No.454360

魔法幽霊ソウルフル田中 ~魔法少年? 初めから死んでます。~ ハード(難しさ)フル(いっぱいの)ストーリー(お話)な11話

主人公には隠しステータスがあります、その名も『死亡フラグ』。
建てたら必ず回収されるぞ!

2012-07-16 22:53:24 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1063   閲覧ユーザー数:1033

「ええと……確かこの階段の上だったよーな」

 

 

足売りばあさんと別れた後、俺はある場所へと向かっていた。

なるべく、急がなくてはならない。

 

詳しい時間は分からないが、はやてちゃんが図書館を出たのが1時過ぎだとするともう猶予はあまり残っていなかった。

 

俺の目の前にあるのは、長く続く石階段。

この先の山には神社があって、俺はそこに用があるのだ。

 

 

「マズイマズイマズイ、間に合ってくれよ~!」

 

階段を高速飛行でぶっ飛ばしていき、上へ上へとのぼる。

なぜ俺が、除霊されるかもしれないという危険をかえりみず神社に向かっているのかというと……。

 

 

 

「っととと! あ、あった!!!」

 

階段の終わりに着いた俺は、目的のものを見つけて急ブレーキをかける。

うーむ、高速移動は速いけど急に止まれないのが難点だなぁ、改善の余地がありそうだ。

 

 

 

 さて、ここで皆様に質問です。

 俺が神社にきて探しているものとは何でしょう?

 

 ヒントは『なのはちゃんが魔法少女になった次の日』。

……うん、バレバレだね。

 

 

 

 

「ジュエルシード『ナンバー16』発見! まだ誰も来てない、よかった……!」

 

 そう、本来なら今日暴走する予定のジュエルシードを一足お先に探していたのだった。

 何故かというと、俺は『逆に考えるんだ。場所が分かるなら、発動前に終わらせちゃえ』という、別に何も逆に考えてない作戦を思いついたのだ。

 

 

 その発想ができたのは、足売りさんのおかげであった。 

 彼女と別れる際、『アドバイス』を頂けたのである。

 

 

 

『田中ぁ、先輩幽霊としてこれだけは言っておくよぉ……』

 

 

『幽霊っていうのはねぇ、誰にも出来ないことをするのが大成への第一歩なのさぁ』

 

 

『花子ちゃんから聞いたけど、あんたぁ随分と力にこだわってるらしいじゃないかぁ』

 

 

『わたしから言わせてみりゃ、力で出来ることなんて、逆に力さえあれば誰でも出来ることなんだからねぇ……』

 

 

『よーく考えるんだねぇ、あんたのしたいことは、力以外にもやりようがあるんかじゃないかをさぁ…………。ところで、異世界の行き方って知らないかねぇ?』

 

『足売りさん、それは自分でよーく考えてください。俺も知りませんから』

 

 といった感じである、その後足売りさんがどうなったかは知らないけど。

 とにかく、『俺にしかできない』ことを考えてこの方法を思いついたのだった。

 

「さて……、流石に直接触るのは恐いよな。」

 

 

 幽霊だから触れない、わかってはいるものの暴走体の事もあって、俺は少しばかり慎重になる。

 そーっと、箸で豆を摘むようにポルターガイストでゆっくりとジュエルシードを持ち上げて、触れないように手のひらの上に浮いたままにして…………。

 

 

 

「よっしゃ! ジュエルシード、ゲットだぜ!!!」

 

 15年間ぐらいポケモンマスター目指してる10歳の少年みたいなリアクションをしてしまったが、何はともあれゲットである。

……ピカ○ュウみたいに返事があったら完璧なのに。

 

 

 

「ワン! ワワワン!」

 

 とか思ってたら、本当に返事が返ってきた。

 この妙に聞き覚えがある鳴き声はもしや……。

 

 

「おお! やっぱりあの時のお前か!」

 

「ワン!」

 

 

 そう、ユーノ君を拾った日に出会った、俺が見えるコーギーである。

 よく思い出してみれば、ここで暴走体になるのはこの子だったっけ。

 

