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魔法少女リリカルと恋姫な物語 ~少年の数奇な運命~ 第15話 真実を知って・・・

レアさん

こんばんは~。じめじめした毎日が続いて嫌になってきますね^^;でも行進は止まりません!てことでどうぞお楽しみくださいb尚、前回のプレシアsideのままで始まります。

2012-07-15 01:19:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1217   閲覧ユーザー数:1109

 その日、地球時間で夕方を少し過ぎた位にフェイトが帰ってきた。フェイトは帰ってくるなりすぐに私の元へやってきた。

 

「アルフも入ってらっしゃい。あなたにも聞いてもらいたいから」

「・・・どういうことだい?あたしにも聞いてもらいたいことって・・・」

 

 そう言ってアルフも入ってきた。まずは座りなさい、と椅子に座らせた。さてと・・・私自身落ち着いて話をしないとね。

 

「それで、私たちに話したいことってなんですか?」

「フェイトの生まれについてと、ジュエルシードを集める理由についてよ」

「ッ!」

「なっ!」

「率直に言うわ。フェイト、あなたは私の娘アリシアの遺伝子を用いて作られたクローンよ」

 

side out

 

フェイトside

 

 今母さんはなんて言ったの?クローン?誰が?私が?

 

「どういう・・こと?」

「・・・落ち着いて聞いてくれるかしら?アルフも」

「・・はい」

「話の内容次第だね」

 

 母さんは置いてあったコップに口をつけて、水を一口飲んだ後、話しはじめた。

 

「まずは私がジュエルシードを集める理由から話さないといけないわね」

「そういや聞いたことなかったね。ただ集めてこいとフェイトに言っただけらしいじゃないか」

「ええ、当時は別に言う必要はないと思っていたから」

「それは・・なぜ?」

「・・・あなたをお人形だと思っていたからよ」

 

 お人・・形?

 

「あんた!言うに事欠いてお人形だって!?ふざけるんじゃないよ!!」

「最後まで聞いてくれるかしら?それとちゃんと聞いて頂戴。思っていた(・・・・・)、つまり過去形よ」

「・・・過去形?じゃあ今は?」

「それもちゃんと話すから聞いて頂戴・・・。ええと、どこまで言ったかしら?」

「・・集める理由を話してもらってる途中だったよ。言っとくけど、まだアンタを許していないからね・・・」

「ええ、それも仕方ないと思っているから」

 

 以前の母さんからは感じた事のない何かを感じられる?これはいったいなんだろう・・・。雪乃さんを送る直前にも感じたんだけど・・・。

 

「・・集める理由だったわね。26年前、ヒュードラの実験によって事故が起こったの。この際ヒュードラがなんなのかは省かせてもらうわ。その事故によって、私は当時一人娘だったアリシアを失った」

「アリシア・・・私の基になった人」

「ええ、あなたと違って私の魔力資質はほとんど受け継がれなかった。至って普通の人間だったわ。その事故による衝撃でアリシアは死に至った。でも不幸中の幸いと言えばいいのかしら、肉体には一切傷がなかった」

「?傷がなかった?」

「そうよ。詳しい死因はわからないけれど、確かにアリシアは死んだ。その事実を受け入れられなかった私は狂気にとりつかれた。私はすぐに管理局を止め、アリシアを生き返らせる手段を探し続けた。それがプロジェクトF.A.T.E、あなたを生み出した研究よ」

 

 プロジェクトF.A.T.E・・・それが私を生み出した研究。そして名前の由来でもある・・・。アリシアを生き返らせようとして生まれたのが私。でも私はアリシアとは何もかもが違っていた・・・。だから母さんは私を人形として見たんだ。だって私は失敗作だから・・・。

 

「・・・あんたは失敗作だからフェイトを人形と言ったのかい?」

「そうね。それは否定しないわ」

「ッ!」

 

 わかっていてもやっぱりつらい・・・。今すぐにでもここを飛び出して泣き叫んでしまいたい。でも最後まで聞いてほしいと母さんは言った。だから私はここを離れない、最後まで聞かなきゃいけない。誰でもない私自身のために。

 

「・・フェイト大丈夫?無理なら明日でもいいのよ?」

「大丈夫、最後まで聞くよ母さん」

「そう、それじゃ続きを話すわね。あなたが生まれて、あなたを観察して、アリシアとなにもかもが違うとわかった私は別の手段を探した」

「それがジュエルシードだね」

「そうよ。次元干渉型エネルギー結晶体・・・それを使ってとある場所に行こうとした」

「とある場所?」

「全ての始まりの地アルハザード」

 

