No.453095

万華鏡と魔法少女、第二十一話、真実

沢山の血を流し、同じ一族を手に掛けた一人の男


彼は唯一の弟と対峙して命を散らせた。

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2012-07-15 01:15:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9680   閲覧ユーザー数:8749

別れは急にその人に訪れる

 

 

離ればなれになり、一緒にいたくてもそれは叶わない

 

 

思い出はその時には悲しみとなり、また人の成長を促す糧となる

 

 

支え合い生きる事により出来る繋がり、絆…

 

 

だが、俺はそんな大事な絆も繋がりも自ら断ち切ってきた

 

 

俺は存在してはいけない人間だったんだ…

 

 

そうすれば、深い悲しみを彼女にも…そしてサスケ、お前にもさせないで済んだのかもしれない

 

 

ごめんな…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

只々、クロノの放った一言によって沈黙が支配する艦アースラ

 

 

フェイトは未だにクロノが口走ったイタチの罪状について理解出来ずにいた

 

 

それはそうだ、いままでイタチが酷い事をしてきたのは明白で、それを知ってなお、擁護したクロノにいきなり頬を打たれたのだ

 

 

状況が掴めなくなるのも当然であると言える

 

 

そんな彼女に重い口振りでクロノは語り始める

 

 

うちはイタチ…その彼が行った事について

 

 

「…僕が彼と最初にコンタクトしたのは、ロストロギアであるジュエルシードを君達の確保をしようとした夜の出来事だった、

 

闇夜の中で光る彼の三つ巴の瞳、それは今でも鮮明に覚えている」

 

 

そうして、一人彼女達に語るクロノは静かに話を続ける

 

 

その口調は何処か暗く後ろめたい事がある様に感じられる

 

 

「…その彼と出会った夜の後、僕は単独で君達との関係のある彼と…高町なのはの両親が働いている翠屋に通っていると情報を元に接触をする事にした…

 

最初は僕も彼の事を警戒していた、最初にに会ったあの夜の日も彼は君達の事を護る為に僕に’幻術'というものを掛けて気絶させていたからな…何時の間にか陥れられる、その動作も見破る事の出来ない早業だった」

 

 

彼はその時の状況を思い返し、イタチの事を賞賛する様に一人呟く様にフェイト達に淡々と語る

 

 

だがそんな、彼の話にアルフはすぐさま口を割り込ませた

 

 

その理由は一つ

 

 

「…ちょっと待ちな?イタチが私達を護ったってどういう…」

 

 

そう、それは自分達を護る様にクロノの前に立ち塞がったというイタチの行動について

 

 

彼は少なくとも合理的に動く人間だと思っていた彼女はどうしてもそれが納得いかなかった

 

 

別にクロノが介入してきたところでフェイトとアルフ、二人が一緒に行動していれば彼の撃退等、容易くは無いが出来ない事では無い

 

 

イタチについて語っていたクロノはアルフのその質問にゆっくりと答え始める

 

 

「…それはここにきたばかりの彼は君達の事を案じて、その動向を追った結果だ、その時の彼は右も左も分からない状態にも関わらず君達の事を護ろうとしたんだ…どんな風になったとしても助けてくれた君達の事を護る為に…ね」

 

 

彼はそう一言だけ、アルフの質問に答えると前に語っていた話を更に紡ぎ始める

 

 

そう、クロノがイタチと初めて面と面を向かい話をし合ったあの海鳴町の外れにあった浜辺での出来事についてだ

 

 

「…その日から、彼は君達について僕に度々相談を持ち掛けられる様になった、情報も互いに交換し合い、そうして彼は次第に君達の立たされている状況も自分のいる状態も把握していったんだ…」

 

 

クロノは浜辺で哀しそうに海を眺めていたイタチを思い浮かべながら彼女達にその時の様子を伝える

 

 

イタチがこの町の人間で無い事もフェイトは知っていたが、まさか自分の知らないところで彼が情報を得る為にこんな風に動いていたのは予想もしていなかった

 

