No.453007

魔法幽霊ソウルフル田中 ~魔法少年? 初めから死んでます。~ 都市伝説、襲来な9話

一足お先に、あの原作キャラが登場です。

A's編をブレイクする方針が決定した回です。

2012-07-14 23:36:42 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1139   閲覧ユーザー数:1120

スカートの中を覗いた罪が蹴り一発で済ませれるものではなく、あの後一子相伝の暗殺拳を使う男でも真っ青な処刑コンボを叩き込まれました。

いやあすごかった、どんくらいかって一瞬あの転死させてくれた天然天使様が見えちゃったぐらいだ。

 

ちなみに彼女、どうやら転生の仕事が終わってたみたいで『魔界塔士Sa・〇a』をポチポチやってた。

……ラスボスをチェーンソーで倒してるあたり、天国大丈夫かと言わざるを得ない。

 

 

 

とまあ、俺の臨死(?)体験はともかくとして、とある『都市伝説』の幽霊さんを呼ぶための下準備を始めようと思う。

 

花子さんにハイパーアルティメット土下座(地面にめり込むのが特徴)をかましてなんとか許しを得た俺はまず『図書館』に来ていた。

 

 

先に言っておくと、俺が前々から来てほしいとお願いしているお方、実は俺自身のために来てもらったのではない。

俺は、この海鳴に住むある人物とその都市伝説を引き合わせたかったのである。

 

とりあえず図書館の入り口を通り抜け、内部に入る。

 

 

ずらりとならぶ本棚をすり抜けて縦横無尽に飛び回ると、すぐに発見できた。

もう皆さんは分かるだろう、人々が普段なら仕事や学校にいく平日の午前中に、図書館にいる人物といえば――――

 

 

 

 

 

 

「うーん……、推理小説モノも飽きてしもうたな。…………官能小説コーナーはどこやろ?」

 

 

 

 

そう、第3の主人公八神はやてちゃんであるってうおおおお!?

 

 

「こ、子供にエロスはまだ早いっ!」

 

「わ-! 車椅子が勝手に動いた-!?」

 

図書館の隅にデカデカと十八禁マークがついてる、ピンクのカーテンを潜ろうとしていたはやてちゃんを俺は電動式車椅子のボタンをポルターガイストで操作して引き離した。

 

な、なんで図書館にこんな所が……!?

ちょっと、ほんのちょっとだけ気になったので入ってみた。

 

 

「こっ、これは……!」

 

 

某潜入ゲームの兵士みたいな反応をしてしまう俺、それもそのはずで本棚で四角に区切られたそこにあるのは大量の『エロ雑誌』。

 

運が良ければ道端で拾えるかもしれない、そんな一品たちがぎっしりと詰まっていた。

そして入り口の側には立て看板。

 

 

 

『紳士のロマン、集めました。18歳未満の小さな紳士は、こっそりみてね☆ By 館長』

 

「…………いいセンスだ」

 

館長GJ!

性欲がないけど、生まれ変わってもこの地に生まれたいと思いました。

 

 

 

 

 

 

図書館の館長の心意気に感銘を受けながら、俺ははやてちゃんの上で浮かんでいた。

俺は時々、なのはちゃんが学校に行っている時間にこうしてはやてちゃんと図書館にいることがある。

 

この海鳴の地理を知るために図書館へ立ち寄ったのが出会いの始まりで、一人寂しく読書をしていた彼女になのはちゃんの姿を重ねてしまい現在に至るというわけだ。

 

「んっ……! 駄目や、全然届かん……!」

 

と、色々思い出してる内にはやてちゃんは車椅子に座ったまま、必死に上にある本に手を伸ばしていた。

不自由な両足が動けば簡単に届く距離、人を呼ぼうにも平日なのではやてちゃん一人である。

 

「この本かな、よし……」

 

こういう時が、俺の出番である。

ポルターガイストではやてちゃんの手の先にある本を動かしていく。

 

 

「くっ、わたしに超能力が備わっとれば……!」

 

ススス、と恋愛モノの小説が独りでに引き出され、ポスンとはやてちゃんの手の中に収まった。

 

 

「………………」

 

何故かはやてちゃんは無言で手の中の本を見つめている。

あれ? 本を間違えたかな?

 

「あ-、次はあっちの本も読みたいなー。……えいっ。」

 

 

さっきの本より少し左にある本に、今度は両目を閉じて、両手で何かを念じるように伸ばすはやてちゃん。

 

「こっちの本が読みたかったのか、よっと」

 

さっきと同じく、ポルターガイストで本を取り出してその手の中に置く。

 

 

 

 

 

「…………前々から図書館の精霊説か超能力説か迷っとったんやけど、これはわたしが超能力者っちゅうことでええんかな-……?」

 

 

いかん、はやてちゃんが猛烈に勘違いしてらっしゃる。

流石に何年もこんな事したら不自然だと思うよな……。

 

ま、まあいいや!

誤解は後で何とかするとして、今は都市伝説のお方を待たせているのだ、早く準備にかからねば!