 途中で俺を見かけて、飼い主さんを置いてけぼりにしたらしい。

 嬉しそうに短い尻尾を振るのを見て、俺は間に合って良かったと安心した。

 

 

 

「ってコラコラ、この宝石はオモチャじゃないぞー」

 

「クーン……」

 

 

 気付くと、ワンちゃんは俺の手のひらで浮いているジュエルシードに興味深々であった。

 つぶらな瞳が期待を込めて見つめてくるからけっこう辛い…………なんて、思ってる暇はなかった。

 

 

「ワンッ!」

 

 我慢しきれなくなったのか、ワンちゃんは俺に向かってジャンプしてきたのだ。

 

 

「うおっ!? あ、危なっ!」

 

 足が短いとはいえ犬である。

 危うく、手のひらのジュエルシードを奪われるところだった。

 

 

 

「ちょ、タンマ! スタップ!」

 

「ワンワンッ!」

 

 多分、このワンちゃんは俺と遊ぶつもりなんだろう、そのまま追いかけっこに発展してしまった。

 

 

 

 向かってくるワンちゃんから逃げるために、そのまま俺は神社の奥まで飛んでいく。

このまま、神社の中をすり抜けて逃げる魂胆だ。

 しかし、犬とは逃げたら追って来るもので、ますます嬉しそうに後を付いて来た。

 

 

 

「あ、しまった!」

 

 ここで俺は、自分の見落としに気づいた。

 俺の体はすり抜けても、ジュエルシードは無理じゃん!

 

 慌てて急停止して、方向転換するが……。

 

 

「ワオッ!」

 

「危なっ!?」

 

 止まった所をワンちゃんに飛びかかられる、間一髪でかわしたが。

 

 

 

 その俊足を生かして縦横無尽にジュエルシードを狙ってくるワンちゃん。

 一方俺は、直線距離を飛ぶならワンちゃんより速いが、止まる時に大幅なロスをしてしまう。

 

 この差は致命的で、いつジュエルシードを取られてもおかしくなかった。

 

 

 

「くそ、どうする……? どっちに逃げても結局は向きを変えたら追いつかれるし……」

 

 まさか、暴走体になる前のワンちゃんの方が厄介とは思ってもみなかった。

 

 

 飛びながら対策を考えていると、石階段の向こうから思わぬ声が聞こえてきた。

 

 

「こ、こら~! 待ちなさいっ!」

 

 そう、ワンちゃんのご主人様である。

突然走り出した愛犬を追いかけてきたらしく、息も絶え絶えな状態であった。

 

 

「!」

 

 

 ご主人様の声に、ワンちゃんが一瞬だけ怯んでいる。

 

 

「今だっ!」

 

 ありがとう、ご主人さん!

 俺には貴女が天の使者に見えるよ!

 俺はすぐさま『上空』へ飛び上がる。

 

 

 

「クーン、クーン……」

 

 ふふふ……、ここならワンちゃんも来れまい。

 恨めしそうに上にいる俺を見上げていた、初めからこうすればよかったのだとちょっと後悔する。

 

 

「ごめんよ、お前と遊ぶのは海鳴から危機が去った後でな……」

 

 神社の上空といってもそこらにある木と同じぐらいの高さだが、危機は去ったと安心する。

 これで、原作ブレイクは完了。

 

 

 

 

――――そう思ってた時期が、俺にもありました。

 

 

 

 バサッ、バサッ

 じー……

 

 

 

「……ん?」

 

 何か音がした気がする。

 それと、不審な視線も。

 

 

 バサバサッ、ガサッ

 バサバサバサバサバサ……

 

 

 それは、俺の周りのあちこちで聞こえてくる。

 

 

「な、なんだ……?」

 

 だんだんと増えていく音に不安を覚えて、俺は辺りを見渡して、気付いた。

 

 

 

じーーーーーーっ×30

 

 

 

 

 

「…………Οh」

 