 

そうして、イタチを語るクロノの表情はそこから、哀しみを含んだものにへと変わってゆく

 

 

「…そして、浜辺で会った彼が僕に持ち掛けたもう一つの話

 

毎晩の様に君達が家を出てゆく訳…、僕と最初にあの夜に出会った彼は君達がやってきたジュエルシードを回収するといった罪を犯していると僕の口から直接聞き出していた…

 

そんな、彼は僕にこう提案してきたんだ」

 

 

クロノはそう言うと、自身の懐の内からフェイト達の前にある物質を提示する

 

 

それは、怪しく光るロストロギアと呼ばれる物質

 

 

怪しく輝くそれを眼の前に提示されたフェイトはゆっくりと口を開きその物質の名を挙げる

 

 

「…ジュエル…シード…」

 

 

「…そうだ、君達の回収したジュエルシードを僕に渡すという提案だ…」

 

 

瞬間、その信じられない一言を言い放ったクロノにフェイト達は愕然とする

 

 

回収していたジュエルシードを陰でクロノにイタチが渡していたという事実は、それだけで彼女達には衝撃的だったのだ

そんななか、アルフは食いかかる様に淡々と語るクロノに反論する

 

 

「ちょっとまちなよ!ジュエルシードは確かにフェイトが持っていたし、プレシアにも既に幾つか渡していた筈だよ、話が噛み合ってないじゃないか!」

 

 

そう、アルフの言う通り

 

フェイトの回収した筈のジュエルシードは確かに手元にあったし母親であるプレシアにも幾つか既に渡している

 

 

なんだか、クロノとの話の辻褄が合わない事にアルフは気付いたのだ

 

 

だがそんな、驚愕の表情を浮かべたまま固まる彼女達、反論するアルフにクロノは静かに話を続ける

 

 

「…それは、イタチが君達の回収したジュエルシードを僕が持っていた時空管理局の開発局が発明したフェイクとすり替えていたからだ…

 

本物は既に全て回収済みだ」

 

 

「…!?」

 

 

クロノの言葉に先程まで、怒りを露わにしていた筈のアルフの顔色が一気に変わった

 

 

それは、イタチがジュエルシードによって願いを叶えるというアルフの推測が全て覆される事を指す

 

 

アルフの頭の中は意味の分からない、理解出来ない事でいっぱいに満たされていた

 

 

ニセモノ? ジュエルシードが?

 

 

それじゃ、イタチがあの時、私の目の前で提示していたジュエルシードはもしかして…

 

 

彼女はその時の状況を良く思い出す、彼が自分に向かい言った言葉を…

 

 

『…人は誰もが己の知識や認識に頼りに縛られ生きている

 

それを現実と言う名で呼んでな…』

 

 

そうだ…イタチはあの時確かにこんな事を口走っていた事を覚えている

 

 

あのときは意味が分からなかったが…

 

 

『…しかし、知識や認識とは曖昧な物だ、その現実は幻かもしれない…人は皆、思い込みの中で生きている…そうとは考えられないか?』

 

 

イタチはそう言って自分に近づいてきた、追い討ちを掛ける様に…

 

 

彼女はその時の状況、イタチの表情、顔を鮮明に思い出す

 

 

そして、意識を奪う前、彼は最後に自分にこう言った

 

 

『…真実はどうせ見えてきやしないのだから…』

 

 

彼女の思考は全て、この時の一言を思い出し停止した

 

 

アルフがあの時のイタチの眼、とても暗く深い哀しみが見えた

 

そして、アルフはイタチが行おうとした全てを把握する

 

 

彼が望んだその話の展開、その結末に…

 

 

「…まさか、あいつは…最初から!」

 

 

頭の中で結論を得た彼女は言葉が出ないまま、そう呟く様にクロノに視線を向ける

 

 

クロノはそんなアルフの様子に静かに首を縦に振りそれを肯定した

 

 

「…そうだ、大体の事が飲み込めて来た様だね…」

 

 

