No.463723

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第35話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-08-02 06:37:04 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1214   閲覧ユーザー数:1193

 

 

 

第35話  憎悪と愛

 

 

 

 

 

秋山の力でイル・ファンにやって来た。

 

「それでは私はナハティガルのところに行きます」

「お大事にと伝えといてくれ。蹴り飛ばしたの、俺だしな」

「わかりました」

 

ローエンはナハティガルの見舞いに向かった。

 

「それじゃあ、わたしたちはアグリアのお見舞いに行くね」

「なんで僕も?」

 

レイアはジュードも連れて行こうとする。

 

「だってジュード、ここ久しぶりじゃない」

「確かにそうだけど……」

「もしかしたら、ジュード、何か隠したことがあるの?」

「ないよ!」

「だったら行こうよ。ジュードに会いたいって人いるかもしれないし」

「ねえ、秋山君。案内してよ」

「ああ、いいぜ」

 

そして秋山、レイア、ジュードでアグリアの見舞いに行くことになった。

 

 

「思ったより広いね~」

 

アグリアの病室に案内する間に、レイアは病院を見てみる。

 

「おい、あれジュードだぜ」

「ようジュード、帰って来たんだ」

「うん」

 

ジュードに声をかける人は何人もいた。

よそよそしい人たちもいたが、すべてがジランドの策略だったことは既に伝えられているので、ジュードの指名手配はなくなっている。

 

「ここだ」

 

秋山がアグリアの病室前に立つ。

 

「ここにアグリアが……」

「ああ、きちんといるから安心しろ」

「…………」

 

レイアは顔をうつむかせる。

 

「わたし、アグリアになんて言えばいいんだろう」

「その時思ったことでいいだろ。アグリアなんかほとんどそれだろうし……」

「開けるね」

 

ジュードが扉を開ける。

そこにはベッドで寝ているアグリアとそれを診ている女性看護師が一人いた。

 

「プランさん!?」

「ジュード先生!」

 

ジュードはプランと呼んだ女性を見て驚いた。

 

「プランさんがアグリアの看護を?」

「アグリア……ナディアお嬢様のことですね」

「ナディアお嬢様って…………」

 

ナディアというのはアグリアの本名である。

 

「その人がアグリアの従者さん、つまり元ア・ジュールのスパイ連絡員ってことだ」

「秋山さん……」

「もうスパイとかは時効もんだろ。それに俺が知ってる以上、ばれるのも時間の問題じゃないか?」

「…………」

「それでプランさん、アグリア……ナディアさんは?」

「お嬢様は今は眠っていますよ。ただ……」

「ただ…………?」

「少し前までのナディアお嬢様でなく、お母上が亡くなるずっと前のお嬢様に戻られた様子でした」

「ずっと前のアグリア?」

「プランさん、アグリアとはどういう関係なの?」

「私はナディアお嬢様の乳母の娘で、お嬢様が生まれた時から、お側にいました」

「アグリアって、本当に貴族のお嬢様なんだ」

「ですが、母君は身分の低い方で……ナディア様は一族の酷い差別の中で育ったのです。

そしてお嬢様の唯一の支えだった母君も、当主に疎んじられた末になくなってしまった。

ナディア様は、母君の死も一族の陰謀だと信じています……」

「それでアグリアは、ア・ジュールのスパイになったの?」

「国を売ったいいわけにはなりませんが……」

「そのことを責めるつもりはないんです」

「まあ、いいわけにはならなくても理由にはなるな。そんだけ環境が悪けりゃな……」

「それでプランさん、お母さんが死んじゃう前のアグリアって……」

「差別は受けていましたが、優しい人でした。

ボーボーの面倒も看ていました」

「ボーボーって?」

「そこにいる、シルフモドキです」

 

プランがアグリアのベッドの側にいる鳥を見る。

 

「ボーボーはア・ジュールに情報を伝えるために使っていましたが、もうその必要がなくなりました。

ボーボーも喜んでいると思います」

「そのシルフモドキ、アグリアになついてるみたいですね」

「ボーボーはお嬢様が卵の時からお世話をしているのですよ」

「そうなんだ。またその時のアグリアに戻ったのなら、今度こそ友達になれるかな」

「きっとなれるさ。しかし寝ちまったんなら仕方ないな。また見舞いは今度にするか」

「プランさん、失礼します」

 

秋山達は病室を出た。

 

「…………本当によろしかったのですか? ナディア様……」

「…………うっせえ」

 

アグリアは実は起きていた。

秋山は知っていてこれ以上は話さず、レイア達を帰したのだ。

 

「私だって友達になりてえよ。けど、私はあいつにずっと悪口、言ってきた。

敵だったってこともあるけどさ……」

「ナディア様……」

 

秋山の突いた秘孔は本当は記憶を消すものではなく、その人間の心を落ち着かせるための秘孔であった。(ちなみに秋山オリジナルの秘孔)

そして秋山はアグリアの抱える闇の大半を吸収し、そのお返しに自分の闇の一部をアグリアに分けていた。

それはイバルのような発狂するものではなく、アグリアが今まで苦しんだことや憎しみからの解放と他人を傷つけたことに対して謝罪をゆっくりと出来るようにするものだった。

闇の調整をすればそれが出来るのが秋山でもある。

 

「それなのにあいつは友達になれるかって言ってるんだ。何も感じねえわけないだろ」

「…………」

 

今までのアグリアだったらそんなことは言わなかった。

これも秋山の力、今までのことに対する謝罪と苦しみからの解放が効いているのだ。

 

