No.448340

篠ノ之家の長男は正義の味方 1

優雅さん


第1話「新しい日常」

2012-07-07 20:03:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5657   閲覧ユーザー数:5455

 

 

 

 

 

 

 

 

[pipipipipipi!]

 

目覚ましの音で、少年の目が覚めた。

少年は、目覚ましのアラームをOFFへと切り替えると、何時も通り少し離れたところで、こちらに背を向けて寝ている少女を起こさないように着替えを済ませる。

そして、脱いだパジャマを持ち、部屋から出て行き洗面所へと向かう。

洗面所に付いたら、洗濯籠へとパジャマを入れてから顔を洗う。

洗い終わったら、キッチンへと行き、朝食を作っている母へと挨拶をする。

 

「おはよう、母さん」

「うん。おはよう、士郎くん」

 

少年の名は、士郎。衛宮士郎の生まれ変わりである、篠ノ之(しののの) 士郎だ。

 

 

side out

 

 

 

side 士郎

 

俺が生まれ変わってから、早6年が経過していた。

何故生まれ変わる事ができたのかは、わかっていない。けれど、せっかくの第二の人生(セカンド・ライフ)だ。できるだけ、危険な行為は止めておこう。

この篠ノ之家は、4人家族で、俺には双子の妹がいる。……まぁ、その子には、少し問題があるけどな。

俺は何時も通り、母さん-篠ノ乃 |春香(はるか)さん-の手伝い…と、言ってもまだ6歳だ。食器の配膳すら、無理言って行っているだけだけどな。

春香さんは、結構なお調子者らしくよく父さんで遊んでいる。けど、料理がうまく俺ですら負けるかもしれないほどの腕前だ。

 

[ガチャ]

「おはよう、春香。お?相変わらず早いね、士郎くん」

「おはよう、あなた♪」「おはよう、父さん」

 

この人は、篠ノ之 |柳韻(りゅういん)さんだ。

柳韻さんは、一家の大黒柱で、篠ノ之道場の師範もやっているらしい。

柳韻さんは…なんと言うか、じいさん(衛宮 切嗣)みたいな人だ。普段は大雑把で抜けてるところがあるんだが、剣道になると人が変わり、常に冷静で容赦が無くなる。

さて、柳韻さんも来て、朝食の準備も終わっている。さて…時間的にそろそろ、アイツが来る頃か。

 

[ガチャ]

「………」

「「おはよう、束」」

「……おはよう」

 

入ってきたのは、俺の双子の妹の篠ノ之 |束(たばね)だ。

不機嫌そうな顔をしながら、寝癖だらけの春香さんから受け継いだピンク色の髪を揺らしている。

束は、人が嫌いなのか興味が無いのか、殆どの人に対して話しかけられても無視している。

例外なのは、家族と親友の|織斑(おりむら)くらいだ。ちなみに、俺はというと---

 

「おはよう、束」

「………(プイ)」

 

無視される…しかも、顔まであからさまに逸らされる。

何故か知らないけど、束は俺のことが気に入らないらしい。すこし、凹む。

それでも、家族なんだから仲良くしたいんだけどな。

束も席に着いたことだし、みんなで声をあげる。

 

「「「いただきます」」」「………」

 

約1名、何時も通り空気を読まず、そして食材に感謝しない不届き物がいた。

俺は、その不届き物が箸を掴む前に強化の魔術で体を強化し取り上げる。

 

「………返して」

「食べる前に言う事があるだろ?ちゃんと言ったら、返してやるさ」

「…………………………いただきます」

「…よろしい」

 

結構な間(約三点リーダ10個分くらい)の後に、ちゃんと「いただきます」と言ったので箸を返してやった。

まったく、始めからちゃんと言えば、こんな事はしないのにな。

ちなみに、柳韻さんと春香さんは何時も通りニコニコと笑って此方を見ていた。

それからは、談笑しながら朝食を取っていたけど、束はあれ以降ずっと無言だった。

 

 

 

今日は休日だから、幼稚園は休みなのでランニングに出かける。

俺は普段から、体や魔術回路(ちなみに本数は前世と変わらず27本だ)は鍛えている。

何時、何が起きてもいいように。力は持っておいたほうがいいからな。

力がなければ、あんな地獄が起きたら、誰一人助けられないからな。

思い出すのは、前世の記憶。何年もの月日が立ち、色褪せていったがそれでも忘れられないあの地獄を。

ちょうど、いつも休憩場所にしている公園にたどり着く。

ん?あそこにいるのは、束と織斑か。

束はパソコンをやってて、織斑がそれを見てるな…って、なんで束の奴はパソコンを持ってるんだ?

柳韻さんや春香さんは、買ってやって無かったよな?

そんな疑問を抱くが、束が俺に気付くと機嫌が悪くなるからその前に行くとするか。

 

ランニングを終えると、春香さんの手伝いをする。

と言っても、簡単に洗濯物を畳むくらいだけどな。未だに、背が小さすぎるからそれ以外何も出来ないから早く成長したい。

それから、昼が出来たから道場にいる父さんを呼びに行く。

一応、道場はあるけど門下生は一人もいないんだよな。

それでも、柳韻さんは代々受け継がれてるあの道場には、思い入れがあるみたいで毎日使っている。

近々、織斑が入門するみたいだから余計に張り切ってたな。

 

「父さん、昼食が出来たよ」

「ん、ああ、士郎くん。ありがとう、直ぐに行くよ」

「ああ。早く来てくれよ、父さん」

 

柳韻さんと別れて、俺はリビングへと向かう。

リビングに戻ると、既に束は戻っていた。

それから、柳韻さんも来て、みんなで昼食を食べた。

…まぁ、朝と同じでまた「いただきます」を言わなかったから、強制的に言わせたけどな!

 

 

side out

 

 

 

side 束

 

朝、私が起きると何時も通りアイツはもう起きてるみたいだ。私は、何時も通り着替えはまだせずにパジャマのままリビングへ向かった。リビングにはお父さんとお母さん、そして……アイツがいた。

私は、アイツ……兄である、士郎のことが嫌いだ。私は、自分が天才だと思っている。親友のちーちゃんはまだ漢字も数学も出来ないけど、私は出来た。お父さんもお母さんも「天才だ!」って褒めてくれて嬉しかった。……でも、天才だからかな?ちーちゃんとアイツ以外が、とっても子供っぽくて、馬鹿っぽくて…話そうとも思えなかった。そんな私でも、子供だと…普通の子供だと思える所がある。それは、お父さんとお母さんに甘えたいっていう、願望が私の中にあったんだ。親の愛情が欲しいって…でも、私はそれを手に入れれ無かった。お父さんもお母さんも、私よりもアイツを…士郎をかまってる!許せなかった、お父さんとお母さんの愛情を奪ったアイツが!だから、私は…篠ノ之 士郎が大っ嫌いだ!

 

 


 
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