No.457377

病みつきなのは〜選ばれなかった選択肢〜

rikubさん

病みつきシリーズ第五弾!!
少しでも多くの方に楽しんで貰えたら幸いです

※オリ主×なのはです
※病みつきなのはを読まないと本当に話がわからないと思います

続きを表示

2012-07-22 13:46:31 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8052   閲覧ユーザー数:7785

間違った答えとは何だろう?

 

答えが用意されている問題にたいして違う答えで応える。

それは確かに間違えだ。

 

では、答えが決まってないものにたいしての間違った答えとは何だろうか?

 

 

間違いなんてない、でも正解もない。

 

そういうことなんだろうか。

 

俺にはわからない。

 

でも、俺にもわかることがある。

 

それは、この選択肢は間違っては無いこと

それは、この選択肢に正解が無いこと

それは、この選択肢を選んだことに、俺は後悔しないこと

 

 

 

 

ーーーーーー

 

今日、訓練を無事終えた俺は、彼女高町なのはに大事な話があると言われ、彼女の部屋にお邪魔した。

そこでされた大事な話とは、俺とティアナがキスしていたことについてだった。

 

なのはさんは光が無く濁った瞳で俺の目を見ていた。

 

なのはさんが淹れてくれた紅茶には自分の血が入っているとーーー

 

俺に自分の血を美味しいと誉めとくれて嬉しいと頬を紅く染めながらーーー

 

狂ってるーーー

 

狂ってるんだ、彼女は

 

俺はそれを聞き、吐き出すためにトイレへと急いだ。

そして今、部屋から出るための方法を考えている。

 

そんな俺の前にモニターが現れる。

 

そのモニターには右手が映っており、人差し指には包帯が巻かれていた

 

「ちゃんと私の手見えるかな?」

 

扉ごしになのはさんの声が聞こえる

やはり、この手はなのはさんのなんだろう

 

「……何なんですか?」

「君がティアナと別れないんなら私このまま手首を切るよ?」

 

え……!?何で!!?

 

「な、何でそんなこと!!?」

「だって君が私と一緒に居てくれないならもう私には生きてる意味が無いもん」 「そんなこと無いですよ!!それになのはさんが死んだら六課の皆だって悲しみますよ!!」

 

俺は彼女を説得してみるが、なのはさんはそれを無視して包帯を取っていく

 

「ねぇ、見てよこの傷」

包帯が完全に取れる

 

人差し指にはかなり深い傷があった

 

「本当はね、もっと小さめの傷にする予定だったんだけど……君とティアナのこと考えたらこんなに深くなっちゃった」

 

 

「ッ……何でこんな」

 

 

「言ったよ」

「私は君が好き」

「君のことを愛してるの」 「だから、君にも私を愛してほしい」

「私の全てを好きになってほしいの」

「そのためなら、私は何だってするよ」

 

なのはさんの表情はわからない。

でも、嘘では無いんだろう。

 

「だから、君に愛されない世界で生きるなんて嫌だ」 「君がティアナと別れてくれないなら、私はこのまま手首を切る」

 

 

彼女は本気なんだろう。

俺がティアナと別れなければ彼女はーーー

 

でも、俺は……!!

 

「……いです」

 

「……えっ」

 

「俺は、あなたが嫌いです!!!」

 

扉越しにいるなのはさんにたいして俺は叫ぶ。

 

「な……なんで?」

「嫌いなところがあるなら言ってよ、私はちゃんと直すから」

「私はあなたの言うこと何でも聞くよ」

「なのに、何で……」

 

「何で……!?こんなことしときながら好きだなんて、狂ってるしか言いようが無いじゃないか!!」

「俺はそんなの嫌だ!!」

「……もう、嫌だ」

 

俯きながら俺は言うと、モニターに映っていた魔力刃が消えた。

 

「嫌だよ……嫌いにならないで」

 

彼女は扉を叩く

 

「お願いだから私の傍に居て」

 

彼女は扉を叩く

それは、先ほどよりも強く

「言うこと聞くから、いい子でいるから」

 

彼女は扉を叩く

先ほどよりもずっと強く

「それでも……俺は、あなたが嫌いだ」

 

ガン!!と扉が強く叩かれる

 

「そっかティアナがいなければ……」

「そうすれば君は私を見てくれる?」

 

「……俺はあなたを見たくない」

 

扉を叩く音はしない

その代わり、モニターには力なく座るなのはさんが映っている。

 

「何で……いい子にしてたらいつか見てくれるって思ったのに」

 

なのはさんは俯いてるせいで表情は見えない。

 

「いい人でいたら、傍に居てくれると思ったのに」

 

今にも泣きそうな声で彼女は言う

 

「あなたを愛してれば愛してくれると思ったのに」 「私、おかしいのかな……」 「もう、わからないよ」

 

彼女は力なく笑いながら言う

 

「……いい子でいても誰も見てくれませんよ」

「いい人でいても誰も傍に居てくれませんよ」

「俺を愛しても、愛してくれるとは限りませんよ」

 

なのはさんの過去なんて俺は知らない。

 

でも、きっと悲しい過去だったんだろう。

 

……そんな気がする

 

なのはさんが魔力刃を作り、それを振り上げる。

 

「……離してよ、あなたが私の傍に居てくれ無いなら私は……!!」

 

「傍にいます!!」

俺は彼女の振り上げた手を掴み、力強く言う。

 

「いい子じゃ無くてもいい、いい人じゃ無くてもいい、愛してくれなくてもいい」

「なのはさんは無理して俺に何かしなくてもいいから!!」

「俺は、なのはさんの傍に居るから」

 

「何で…?嫌いなんでしょ私のこと」

 

「嫌いです、でも傍に居ます」

 

彼女の目を見て言う。

すると、彼女は大粒の涙を流しながら、笑う。

 

「可笑しいよ、そんなの」

「でもーーー」

 

彼女は俺に抱きつき耳元で囁く。

 

「ありがとう」

 

 

俺は彼女が嫌いだ。

でも、彼女も1人なんだ

俺と同じなんだ

そんな彼女を俺はーーー

 

 

 

 

ーーーーー

 

さて、後日談でも話すとしよう

 

俺はティアナと別れた。

 

別れ話を切り出したのは彼女のほうからだった。

 

俺がなのはさんの部屋で最後に言ったことを聞いていたらしい。

 

というのも、なのはさんがあのときの映像をリアルタイムでティアナに流していたからだ。

 

それに、俺がティアナと付き合うときに交わした約束があり今回はそれに触れたためでもある。

 

互いに本気で好きな人が出来たら別れる

 

それが約束の内容だ。

 

ティアナとは別れたが俺はなのはさんとは付き合ってはいない。

 

でも、周り曰く、何時付き合ってもおかしくないらしい

 

付き合うはずがない、俺は彼女が嫌いなんだから。

 

噂をすればなんとやら

彼女が俺に近づいてくる。

……今は、嫌いなんだから。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
4
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択