライジングは突然大笑いし始めた

あれ?ライジングってこんな性格だったのか?

『ふぅ、お前のそんな困った顔なんて初めて見たな』

「な、なんだよそれ」

『ダン、お前はいつも固すぎる。 もう少し楽になった方が良い』

ライジングの言おうとしていることが判らない

俺が首をかしげているとライジングは言葉を続ける

『難しく考えるな、ただ大切なモノを助ける、その為に共に戦ってくれ。 そう言えば俺はいつだってお前の力になる』

「ライジング・・・」

『もっと頼れ、俺にも、お前の仲間にも』

もっと頼る、か

確かにまゐにも言われたことあったっけ

一人で背負い込みすぎだって

「・・・あぁ、判った」

俺は一つ深呼吸をするとライジングを真っ直ぐ見る

「ライジング、まゐを助けたい、だから俺の力になってくれ!」

『あぁ、任せろ!』

そう言い合うと俺達の間に赤く光る「コア」が現れた

「これは・・・」

「それこそ、お前達の真の力の象徴」

パンテーラが近づいてきてそう言う

「これが俺達の、真の力・・・」

「これで、俺の役目は終わりだ」

ふと見るとパンテーラの身体が透け始めていた

「パンテーラ・・・」

「ダン、またお前に会えたとき、胸の部分が熱くなった。 あのとき、お前とバトルした時のようにな」

「・・・俺も、また会えて嬉しかった」

「嬉しい、か。 なるほど、これは嬉しいということなのか」

パンテーラは相変わらずだ

「また会おう、馬神ダン」

「あぁ、そのときはまたバトルしよう」

「ふっ、そうだな。 ではな・・・」

そう言ってパンテーラは消えていった

ありがとう、パンテーラ

「・・・さぁ」

そして俺はライジングを見る

「いくぞ、ライジング」

『あぁ、勝つぞ』

俺とライジングはコアに向かって手を伸ばした

その瞬間、目の前が光に包まれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、やっぱきついな」

俺は今みんなが戦っている場へと向かっている

とはいえ俺の体もストライクヴルムのボディもボロボロなので飛ぶのも一苦労なわけだが

『だが、行かないわけにはいかないだろう』

「当たり前だ、じっとなんかしてらんねぇ・・・!」

ストライク・ジークの言葉に歯を食い縛りながら返しているとある光景が見えた

それは銀の福音と箒達が対峙していて、今まさに銀の福音が翼から光弾を放とうとしていたのだ

「・・・ストライク・ジーク」

『何も言わなくて良い』

「・・・悪いな」

それだけストライク・ジークと話すとカードを一枚抜き取り・・・

「マジック!アブソリュートストライク!」

アブソリュートストライクを使用し、放たれた光弾を全て俺に向けさせた

そしてそれに気が付いた箒達が驚いた顔をする

「月光!よけ・・・」

シャルが何か言おうとしたが俺はそれを何も言わず

「・・・・・・・・・・」

みんなに笑いかけ、全ての光弾を受けた

そこで俺の意識は途切れていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ここは?」

光弾を受けて気を失ったと思った俺はいつか見たような場所へ来ていた

「確か前にも来たような・・・?」

いつだっけか?遠い昔、薄れていく意識の中来たような気がする

辺りを見回していると何かの泣き声・・・いや、叫び声のようなものが聞こえてきた

「なんだ?」

不審に思い、その方向に振り向くと・・・

『ぐぉぉぉぉぉぉぉおお!!』

「なっ!?」

そこには白い龍がこちらに飛んできていた

「あ、相棒・・・?」

目の前に止まったその龍を見るとそいつは月光龍ストライク・ジークヴルムだった

しかし・・・

「いや、相棒じゃない?」

確かにこいつはストライク・ジークヴルムだ、だが俺がこれまで一緒に戦ってきたストライク・ジークヴルムではなかった

 

 

 

 

「そう、そいつはお前が相棒と呼ぶストライク・ジークヴルムではない」

 

 

 

 

