No.463251

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第33話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-08-01 06:43:04 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1388   閲覧ユーザー数:1377

 

 

 

第33話  親へ

 

 

 

 

 

秋山に連れられて、今度はシャン・ドゥにやってきた。

アルヴィンは寄りたいところがあるとして、あるところに立ち寄る。

そこは……。

 

「ここは、お前の母親の家だったな」

 

そう、アルヴィンの母、レティシャがいた家であった。

 

「…………ああ」

「アル……!?」

 

そこにはイスラもやって来る。

 

「よう、イスラ。手紙が届いたんだよ。母さん……死んだんだってな」

 

イスラはうつむく。

ミラと秋山以外の面々は驚いた。

 

「アルヴィンさんのお母様が……」

「お亡くなりに……」

「…………」

 

そしてアルヴィン達は家の中に入る。

そこにはレティシャの姿はなく、空いたベッドがあった。

 

「……もう埋葬しちまったか」

「え、ええ……。

ごめんなさい。私が来た時にはもう息を引き取っていて……」

「母さん……バカだな……」

「アルヴィン……」

 

アルヴィンの顔は本当につらそうであった。

 

「大丈夫だよ。むしろこうなって、ちょっとほっとしてる自分がいる…………な~んて言ったら、優等生は怒るよな?」

 

ジュードはそう言われて、何も言えなかった。

 

「人一人の人生は重い。お前が母の分まで背負っていたならそう感じるのも無理はない」

「まさか、おたくに慰められるとはね。

そーゆーわけだからさ。正直に言ってくれよ、イスラ先生」

 

アルヴィンがイスラを見て言った。

 

「なにを? 死因なら、急な発作で……」

「……薬だろ?

母さん、気付いてたぜ、お前が食事に毒薬を混ぜていたこと」

「なんと!?」

「毒って……!?」

「本当なんですか? イスラさん……」

 

レイアがイスラに聞く。

 

「母さん、時々正気に戻ることがあったろ。その時、手紙で知らせてきたんだ」

「嘘よ! 気付いていたら、なんで食べ……」

 

イスラは誘導尋問にひっかかったような反応をする。

 

「無理するなって。お前、嘘つくの下手なんだよ」

「お前が言うと、妙に説得力あるな」

「うるせえ」

 

秋山の言葉に怒るアルヴィン。

そして口を大きく開けて、驚いているイスラ。

 

「あんたが……あんたたちが、私を縛りつけるから悪いのよっ!」

「いいや、悪いのは悪行に手を染めてた手前だ。

そんなことしなかったら、アルクノアに目をつけられることはなかった」

「!!」

 

イスラは家を飛び出していく。

 

「おい、待て!」

「大丈夫だ。すぐに追える」

 

そして一同はイスラを追い、リーベリー岩孔に着いた。

リーベリー岩孔の橋の上にイスラはいた。

 

「イスラさん……なんでアルヴィンのお母さんを!?」

「…………」

「邪魔だったんだよな。ユルゲンスと幸せになるために」

「そうよ! 裏の世界と関わるのは、もうたくさん!

私は普通に幸せになりたいだけなのに! そのために必死に努力しているのに!」

「けど、そのためにアルヴィンのお母さんを殺すなんて間違ってるよ、イスラさん!」

「……お袋は苦しんだのか?」

 

アルヴィンの質問にイスラは首を横に振った。

 

「……ならいい。それだけが心配だったんだ」

「こいつを許すのか?」

「お母さんが殺されたんですよ!」

 

アルヴィンは静かに語る。

 

「母さんはわかってたんだ。自分がもう長くないことを。

最後の手紙でも言ってた。自分が死んだら、イスラを自由にしてやってくれってな」

「そんな……レティシャさんは全部わかって……」

「……死んだんだ。

あんなに帰りたがってた故郷に戻れないまま……な」

「……エレンピオス、ですね」

「ああ」

「し、信じないわよ……。どうせ、後でゆするんでしょ!?」

「手前な……」

「証拠を全部消さなきゃ……。昔の私を消さなくちゃ……。

私は幸せになれないのおぉぉっ!」

 

イスラの顔は狂気に満ちているといっても過言ではなかった。

 

「待て! 落ち着け、イスラ!」

 

その時、イスラは足を滑らせてしまう。

 

「あ……ああっ!?」

「イスラさん!」

 

イスラは橋から落ちてしまう。

 

「ちぃ!」

 