 アルハザード?初めて聞いた名前だ・・・。全ての始まり・・・ということは最初に魔法が生まれた世界・・・。なら人間を生き返らせる秘術があるかもしれない、そう思ったから母さんは・・・。

 

「全ての始まりってことは魔法もかい?」

「そうよ。そしてそこなら人間を生き返らせる秘術もあるかもしれないと思った。だから私はジュエルシードを集めようとした。でも私にはそれをするための時間が残されていなかった」

「?あんた十分に若いじゃないか。なのに時間がないってどういうことだい?」

「・・・こう見えても60近いんだけどね・・・」

「えぇ!?」

「嘘!?」

「・・・雪乃にも言われたけど、私ってそんなに若く見えるのかしら?」

 

 若いなんてもんじゃないよ母さん・・・。下手したら30代でも十分通るよ・・・。

 

「まあいいわ。話がずれたわね。で、ジュエルシードを集めるために私はあることを思いついた。自分にできないのなら、使えるものを使えばいい。そう、人形であるあなたを使えばいいと思った」

「・・・」

「・・でもその時のあなたはまだ魔法について何も知らなかった。だから私はアリシアの飼っていた山猫を自分の使い魔にした。あなたに魔法を教えさせ、育てさせるために。それがリニスよ」

「使い魔に・・・リニスは母さんが一度殺したの?」

「いいえ、アリシアが事故に巻き込まれたとき、一緒に死んでしまったのよ」

「あんたは・・・死んでいたとは言え、自分の娘の飼い猫を使い魔に・・・しかもただそれだけのために使い魔にするなんて・・・!」

「それに関しては反省しているわ。でもひどい言い方をすれば、使い魔はどこまでいっても使い魔よ。私からすればの話だけど」

 

 

 母さんの使い魔の定義はそうかもしれないけど、私は違う。ずっと一緒にいてほしいから使い魔を望んだ。それがアルフなんだ。

 

「フェイトは私とは違うから安心なさい」

「それはそうだね。アンタとフェイトが違うってことぐらいはわかってるよ」

「うん、私はアルフとずっと一緒にいたいから使い魔にしたんだ」

「それならそれでいいわ。あなたが望んだんですもの。話を戻すわね、あなたに魔法を教え終わったリニスは私にも何も言わず、本当に猫がいなくなるようにいつの間にかいなくなっていたわ。・・何もそこまで猫じゃなくてもいいのにね」

「・・リニス・・・」

「その後のことは話さなくてもいいわね」

「だね。思い出したくないこともあるけど、フェイトが最後まで聞くと決めてる以上あたしは今はアンタに何もしない」

「ありがとう。最後までちゃんと聞いてくれるのね」

「うん。それが母さんの願いでもあるし、私自身のためでもあるだろうから」

 

 私がそう言うと、母さんは少し微笑んでこちらを見ていた。何か変なこと言ったかな?私。

 

「やっぱり雪乃の言うとおりね。今日雪乃が言っていたわ。フェイトにはちゃんと自分の意思があり、感情がある、だから人間だと」

「雪乃さんが?」

「ええ、そして私にこう言ったわ。あなたを一人の人間として見てやれないか?とね。雪乃にも私があなたをどう思っていたかを伝えたわ。そうしたらひっぱたかれたわ。しかも二回」

「随分度胸があるねあの人・・・」

「ええ、私もそう思うわ。でもおかげで目が覚めたわ。彼女に言われてからついさっきまで、冷静に考えていたわ。フェイトのこと、アリシアのこと。そして自分の行いについても。そしたら気づいてしまったの・・・いえ、気づかされた。アリシアは死んだ、そしてアリシアとフェイトは別の人間だと言うことに」

 

 そうだった、母さんは自分で狂気にとりつかれたと言ってた。気づいていたとしても、何が間違いで何が正しいかなんて正常に判断ができるはずもない。

 

「今更かい?あまりにも遅すぎるんじゃないか?」

「それは重々承知しているわ。でも私はただアリシアを生き返らせることしか頭になかった。自分の娘が死んだんですもの、正常な判断ができなかったと自分でも思ってるわ」

「・・・それで?」

「・・・二人が別の人間だと気づいた私は、もうフェイトを人形と見ることができなかった」

 

 母さんはそう言って席を立って私に近づいてきた。どうしたんだろう?不思議に思っていると、不意に抱きしめられた。

 

「・・え?」

「今までごめんなさいねフェイト。許してもらえるなんて思っていないわ。随分な仕打ちをしてきたことはわかってる。それでも私はあなたをもう一人の娘(・・・・・・)として見ていいかしら?今更何を言っているんだと思われているかもしれないけど、これが私の今の気持ちよ」

