No.461637

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第27話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-07-29 06:29:23 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1264   閲覧ユーザー数:1230

 

 

第27話  マクスウェルの真実

 

 

 

 

 

ジュード達はニ・アケリア霊山の山頂にある空間の歪みの前に立つ。

 

「ここ……怖いほど、精霊の力を感じます……」

「マナが溢れ出てるみたい」

「奇跡的な霊勢ですね。わずかな変化で入り口が消えてしまいそうです。

さまざまな偶然がこの場所をつくり出したのでしょう」

「だがそのおかげでマクスウェルと会えそうだ」

「これ……精霊術を使う時の魔法陣に似てる」

「あ、言われてみれば」

「うんなことより、ガイアスとミュゼの戦いで消えちまう前に行った方がいいかもな」

「そうだな」

「俺から行くよ」

「あ、いいよいいよ。こういうのはわたしの役目だし」

「そうか……」

「いや、今回は私が先に入る」

「ミラ……」

「元々みなを巻き込んだのは私だからな……」

 

ミラが最初に入っていき、レイアも入っていく。

 

「…………」

「べー!」

「ぷい!」

 

エリーゼはアルヴィンに向かってべーをして、ティポと一緒に入る。

そして皆、歪みに入っていった。

それから数分が経ち、ミュゼが歪みの前にやって来た。

 

「私は何をすれば……わからない……わからない……」

 

ミュゼは涙を流して、自分のやりたい事を見い出せてなかった。

 

「力をもつ身であるならな、……自ら考えることだ」

 

そこにガイアスがやって来て、歪みの前に行き、歪みに入ろうとする。

 

「それがわからないんでしょ! お願い、あなたでいいの……私に……」

 

ガイアスは立ち止まった。

そして振り返り、ミュゼを見る。

 

「お前はまさか……」

 

ガイアスは何かに気付いたようであった。

 

 

ジュード達は空間の歪みの穴に入った先はとても暗い場所であったが、緑色の球体に触れると辺りが明るくなる。

そこは四角いブロックが地面となっていた、何もない場所だった。

青い球体に触れると下に降りられるようなので、下に降り、赤い球体に触れると上に上る仕掛けであった。

ジュード達は青い球体に触れて、最下層へと向かった。

最下層に着くと、そこは太陽と青空が広がっており、周りには時計や歯車が置いてある世界のようなものだった。

 

「変な場所ですね……?」

「誰……!?」

 

皆が辺りを見回していて、ドロッセルが誰かの気配に気づいた。

 

「私がつくり出した人間界と精霊界を繋ぐ唯一の途(みち)、世精の途(ウルスカーラ)」

 

そこには尻尾のようなものが付いた変わった高い椅子に座る老人がいた。

 

「お前がマクスウェルか?」

「いかにも。私が精霊の主マクスウェル。ここまで来る人間がいるとは……ミラ、何故お前がここに来た?」

「お前に聞きたいことがある」

「ミラのこと……教えて欲しいんです」

「む…………」

「ミラはあなたの身代わりだと聞きました」

「その理由を聞かせてもらえませんか?」

「なるほど、ミラ、その者たちがお前に供した者たちか」

「そうだ。私の大切な仲間だ」

「……僕はミラと出会って旅して……そして色々考えた……。

力のこと、なすべきこと……」

「私は秋山が死んでようやく気付けた。私が本当にやりたいこと! やらなければならないことを!」

「……なんだそれは?」

「断界殻(シェル)をなくし、リーゼ・マクシアとエレンピオスを助けること」

「なんと愚かな! 外には黒匣(ジン)があふれている。リーゼ・マクシアを滅ぼすつもりか!」

「そのつもりはない!」

「そうか……、今確信した。

ミラ、お前が使命を忘れ、命を失う行動を取ろうとしたのは……すべてお前たちのせいだったのだな!

そして此度……お前たちは断界殻(シェル)を消し去り、世界を滅ぼそうとしている」

「マクスウェル! 話を……」

「この破壊者どもめ! わが世界より消えよ! レイジングサン!」

 

マクスウェルは攻撃を仕掛けてきた。

 

「うわっ!」

 

突然のことで防ぐのは難しかった。

 

「わかっているのか? お前たちのやろうとしていることの意味が!」

「わかっておりますとも。だからです!」

「だから、あなたにミラのことを聞きたかったの!」

「……リーゼ・マクシアの真実や、どうしてミラがエサといわれたのかをな」

「聞いてどうする? それで何かが変わるというのか?」

「そんなのわからないよ! でも、知らないままじゃ何も変わらないのはわかる!」

「それを聞いてから考えてもいいだろう、マクスウェル」

「…………」

 

ジュードとミラの言葉を聞いて、マクスウェルは語り始める。

 

