No.452230

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 69

soranoさん

第69話

2012-07-13 20:37:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:932   閲覧ユーザー数:882

その後ルーアンのギルドに戻ってヨシュアと共に報告していたエステル達だったが、そこにアガットが帰って来てロッコ達は関係ない事を伝えると有無を言わさず孤児院の火事事件をエステル達から取り上げて、さっさと出て行った。そしてエステル達は納得のいかない表情でジャンに今までの調査結果を報告をした。

 

~遊撃士協会・ルーアン支部~

 

「うん、良く調べてくれたみたいだね。でも、さっき言った通り、今度の件には色々と事情があるんだ。申しわけないが、この報告で捜査は終了とさせてもらうよ。」

「で、でも……。院長先生とあの子たちのために何かしたいと思ってたのに……。……こんなのって……」

「エステル……」

「エステルさん……」

「「「………………」」」

冷静に言うジャンの言葉にエステルは落ち込んだ表情をし、エステルを見たヨシュア達はかける言葉はなかった。

「………………………………。あの、ジャンさん。遊撃士の方々というのは民間の行事にも協力して頂けるんですよね?」

そこにしばらく黙って考えていたクロ―ゼがジャンに話しかけた。

「ああ、内容にもよるけど。王立学園の学園祭なんか大勢のお客さんが来るらしいからうちが警備を担当してるしね。」

「でしたら……。エステルさん、ヨシュアさん。その延長で、私たちのお芝居を手伝って頂けないでしょうか?」

「え……?」

「それって、どういうこと?」

クロ―ゼの依頼にエステルとヨシュアは驚いた。

 

「毎年、学園祭の最後には講堂でお芝居があるんです。あの子たちも、とても楽しみにしてくれているんですけど……。とても重要な2つの役が今になっても決まらなくて……」

「も、もしかして……」

「その役を、僕たちが?」

「はい、このままだと今年の劇は中止になるかもしれません。楽しみにしてくれているあの子たちに申しわけなくて……。そこで昨夜、学園の生徒会長にお2人のことを話したんです。そしたら、すごく乗り気になって連れてくるように言われて……。あまり多くはありませんが、運営予算から謝礼も出るそうです。」

「ど、どうしてあたしたちなの?自慢じゃないけど、お芝居なんてやった事ないよ?」

クロ―ゼの説明に驚いたエステルは尋ねた。

「片方の、女の子が演じる役が武術に通じている必要があって……。エステルさんだったら上手くこなせると思うんです。」

「な、なるほど……。うーん、武術だったらけっこう自信はあるかも……でも、武術ができる女の子だったらプリネもそうだけど?」

「その事なんですけど……実はプリネさんにも手伝っていただきたいのです。」

「私が……ですか?」

エステルに説明したクロ―ゼはプリネを見て答え、プリネはクロ―ゼの言葉に驚いた。

「はい。実はお芝居の武術なんですがレイピアを使ったお芝居になるんです。ですから、レイピアを武器に使うプリネさんにご教授の方をぜひ、お願いしたいのです。」

「別に私はいいのですがレイピアでしたらクロ―ゼさんも使うのでは?お芝居の内容を知っているクロ―ゼさんが教えた方がいいと思うのですが……」

「私は護身程度にできるぐらいですから……ですから私とエステルさん、両方を見てもらいご教授をお願いしたいのです。」

「…………どうしましょう、リフィアお姉様。」

クロ―ゼの言葉にプリネは迷い、リフィアに聞いた。

「余はいいと思うぞ。それに同じ年頃の者達と協同して芝居を成功させる事はお前にとってもよい体験になるはずだ。ルーアン市内の事は余やエヴリーヌに任せてお前はエステル達と共に行くがよい。」

「ん。お姉ちゃんに任せて、プリネは楽しんできて。」

「お2人とも……ありがとうございます。フフ………学園生活には少しだけ憧れていたんですよね。まさかこんな形で体験する事になるとは思いませんでした。」

リフィアやエヴリーヌの言葉にプリネは感謝し、これから行くジェニス王立学園で待っている芝居の準備に期待した。

 

「確かにエステルにピッタリだし、レイピアの使い手として上手いプリネが教えたらさらに成功率はあがるね。それでもうひとつの役は?」

「そ、それは……。私の口から言うのは……」

ヨシュアの疑問にクロ―ゼは戸惑った。クロ―ゼの様子が気になり、ヨシュアは続きを促した。

「言うのは?」

「……恥ずかしい、です。」

「そ、それってどういう意味?」

「もー、ヨシュアってば。しつこく聞くと嫌われるわよ。お祭りにも参加できるし、あの子たちも喜んでくれる……。しかもお仕事としてなら一石三鳥ってやつじゃない!こりゃ、やるっきゃないよね♪」

クロ―ゼの答えに嫌な予感がしたヨシュアはさらに尋ねたがすっかり立ち直ったエステルに流された。

「ちょ、ちょっと待ってよ。ジャンさん、こういうのもアリなんですか?」

「もちろん、アリさ。民間への協力、地域への貢献、もろもろ含めて立派な仕事だよ。リフィア君やエヴリーヌ君もいるし、アガットが来たおかげでそれなりに余裕も出来たし……。よかったら行ってくるといい。」

慌ててジャンに尋ねたヨシュアだったが、ジャンは笑顔でクロ―ゼの依頼を肯定した。

 

「やったね♪」

「ふう……。何だかイヤな予感がするけど。あの子たちのためなら頑張らせてもらうしかないか。」

「フフ、今から楽しみです。」

ジャンの言葉にエステルは喜び、ヨシュアは溜息をついた後気持ちを切り替え、プリネは期待した。

「後の仕事は余やエヴリーヌが他の遊撃士を手伝って完遂しておこう。だからお前達は学園に向かうといい。」

「ん。」

「ありがとう、リフィア、エヴリーヌ。クロ―ゼさん、道案内よろしくね♪」

「はい。」

そしてエステル達はクロ―ゼが生活するジェニス王立学園に向かった……

 


 
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