——————とある男side
3科目でRランクの上にあの飛行技術、そして超能力…
素晴らしい。
あれなら、いくら金をだしても惜しくないな。
要望にはすべてこたえられるだろう。
おい、お前!
この武偵に依頼して協力して貰え。
なに?見た目で判断するな!
この武偵なら依頼を忠実に遂行してくれるだろうさ。
ほら、サッサと連絡をとって依頼を申し込め!
翌日
「この泥棒猫!」
朝起きると、リビングの方から声が聞こえた。
気になって素早く制服に着替え、リビングに行くと、なぜか白雪が日本刀を手に鬼の形相で立っていた。
床にはキンジのものと思われる携帯。
拾って画面を見ると、白雪から40件以上のメールが届いていた。
固まっていたキンジが慌てて携帯を俺から奪い取り、ポケットにいれた。
白雪の初ヤンデレか。
「遠山くん、何があったの?」
キンジは頭を掻きながらいう。
「実は昨日の夜からずっと白雪からメールが届いていたんだけど、見れなくて。それで白雪が痺れを切らして…」
「直接乗り込んできたということだね。ご愁傷様」
「…フランも巻き込まれてるんだから、少しは焦ったらどうだ?」
「確かに、ちょっとヤバイかもね」
急に白雪がワナワナと震えだした。
「ペ…ペアルック!アリアとキンちゃん、ペアルックしてる!」
と言いながら、それぞれの腰にあるキーホルダーを指差す。
ペアルックって…何時の時代の言葉だよ。
「まさか…付き合ってたり…」
「違うから!フラン、何か言ってやってくれよ!」
急に言われてもなあ…
そういえば、
「私も同じの持ってるよ。流石に二股はしないでしょ?」
「でも…そうだ!昨日のハイジャックの時、なんか変なことしたでしょ!」
あ~、もうダメかな。
キンジがビクビクしながら問いかける。
「た、たとえば?」
「キ………キスとか…」
二人は顔を真っ赤にする。
ここまで分かりやすいのか…
「したのね…したんでしょ!」
その矢先、白雪が日本刀をアリアの頭に振り落とす。
完全に殺す気だな。「アリアを殺して私も死ぬ!」とか言ってるし。
それをアリアは真剣白刃どりで迎え撃つ。
まさか俺以外にできる奴がいたとは…。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
だけど、どっちもすごいな。白雪は日本刀の扱いがすごく上手いし、アリアもバリツやアルカタを駆使している。普段より何倍もいい動きをしてる。
「大丈夫だったのよ!」
「何が?」
必死なアリアに対し、般若のような顔の白雪が聞く。
「子供はできてなかったから!」
あー、そんな事もあったっけ。
「アリア、そんなのでできるわけないじゃないか…」
「ひいお爺様が教えて下さったのよ!」
「今時の小学生でも知ってるぞ!」
「なら、何なのよ!」
「い、いえねえ!」
テンポ良かった会話のリズムが崩れる。
まさかアレをしろなんて言えないだろうからな…
しょうがないといえばそれまでだけど。
「知らないんじゃない!」
「知ってるよ!」
いいかげんに子供みたいな会話にキレた白雪がアリアに詰め寄る。
「結局はキスしたんじゃない!!!」
と言いながらM60を取り出す。
一体どこにしまってたんだよ…
アリアをロックオンした白雪は銃をうちはじめる。
「ちょ…フラン、二人を止めてくれ!」
「無理だよ。屋外ならともかく、こんなに狭いところじゃあ出来ない。それよりも…」
「逃げるか」
俺たちはベランダへと向かい、倉庫兼セーフティボックスに入る。
「ふう。もう安心だね」
と、心配を軽減させるべく笑いながらいうと、なぜか顔を赤くしてうつむかれてしまった。
…怒らせちゃったかな?
「ご、ごめんね? 嫌だった?」
「そ、そんなことないよ。ありがとう」
なんか感謝された。
おかしなキンジだな。
その後若干お互いに避けながらも、大きな出来事はなく、無事に晩御飯の時間になった。
「おっ、今日は白雪が作ってくれたのか」
「うん。さあ、早く食べて?」
何だか、ここまでお互いに幸せそうだと新婚夫婦みたいだな。
机の上には大量の中華料理とご飯茶碗が1つ。
…あれ? 俺の分は?
「あの~、白雪さん。私のご飯は…」
「あっ、ごめんね。今出すからチョット待ってて」
よかった。食べさせてくれない訳ではないんだな。
しばらく待つと、ピンクの可愛らしい茶碗に少なめにご飯が盛られていた。
正直、あまり量を食べられなくなった。
こんなに小さな身体になったんだから当たり前だけど、残念なものは残念だ。
では、酢豚を一口。
「美味し~い!」
肉が柔らかく、味付けもバッチリ。野菜の硬さもちょうどいい。
「ありがとう。頑張ったんだよ」
「今度この作り方を教えてくれない?」
「いいい」
よしっ。作り方さえわかれば、また自分で作れる。
そういえば、アリアは…
「私の分は!?」
まだ何も食べていなかったのか。
「はいっ! さっさと食べちゃって」
ドンッ! と突き出されたのは箸が真っ直ぐに刺さったご飯茶碗。
米だけは特盛。
縁起悪いなぁ。
こめかみをピクピクさせながら、アリアが回鍋肉を食べようとすると、白雪に手を払われた。
「チョット、なにすんのよ!」
「これはキンちゃんの分! あんたにはあげない!」
それなら俺はどうなるんだ?