「二千年前、この世に黒匣(ジン)が登場した。

精霊が死に、自然が絶え、人間も消え行く運命(さだめ)の道へと進み始めたのだ。

そこで黒匣(ジン)から離れるために、救えるだけの精霊、動物……マナを生み出せる人間たちを連れ、私はリーゼ・マクシアをつくり、篭った

そこまではミラ、お前の頭にあるだろう」

「ああ。お前から与えられた記憶だな」

「……そうだ。そしてこの世界はエレンピオスが滅びるまで降りることの許さない箱舟だ」

「で、エレンピオスが滅びるのを待てって……か?」

「それがわたしたちと精霊さんを救う唯一の方法……なんですか」

「そういうことだ」

「……少し酷すぎるわ。同じ人間なのに……」

「そうだよ。このままじゃ、エレンピオスの人は……」

「私は、黒匣(ジン)がやがて滅亡をもたらすと、同胞であった人間に伝えさせた。

だが、人間は黒匣(ジン)を捨てなかった。

それだけではない。奴ら精霊が絶滅しかかっていることを知るとこのリーゼ・マクシアを襲った」

「ひょっとして二十年前の?」

「……断界殻(シェル)にどでかい穴があけられたんだな」

「うむ。そこでここを離れられぬ私の代わりにミュゼを生みだし、敵殲滅の役目を与えた」

「ミュゼが私の姉なのはそれが理由か」

「だが、不運にもその時リーゼ・マクシアに入り込んでしまった奴らがいた……」

「それが……アルクノア?」

 

マクスウェルは頷いた。

 

「彼の者たちは巧みに私の追跡を逃れ、潜伏した。それ故、私は一計を案じた。

彼の者たちは私の命が消えれば、断界殻(シェル)も消えると知っている。

ならば、その命をエサとすれば潜んだ獲物を釣り上げることができる、とな」

「命をエサ……ですと」

「それで……まさか……」

「そう。その命を獲物にさらし、立ち回る存在を生み出したのだ。それこそが……」

「私だな」

「そんな……」

「ミラ、お前、自分が偽者だって知ってたのか?」

「いや……」

「それもそうだ。私の言葉を植え付け、己がマクスウェルだと信じ込むよう育てさせた」

「四大は最初から知っていたのだな?」

「うむ……」

 

マクスウェルがミラの質問に頷いて、答えた。

 

「それじゃミラは……ミラの使命は……ミラってあなたにとってなんだったの!」

 

ジュードがミラ以上に怒りを見せる。

 

「我が使命のための歯車」

 

マクスウェルは何の感情も込めずに答えた。

 

「ふざけるな!」

 

ジュードは怒り、マクスウェルを攻撃しようとしたが、目の前に盾が現れ、防がれる。

 

「ふん。やはり変わらぬ。知ったところでお前たちがすることはいつも…感情に任せて理解できないものを消し去ろうとするのだ!」

『それが人だ。だが、それは手前も変わらねえだろ、くそジジイが』

「!?」

 

マクスウェルの耳に何者かの声が聞こえてきたが、ジュード達以外に姿がない。

 

「気のせいか……。まあよい」

『はあああああ!!』

 

ジュード達はマクスウェルを攻撃する。

 

「巡り踊れ、地水火風! 深奥に集いて我が鉄槌となれ! エレメンタルメテオ!!」

 

上から火、水、風、地の属性を持つ流星群が降り注ぎ、ジュード達を襲う。

その攻撃は先ほどまでの攻撃と比べて、強く、ジュード達は倒れてしまう。

 

「わからんな。ミラ、何故お前はこの者どもに狂わされたのだ?」

「何言ってんの!」

「ミラはずっと変わらなかったよー!」

「バカな!」

「わからないんですか!?」

「そうだ! あなたは間違っている」

「何?」

「おたくさ、本当にミラの親?」

「ええ、知らないようですね。ミラさんに限ってそのようなこと……」

「絶対ないわ!」

「なんだ、お前たち!」

「ミラが使命を見誤るなんて、みんな、ないって知ってるんだ!」

 

全員が立ち上がった。

 

「ジュード、みんな……」

「ミラ! お前に聞くぞ。あの男の助けがなければ、お前はその命をなくすところだった。

断界殻(シェル)を消すなど使命ではないないのだぞ!」

「私は……、みんなを……ジュードたちやエレンピオスの人々を助けるために命をかけようとしただけだ!」

「ミラは自分の心に従って、懸命に動いただけだよ! あなたのためなんかじゃない!」

「戯れ言を! エレメンタルメテオ!」

 

マクスウェルが再びエレメンタルメテオを使い、ジュード達は再び倒れる。

だがジュードとミラは立ち上がった。

 

「何度立っても同じことよ! お前たちの命運は尽きた! もう終わったのだ!