秋山が高速移動で、イスラが落ちる前にイスラを捕まえ、着地する。

 

「秋山さん!」

「大丈夫だ。まあ気は失ってるけどな」

「よかった~」

 

思わず腰が抜けるレイア。

 

「大丈夫ですか、レイア」

「ありがとう、エリーゼ」

「とにかく、連れて帰ろう」

「ああ」

 

秋山達は気を失ったイスラを連れて、シャン・ドゥに戻った。

そしてユルゲンスを呼び、イスラをレティシャの家のベッドに寝かせる。

 

「イスラの容態はどうだ?」

「大丈夫だよ。イスラを助けてくれて、ありがとう」

「いやいや」

「しかし、イスラがそんなことをしていたなんて……」

「軽蔑したか?」

「いえ。私の知るイスラはそんなことをしていない。

優しい女性です。仮にそんな過去を持っていても、彼女はその過去と決別し、多くの人を助けている。それは変わりません」

「……そうか」

 

秋山が笑顔を見せる。

 

「う……うん」

「目が覚めたかい? イスラ」

「ユルゲンス……はっ!」

 

イスラはこのままでは昔の自分の悪行がばれてしまうと思った。

 

「イスラ、もうユルゲンスはお前の過去を知ったぞ」

「え?」

「お前は寝言でも色々言ってたからな。

母親に捨てられたこととかもな……。

だが、それでもユルゲンスはいてやると言ってるんだ」

「嘘!?」

「本当だ」

「アルヴィンさん、本当にこの部屋を使っていいのかい?」

「構わないよ。この部屋なら、奴らに知られてないしな」

「そんじゃ後は、二人だけで話し合いな……。行くぞ」

 

秋山達はすぐに家から出て行った。

 

「本当にこれでよかったんですか?」

「それを決めるのはあの二人だ。俺たちじゃない」

 

秋山はさっさと歩く。

一同がエレベーターで下に降りると、エリーゼはあることを言いだす。

 

「あ、あの……」

「どうしたの、エリーゼ?」

「もう一度増霊極(ブースター)研究所の跡に行ってみませんか……?」

「リーベリー岩孔に? どうしたの、また?」

「そっか! エリーゼが育った場所なら昔のこと思い出せるかもしれないもんね」

「ごめんなさい。そんな時じゃないってわかってるけど……」

「謝ることないよ。大事なこと思い出せたら、もっと頑張れるはずだもんね!」

「うん、僕もそう思う。リーベリー岩孔に行ってみようか」

「行くなら、俺が瞬間移動で連れて行こうか?」

「いいの?」

「構わんさ」

 

秋山の瞬間移動で再びリーベリー岩孔へと向かった。

 

 

そして再びリーベリー岩孔についた。

エリーゼが一人前に出て、岩孔の中心を見る。

 

「ここに、エリーゼが育った研究所があったんだよね」

「家族のこと、何か思い出せるといいんだけど」

 

ジュードにそう言われても何も思い出せないようで、首を横に振ってジュード達の元に戻って来る。

 

「……わかんないです。ティポとの思い出は、いっぱいあるけど……」

「ごめんね、無駄足だったー」

「ほっほ、無駄足だなんてとんでもない」

 

ローエンが笑いながら答える。

 

「そうよ、エリー。すぐに思い出せないだけでいつかは思い出すわよ」

「それに、ヒゲをなでる風が、こんなに心地いいじゃないですか」

「そういえばエリーゼ、前にローエンのヒゲ触って、お父さんのこと思い出したよね」

 

それはちょうど、ジュード、ローエン、エリーゼ、ドロッセルで行動してたことなので、ミラ、アルヴィン、レイア、秋山は知らない。

 

「へぇ、エリーゼのお父さんも、ヒゲをはやしてたのかな。どんなヒゲだったか覚えてる?」

「エリー、昔、ここでお父さんに肩を乗せてもらわなかったー?」

 

ティポがそんなことを言いだす。

 

「そうです! 長いヒゲが風にゆれてた。お父さんは、すごくおっきな人でした」

「うん?」

 

秋山の頭になにかが引っかかった。

 

「それで、鳥の羽の付いた帽子とフワフワのコートを着てて……」

「ちょい待ち」

「それは……ジャオではないのか?」

 

秋山が指摘しようとしたことをミラに指摘された。

 

「…………」

 

ミラに指摘されて、ようやく気付いたエリーゼ。

 