 そこにいる、辺りの木々に止まっていた大量のカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラスカラス――――――

 

 

「「「「「クアァァァァーーー!!!」」」」」

 

 

 

 カラスって、光るものをよく集めてるよね。

 

 

 

「ふっ、ふふふふふふ……」

 

 

 全方位から迫るカラス、そして手のひらにあるジュエルシード。

 欲望たっぷりのこの鳥類どもがこれに掠っただけで軽く死ねる絶望的状況。もうここまでくると泣けるどころか笑いしかでてこない。

 

 

 

「くそったれぇぇぇーー!!!」

 

 拝啓、あらゆるオリ主の皆様。

 原作ブレイクって、難しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃそりゃそりゃそりゃあぁぁぁッ!!!」

 

 右へ、左へ、左斜め上へ、上と見せかけて下ァ!

 

 

 ジュエルシードに群がるカラスどもを、俺は最速かつ繊細なポルターガイスト捌きでかわしていた。

 このカラス達はどうやら俺の姿が見えてないらしい。

 

 さっきからジュエルシードばかりに狙いをつけてくるものだから、いくら数が多かろうと軌道が予測しやすいのだ。

 

 

 ただ、一つだけ問題をあげるとするなら……。

 

 

 

 

「アホー!」「ニゲルナカスー!」「チキンヤロー!」「オマエノカーチャンデベソー!」

 

 こいつら、口が悪い。

 オウムみたいにどっかで言葉を覚えているらしい。

 

 

 実はポルターガイストって意外と神経を使う作業なのだ。

 特に今みたいに、正確かつ素早い動きを求められる時なんかそりゃもうしんどい訳で……。

 

 

 

「ドウシタベネット! ホウセキナンカステテカカッテコイヨ!」

 

「お前なんか恐くねって誰が捨てるかゴラァ!」

 

 

 ついつい怒鳴り返す俺。

 海鳴のカラスはどんな教育うけてるんだよ!?

 賢こすぎるわ!

 

 人魂で追い払おうにも、暴走体の時とは逆で相手が脆すぎる。

 たとえカラスでも、命は奪いたくはないのだ。

 

 

 だから俺に出来ることは、『つながり』で特定したなのはちゃんの所までジュエルシードを死守しながら逃げるしかない。

 

 

「ネエネエ、イマドンナキモチ? カラスニオイカケラレテドンナキモチ?」

 

 

「ナアホウセキオイテケヨ! ホウセキモッテルダロ! ホウセキオイテケヨ!」

 

 

「コチラエイチキュー! ホウセキヲハッケンシタ!」

 

 

 

「お前らホントどこでそんな言葉覚えた!?」

 

 いるのか!?

 海鳴でこんな事言うやつがいるのか!?

 

 

「アシハイランカネェ」

 

「足売りさーん! 芸風パクられてますよー!」

 

 足売りさんは今日来たばっかりなのに、学習能力が高すぎる!

 こんな感じで集中力をかき乱され、なかなかなのはちゃんの所まで進めない。

 どうもまだ学校にいるらしいが……。

 

 

 

「これじゃあ、先にジュエルシードが発動する! なんとか追い払えれば……!」

 

 

 人魂は無理だし、ポルターガイストはジュエルシードに集中してるしこうもうるさいと考えもまとまら…………ん?

 

『うるさい』?

 

 

 

「そうだっ!」

 

 あいつ等の騒音攻撃で名案が浮かんだ俺は、右手を『銃』の形にして……。

 

 

 

「おらっ! 撃つぞ!」

 

 

『パアァン!!!』

 

 

「クァッ!?」

 

 

 俺の指先から『銃声』が鳴り響いた。

 生命の危機を本能的に脅かす乾いた音にカラスどもは一斉に動揺した。

 

 

 

「音『だけ』でも十分効いてる、これなら!」

 

 そう、実際には銃弾なんて出ちゃいない。

 実はこれ、『ラップ音』である。

 

 

 ラップ音とは、幽霊屋敷とかで聞く『音源の無い音』のことで、コレはちょっとした応用だ。

 