イタチのとった行動に言葉を失っているアルフに静かにそう告げるクロノ

 

 

つまりはそう言う事、彼は最初から自身の願望など叶えるつもりなどなかった

 

 

クロノはイタチが行おうとし、彼が実行を成し遂げた事を彼女達に語り出す

 

 

「…うちはイタチは、フェイト テスタロッサ、君の手でその身を散らせる事を望んだんだ…プレシアや君達の犯してきた罪全てを自身が被り、自らを非道に身を置いて君のその手で殺される事を望んだ…

 

そうする事によって、君達の笑顔を護れるとそう信じて…」

 

 

クロノの瞳からは涙が溢れ出てきていた、

 

それはイタチがどんな風にフェイトやアルフを裏切る事に苦しんでいたかを知っていたから…

 

 

血の涙を流して、イタチは悪の忍を演じた

 

 

それは、血が繋がっていなくても自分を兄と呼んで慕ってくれるフェイトを愛していたから

 

 

十六人の管理局員の殺害もアルフを失い哀しみにくれるフェイトを見たくないがため、再び、アルフに危険な眼に合わせない為

 

 

…そして、自分に全ての罪を被せる様に仕向ける為の行動だった

 

フェイトの手で殺される事を望んだ理由は自分が彼女に殺される事で完全な正当防衛として成り立たせ、彼女達を無実潔白の身にさせる為

 

 

フェイトは口々に語られるイタチの真実に言葉を失っていた

 

 

「…イタチさんは…それじゃ…」

 

 

フェイトの隣にいたなのはは提示された事実に震える声でそう呟く

 

 

だが、一つだけフェイトが分からない事があった

 

 

クロノの話に静かに耳を傾けていた彼女は動揺した様にその疑問をすぐさま口にする

 

 

「…で、でも!イタチさんは私を殺そうとした!」

 

 

そう、イタチとのあれは熾烈な命のやり取りだった、一歩間違えれば自分は殺されていただろう

 

 

しかし、そのフェイトの言動にクロノは冷静な口調でこう返した

 

 

「彼が本気ならそうなっていただろう…なんせ、十六人の管理局員を数分で葬り去った手練れだ…

 

しかし、事実、君はこうして彼から生かされているそれが証拠だ」

 

 

クロノのその言葉にある事に気づいたフェイトは完全に口を閉じてしまった

 

そう、戦闘の際に彼は忍術をあまり使用していない…

 

 

最後の力を振り絞り自分の魔法を溜め込んでいる時も一切使おうとはしなかった

 

 

この時点で、フェイトはイタチが自分に手加減をしていた事を知ったのだ

 

 

そんな彼女の様子にクロノは最後に付け足す様にある事を語り始める

 

 

「僕が最後に彼と会った日、イタチは最後の最後まで君達の事を案じていた、その時に彼は僕にこう言った…《彼女達、プレシアの罪を全て自分に被せて欲しい》…と勿論僕は最後まで反対した何故、君がそんな事にならなければならないのかと…」

 

 

クロノの表情は暗く、悔しさからか自身の拳を力強く握りしめていた

 

 

彼女達は黙ったまま只々、クロノの話に耳を傾ける…

 

彼の口から伝わるそれが、イタチの内に秘めていた優しさだと感じていたから

 

 

『…俺に罪を全て被せて欲しい…全部、俺がやった事にしてくれ』

 

 

『…そんな事!!出来る訳無いだろ! 君はそれでいいのか、イタチ!』

 

 

自ら進んで彼女達の笑顔を見たい為、苦しんでいるフェイトを救うため

 

 

イタチはただ切にそれだけを望んでいた…

 

 

力なんてものは要らないただ一つだけ、自分を助けてくれた彼女に楽しく毎日を笑って欲しい為に…

 

 

『…俺は彼女から多くのモノを貰った、思い出を…絆を…、楽しかった日々を…だから後悔なんて無い…俺は間違い無くーーー』

 

 

