No.459212

病みつきティアナ

rikubさん

病みつきシリーズ第8弾!!

今回はティアナのヤンデレです。


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2012-07-25 18:50:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:14487   閲覧ユーザー数:14043

俺は今自分のベッドの上で横になっている。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

そんな俺を心配するように彼女―――ティアナが言った。

 

「……頭が痛い」

 

「痛いと思える内は大丈夫よ」

 

……病人に対して冷たすぎだろ

 

俺が風邪を引いてしまったためティアナが看病してくれているのだ。

 

椅子に座っていたティアナが立ち上がる。

 

「どれどれ……?」

 

ティアナが俺に顔を近付けるとお互いの額を当てる。

 

……ティアナ、顔が近い

 

 

「……うん、朝よりも低いわね

「大丈夫?顔がさっきよりも赤いけど」

 

ティアナはからかうように言う。

 

「……い、いきなり何すんだよ」

 

 

俺が言うとティアナは楽しそうな笑みを浮かべる。

 

「あら、嫌だった?」

 

首を傾げ、楽しそうに言うティアナを見つめる。

 

「……どうでもいい」

 

拗ねたように俺が言うとティアナが立ち上がる。

 

「朝から何も食べてないんでしょ

「お粥でも作ってきてあげる」

 

それだけ言って俺の部屋からティアナが出ていく。

 

――――俺はティアナが好きだ

 

目標のために頑張っている彼女を見てたら好きになっていた。

――――彼女とは付き合っていない

 

でも、こうして看病に来てくれるんだから嫌われてはいない。

 

――――嫌われてはいない

 

 

今はまだ、これで満足だ。

 

 

 

 

 

―――――

 

あれから少ししてティアナが部屋に戻ってきた。

 

 

「遅かったな」

 

ティアナは俯いたままソファーに座り、テーブルの上に蓋をしてある小さめの鍋を置いた。

 

「……ティアナ?」

 

何も言わないティアナを心配して彼女の名前を呼んでみる。

 

すると、ティアナはゆっくりと此方を向いて言った。

 

「さっきね、なのはさんに会ったの」

 

――――光が無いで濁った瞳で

 

――――俺の眼を見ながら

 

「そしたらね、あんたの様子を聞いてきたの

「なのはさんには関係ないことなのにね

「あたしが元気ですよって言ったらなんて言ったと思う?

「自分も看病に行くって言ったの

「……関係ないのに

「あたし1人で充分ですって言ってもなお付いてこようとするの

「でもね、あたしが少し強く言ったらすぐに諦めちゃった

「迷惑だよね

「簡単な気持ちで人の邪魔をしようだなんて――」

 

ティアナは口を閉じると黙って俺を見る。

 

「なのはさんだって俺を心配してくれたんだろ?

「そう邪推に扱わなくても――」

俺が言い終わる前にティアナが口を挟む。

 

「あんたを心配するのはあたしだけでいい

「あんただって、なのはさんのことを心配する必要ないわよ

「あたしのことだけ心配してくれれば――」

 

ティアナがそういうと鍋の蓋を開ける。

 

「ほら、あたしが1人で作ったのよ

「あんたのことが心配だったから急いでね

「邪魔さえ入らなければ急がなくてもよかったんだけど――」

 

ティアナはなのはさんのことを思い出したのか、一瞬地面を睨むとすぐに目線を俺に戻す。

 

「ほら、口を開けなさい」

ティアナはスプーンでお粥をすくうと、俺に言う。

 

……えっ?

 

「口を閉じてたら食べられないわよ」

 

ティアナの唐突な行動に戸惑い、動けない俺に言う。

 

「……それとも、私のじゃなくて、なのはさんのが食べたかった?

「あたしが作ったのは食べたくなくて、なのはさんのが食べたいの?」

 

「いや! そんなんじゃなくて!!」

 

俺を睨むティアナに慌てて言う。

 

「自分で食べられるから、そういうのはいらないんだけど……」

 

「病人は大人しく言うこと聞きなさい」

 

俺はスプーンを見る。

 

……ていうか

 

「なぁ、ティアナ

「何でこのお粥は赤いんだ?」

 

――――そう

 

ティアナが作ってきてくれたお粥が赤いのだ。

 

以上なまで……とは言わない、ほんのり赤い程度だ。

 

「味付けを辛くしたのよ」

 

……辛くする意味がわからない

 

……でも、好きな人が作った料理を食べれるどころか、食べさせてくれるなんてチャンスはもう来ないかもしれないし――――

 

俺は口を開ける。

 

ティアナはそれを見て、嬉しそうな笑みを浮かべながら俺にお粥を食べさせてくれた。

 

「フフフ……」

 

嬉しそうに笑いながらティアナは俺を見る。

 

 

「美味しい?」

 

ティアナは笑みを浮かべたまま俺に聞く。

 

「美味しいよ」

 

少し辛い気がするが、それ位が丁度いい。

 

俺が言うと彼女の笑みが深くなる。

 

「あんたの大好きなものを少しだけ入れたんだもの、気に入って当然よね」

 

大好きなもの?

 

……何を入れたんだろうか

 

ティアナに聞こうとしてみるが、そんな俺の前にスプーンが現れた。

 

「あーん」

 

楽しそうに笑いながら言うティアナ。

 

……俺をからかって楽しんでるな

 

俺は大人しくティアナの言うとおりにする。

 

――――まぁ、いっか

 

 

 

 

 

―――――

 

ティアナが作ってくれたお粥も大分少なくなってきた。

 

ティアナがスプーンを俺の前に運ぶ。

それを確認して俺は口を開ける。

 

――――だが

 

ティアナはスプーンの動き止める。

 

すると、なにを思ったのかスプーンを自分の口に運んだ。

 

俺が口を開けたまま止まっていると、ティアナの両手が俺の両頬を優しく包み込む。

 

――――そして

 

――――ティアナの顔が俺に近づいてきて

 

――――ティアナが俺とキスをした

 

……っ!?

