No.451212

境界線上のホライゾン~後悔を背負いし者

ソウルさん

境界線上のホライゾンの二次創作です

2012-07-11 21:21:48 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7463   閲覧ユーザー数:6988

              第二章  『広場前の告白者』

              想いが感情というなら言葉とは何か

                        配点(心情)

 

  品川でオリオトライによる魔神との対決を講師した後、遅刻して登場したトーリの告白宣言があり、梅組のメンバーのほとんどが教導院前の広場に集まっていた。

 トーリの告白相手はホライゾンだ。青雷亭の店番をしている自動人形で、かつてこの世を去ったホライゾン・Aと瓜二つの身なりをしている。去年、武蔵訪れたことしか分からない彼女は己をP―01Sと名乗っている。そしてトーリのアプローチが始まったわけだ。

 

「ここはひとつ〝手紙作戦〟などは如何で御座ろうか?」

 

〝第一特務〟点蔵・クロスユナイトの提案だ。彼は懐から紙とペンを取り出してトーリに渡す。

 

「いいで御座るか? コクる際、やはり人はトチるもので御座る。たとえば〝君の事が好きだ〟と言うつもりが、慌ててしもう〝君のおとこが好きだ〟と炸裂してしもうたり、思いきり噛んで〝き、きめぇの事が好きだ〟と暴発しもうたりするもので御座る」

 

「さすがは点蔵、凄く説得力のある助言だ。これまでの経験が滲み出ているな」

 

この気持ちを分かってくれるのは秀康殿だけで御座る、と泣きながら抱き着いてくる点蔵に対して秀康は顔面に靴底を押し付けて牽制しながらトーリを見る。

 

「でもまぁ、手紙で相手に想いを伝えるっていうのは悪くないと思うぜ。ためしに書いてみろよ、トーリ」

 

「うーん、秀が言うなら書いてみるか……」

 

頭をポリポリとかいてから少し、トーリはペンを動かし始めた。〝難しいな〟とか〝うーん〟と唸りながらもトーリはペンをスムーズに走らせていく。そして、

 

「できた」

 

トーリは梅組の皆に見えるよう紙を広げて見せた。

 

・いつも顔を隠してるのは人としてどうかと思うが上手く言葉に出来ない

・ゴザル語尾はそれはギャグのつもりかと思うが上手く言葉に出来ない

・たまに服から犬のような臭いがするのは本当にどうかして欲しいが上手く言葉にできない

 

「何故、自分の悪口になっているで御座るか!?」

 

点蔵は叫びながら紙を奪って破り捨て、新しい紙を懐から出してトーリに渡した。

 

「さすがはトーリ、点蔵の特徴を見事に表している」

 

「最悪で御座るな貴殿!」

 

冗談だよ、と秀康は手をひらひらと動作してその場を流す

 

「フフフ愚弟、とりあえずいい踏み台で練習できたじゃない。だったらアンタの心の中にある彼女のいいところを書いてみなさい」

 

欄干から体を剥がした喜美が本番を促してきた。それにトーリは頷いて、再び書き出す。

 

・顔がかなり好みで上手く言葉に出来ない

・しゃがむとエプロンの裾からインナーがパンツみたいに覗けて上手く言葉に出来ない

・ウエストから尻のあたりのラインが抜群で上手く言葉にできない

 

箇条書きであるものの、トーリのすらすらと書き終えた。

 

「――ず、随分と具体的で御座るよ、これ! しかし即物的!」

 

「うーん……やっぱり清純な精神は上手く言葉にできないな。――そうだ秀、見本みせてくれよ」

 

トーリの提案に目を輝かせた梅組の皆の視線が秀康に集中した。男からも女からも期待の視線が痛い。

 

「おいおい、その筋の成功者のようにするな。俺は一度として出したことなどないぞ」

 

秀康の拒否にトーリは、

 

「秀なら大丈夫だって」

 

親指を立てて言いきってくる。他人事なのにどこからそんな自信が出てくるのか秀康は知りたいと思いながらも、トーリから紙を借りる。

 

「うーん、誰のことを書くべきかな……」

 

その台詞に女性陣の視線が一層強くなるが秀康は無視し、ペンを走らせる。

 

・自爆発言が可愛くて上手く言葉に出来ない

・動くたびに揺れる胸がエロくて上手く言葉に出来ない

・最近、朝から家におしかけては朝食を作って一緒に食べさせられて上手く言葉にできない

・etc……

 

秀康から浅間に送ったメッセジーを見た梅組の皆は背後を振り返る。視線の先で浅間は顔を紅潮させて俯いている。その反応を見て秀康は再びペンを走らせる。

 

・そんな反応が可愛くて上手く言葉に出来ない

・ズドンも浅間のいい一面だと思うが上手く言葉にできない

・etc

 

「な、何を言っているんですか秀君!」

 

紅潮している顔面をさらに紅く染め上げながら浅間は秀康に向けてズドンした。それを秀康は人差し指と中指で挟み取る。浅間のズドンに対してそんな対応ができるのは武蔵では秀康しかいない。梅組の皆から拍手喝采がくる。

 

「まぁ、そんなに怒るなよ浅間」

 

浅間の隣に赴いた秀康は彼女の頭を撫でることで落ち着かせ、そのまま視線を階段の上へあげた。視線の先には酒井学長と〝第五特務〟のネイト・ミトツダイラ、そして武蔵が下りてくる。

 

「ここにいたのかい、秀康」

 

「jud. ネイトはともかく、武蔵さんがここに来るなんて珍しい」

 

「jud. 酒井様を見送るという建前で秀康様を見送りにきました。――以上」

 

「最近、武蔵さんは秀康にぞっこんだからねー、そのおかげで俺の扱いが酷いんだよ」

 

酒井学長の項垂れを無視しながら、

 

「嬉しいことを言ってくれますね、武蔵さん。では酒井学長のことはお任せください。ネイトも途中まで一緒にくるんだろ」

 

「jud. お供しますわ」

 

武蔵さんから酒井学長を受け取り、途中でネイトと別れ、酒井学長と共に三河へと降りた。

 


 
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