 

 そう私の耳元で母さんは言った。そして今もまたあの感じがある。さっきまではわからなかった感じ、今ならわかる。今思うと以前の母さんは、私のことを物を見るような感じで見ていた気がする。でも今母さんはもう一人の娘と言ってくれた。そして私を抱きしめたときの感じ、これは母性。これが母親というものなんだ・・・。そう思った瞬間私は涙を流していた。

 

「フェイト・・・」

「大丈夫かいフェイト!?どこか痛いのかい!?」

「ううん違うんだアルフ。すごく嬉しくて、暖かいんだ。私はようやく母親っていうものを感じることができたんだと思うと涙が出た。たぶん私が欲しかったもの、それがあるんだって思うと・・・」

「フェイト・・!」

「母さん・・!」

 

 そして母さんはさっきより強く私を抱きしめてくれた。だから私も抱きしめ返した。やっと母さんと本当の親子になれた気がする。

 

「こんな私を許してくれる?フェイト・・・」

「うん・・・。ようやく私を娘として見てくれる、そう考えると今まで以上に母さんの役に立ちたいって思えるんだ」

「・・フェイトがそう決めたんなら仕方がないねぇ・・・。それから感動の場面だけど、さっきうやむやになった件聞いていいかい?」

「あぁ、ごめんなさいアルフ。何かしら?」

 

 アルフが聞きたいことがあるからと言ってきたので、母さんは私から離れた。でも、今度は正面ではなく、隣に座ってくれている。でもアルフの聞きたいことって?

 

「さっき時間がないって言ってた理由さ。あれはどういう意味だい?」

「言葉通りよ・・。私の体は今、病魔に侵されていてそう長くないのよ・・・」

「なんだって!?」

「嘘だよね母さん!?」

 

 そんな!やっと家族を手に入れることができたのに・・・。

 

「嘘ではないわ。雪乃にも言われたから。そこでフェイトに聞きたいの。フェイト、私ともっと一緒にいたい?この先ずっと一緒に生きていたい?」

「当然だよ母さん!もうすぐお別れなんて嫌だ!もっといっぱいお話とかしたいよ・・・!」

 

 あと少ししか一緒にいられないなんて嫌だ!母さんがアリシアを失ったときもこんな気持ちだったのかもしれない・・・。たった一人の肉親がいなくなってしまう、それは自分の中の一部をなくしたようなものだから・・・。

 

「・・ありがとうフェイト。なら私は雪乃の申し出を受けるわ。私のため、何よりあなたのために」

「申し出って何?」

「雪乃のレアスキルで病魔を消し去るのよ。さすがに一気に全部は消さないわ。必要な臓器まで消えてしまったら危ないから・・・」

「どんなレアスキルだいそれ・・・」

 

 アルフが呆れるのも無理はない。病魔を消滅させる、しかも下手したら内臓まで消えてしまうかもしれないなんて。

 

「大丈夫。今の状態まで放っておいたから残りの時間が少ないのであって、ある程度まで小さくすればおそらく残った病魔は普通の手術で取り除けるはずだから・・・」

「そうなんだ・・・」

「ええ、とりあえず次地球に行った時にでもユキノに伝えていてくれる?それと、ジュエルシードの方は一応集めておいて。管理局が来たときに交渉に使えるかもしれないから」

「わかった。あぁそうだ、ジュエルシード。さっき地球に戻った時に手に入れたんだ」

「ありがとうフェイト。それと地球にもこれを集めている人はいるでしょう?」

「うんいるよ」

 

 あの子の名前はなんていったっけ・・・。今度会った時にもう一度聞こう。

 

「じゃあ、その子と協力して集めなさい。お互いを助け合ってね。アルフもフェイトのことをお願いね」

「はい・・・!」

「わかったよ、神那と一緒にフェイトの事を守るよ」

「神那・・・雪乃の息子さん?」

「そうだよ母さん。私の初めての友達なんだ」

「そう。それじゃその子の事も含めて、今日は眠たくなるまでお話でもしましょうか?」

「うん!」

 

 その後、私と母さんとアルフは夜遅くまでお話をした。アリシアの事も聞いたら、落ち着いたらちゃんと埋葬することにしたって言ってた。いつまでも失ったものばかり見てちゃいけないからと母さんは言っていたけど、少し悲しそうだった。私はアリシアの代わりにはなれないけれど、アリシアの分まで母さんと一緒にずっと生きていこうと心に誓った。

 

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