 

俺の口の中になま暖かいものが押し込まれてい。

 

何がおきたのか考えているほど余裕が無い俺とは別にティアナはゆっくりと俺から離れる。

 

「美味しかった?」

 

顔を真っ赤にしながらティアナは言う。

 

「な、なんで!?」

 

「……もしかして、嫌だった?」

 

ティアナは俺の眼を見ながら言う。

 

「嫌じゃなかったけど―――」

 

「そうよね、嫌なはずが無い

「私がやったんだから、嫌なはずが無い」

 

ティアナはそれだけ言うと持ってたスプーンを空っぽの鍋に置く。

 

「……いきなり口移しだなんて」

 

俺が言うとティアナは変わらず虚ろな瞳で俺を見つめる。

 

「急にしたくなったの

「こんなことするのは相手があんただからよ

「あんたは特別だから――」

 

ティアナは続ける。

 

「あんただけが私の特別なの

「誰でもない、あんただけが――

「あたしの――」

 

ティアナはそれから先を言わない。

 

俺を見つめながら黙る。

 

 

――――特別

 

――――俺だって、ティアナは特別だ

 

――――だったら

 

「ティアナ」

 

俺が彼女の名前を呼ぶ。

 

 

ティアナは変わらず俺を見つめる。

 

「俺も、ティアナのこと特別だって思ってるよ

「今までも――

「そして、これからも、思い続ける!!

「だから――」

 

俺はティアナを見つめ返す。

 

「――好きだ」

 

――――特別だって言ってくれてるんだ

 

――――だったら、俺だって

 

――――特別だって伝えたい

 

――――断られてもいい、伝えたいだけ

 

 

俺とティアナが見つめ合う。

 

すると、ティアナが笑みを浮かべる。

 

「知ってたわよ」

 

ティアナはそう言うと俺の頭を撫でる。

 

「あたしはあんたのことで知らないことなんて無い

「だって、私はあんたのこと好きだもん

「違う、愛してる

「あんたのことを――愛してる」

 

ティアナがそう言うと立ち上がる。

 

立ち上がると、何故か俺をまたがる。

 

ティアナはその状態で俺に左手の人差し指を見せる。

 

「ほら、見て

「お粥の材料を切ってるときに怪我しちゃったの」

ティアナの指には絆創膏がはってあった。

 

すると、その絆創膏を外して、傷口を俺に見せる。

 

「少し深く切っちゃってね」

 

確かに傷口は少し深い。

 

 

俺が口を開こうとするとティアナは言う。

 

「あたしと約束して欲しいことがあるの」

 

ティアナは俺を見つめながら言う。

 

「六課解散までにお互いに本気で好きな人が出来たら別れる」

 

……本気で好きな人?

 

「女のあたしからみても、六課には魅力的な女性が多いの

「あんたには、その中で私が一番だって言ってほしい

「あんたには、六課で私のことだけを必要としてほし

「――だから

「あんたが六課で本気で好きな人が出来たら、あたしは大人しく別れる

「あたしはあんた以外の人のことを好きになるはずが無から安心して」

 

ティアナは俺を左手の人差し指で差すと目の前に指を持ってくる。

 

「もしこの約束が守れるなら、私の指を舐めて

「あんたに舐めてもらえたら、怪我の治りも早いと思うし」

 

俺はティアナの指を見る。

 

血が数滴零れては俺の顔に当たる。

 

――――ティアナと付き合うことが出来る

 

――――俺だって、本気で好きになる人はティアナぐらいしかいない

 

――――だから

 

俺はティアナの指を舐める。

 

それを見てティアナは嬉しそうに笑う。

 

「フフフ……

「舐めてくれるよね

「だって、あんたはあたしのこと大好きだもん

「あたしも大好きだよ

「誰よりも、何よりも

「何時だって、これからも

「――あんたのことを愛してる」

 

ティアナは指を退かすと顔を近付ける。

 

俺とティアナはキスをする。

 

――――2回目のキスを

 

 

 

 

 

―――――

 

「風邪が移ったかもね」

 

ティアナは帰る準備をしながら言う。

 

「移したらごめん」

 

申し訳なさそうに俺が言うとティアナは笑みを浮かべながら言う。

 

「それで、あんたが元気になるなら別に良いわよ

「それに、あたしが風邪を引いたら、あんたが看病してくれるし

「むしろ嬉しいわよ」

 

それだけ言うとティアナは部屋から出ていく。

 

扉が閉まる前に彼女は此方を向いて言う。

 

「おやすみ」

 

「おやすみ」

 

ティアナに返事をすると扉が閉まった。

 

――――幸せな1日だった

 

そんなことを思いながら、俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

―――――

 

この物語りの続きは知ってるだろうか?

 

知らない方のために、軽く話としよう。

 

六課解散時、俺の隣にいるのはティアナではなかった。

 

ティアナとは別れたのだ。

――――本気で好きな人が出来たら別れる

 

――――その約束に触れたのだ

 

――――彼女のことは好きじゃない

 

でも、俺が傍にいないと何をするかわからない。

 

――――だから、俺は彼女の隣にいる

 

彼女――――なのはさんが俺の隣に笑顔でいる。

 

 

――――ごめん、ティアナ


 
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