ミラ、お前の使命もだ!」

「何が終わったっていうんだ!」

「お前が決めることではない!」

 

ジュードとミラが否定する。

 

「バカものめ! 今のお前たちは立っているのがやっと。

もう私に抗う力などないではないか!」

 

エレメンタルメテオが二人を襲う。

それでも二人は倒れようとしない。

 

「……あるよ。僕たちは知ってる」

「ああ……」

 

ジュードとミラは静かに歩き出す。

 

「理解できん……こやつら……き、消えよ!」

『やっぱり手前も同じ、理解できない奴を消そうとしたじゃないか?』

「なんだこの声は?」

 

マクスウェルは理解できないジュードとミラの行動、そしていちいち指摘される謎の声にいらだちを覚え始めていた。

 

「「うおおおおおおおお!!」」

 

ジュードとミラがその隙を突いて、走り出す。

ジュードは拳を、ミラは剣でマクスウェルを攻撃しようとするも、見えない壁に阻まれる。

 

「くっ!」

「ライダーーーーーーキーーーーーーーーック!!」

 

突然現れた秋山のライダーキックでバリアみたいなものを破壊され、ミラの剣はマクスウェルの乗る椅子、ジュードの拳はマクスウェルの顔を殴り飛ばした。

 

「秋山……なのか?」

「秋山!」

「まさか……そんな……」

「おかえりなさい、秋山さん」

「ふん」

「秋山、何故ここに?」

「悪い。死んだふりしてて、今まで隠れてた」

 

そこに四大精霊が現れ、倒れている皆の傷を癒す。

 

「お前たち……」

「客人はまだいるぞ」

 

秋山が言うと、そこになんとセルシウスもやって来た。

 

「セルシウス!」

「セルシウス、考えは纏まったか?」

 

秋山がセルシウスに尋ねる。

 

「ああ」

 

セルシウスはミラの前に跪く。

 

「あなたをマクスウェルと認めます。私もお手伝いを……」

「お前……」

「四大め……、だが、何故死んだはずのセルシウスまで……」

「俺が蘇らせた」

「なんじゃと?」

「長生きしすぎて、耳が遠くなったのか? くそジジイ」

「くそジジイ……まさか貴様か! 私に声をかけていたのは!?」

「ご名答。……まあ、あいつらにも声をかけてたけどな」

 

秋山が回復中のみんなの方を向く。

 

「お前たちも回復させてやる」

 

秋山が手をかざすとジュードとミラの怪我も治っていく。

 

「これは……」

「俺、本当は色んなことできるんだよな。

おまけにほとんど死なない体だしな」

 

秋山が笑いながら言った。

 

「ま、そこんとこはあのジジイをぶっ飛ばした後、話してやるわ」

 

秋山がマクスウェルを見た。

 

「貴様は一体……」

「人間だよ。普通じゃないけど、人間はやめてねえよ」

「バカを申すな! それだけの力を持って人間であると?」

「ああ。中にあるヤツに色々問題があるだけだよ。ミラ……、俺の言っていたこと、覚えているか?

っても、俺はお前がへこんでた時のを観てたから、知ってるんだけどな」

「……そうか…………。

今ならわかる。『偽物が本物に敵わない、なんて道理はない』の意味がな……」

「それは俺の言葉じゃねえけどな」

「……でもミラのは本物よりも立派だと思うよ」

「俺もそう思う」

 

そこに皆が立ち上がり、駆け寄って来る。

 

「秋山……」

「感動の再会は後回しだ」

 

秋山にとっては感動の再会にならないためか、あまり感動はしていない。

 

「みんな、マクスウェル、俺の隠し技の一つを見せてやるぜ。

『無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)』!!」

 

秋山は固有結界、『無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)』を発動させ、世精の途(ウルスカーラ)の風景を『無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)』の剣が突き刺さった夕焼けの荒野に変える。

 

「なんだこれは!? 世精の途(ウルスカーラ)が!?」

「俺の展開した、固有結界に俺たちを入れただけだ。もっとも世精の途(ウルスカーラ)全体にしたけどな。

そして……」

 

秋山が突き刺さっている剣の一本を見る。

 

「ここにある剣はすべて偽物。お前が思っている取るに足らない存在だ。だがな……」

「偽物が本物に敵わない、なんて道理はない」

「マクスウェル、あなたの使命が本物だって言うんなら、ミラはそのことごとくを凌駕して、叩き落とすよ」

「いくぞ精霊王――――――――術の数は十分か!?」

 

ジュード、ミラ、秋山を先頭に、一同はマクスウェルに向かって走り出した。


 
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