 

「どけどけーー! 邪魔する奴は風穴あけるぞーー!」

 

 

『パンッ! パンパンッ! ダダダダダ!』

 

 

「ヒキョウモノー!」「ジュウナンカステテカカッテコイヨー!」「ブーブー!」「グワアー!」

 

 面白いぐらいにカラスどもが逃げる逃げる。

……ちょっと楽しくなってきた。

 

 

 

「ふはははは! 勝てばいいんだよ、勝てば!」

 

 

 はいここで本日の死亡フラグ、『手段を選ばず勝ちに行く』来ましたねー。

 絶好調の証ですよー。

 

 

 

「リーダー! リーダーガキタゾー!」

 

「え? リーダー?」

 

 

 

 

 そして、俺終了のお知らせでもある。

 

 

 

 

 多くのカラスたちが逃げていく中、たった一匹だけ俺に向かってくるカラスがいた。

 

 他のカラスよりもそいつの体は一回り大きく、リーダーの風格が現れている。

 

 そいつの右目は、かつて強大な敵と戦った証なのか大きな傷で潰れてしまっている。

 

 そんなハンデすら威圧感に変え、この海鳴の空の王者がやってきたのだ。

 

 

 

「…………ナカマガ、セワニナッタヨウダナ『ユウレイ』」

 

 

「!?」

 

 

 しかもこいつ、俺が見えているらしい。

 やけにゆったりとした喋り方で俺に語りかけてくる。

 

 

「キサマノモッテイル、ソノホウセキ、ハジメニ、メヲツケタノハ、ワレワレダ。ナカマドウシデ、トリアッテイルウチニ、キサマガ、ウバッタノダ」

 

 

「シカシ、ヤセイノオキテハ『ジャクニクキョウショク』。ハイエナモ、タシャカラ、ウバワネバナラヌノモ、ドウリ」

 

 

「ダガ、キサマガ『ジュウ』ヲ、ツカウノナラ、オレガアイテニナロウッ!!!」

 

 

 なんか滅茶苦茶怖いんですけどこの鳥!?

 俺は話が通じるならと説得を試みるが……。

 

 

 

「まっ、待て! この宝石は危険な物だし、そもそも俺は銃を使ってない! 話せばわか――――

 

「モンドウムヨウ! ユクゾッ!」

 

 

 しかし、怒れる王者は止まらない。

 奴は大きく息を吸い、口を大きく広げて――――――

 

 

 

 

 

「――――観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空」

 

「般若心経!?」

 

 

――――それはそれは見事な発音で、般若心経を唱えだしました。

 

 その素晴らしいよみっぷりに、俺は心が洗われるように

 

 

 

「うわああ!? 消える消える!? 成仏するうぅううぅう!!!」

 

 気付いたら俺の体が半透明になっていた!

 ヤバい、こいつ本気で俺を成仏させる気だ!

 

 

 

「サスガリーダー! 『テラウマレ』ハ、カクガチガウゼー!」

 

「オレタチジャ、オボエキレナイノ二、サスガダゼー!」

 

 周りのカラスたちも、リーダーの活躍を見て再集合しはじめる。

 

 

 

「度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色」

 

「ちくしょう……! こんなところで、終わってたまるかよぉ!」

 

 

 

 学校はもう見えているのだ、高速飛行さえ、意識を集中させれば……!

 しかし、俺の意識はどんどん遠ざかっていって。

 

 

 

『田中! 目を瞑りなっ!』

 

 

 

 辺り一面が、凄まじい『青白い閃光』に包まれた。

 

 

 

 

 

「こ、これは……?」

 

「「「「「キュ~~~~~」」」」」

 

 

 辺りを見渡すと、30匹近くいたカラスたちが皆近くの木の上でダウンしていた。

勿論、リーダーも例外なく。

 

 さらに不可解なことに、目を瞑っても凄い光だったと分かるほど眩しかったのに、俺達に傷は一つもない。

 

 助かったことよりも驚きの方が強く、考え込んでいる俺に声がかけられた。

 

 

 

『学校以外の場所じゃだめなら、学校から狙えばいい』

 

 声しか聞こえない、ということはこれは『ラップ音』。

 

『それと人魂は炎の塊、なら光るイメージだけを高めればスタングレネードになるってことさ』

 

 それは、つい今朝聞いたばかりの声。

 しかもこの姉御肌口調は間違えるはずがない!

