No.450944

【改訂版】 真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 五章:話の八

甘露さん

・4ヶ月振り
・の
・月ちゃん無双

大変なことになりました、お久しぶりです。

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2012-07-11 08:19:49 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:4837   閲覧ユーザー数:4297

 

**

 

 

「おろ? なんで一刀が?」

「ん? 霞じゃん。どしたの? 此処で何してんの?」

 

はて、何故か霞と鉢合わせしてしまったぞ。俺は此処で董卓に会うんじゃ無いのか?

なんて俺が思っていると、霞が一言つぶやいた。

 

「……なるほどなあ、面白い事てこれのことやったんやな」

「?」

「いやな、華雄はんがさっきこの部屋覗いたあと笑いながら戻って来たんやて」

「ああ、誰か覗いたと思ったけど華雄将軍だったんだ」

 

直ぐに扉が閉まったから特に気に留めもしなかったが、あの時に霞は外で待っていたらしい。

 

「で、なんで霞はここに?」

「ウチは華雄はんに此処で董卓はんに会え言われたんよ」

「じゃあ一緒かあ。しかし霞は随分と早く将軍の試験を達成したんだな」

 

移動時間を含めてもまだ俺が文和殿と会話してから一刻も経って無い。

武官とは言え試験なんだから色々見るものがあると思うのだけど……違うのか?

なんて考えていると、霞が俺の疑問を先読みしたかのようにその疑問に答え始めた。

 

「まあ試験ゆうても一発仕合っただけやし。華雄はんむっちゃ強いんやで、ウチ久々に負けてもうたわ。多分おっちゃんとも互角にやり合うんとちゃうかなぁ。しかもやで! 訓練用やのにこーんな、身体全部より長くてでかい斧片手でぶんぶんふりまわすんやで! あれ剣とか戟で打ち合うたら力だけでふっ飛ばされてまうで」

「……あんな細腕のどこに一体そんな力あるんだろうな」

 

霞も大概人の事言えないだろ、と思ったがそれは黙っておくことにした。

霞の得物の偃月刀って、普通に俺両手じゃなきゃ扱えない様な重さなんだけどなあ。

 

「……なんや変なこと考えとるやろ」

「いや、別に」

 

霞も鋭くなったなぁ……なんだろこの妙な感傷。ああ、俺が尻に敷かれる未来が確定したからか。

でもそれも悪くない様な……寧ろ尻に敷かれるって事は霞が上に乗って──

 

「次はすけべえなこと考えとるな」

「そんなことないぜ!」

 

ニュータイプかこいつは!

なんて内心で思いながら俺は答えた。

 

「……まあええけど。突拍子な浮気は捥ぐで? で、一刀はあの眼鏡の人と話したんやろ?」

「え、ああ、うん」

 

なんだか意味深な捥ぐ発言にすこし呆けてしまった。

え、っとどういう事なのかな? というか突拍子で無い浮気ってなんだ。

目の前でじわじわ仲良くなってゆけばいいのだろうか? それもうただの寝取られじゃないかな霞さんや。

というか何故俺は浮気する前提で物を考えてるんだろうか。本能がそう言ってるからだろうか。

本能は言っている、五十人まではイケると。いや無理だろ常識的に。

 

「まあ、何と言ってもこの一言だね。文和殿は本物の天才だ。大陸中を、というよりは四海を見渡して百、いや十指に入る程度に」

 

無駄に並列思考上手くなったのに本当に無駄遣いしてるな俺。

なんて思いながらも便利で止められないや。

 

「ほぇえ、一刀がべた褒めするなんて、へぇー。凄い奴が居るんやなぁ」

「俺も吃驚さ。俺じゃ正道でも邪道でも逆立ちしたって敵いっこ無いとか。もういっそ羨望位しか残らないね」

 

本当にそうだ。黄巾賊が現れる前に戦乱を感じ取るとかいう常識離れした先見の明とか諸々。

攻略本を持ってやっとまともにプレイするのが俺なら、自力で全要素フルコンプできちゃうのが文和殿。

あくまでも例えだけれど、それくらいに俺は差を感じている。

 