「じゃあ、フランはどうなるのよ!」
おお、よく気付いたな。流石ホームズの孫。
「フランちゃんはキンちゃんの命の恩人だからいいの」
さいですか………。
その後も言い争いは続いたが、何とか寝る前には終わった。
2週間後
最初の定期試験があった。
いやー、まさか今日だったとは知らなかった。
まあ、何も準備なんていらないんだけどね。
一応前世では高3だったし、能力もあって楽勝。
前行ってた高校はBランクだったし、テストの内容も簡単だった。
…キンジ達は苦しんでいたが。
全教科終わって放課後
「武藤、今回のテストの内容は中々難しかったな」
「ああ…特に数学なんてやばかった。公式覚えていても、どう使えばいいのか分からなくてなぁ」
みんな疲れてるな…
遊びにでも連れてって見るか。
「ねえねえ、この後どっかに遊びにいかない?」
提案して、直ぐに乗ってきたのは武藤。
「おおっ、いいねえ。どこいこっか?(フランちゃんと一緒ならどこでもいいけど)」
「そうだね〜…遠山くん、なんか面白いとこ無い?」
急に振ってごめんな、キンジ。
どうしても思いつかなかったんだよ。
「この近くならやっぱりゲーセンじゃあないか?」
「ゲーセンか…私はいいと思うけど、皆はどう?」
一応聞いて見たが、皆もイイとのことだ。
結局、アリア、キンジ、武藤、不知火、俺の5人で行くことになった。
理子も誘おうと思ったが、学校に来ていなかった。
…おそらく今頃は司法取引でもしているのだろう。
ゲーセンに着くと、人だかりができていた。
「なあキンジ、今日ってなんかあったっけか?」
「いや、無かったと思うけど?」
「そうだよな…あの~、すみません。今日って何かあるんですか?」
「はい。プロのドラマーの方がドラムマニアの最も難しい曲にチャレンジするんです。
今のところ、一人しかクリアできていないので、かなり注目されていますよ」
「そうだったんですか」
店員さんが去って行った後、不知火が声をかけてきた
「(ねえ、そのクリアした人ってフランちゃんのことだよね?)」
「(うん。そうだけど…)」
「(もしもその曲をプロのドラマーの人がクリア出来なかったら、フランちゃんはプロ並みか、それ以上ってことになるね)」
「(それは困ったな〜)」
「なに話してるの?」
とアリアから聞かれたので、話は終わった。
「いや、何でもないよ。それよりも、始まるみたいだよ?」
「本当だ。ねえねえ、いい場所にいきましょうよ」
「どこに行くの?」
ゲーム機の周りは人だらけで、とても入れそうにない。
「大丈夫だよ。だってフランちゃんがクリアしたんでしょ?なら、近くに行って挑戦者を見たっていいんじゃないかな」
「そっか……って、なんで私がやったって分かったの!?」
「だって、そこに張り紙してあるわよ?」
と言いながら指差したのは壁の広告欄。
そこには、俺の顔写真と共に、
"君は鬼畜譜面を叩けるか!?
挑戦者募集中!
クリアしたのはこの娘だけ!"
と書かれた大きなポスターが貼ってあった。
…何時の間に俺の顔の写真なんかとったんだよ。
「確かに、それならいけるな」
なぜか納得しているキンジ。
「取り敢えず店員さんに聞いてみるよ」
と真っ先に行動したのは武藤。
どうやら、スムーズに話が進んでいるようだ。
しばらくして、店員さんがお客さんに声をかけた。
「唯一クリアした方がいらっしゃっています!
道を開けて下さい!前に出ます!」
すると、一瞬で道が開けた。
…訓練でもしてたのか?
ちょうど人一人通れる位の道ができたので、前へと進む。
人の間を縫うように進んでいくと、一気に俺に視線が集まった。
「えーと、どうも。クリアした人です」
歓声が途端にわく。
そんなにすごい譜面だったっけ?
「へえ、君がこの譜面を叩いたんだ。俺はドラマーのKURO。よろしく」
とはにかみながら、20代位のツンツン頭の男が挨拶をしてきた。
「私はフランドール=スカーレット。よろしくお願いします。」
「それじゃあ、折角だから、対戦しようよ」
そう、ここのドラムマニアは二台あって、対戦が出来る。
まあ、やる人はあんまりいないが。
「うん分かった。点数制のでいいよね?」
コテンパンにして、笑ものにしてやるwww
「じゃあ始めるよ」
数分後
まさか、本当に勝ってしまうとは…
「いやー、負けちゃったねぇ」
「それでもすごいですよ。ノルマまでいったんですから。」
今まではノルマまで行った人すらいなかったしな。
「今日は楽しかったよ。ありがとう」
「うん。またきてね!」
ふらん は 上目遣い を つかった!
KURO は やられた!
「もちろんだよ!ぜったいくるから!」
…やりすぎたかな?
何か周りの人も赤くなってるし…
「ね、ねえフランちゃん。帰らない?」
顔を赤くしながらアリアが提案してくる。
そうだなぁ…
「それじゃあ、皆はもういい?」
「「「「「うん(ああ(ええ))」」」」」
皆もう良くなったようで、帰って行った。
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いわゆるテンプレ物語の第9話