イタチと過ごした毎日はかつて、弟と過ごしたあの時の様に希望に満ち溢れていた

 

 

彼女が救ってくれたあの日から…イタチは確かに満たされていのだ

 

 

『ーーー幸せだった』

 

 

クロノの話を只々聞いていたフェイトやアルフの顔は沈んだ様に暗いモノにへと変わる

 

 

自分が先程まで、彼になんと言っただろうか人間のクズ…?全然、違う彼は本当に優しい人だった

 

 

自分やアルフを護る為に自らの身体と引き換えに犠牲となった

 

 

クロノは沈んだ様に暗い表情を浮かべる彼女達に話を続ける

 

 

「…年下である僕に土下座までして、自分が死んだ後の君達をよろしく頼むと必死に頭を下げてきたよ…自分の事なんて何も望んでなんていなかったんだ彼は…」

 

 

彼は一通り、語り終えると自身の懐の内から何かを探り出しゆっくりと取り出す

 

クロノの手にはある小包が…

 

 

自分達の眼の前に差し出されるそれに眼が釘付けになるフェイトとアルフ

 

 

彼は取り出したそれについてゆっくりと語り始めた

 

 

「…これは、君達がボロボロで帰ってきた日にイタチが恩返しとして翠屋で働いて貯めたお金で用意したプレゼントだ…

 

あの時、君達に渡し損ねたコレを全ての事が済んだら渡す様に彼から頼まれていた」

 

彼女達は静かにクロノが差し出してきた小包をそれぞれの手で受け取る

 

 

小包には丁寧に名前まで書いてあり誰にむけてのものか直ぐに分かった

 

 

フェイトは小包をクロノから手で受け取る際に震えていた

 

 

彼をなんであんな風に罵倒して、貶して、そして、挙句には兄で無くてよかったなどと口にしたんだろうと…

 

 

優しかった彼は偽物なんかじゃなかった、上辺だけなんかじゃなかったのに

 

何も不満を溢さずわがままな自分に付き合ってくれていた

 

 

フェイトの眼からは伝う様に大粒の涙が溢れ出てきた

 

 

それは、彼女が開けたプレゼントである小包の中身…

 

ペンダントの様になっている綺麗な装飾で彩られたロケットが入っていた

 

 

そのロケットの中身には…綺麗に映る一枚の写真

 

 

一緒に遊園地に行った時にとったあの時の写真だ

 

 

困り果てているイタチと嬉しそうに笑いながら彼に飛びつき抱きついて写る自分の姿

 

 

フェイトは彼が映るその写真を静かに見つめる

 

 

ポタポタと彼女の頬を伝い落下する雫がそのロケットに落ちる

 

 

フェイトはその人物との思い出を思い返し、呟く様に彼の名前を呼ぶ…

 

 

それは、もう自分の前には居ない大切だった人

 

 

「…イタ…チ…にぃさん」

 

 

彼女は手に持っていたロケットを強く握り締め弱弱しい声でそう呟く

 

イタチが自分の為に身を投げ出しどんなに尽くしていたか…

 

彼女の頭の中にはふとイタチとの思い出が走馬灯の様に駆け巡る

 

 

『…君に何かあれば困る…ほら』

 

 

優しく背中を差し出し、買い物帰りに背負ってくれたイタチの背中…

 

 

『ご、ごめんなさい…勝手に布団に入ってきちゃって』

 

 

『フフフ…甘えるのは妹の特権だそんな風に畏まる事は無い…』

 

 

朝にイタチの布団に入っていて、優しく頭を撫でられた事

 

 

自分はいままで彼の事が大好きだった、だから、彼から見捨てられて裏切られるのが尚更許せなかったんだ

 

 

でも違う…裏切りなんかじゃ無い…

 

 

彼は私の事を大事にしてくれていた

 

 

『…なぁ…フェイト、俺達は血は繋がっていない…だが兄弟だ…』

 

 

『…お前の越えられる壁として俺は…』

 

 