「……です。ヒゲを生やしてたのは、お父さんじゃなくて、おっきいおじさんでした。

おじさんは、わたしを肩に乗せて本当のことを話してくれた……」

 

エリーゼの声は涙声になりかけていた。

 

「わたしのお父さんとお母さんは遠いところに行っちゃった……って。

何度も謝りながら、教えてくれたんです。でも、わたし、意味がわからなくて。

おじさんのヒゲに涙が落ちるのをぼーっと見てた……」

「無理ねえな」

「もういいよ。やめて、エリーゼ」

 

エリーゼが泣きそうなので、話をやめさせようとするレイア。

 

「わたし、覚えてないんだ……お父さんやお母さんのこと何も……」

「ごめん。昔を思い出すの、いいことだって思ってた。

思い出さない方がいいことだってあるはずなのに。ごめんね、エリーゼ……」

「……となると、一番いいのはジャオにまた聞いてみることだが……」

「ガイアスと戦うことを考えると、気軽には聞けんな」

 

そこに……。

 

「ここにおったか」

 

なんと噂のジャオがやって来た。

 

「ジャオさん!」

「何しに来た? ガイアスの命か?」

 

ミラが剣を構えようとする。

 

「そのつもりはない。怪我もまだ完全に治ったわけじゃないからの」

 

ジャオは敵対する意思がないことを見せる。

 

「それじゃあ、なんでここに来たんだ?」

「娘っ子に用があって来たんじゃ」

「わたしに……ですか?」

「娘っ子、以前に自分の住んでいたところを知りたいと言っておっただろ?」

「そう言えば、前にお前はエリーゼの住んでいた場所を知っていると言っていたな」

 

ミラは随分前のことを思い出す。

 

「ああ、それで連れて行こうと思ってな」

「それどこなんですか?」

「モン高原を北に行ったところだ」

「あの、ジャオさん。僕たちも一緒に行っていいですか?」

「構わんぞ」

「ありがとうございます」

「それじゃあ行くか」

「……モン高原となるとまた寒い思いをするのか?」

「今度はきちんと着こめよな」

 

秋山に言われるミラ。

そしてジャオに連れられて、モン高原の北を目指した。

それから洞窟をくぐった先にエリーゼの住んでいた場所にたどり着いた。

 

「何にもない……」

 

そこはただの雪景色が広がる平原しかなかった。

 

「すまぬ、こうなっていたのはわしも知らなかった」

「十年も前だ。すでに朽ち果ててしまったのかもしれないな」

「ジャオさん、本当にここなの?」

「ああ……」

「おじさんの言う通りです。私の家があったのはここです」

 

エリーゼが走り出す。

 

「エリーゼ?」

 

エリーゼの向かった先には同じ花がいくつか咲いていた。

 

「エリーゼの花ー!」

「この花が、お庭にあったこと……思い出しました」

「じゃあ、やっぱり家はもう……」

「いいんです」

 

屈んでいたエリーゼは立ち上がり、皆の方に振り向く。

 

「おじさん、みんな、ありがとう。おかげですっきりしました」

「これはエリーゼの花というのか?」

「いや、それはさすがに……」

「ジュード、本当の名前は? この辺りに分布する花か?」

「えっと、プリンセシアだよ。

普通は、もう少し暖かい霊勢で繁殖するはずだけど……。

そっか、エリーゼの両親が植えたんだ!」

「そして、花には花言葉というものがあるのだろう?」

「プリンセシアの花言葉は、確か……」

「『かけがえのない宝物』『幾々年(いくいくとし)も健やかに』」

「そんな花をエリーゼの花と覚えていた。きっとお前の両親が、そう呼んだのだろう」

「つまり、そういうことだよ」

 

エリーゼはその場に跪き、泣き崩れる。

 

「お父さん……お母さん……」

「娘っ子、本当に済まぬ……」

 

ジャオも涙を流していた。

 

「…………」

「それにしてもミラ、よく気付いたね」

「人がそういうものだと、教えてくれたのはお前たちじゃないか」

「そうだな……」

 

しばらくして、エリーゼは泣きやんだ。

 

「お前たちはこれからどうするのだ?」

「ガイアスと決着をつける」

「あんたはどうするんだ? ジャオさん、よ」

「わしは陛下の帰りを待つとしよう。それがどんな結果になろうとな……」

「そうですか」

「それじゃあな」

「うむ」

 

そしてジャオと別れるのだった。


 
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