「邪道でも敵わんの? 一刀得意やん、詐欺とか搦め手とか」

「人聞き悪いなそれ……。大体今俺が色々やる時は霞と風の身に何か危険が絡む時とかだけ。まあ、そういう意味では文和殿、俺に似てるかもね」

「それは、どういう意味ですか?」

「言うなら文和殿は見た感じ董卓殿の存在が全てで、逆に一番の弱点になり得る存在も董卓殿、って人間だから……っうぇ!?」

 

余りにもナチュラルに会話に入り込んできた声に、俺も思わず流れる様に答えてしまい。

ややあってから違和感に気付いて霞の後ろを見れば、そこには薄絹と玉で作られた垂珠の付いた冕冠っぽい帽子で顔を隠した女の子が立っていた。

 

「ん? どないしたんっておわっ!? あ、あんた何時からそこに居ったん!?」

「くすん……そんなに影薄いですか、私。……へぅ」

 

此処からじゃ顔が良く見えないが、何だか独特のため息を吐く女の子だ。

声も細く、風とはまた違う庇護欲をかきたてられる。

 

「いや、影薄いって言うよりかそこに居て違和感が無いって感じだね」

 

近いイメージとしては優秀なメイドや執事さんだろうか。

常に後ろに控えているのに存在を意識“させない”、ってのがプロだと言うし。尤もどっちも本物は一度も見たことが無いけど。

 

「なら良かったです。漢帝国の玄関を預かる身の者が影が薄いって笑えませんものね」

「そうだなぁ。つまりは漢民族の顔役だからそれは流石に……え?」

「羅馬人に胡人、天竺の坊さんに波斯人。絹の道と直接繋がっとるココの頭の影が薄いて笑えへんもんなぁ……へ?」

 

何だか不穏な言葉が聞こえた気がした!?

冗談、とか、聞き間違えだったらいいなぁ……なんて思いながらちらと霞を見る。

あ、駄目だこれ。霞ガクブルってるわ。あー、これは終わったー。色々終わったー。

 

「あっ、申し遅れました。私は董卓、董仲頴と言います。若輩非才の身ですが、天子様に涼州刺史と州牧の兼任として任命されています……へぅ、自分には立派すぎる肩書ですけどね」

 

州牧兼任、ってことは少なくとも九卿の内のどれか一つくらいに近親者もしくは彼女自身が就いているってことで。

……董卓って暴虐なイメージしかなかったけど割と高官高位の人物だったのか?

いやまあ酒池肉林を地で行く野郎って印象はこの女人から一切感じられないから仕方ないのかもしれないけど。

 

なんて流暢に思考している余裕も本当は無くて。

俺と霞は正しく顔面蒼白、といった様相で即座に平伏した。

 

「申し訳ありませんでした! 貴女様が董閣下だと気付かず、それだけに飽き足らず数々の非礼を重ねてしまったこと、どうかお許しください」

「すんませんでした、董卓様!」

 

権力者を内で計ることと、外で身分にあったの顔することはまったくの別物だと俺は考えている。

この人ならば戦乱の世でどうするか、と計るのと、覚えを良くする為に立場や性格相応の対応をすることは別物だ、とも言える。

だから、無暗矢鱈に偉そうな態度や嘗めた態度、己を誇示する様な態度をとる必要は、普通はどこにも無いし、何か不相応のことをしてしまったなら謝り筋を通すくらいのことは当然する必要が当然ある。

だけど逆にひたすら謙れとかイエスマンになれというわけでもない。大体、煽てられて不快になる人は少ないと思うが、煽てられる程に際限なくいい気になってしまう様な人物は精々傀儡で傑物じゃあない。

そんなの味方に付いても死ぬだけだしまず付かないから関係ないし。

 

つまり何が言いたいかといえば、明らかに俺や霞は格が違う相手にフランクに話しかけるという意味不明な失態を犯したのだからそれについて死ぬ気で謝罪する必要があるということ。

儒教的にもアウトだし常識的にも社会的にもやっちゃいけないことだ。あの行為は新入社員が社長の頭撫でながら赤ちゃん言葉で話しかけたくらいまずいのだ。

命令ひとつで頚をぽぽぽぽーんとされても可笑しくない、のだが。

董卓はなにやらあわあわ慌て始めると俺と霞の肩に手を置いて身を起こさせた。

凄いなこれ、平民に直接触ったことの有る州の長官なんてほかに居るのか?