遊園地でのあの日に彼が言ってくれた…鮮明に私の頭の中に刻みつけられた言葉

 

 

彼に会いたい、会いたくて仕方ない…謝りたい…ごめんなさいって、何も望まないからただそこに…自分の側にいて欲しかった

 

 

『今日は一緒に買い物に行ってくれるって、約束してくれたのに…』

 

 

『今回は大事な用事なんだ…何ならなのはでも誘えばいいだろう?』

 

 

こんなわがまま、もう絶対に言わないから…困らせたりしない

 

 

フェイトはあの時のイタチの顔を思い浮かべロケットを強く握り締める

 

 

だが、返ってはこない…その一瞬の時間も兄と呼んだ人も…

 

 

『…イタチさんは私の事うっとおしいのかな…』

 

 

何をあの時、自分はくだらないことを口走っていたんだろうか

 

 

そんな訳が無い…彼は自分の為に動こうとしていたんだから

 

 

だが、彼はそんな私の額をコツンと小突いてこう言ってくれた

 

 

『…許せフェイト、また今度だ…』

 

 

あの時の彼は優しく慈愛に満ち溢れ、そう言ってはぐらかしてきた

 

今、思えば切羽詰まる状況に向かおうとしている彼に自分はなんと考え無しの行動をとったのかと後悔して仕方ない

 

 

彼が自分に語ってくれた兄妹としての絆

 

 

自分は彼の事を慕っていた、完璧な兄としてそして、愛すべき兄としてだ

 

 

彼女の中で遊園地でのあの一言がはっきりと蘇る

 

 

容量の良い彼の事を羨ましいと感じてきた想いを見透かされ、その上で優しく悟らされるような言葉

 

 

『…お前の越えられるべき壁として俺は…』

 

 

あの時からイタチはフェイトにとって兄として慕う大事な人になった

 

 

欠けてはいけない、大事な人に…

 

 

『…お前と共に存り続けるさ…

 

例え憎まれ様ともな、それが兄貴ってもんだ…』

 

 

彼女の中で何かが弾けた…

 

今まで堪えていた感情、自らの手で殺めてしまった兄への謝罪、感謝…

 

それらは一つの感情として眼から…そして、声となり示される

 

 

「…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…! にぃさぁぁぁぁぁん…!!」

 

 

フェイトから溢れた哀しみは止まらなかった…

 

 

自分が犯したモノの後悔なんて、もう遅い

 

 

わかっている、だけど彼女は泣かずにはいられなかった

 

 

ひたすら涙を流して咽せても、喚いても彼は戻っては来ない

 

 

ありがとうの言葉も言えない

 

 

クロノは只々、静かに泣き崩れるフェイトを見届けながら、その眼を伏せた

 

 

もっと自分に力があればこんな風な事にならなかったと

 

 

フェイトはイタチとの思い出が詰まったロケットを握り締めたまま泣き続ける

 

 

ーーーーー自分を妹として愛してくれた優しかった一人の忍の為にーーーーーーー

 

 

 

そうして彼女はふと涙を流しながら思い出す、自分が戦った彼が最後に微笑み掛けてくれた言葉を……

 

 

 

----―----…そう…それは儚く崩れそうな、そんな切なさを感じさせた言葉だった……

 

 

 

『……これで、さよならだ…』

 

 

 

響くように、命がけで戦いそして、止めを刺した筈の兄と呼んだ忍の言葉が切なくフェイトの中で蘇る

 

 

 

彼女は溢れる涙を止める事ができないまま、今まで見てきた彼の優しさを温もりを何度も繰り返し思い出す

 

 

 

きっと、そう、自分は彼の事がどうしようもなく好きだったのだと…気づいてしまった……

 

 

 

得物で貫かれ体が悲鳴を上げていた苦痛の中での彼が残したフェイトに送った最後の言葉

 

 

 

それは彼女の中に取り返しのつかない悲しみを残した、

 

 

一人の優しい忍の歩んだ物語、それは少女の望まぬ形をへて幕を閉じたのだった……


 
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