No.447649

境界線上のクロニクル4

今回の小狼は大活躍です。

2012-07-06 23:41:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3754   閲覧ユーザー数:3546

「いいねえ、正純君はまだ真面目すぎる所があるけどーーー」

 

「それもあいつの良い所だと思うし、いいと思いますよ俺は。

 

 これを機に正純が変わろうとしようとしているんですから」

 

「まあねえ・・・・おや、松平四天王の内、榊原・康政と本田・忠勝の二人がお迎えとはね。

 

ーー俺もまんざらじゃないってことか。井伊はどうしたよ?榊原、ダっちゃん」

 

彼の言葉に、榊原と呼ばれた細い初老が、わずかに頭を上げる。彼は白髪を掻きあげ、

 

「それがな、酒井君、実は井伊君がーーーーー」

 

「井伊については他言無用だ、忘れたか榊原」

 

 

と、忠勝と呼ばれた体格のいい初老が、榊原に視線を向けずに言う。横の榊原が唇を迷わせ、

 

しかし、酒井の方を見て、頷きと共に口をつぐんだ。

 

代わりと言うように、忠勝が半歩前に出て、

 

「-----見せろ」

 

瞬間、忠勝の背後いた少女が消えた。

 

対する酒井が浅く顔を上げ、

 

「は?おいおいおい、お前の言う”見せろ”って、大体ろくなことじゃってうおっ」

 

言うセリフが終わるより早く、小狼が酒井をひっぱり下がらせ、

 

目の前に向かってきた長刀の柄を蹴り飛ばし無力化しようとした。

 

だが、蹴りが当たる瞬間、刀の柄どころか相手自身が消えてしまった。

 

小狼は一瞬、目を疑ったがすぐさま彼女の居場所を察知した。

 

(後ろか!)

 

気付いた時は彼女はもう小狼に向かって横一閃しようとしていた。

 

だが次は相手の彼女の方が驚いていただろう。

 

彼女が当てようとした相手が宙に浮きながら体を回して、蹴りを放とうとしていた。

 

「「はあっ!」」

 

お互いの攻撃は寸でのところで当たらず、二人とも自分達の立ち位置が入れ替わった状態で向かい合った。

 

そして、相手の隙を窺いつつにらみ合っていると、

 

酒井が彼女の後ろから現れ、尻を触った。

 

「--!?」

 

彼女の口から驚きの色を含んだ悲鳴があがった。

 

 

 

 

 

 

 

別視点  小狼が酒井を下がらせた後 

 

「おいおいダっちゃん、いきなり何すんだよ」

 

「ふん、お前が武蔵に行ってから弛んでるじゃないかと思ってな。

 

我らからの再開祝いだ」

 

「ま、そういうことですぞ。酒井君」

 

「って会って早々斬られるとは嫌な祝いだねえ。こっちはいいオジサンなんだから」

 

「まあそんなことよりあの小僧、いい感じに強くなってるじゃねえか酒井。

 

お前が稽古つけたのか?」

 

「いいや彼の体術は我流だと思うよ。確かに少しは俺や善鬼さんも見ていたけど、

 

ほとんどは彼自身が身につけたものだよ」

 

「ほう、加速術式ありの二代と基本加護のみで相対できるとはなかなかに育ったものだな」

 

「そうですねえ、殿に連れられて初めて会ったときは見るぬ堪えられないほどのものでしたが立派になりましたね」

 

「ああ、だが相も変わらず強き目をしている、出会った頃と変わらずだ」

 

「そうだねえ、俺も初めて会った時からだけど、彼からは強い覚悟を感じるね」

 

「お前とは正反対だな酒井」

 

「何だとダっちゃん!」

 

「ほらほら二人ともいい加減にしないと予約していた店に遅刻してしまいますぞ」

 

「ということだ酒井、不甲斐なかった罰として二人を止めてこい」

 

「えぇー、しょうがないなあ。ダっちゃんどんな手を使ってもいいよな」

 

「構わんが何をする気だ?」

 

と言ってるうちに酒井は二代に近づいて行った。

 

 

 

 

 

 

「ーーというわけだ。悪い記憶でしかないわな、昔のことなんざ」

 

と木造の屋内に野太い男の声が聞こえた。

 

場所は三河郊外の酒や軽食を出す食堂だ。

 

「いいかあ、そういう昔を忘れて心機一転、左遷でいじけてたお前と小僧に対し、ようやく十年ぶり

 

に我らが会おうと言い、昔馴染みの場所までとって予約したというのにーー」

 

と、奥の卓で囲んでいた酒井と忠勝と榊原、そして忠勝についていた少女と小狼という皆の内、

 

忠勝が酒を飲みほした中徳利を声と同時に卓へ叩きつけた。

 

「酒井、お前、昔と同じように戦闘の最中に相手の尻触るか!?」

 

「いや、それは普通は再開した偉い友人にぶつける人が言うセリフではないと思うけどなあ」

 

「セクハラですよ」

 

小狼は真面目に言い放った。

 

「まあまあ、そういえば二代だっけ?名前。昔に見たことあるが、強くなったも

 

んだ。それをマジにけしかけるなんて十年前と同じでダっちゃん頭おかしいだろ。RPGやると、

 

戦闘ですぐ即死呪文かけたがるタイプだよね」

 

「やかましい、貴様はいつもそうやって自分勝手だから武蔵の学長に回されたりするのだぞ!?

 

つまりだなーー」

 

「ダっちゃん、学長ってものはいいものだぞ?若い女の子や女教師と話ができるし、

 

若造全員整列させて朝礼やりつつ心の中では超軍隊指揮官ごっことかできるんだぞ。

 

いかがだよ学長職。なあ小狼君!」

 

「蹴っていいですか?」

 

「ーーーお前は相変わらず真面目だな」

 

「父上、さっきからずっと昔のことばかりで御座りますが・・・」

 

「ああ、二代、お前、十年前の我らのノリとか、我も、十年ぶりに会って、まさかこうまでソッコで

 

当時リフレイン状況になるとは思わなかったが・・・」

 

Jug、と二代は頷く。軽く座礼して、

 

「出来れば、改めて御紹介をーーー」

 


 
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