 

「あわわわ、あ、頭を上げてくださいっ! 私は気にしてませんからっ。だから許します、故意に辱めようとされた訳でもないのですから、ね?」

「董閣下……ありがとうございます」

 

俺が言うと、霞も続いて頭を下げた。というかまた平伏した。

俺の心には感嘆の念が溢れ、よき君主にめぐり合えた幸運に……とかそういうのは無くて。

予想だにしなかった“甘い”董卓に一抹の不安を覚えずには居られなかった。

俺と霞に直接会ったのはあの二人、文和殿と華将軍がそれだけ信頼されていたということ、と見れば違和感は無い。文和殿は董卓の真名らしきものを呼んでいたし。

 

だけれども、俺達は所詮は何処の誰とも分からぬ、子供か大人かさえ微妙な一組の男女でしかない。

さらに信頼する部下や友人の紹介であるとはいえ、俺達はここに来て数刻しか経っても居ないのだ。

それが無礼を働いた、となれば、許すことは間違いとしか思えない。

 

何処に誰の耳があるかもわからないのに、大体暗殺や誘拐、怨恨の線からの敵討ちだってありうるのに。

間合いには土足で踏み込むわ直接触れるわ罰を与えることも無く許しちゃうわで。

気にしない度量の範囲がー、とかそういうのはとっくに吹き飛ばしてしまうような行為であって、しかも悪意の有る言い回しをすれば

 

『董卓公はみずほらしい身なりの子供に虚仮にされても言い返すことひとつしなかったらしい。アイツはとんだ臆病者だと見た』

『董卓公は粛清を断行しながら見目麗しい少女には非礼さえ許し罰も与えない。董卓公は実は変態的な性癖を持っているのかも』

 

と、どれもほとんど嘘ではないのに確実に董卓公の評判を貶めること間違いなし。

俺達はこんな危険物件なのに、その辺を分かっているのかいないのか……。まあ数百年したら物語の中で人気出そうではあるね。

現代を生きている身としては何の意味も無いんだけど。

それにこのやさしさをうまく振り分けてくれればのたれ死んだり喰われたりする子供が減るかもね。

自分としては偽善過ぎな上に金ばかり浪費する愚策だと失笑せざるを得ない行為だけど、一人二人三人と、生きられる子が増えることだけは素直に嬉しいことだと思うし。

 

それに、この甘さが日常的な職務や軍務、政務で使い分けができているなら上司として考えれば最高の評価を与えてもいい方なんだろうけど。

まあそれは上司としてだし。上官や主としては不安が残る。

文和殿の言葉も気にすれば、益々この人の元で働いていていいのか不安になる。

どちらかといえば、行動力や評価も含めて考えればこの人物は組織のナンバー2だとかが向いているのじゃあないだろうか。

野心も無い、部下には好かれる、こういう行動力もある。これで主人に忠誠を誓っていれば最高に信頼でき安心できる右腕だよな。

あー、でも変に人気あり過ぎて担がれて反乱が……とかありそうだな。

尤も、いまさら何考えても遅いのだけれども。まあこの人物の大雑把な人物像は掴めたんだ。利用するも従うも裏切るも売り飛ばすも、これから考えればいいさ。

運よくこの地の頭が董卓だったんだ。どうせ将来、曹操幕下に収まるまでの仮住まいとして利用する方向で考えて……。

 

「へぅ、頭を上げてくださいっ!」

 

声に従い顔を上げる。

そこには、紅の双瞳があった。

 

──空気が、変わった。

 