 

 

 

 

『田中! 早く学校にもどってきな、アタイが一から鍛えなおしてやるよ!』

 

 

「は、花子さん……!」

 

 

 離れた学校にいるはずの、トイレの花子さんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「常々アンタは情けないと思ってたけどまさかカラスにまで、待て待てなに空から着地して自然と土下座の体勢に入ろうとしてんだいアンタ今朝のこともう忘れたのかというか低姿勢になるなぁぁぁ」

 

 

 学校の屋上で俺を待っている花子さんを見つけ、大変深い感謝の意を示そうとしたのだが拒否されてしまった。

 だがしかし、それでは俺の感情が収まるわけでもなく。

 

 

「花子ざあぁぁぁんっ! ほんっ、本当にありがどうござびまずぅ~!」

 

 

「ひゃあっ!? だ、だ、だだだだだだ……」

 

 

 おもいっきり花子さんに泣きすがってしまう俺だった。

 だ、だって怖かったんだもん! 危うく死ぬとこだったし!

 

 

 そしてボンっ、と顔を赤くする花子さん、後はお分かりだろう。

 

 

 

「だ き つ く なああぁぁあぁぁああぁぁっ!!!」

 

「ごろぶべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 

 はい、おもいっきり殴られましたー。

 まるで成長しませんね俺ー。

 

 

 

 

 

「すいません落ち着きました」

 

「も、もっと早く落ち着きな! こっちが落ち着けないよまったく……!」

 

 

 一呼吸おいて、ようやくまともに話が出来るようになったため屋上にてあることを話していた。

 

 

 何を話したかって?

 それは勿論『全て』である。

 

 

 何年間も助けてもらって、終いには命まで助けてもらったのだ。

 もう俺は、花子さんに隠し事なんてしたくなかったのである。

 

 

 

 俺が転死者であることも、これから先この世界で何が起こるのかも、全てを花子さんに打ち明けたのだった。

 

 

 

「…………」

 

「い、以上が、俺の知ってる全てです」

 

 

 全てを話して、無言になる花子さん。

 やっぱり信じれないよな……。

 

 

 何秒とも何分とも感じられる時間がすぎ、花子さんは「ハァ……」とため息をつく。

 

 

 

 

 

「転生やら、魔法少女やら、正気を疑うようなことばっかりだね……。でも、本当のことなんだろ?」

 

「し、信じてくれるんですか!?」

 

「アンタがウソをついたら一発で分かるよ。何年師匠やってると思ってんだい」

 

 

 

 腕を組んで、「ふん」と仁王立ちをする花子さん。

 よかった、本当にこの人に出会ってよかったと思う。

 

 

「でもアンタの言うとおりだと、この海鳴にはまだまだ『ジュエルシード』が残ってるんだろう?」

 

「そうですけど……」

 

 

 ホントは全部俺一人で回収するつもりだったのだが。

 しかし花子さんには名案があるようだった。

 

 

 

 

 

 

「アタイ『達』にも手伝わせな、ジュエルシード回収。なあに、知り合いの幽霊連中を片っ端からよんできてやるよ!」

 

「ま、ま、マジですかーーー!!!」

 

 

 

 花子さんの驚きの提案により、今後この海鳴に名のある都市伝説、怪談が集結することになる。

『幽霊都市海鳴』の始まりであった――――

 

 

 

 

 

「ところで、このジュエルシードなのはちゃんに渡したいんですけど……」

 

「まだ授業が終わってないから、下駄箱にでも置いときな」

 

 

 まじですか、置いちゃいましたけど。

 


 
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