No.450516

IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~

ドラーグさん

G-spirit 覚醒!

2012-07-10 19:23:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1010   閲覧ユーザー数:976

(・・・・・・・)

 

どれくらいこうしていただろう。俺の目の前で組み上げられていくそのISはフレームに装甲が着々と装着されていく。

 

(ん?)

 

ふと、女性が少年に何かを言って、少年は部屋の外に出て行った。

 

「どうかしたのか?」

 

俺が声をかけると、女性はこっちを向いた。何故か顔を見えなかった。

 

「あなたは・・・・・」

 

「ん?」

 

「あなたは、何のために戦いますか?」

 

「・・・・・・・」

 

突然そんなことを言われて、言葉に困る俺。

 

「何のために・・・か。考えたこと、無いかもな」

 

俺は椅子から立ち上がり、窓の向こうの宇宙に目をやった。

 

「まあでも、強いて言うなら、『守る』ため。かな?」

 

「守る?」

 

「ああ。居場所を、仲間を守りたいから、戦ってる。ダメかな?」

 

そこまで言うと、ドアが開いてあの少年が入ってきた。不思議だ。この子の姿に見覚えがある。少年の手にはUSBメモリーが握られている。そしてそのUSBをパソコンに挿し、ケーブルでISと繋げると、あるデータのインストールが行われていた。

 

ビキ!ビキビキビキ!

 

「!」

 

突然、足元にヒビが入った。そのまま足場は崩れ、俺は宇宙に放り出されてしまう。

 

(や・・・ヤバい・・・!死ぬ死ぬ死ぬ!)

 

必死にもがくが、何の解決策にもならない。

 

(・・・・・あれ?)

 

息ができた。全く苦しくない。

 

「その居場所、一度失われたことを悔やみますか?」

 

「!」

 

後ろから声が聞こえて、振り返ると少年と女性がこっちを見ていた。

 

「お兄ちゃん、お家無くなっちゃったの、悲しい?」

 

少年が俺に問いかける。ひどく悲しい声だった。

 

「ああ・・・・・。悲しいよ」

 

あの空しさ、悲しさは言い表せない。

 

「でも」

 

「?」

 

「でも、また新しい居場所ができた。俺はそれを全身全霊を懸けて守りたい。どんなことがあっても」

 

自分でも驚くくらいはっきり言ったもんだ。俺はさらに続ける。

 

「別に未練がないって訳じゃない。でも、あの人なら、所長なら笑顔で頷いてくれると思う」

 

「・・・・・・・そうですか」

 

女性は優しい声で返事をした。そして真っ直ぐな声音で俺に問いかけた。

 

「では、問います。あなたのその思い、心。嘘偽りはありませんね?」

 

俺は無言で頷いた。

 

「・・・・・・分かりました」

 

すると、女性と少年の姿が消え、二つの光になった。その二つの光が重なり、より一層眩しい光を放つ一つの光になった。

 

「君の仲間は」

 

その光が俺に語りかけた。今度は男の、と言うか俺の声だった。

 

「君の仲間達は今、戦っている」

 

光から無骨なシルエットの腕が伸び、ある一点を指差した。

 

「!?」

 

見れば、シャルロット、ラウラ、セシリア、鈴、そして箒が銀色の福音と戦っていた。箒以外の面子はいつもとISの装備が違う。専用パッケージをつけてるのだろう。

 

しかし、状況は明らかに福音が有利。五人の攻撃を受けても全く動じていない。しかも福音は姿が先刻とは違う。二次形態移行をしていた。

 

「今から、君はどうしたい?」

 

「決まってる!アイツらを助けに行く!」

 

「一度負けたのに?」

 

「うっ・・・」

 

そうだ。俺は福音に一度負けている。今度は勝てるなんて保証はない。

 

「だけど!」

 

俺は光に向かって叫んだ。

 

「だけどそんなことは関係ない!相手が強かろうがなかろうが!俺は皆を守りたい!」

 

「・・・・・・・」

 

光は黙り込んだ。しかし、その静寂はすぐに終わった。

 

「君のその思い。確かに受け取った」

 

光が俺に近づき、俺の左手首にブレスレットとしてつけられた。

 

「行こう。君には新しい力を授けた。君のもう一人の仲間ももうすぐ目を覚ますはずだ」

 

真っ暗だった宇宙に光のトンネルのようなものが広がった。

 

「ああ。行こう!」

 

俺はその光の中へと駆けて行った。

 

 

 

 

 

「う・・・ううん・・・・・」

 

ガバッ!

 

ベッドから起き上がり、時計を見る。五時前か・・・・・。

 

「よお、お目覚めか?」

 

「!」

 

横を見ると一夏が起き上って俺に笑ってみせた。俺も笑って聞き返す。

 

「お前こそ、寝覚めは?」

 

「バッチリ」

 

「じゃあ」

 

「ああ」

 

ベッドを降り、窓を開けて部屋を抜け出して切り立った崖の上に立ち、俺、一夏の順で飛び降りる。

 

「来いっ!G-soul!」

 

「行くぞ白式!」

 

落下しながら光に包まれ、俺と一夏は自分のISを展開する。

 

しかしG-soulも白式も普段の姿ではなかった。お互い、装甲が大きく変化し、白式には左手に見たことがない武装がある。

 

「二次形態移行《雪羅》・・・・・?」

 

俺のG-soulも背中のスラスターだったものがウインドのそれよりもう少し細い、しかし既存のスラスターよりははるかに大きな物に変化している。右腕にはラウラのプラズマ手刀より大きなビーム刃を出せるビーム発振装置がつけられている。

 

「G-soul二次形態移行《G-spirit》・・・・・」

 

これが新しい俺の力、なのか。

 

「瑛斗、これって・・・・・」

 

一夏が俺を見る。

 

「ああ。これを使って、皆を守れってことだろ!」

 

俺と一夏はさらにスピードを上げた。


 
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