「ナディア様、心が落ち着かれたらで構いません。

あの方に……」

「わかってるよ」

 

アグリアはふて寝するのだった。

 

 

ジュード達が皆のところに戻るとローエンは既に戻っていた。

 

「ローエン」

「ナハティガルはどうだった?」

「元気でしたが、医者からは安静にするように言われてて、機嫌が悪かったですね」

「機嫌が悪かった?」

「元々ナハティガルは前線で戦っていましたからね。

体がなまってしょうがないと言っていました」

「ははは……」

「ですが、私たちと戦った時と違い、随分柔らかくなっていました。

まるで私が軍を離れる前……、私とナハティガルが本当に友人であった時のようでした…………」

 

ローエンの顔は本当に嬉しそうだった。

 

「ナハティガルが復帰したら、ローエンは……」

「支えますよ。ナハティガルが犯した罪も一緒に背負いながらね…………」

「その時は、私とお兄様も協力するわ」

「ありがとうございます。お嬢様」

「さてと、見舞いも済んだし、後は……」

 

秋山がアルヴィンを見る。

 

「後はお前の女の迎えだな」

「パスしていい?」

「ダメ」

 

秋山がアルヴィンの肩を掴む。

 

「それじゃあ行くか」

 

秋山は瞬間移動で、プレザのいるニ・アケリアに向かった。

 

 

秋山達はニ・アケリアに着いたが、プレザの姿が見当たらなかった。

 

「どこ行ったんだろう?」

「…………」

 

アルヴィンは顔をうつむかせていた。

 

「秋山、少しいいか?」

「なんだ?」

「集会場に寄りたいのだが……」

「構わんよ」

「アルヴィンもいいか?」

「ああ…………」

 

一同はひとまず集会場に向かった。

 

「これはマクスウェル様」

 

長老たちが殺されて、新しい者が長老代理をしていた。

その長老代理にミラが声をかける。

 

「留守ばかりしていたが、あれから村のみなには変わりはないか?」

「イバルが最近姿を見ませんがご存じありませんか?」

「ああ、あいつのことなら気にするな」

「作用でございますか」

 

長老代理はその言葉だけを受け取り、あまり気にした様子ではなかった。

 

「ところで、この村にメガネをかけた女がいなかったか?」

「彼女でしたら少し前にこれを残して、いなくなりました」

 

長老代理がそのある物を取り出す。

それはアルヴィン宛てへの手紙だった。

アルヴィンは早速手紙を開封して読む。

 

「『アルへ。私のところへあなたが帰ってきてくれたこと、本当に嬉しかった。

裏切られ続けた私の人生で、これまでにない嬉しい裏切りでした。

けど、あなたがこの手紙を読んだということは……私がプレザとして生きることで、あなたを裏切った。本当にごめんなさい』

プレザ……」

 

アルヴィンは手紙をしまう。

 

「秋山、霊山までいけるか?」

「お安い御用で」

 

秋山はアルヴィン達を霊山の山頂まで瞬間移動させた。

アルヴィンは一人、山頂で立ち尽くす。

そして語り始めた。

 

「プレザの仲間は、俺があいつをだまして手に入れた情報で全滅したんだ。

けど……あいつの最後の言葉……。俺の心配してたんだ……居場所を奪った俺の……」

「アルヴィン……」

「アルヴィン。気が済むまでここにいていい」

「だけど、終ったら戻ってきてくださいね! 待ってますからね、アルヴィン!」

「じゃあ、俺たちは降りますか」

 

秋山の瞬間移動を使わず、一同はアルヴィンを残して、山を下りた。

アルヴィンはその様子を見ていた。

それからしばらくすると……。

 

「アル…………」

 

タイミングを見計らってプレザが来た。

 

「プレザ……!」

 

アルヴィンはプレザに抱きつく。

 

「アル……」

「プレザ……よかった…………」

 

アルヴィンとプレザは涙を流す。

それからしばらくして二人は離れる。

 

「それでアル……」

「ありがとな」

「え?」

「手紙、見たよ。俺のこと心配してくれてたんだな……」

「え、ええ……」

 

プレザは次に何を言おうか悩んでしまう。

 

「…………悪いけど、今俺はお前のところには戻れない」

「わかってる」

「え?」

「あの子たちと一緒にいたいんでしょ?

……それが今のあなたの居場所」

「……ああ」

「でも忘れないで、私の居場所は……」

「……わかってる。それじゃあ…………」

 

アルヴィンは先に戻ろうとする。

しかし途中で立ち止まった。

 

「ジル!」

「!」

 

ジルとはプレザの本名であるが、プレザ自身は親に捨てられた経緯があるために本名を嫌っていた。

 

「俺はかなりその名前好きだぞ」

「…………」

 

そしてアルヴィンは立ち去った。

 

「私の名前が好き……か…………。

私も好きにならないといけないわね」

 

プレザもしばらくは立ちつくし、それから去っていった。

そしてアルヴィンは皆のところに戻って来た。

 

「ただいま」

「おかえり、アルヴィン」

 

エリーゼが最初に出迎えた。

 

「エリーゼ……」

「これで皆、もういいな」

 

秋山の言葉に皆が頷く。

 

「それじゃあ、いくぞ! 世精の途(ウルスカーラ)へ!」

 

秋山が爪で空間の裂け目をつくり、世精の途(ウルスカーラ)へ続く道をつくりだした。

そして一同は最終決戦に向かうのだった。


 
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