No.457135

Tea for Two

ろい82さん

イヴの一人称というか、心情っぽく。
ネタバレにご注意ください。

ハッピーエンドが好きです。

2012-07-22 00:26:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:594   閲覧ユーザー数:581

 
 

 

 

約束をしたの。

私は、あなたと約束をしたの。

あの不思議な世界で。

マカロンって名前のお菓子が美味しい喫茶店に行こうって。

 

私を護ってくれた、青い薔薇を持った男の人。

あなたがいてくれたから、私は普通の世界に戻ってこれた。

 

 

閉じ込められた黒い美術館。

友達になった、金色の髪の女の子。

夢のような、本当の話。

 

私は、あなたと出会ったの。

お父さんとお母さんと離れ離れになった、あの世界で。

怖かったけど、あなたと話しているとホッとした。

お母さんみたいな喋り方が、少し面白いななんて思ったりして。

 

私の手を引っ張ってくれて。重たいものを動かしてくれて。

ずっと護ってくれていた。

私のために傷付こうとまでしてくれた。

私を元の世界に戻すために。

 

 

でも、駄目。

それだけでは、駄目。

私だけじゃ、意味がないの。

一人だけじゃ、戻る意味がないの。

二人一緒に、あの優しい世界に戻らなくちゃ。

 

だから約束をしたの。

二人でお茶を。

美味しいお菓子も食べようって。

 

そのためなら、絵を燃やす事も怖くはなかったの。

お母さんの言う事も、初めて聞かなかった。

 

名前を呼んでくれている、声。

『一緒に帰ろう』

そう強く思って、私は伸ばされた大きな手を掴んだの。

 

 

 

 

何をしていたのか、少しわからなくて怖かった。

ぽっかり穴が開いたような寂しい感じがして、

私は美術館を歩き回ったの。

大きな赤い薔薇の前に、立っている人。

 

赤と青が混ざったような、綺麗な髪の色をした男の人。

私はきっと、あなたを知ってる。

 

私がお母さんにもらったハンカチを持っていた人。

約束を、したはずでしょう?

あの不思議な世界から戻ったら、一緒に…。

 

ずっと私を護ってくれていた、青い薔薇の優しい人。

だから今度は私が守るの。

約束を、守るの。

 

一緒に、お茶をしましょう。

すっごく美味しいって言っていた、お菓子を食べに行くの。

 

 

 

あなたと二人で―

 

 

 

 

 
 

 
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