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IS インフィニット・ストラトス ~転入生は女嫌い!?~ 第十五話 ~戦場~

Granteedさん

第十五話です。

2012-07-06 23:21:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:10399   閲覧ユーザー数:9857

「待たせたな、一夏」

 

「クロウ!」

 

そこにいたのは銀と黒で構成されたISに身を包んだ、クロウ・ブルーストだった。

 

「さて、早速だが」

 

クロウはEAGLE(イーグル)を構え、鈴に指示を出す。

 

「鳳!俺がこれから発射する弾を衝撃砲で撃ち抜け!」

 

「わ、分かったわ!」

 

クロウがEAGLE(イーグル)から煙幕弾を放つ。それに龍砲から発射された不可視の弾が命中した瞬間、アリーナは白い煙に包まれた。

 

「全員集まれ、一旦作戦会議だ」

 

白煙の外、アリーナギリギリの場所に三人が集まる。

 

「さて、まずはお前らの意見を聞こうか。気付いた事って何かないか?」

 

「あいつ、もしかして人が乗ってないかもしれないんだ」

 

「何だと?」

 

「ほら、あいつ俺たちがこうやって話している時は攻撃してこないんだ。それに何か動きが機械染みているっていうか・・・」

 

一夏が歯切れが悪そうに言う。ISは人が乗らなければ動かないはずなのだが、二人にはそう言えるだけの根拠があるらしく、鈴も同じ様な事を言う。

 

「あたしも同意見よ。少なくとも、あのISには何か普通じゃないものがあるのは確かね」

 

「そうか、じゃあその仮定を前提に攻撃するぞ。二人に何か案はあるか?」

 

「ああ、相手が無人なら、白式の全力攻撃“零落白夜”が使える。人が乗っていると、相手を傷つけてしまうけど、無人ならちょうどいい。でも一つ問題があるんだ」

 

「何だ?もうそろそろ煙幕が晴れるから手短にな」

 

クロウの言葉通り、煙幕はもうすぐ晴れようとしており、敵の姿もうっすらとだが見えるようになっていた。

 

「ああ、S・E(シールド・エネルギー)がもうあんまり残ってなくて。使えるのは一回くらいだ」

 

「じゃあ一回で決めろ。俺と鳳はお前の援護に回る。何か質問は?」

 

二人が首を振る。その間にも、もう煙幕はほとんど消えていた。

 

「じゃあ、行くぞ、俺の合図で作戦開始だ!それまでは今まで通り回避に徹しろ!!」

 

その言葉の通り、三人は散開し、回避行動に入ろうとした。煙幕は完全に晴れ、敵は変わらず地上に、微動だにせず直立していた。その時、

 

「一夏ぁー!!」

 

「っ!箒!?」

 

その声の主を見ると、どこから入ったのか、クロウが出て行った方とは反対側のピットの先端に篠ノ之 箒が肩で息をして、大声で怒鳴っていた。

 

「男なら・・・男ならその程度の敵に勝たないで何とする!」

 

その言葉は一夏だけではなく、敵にも届いたようで、顔を箒の方に向け、両腕を上げた。

 

「っ!」

 

「まずい、箒!逃げろっ!!」

 

警告する一夏と反対に、クロウはあくまで冷静だった。不測の自体にも、しっかりと反応する。

 

「やるぞ!鳳、やつに衝撃砲!!動きを止めろ!!」

 

「了解!」

 

鈴の甲龍から、不可視の弾丸が発射される。弾丸は見えないが、着弾しているようで敵がわずかによろめいた。

 

「一夏、俺が隙を作る。発動の準備をしておけ!!」

 

「OK!!」

 

クロウは敵に向かって突撃を開始する。その間に、EAGLE(イーグル)の弾倉を手早くネット弾に変え、引鉄を引く

 

「くらいな!!」

 

ネット弾を二発放った後、腰のスタンロッドも一緒に射出する。ネット弾が先に敵にとりつき、動きを封じた所にスタンロッドが突き刺さる。かなりの高圧電流が流れているようで、ネットはおろか、その周囲の空気も帯電している。

 

「今だ、一夏!行って来い!!」

 

「おおおおおおおっ!!!」 

 

一夏が敵に高速で向かっていく。その体はエネルギーで覆われており、雪片弐型もエネルギーの刃を形成している。

 

「俺は、みんなを、守る!!」

 

その言葉と共に、一夏は敵を大上段から切りつける。

 

「やったか!?」

 

しかし、右腕を切り落とされ、胸の部分に大きく切り込まれたというのに、敵は動きを止めない。零落白夜の発動が終わってしまった一夏に対して、左腕による殴打を仕掛ける。

 

「ぐあっ!」

 

「一夏ぁ!!」

 

一夏は殴打を受けた衝撃で、10m程吹き飛び、動けなくなってしまう。その間にも、敵は一夏にとどめを刺そうと近づいていた。一夏の所に到達すると、残った左腕を振り上げ、とどめを刺そうとする。

 

「一夏、逃げて!」

 

その時、クロウが吠えた

 

「セシリア、今だ!!!」

 

「了解ですわ!」

 

「狙い撃つぜ!!」

 

その瞬間、一夏が切りつけてできた、胸の切り傷に吸い込まれるように二つの銃弾が撃ち込まれた。さすがに耐えきれなかったのか、敵はその衝撃で吹き飛ばされ、起き上がってはこなかった。一夏と鈴が辺りを見回すと、スナイパーモードに切り替えたEAGLE(イーグル)を下ろしているクロウが、上空には専用ライフル“スターライトmkⅢ”を構えているセシリアがいた。

 

~数分前・ピット内~

 

「作戦?」

 

セシリアが怪訝な声を出す。クロウは話を止めない。

 

「そうだ、お前は万が一に備えて、上空で待機していてもらう。まあ保険と考えてくれ」

 

「わ、私も一緒に!!」

 

自分も一緒に前線で戦えないのが悔しいのだろう、懇願するセシリアだったがクロウはそれを一蹴する。

 

「駄目だ。お前では、あのビーム攻撃は一撃当たればそこで終わる。装甲が薄いからな」

 

「・・・」

 

「俺が合図をしたら、狙撃してくれ。できれば一発ですむとありがたい。一発ですまなかったらお前も敵の標的になるかもしれんしな。わかったか?」

 

「了解ですわ」

 

「じゃあ、いくぞ。死ぬなよ、セシリア?」

 

「わかりましたわ、ひとつ聞いてもよろしくて?」

 

「何だ?」

 

「クロウさん、貴方は一体何者ですの?」

 

~現在・アリーナ内~

 

四人は倒した敵の周囲に展開し、様子をうかがっていた。

 

「・・・倒した、のか?」

 

「ああ、そう判断していいだろう」

 

「や、やっと終わった~」

 

「皆様、お疲れ様でした」

 

一夏、クロウ、鈴、セシリアの順に口を開き、四人は緊張を一気に緩める。

 

「いやーしかしクロウ、お前射撃の腕も凄いな!」

 

「いや、さすがにセシリアには負けるさ」

 

「またまたそんなご謙遜を」

 

「何でもいいから早く戻らない?」

 

「でも倒したあいつはどうすんだ?」

 

「教師部隊に任せればいいだろうよ。しかし一夏の言うとおり本当に無人機だったとはな」

 

と四人が話していると、ブラスタのレーダーに反応が。

 

「(こいつは!!)全員避けろっ!!!」

 

「「「えっ?」」」

 

次の瞬間、再びアリーナに光の柱が降り注いだ。


 
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