俺の呟きに答えるようにその人は俺に話しかけてきた

「あ、あんたは・・・」

「こいつは我が友、俺のストライク・ジークヴルムだ」

そう言いながらその人はストライク・ジークヴルムに触れた

「なぁ、ここはいったい・・・」

「お前にとって、ストライク・ジークヴルムとはなんだ?」

「え?」

唐突すぎて思わず変な声を上げる

「俺にとって、ストライク・ジークヴルムは共に戦い、共に勝利を掴み取る友だ」

その人は自分にとってのストライク・ジークヴルムを話した

「お前にとっては、なんだ?」

「俺にとっての、ストライク・ジーク・・・」

俺は胸に手を当て、考える

バトスピを始めたあの日

一番初めに開けたパックに入っていたXレア、それがストライク・ジークヴルムだった

その日から常に俺のデッキに入れ、ずっと一緒にバトルしてきた

そして強盗に襲われたあの日、聞こえてきたその声に全てを思い出し、ストライク・ジークはISとなった

その日から俺達はお互いを信じ、いろんなやつらと戦ってきた

「・・・俺にとって」

答えを導き出した俺は、口を開く

「俺にとってのストライク・ジークヴルムは、お互い信じ合い、競い合い、そして、共に成長し合う・・・相棒だ!」

そう言うと俺の目の前が光り出し、そこに白く輝く龍が現れた

「・・・よう、イメチェンでもしたのか?」

『さぁな、だが力が溢れてくる』

そいつがこれまで一緒に戦ってきたストライク・ジークヴルムだということは判る

だがその姿は所々変わっていた

「へっ、なんでもいい。 いけるな?」

『当たり前だ、俺を誰だと思っている』

でもそんなの関係ない、俺達にはたったこれだけの言葉で十分だった

「ふっ、俺の役目はこれで終わりのようだな・・・」

ふと見ると、その人の体が淡く光り、消え始めていた

「またいつか会おう、新たな月光のカードバトラー」

そして側にいたストライク・ジークヴルムと共に、その人は消えていった

「・・・ありがとな、月光のバローネ」

俺はその人に礼を言い、またこいつと顔を合わせる

「んじゃ、そろそろ」

『あぁ』

そして目の前に現れたカードにお互い手を伸ばし・・・

「『いくぜ、相棒!!』」

そのカードを掴んだ瞬間、目の前が光に包まれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな・・・いや・・・」

目の前で、月光が倒された・・・

「シャルロット!」

呆然をしているとラウラが叫びながらこちらに飛んできた

そして銀の福音が放った光弾をAICで打ち消した

「ラウラ・・・」

「何をしている、今は戦闘中だぞ」

力なく名前を呼ぶとラウラはこちらを見ないでそれだけ言った

「だって・・・月光が・・・月光がやられちゃったんだよ・・・・・。 それにダンも・・・」

僕がそう言うとラウラは溜め息をついて

「そんなことを気にしていたのか」

そう言うラウラに僕は頭にきて声を荒げる

「そんなことって、ひどいよ!二人は僕達の仲間でしょ!?それなのに・・・」

「お前は信じていないのか?」

「・・・えっ?」

そんな僕にラウラは一言だけ言い放つ

「少なくとも私は知っている」

そう言うとラウラはこちらに振り向き、笑いながらも真剣な顔で

「あいつ等は、こんな所でやられるやつではないはずだ」

「ラウラ・・・」

そっか、ラウラは二人のことを信じてたんだ

それなのに僕は・・・

「・・・うん、僕も信じる。 二人のことを!」

僕のその言葉を聞いたラウラは小さく笑って、銀の福音に向かって飛んでいった

ようし、僕も・・・っ!

「ラウラ!」

「なっ!?」

銀の福音に向かって飛んでいたラウラに向かってあの黒いISが黒い閃光を放った

それをラウラはなんとかかわしたがすぐさま追撃してきた

「くっ」

「ラウラ・・・」

「シャル!あぶねぇ!」

ラウラの応援に向かおうとすると一夏の声が聞こえてくる

振り向くと銀の福音の放った光弾がこちらに飛んできていた

「あっ・・・」

回避する?だめ、もう間に合わない

その間にも黒いISはラウラに迫っている

一夏と箒がこちらに向かっているのが見えたがとても間に合うわけがない

僕は諦めかけて目を瞑り

「・・・月光っ」

今一番会いたい人の名前を呼んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、二つの叫び声が聞こえてきて、思わず目を開く

するとそこには・・・

「ストライク・・・ジークヴルム・・・?」

白い武装が施された龍がいた

その姿にストライク・ジークヴルムを連想させたが、その姿は所々違っていた

ふと見るとラウラに迫っていた黒いISの前に金色に輝く龍がいた

その龍は金色に輝いていたが間違いなく、ライジング・アポロドラゴンだった

そしてその側にはダンがいた

「・・・よう、シャル」

そして聞こえてきたその声に視線を上げる

「・・・月光?」

「あぁ、そうだぜ」

見ると白い龍の肩に月光が乗っていた、追撃されたと思っていた・・・月光が

「シャル、ちょっと下がってな」

「え?」

そう言うと月光はカードを前に突き出した

「ダン、お前のライジングもすげぇことになってんな」

「あぁ、お前のストライクもな」

ダンもカードを握り締め、構えていた

「まぁ何があったかは後で話すとして」

「あぁ、やるぞ」

そして二人はカードを掲げて叫んだ

 

 

 

 

「駆け上がれ、神の名を持つ赤き龍!太陽神龍ライジング・アポロドラゴン!」

「舞い上がれ月の化身、白銀の翼と共に!月光神龍ルナテック・ストライクヴルム!」

 

 

 

 

その叫びと共に二体の龍は咆哮を上げ、二人にISとして装着された

ダンにはこれまでのアポロドラゴンの装甲と基本は同じだけど、その手足には炎が纏われ、両翼の先に炎の翼が生えたものとなっていた

更にヘルメットは金色に輝いていた

そして月光にはこれまでのストライクヴルムと似ていたが両手には新たにエッジのようなものが付いていて、翼も形を変えていてブースターも大きくなっていた

他にも胸に白いアーマーが付いたり、マスクの形状が変わっていたりもしていた

「んじゃ、ダン。 そっちは任せたぜ」

「あぁ、まゐは、俺が救い出す!」

そう言ってダンは黒いISに向かっていった

それを見て月光も翼を広げ

「さぁ、こっちもいくぜ!」

銀の福音に向かっていった


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択