 

俺ははやてちゃんから一旦離れて、事前に調べてあったある本の所まで移動する。

 

 

「すんません、はやてちゃんの為なんで……」

 

ポルターガイストでその本を引き出し、今度は空中で操作をやめる。

すると、本は重力にしたがって『バン』と大きな音を出し地面に落下する。

 

本をぞんざいに扱うことはしたくないのだが、はやてちゃんに気づいてもらうにはこうするしかなかった。

 

突然の大きな音に、はやてちゃんは体をビクッと震えさせる。

 

 

「な、なんや? やっぱり精霊説の方が正しかったんか?」

 

 

幽霊も精霊も似たようなもんだから、見に行って下さい……。

 

 

思惑通り、はやてちゃんは恐る恐るだが音のした所へ移動してくれた。

そして、現場についたはやてちゃんが目にしたものとは……!

 

 

 

「なんやこの本? 『本当に怖い都市伝説』?」

 

 

「へぇ~、トイレの花子さんって本名『長谷川花子』さんってゆうんや~」

 

 

ふんふんなるほどなー、とはやてちゃんは落ちてた本を興味深そうに読んでいく。

 

「良かった、はやてちゃんがホラー物苦手じゃなくて」

 

 

俺が落とした本は、簡単にいえば都市伝説に出てくる幽霊の図鑑みたいなものだ。

これからはやてちゃんに会ってもらう方は、事前知識なしでは絶対に危険な目にあってしまう。

だから、しっかりと都市伝説について知ってもらいたかったのだ。

 

 

準備は後少しで整う筈、あのページを見れば、はやてちゃんなら絶対に食いつくはずだ。

俺が一安心してホッと息をついた瞬間。

 

 

「ふぇっふぇっ、なるほどねぇ……、わたしゃあの子に『尋ねれば』いいんじゃねぇ……」

 

 

空気が、凍てついた。

俺にある筈のない、生存本能とやらが傍にある『死』にたいして警鐘を鳴らす。

 

 

「――ッ! すいません、今は、まだ」

 

「わかってるよぉ、ただ、次の『商売相手』がどんな人間か見てみたかっただけさぁ……」

 

いつの間にいたのか分からなかったが、俺の隣りには齢80を越えるぐらいのおばあさんが笑いながらはやてちゃんを見ていた。

 

 

 

見た目は本当に田舎にでも居そうなおばあさん、曲がった腰、白髪で、割烹着を着ている。

 

しわだらけの顔を快活そうに歪ませ語りかけてくる様に、違和感は無かった。

 

しかし、彼女の背負っている『ソレ』のせいで、全てが異様に感じてしまう。

 

ただ、その一点の違和感なのに俺の周りの空気が冷たくなっていく。

 

直径1メートル半はあるだろう、大きすぎる『風呂敷袋』。

中には物が詰まっていて、ごつごつした印象がある。

 

そんな重そうなものを軽々と背負っている時点で、このおばあさんが超常の存在であることがうかがえた。

これが『都市伝説』、なるほど……これは怖い。

 

 

 

「安心しなぁ、わたしゃ屋外にでる幽霊だからねぇ、図書館じゃ見えはしないさぁ……。それにしても花子ちゃんの教え子と聞いてたから多少捻くれてると思ったんだけどねぇ……。あんたぁずいぶんと『善人』じゃないかぁ、わざわざあの子にわたしの『性質』を教えてから会せるなんてねぇ」

 

「あ、ありがとうございます、それとすみません……どうしてもはやてちゃんには友達を作ってもらいたいので」

 

俺の返事を聞いて、おばあさんは「ふぇっふぇっふぇっ!」と心底おかしそうに笑った。

……やっぱりネタばらしはまずいよなぁ、この人たちも恐怖されるために都市伝説やってるわけだし。

 

 

「なるほどねぇ! 花子ちゃんが気に入るわけだぁ、ここまで素直だとたまにゃ人助けも悪かぁないねぇ!」

 

どうやら、花子さんのいう俺の『まとも』な性格を評価してくれてたみたいだ。

よかった、人助けなんてまっぴらごめんって言われたらどうしようかって不安だったからなぁ。

 

 

 

「いいだろう、あの子の『足』をどうにかしたいんだろう? そうじゃなきゃわたしを呼んだりはしないさねぇ」

 

そう、俺は『はやてちゃんの足を原作より早めに治す』ためにこのおばあさんを呼んだのだった。

 

理由は『頼まれた』という方が正しいのだろうが、俺自身もはやてちゃんには早く足を治し学校へ行って友達を作ってもらいたいし、何よりなのはちゃんと友達になれば来たるべきA’s編での争いが確実に減ってくれると見越してのこと。

 

 

「その通りです。名のある幽霊の中でもはやてちゃんの足を何とかできるのは、貴女しかいないと思いますから。だからお願いします――――

 

「あれ……? このページだけ付箋がはってある、なになに……」

 

はやてちゃんが例のページにたどり着いたらしい、俺とはやてちゃんの声が被る。

 

 

 

 

 

 

「「『足売りばあさん』」」

 

 

 

「まかせときなぁ……、今日もこの風呂敷に新鮮な『足』を沢山仕入れてきたからねぇ。ふぇっふぇっふぇっふぇっ!」

 


 
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