「この地は漢帝国の玄関口であり、顔であり、外交上の要所であります。同時に、秦代に長城が築かれてから今尚続く胡などの北方騎馬民族との戦いの地、常戦地でもあります。

 文和や華将軍からもお話は聞いています。二人とも、とっても優秀だ、って。私もそれが正しいことを確信しました。華将軍と打ち合いあわや負かす一歩手前まで追いつめた文遠さんは言うまでも無いですし、常に武人の歩き方とぶれない身体の軸、この状況でさえ何時でも得物に手をかけられる様身構えている心構え。一流の証ですよね」

「っ!?」

「ふふっ、顔に出しちゃ駄目ですよ。尤も、全部華将軍の受け売りなんですけどね。

 北郷さんは、正直言えば私は良く分からないんですよ。だってそうじゃないですか、賢人は何か兵法書や古の文献をそらんじているだけでは見分けられないですよね? それは最低限であって、覚えた孫氏の兵法をどう解釈するかはその人次第でしか無い訳ですしね。だけど、文和が推すってことを私は信じていますから、北郷さんも信じます。品定めも悪だくみも利用価値を考えるのも構いません。でも、北郷さんを推した文和の信用だけは裏切らないで上げてくださいね。それを裏切ったら、私は貴方を赦しませんから」

 

冷たい物が背中を走った。

くすりと微笑む後ろには何か形容しがたい恐怖が見え隠れしていた気がしたから。

 

「へぅ……、一気に喋り過ぎちゃいましたね。

 あっ、遅れましたけど、お礼を言わせてください、ここに来てくれてありがとうございます。

 張遼文遠、高順北郷。よくぞ、この地で私の元に赴いてくれました。

 民のため、天子様のため、そして、ちょっとだけでいいんですけど私のために、その比類なき智と武を思う存分振るってくれると、嬉しく思います」

 

……なるほどね、文和殿はやっぱり天才だわ。

前言撤回。

忠誠が沸いてくるって怖ぇ。でも不快じゃないんだよなあ。

媚売ってるわけでも高潔な志猛プッシュしてるわけでもないのに、官嫌いの俺が思わず息を呑んじゃうんだから。

言葉はあくまでも軽いものだった。少しだけ茶目っ気すら感じられた。

なのに。空気が違う。

言葉の奥から溢れ出るその人個人としての何かが俺や霞と別次元に異なっている。

敵わないんじゃない、同じ土俵の内にさえ入れていない。

もっと巨大な存在、あった事も無いけど曹操や孫権、劉備に並び立つのではないか、思わずにはいられない。

 

優しい覇王。微笑みの悪魔。

ふとそんなキャッチコピーが脳裏を過ぎった。

 

天下の器、だ。

笑顔でまとめて飲み込んで、全部自分の腹の中で平らげてしまうお方だ、董卓公は。

正しく、底が知れない。

 

「北郷さん、貴方は文和の補佐官、役職名は……追々お知らせしますね。それに任命します」

「御意」

「文遠さん、貴女は華将軍の暫定的な副官に任命します。洛陽にも推挙状を出しておくので、遠くない内に雑号将軍程度の位も授けますからね」

「御意ッ!」

 

 

とりあえず……。

反董卓連合を回避するか潰すかする方法も、考えておいて良いかもしれないね。

 

 

**

 

 

超お久しぶりです。エタっててごめんなさい(焼き土下座

 

 

本編ですが、何と言って良いのやら…って感じですが月ちゃんはこうなりました。

内気な人は人の顔色をうかがうのが得意な人が多い→表情や仕草から大体思ってる事を掴んじゃうヘぅ

仮にも本編でも都を一度押さえたりオールスター相手に善戦してたし出来る軍勢を持ってた→涼州で頑張ってた頃はカリスマやべぇ!してたへぅ

 

↑こんな超変換がおこなわれた結果でs(殴

その代わり攻略候補からは…いや種馬さんなら不可能を可能にすることもでき……るのか?

 

ではー

 

 

追記:拠点アンケ集計中です。何だか1票差争い多過ぎてどうにもなんないです助けてアソパソマソ

 

 

 

 


 
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