No.446258

魔法少女リリカルなのはvivid ‐ヒロイック・ホームレス‐

イーブイさん

この物語の主人公である青年はホームレスである。
何時もはクラナガンのとある川原に設置されたボロボロの小屋に住み、バイトは市立図書館の司書。そんな青年がちょっとした切欠で管理局のエース・オブ・エースの高町なのはの義娘で聖王の現身である高町ヴィヴィオと出会い、その出会いによって青年の運命が色々と変わって行く物語。

2012-07-05 05:02:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3436   閲覧ユーザー数:3384

ミッドチルダ南部 抜刀術天瞳流 第4道場

 

「フッ!ハァッ!」

 

道場内の稽古場で一人の道着を着た女性が手に持つ刀を振る。

 

「セイッ!タァッ!」

 

刀を切り上げ、袈裟斬る。

 

その流れに一切の無駄は無く、隙が無い。

 

「セェイヤァァァァァァァァッッッッッッ!!!!!」

 

大声を上げて一気に横一閃する。

 

そして横一閃した状態のまま、静止して息を整える。

 

息が完全に整ったら体制を元の状態に戻し、刀を幾度か血振りして鞘に入れる。

 

「ふぅ・・・こんな朝早くの時間に一体何の用かな?」

 

女性が背後の気配に気付き、後ろを振り向くと其処には先ほどハイディと別れた青年が立って居た。

 

「よぉ、ミカヤ。朝っぱらから精が出てるな」

 

「やはり君だったか・・・そういえば君が此処に来るのはかなり久しぶりだったね、何しに来たのかな?」

 

『ミカヤ』と青年に呼ばれた女性は刀を腰に帯に差し、青年にゆっくりと近づいて来る。

 

 

 

「ああ、単刀直入に言う。俺と闘え」

 

 

 

「君と?何故かな?」

 

 

 

「昨日の夜、最近巷に噂だった武闘家襲撃犯と闘ったんだが不完全燃焼になっちまってな。一昨日のお前が食って行った飯代としてこの不完全を完全にして貰いたいだけだ」

 

そう言いながら青年はミカヤの横を通り過ぎ、道場内の壁に飾られたグローブを装着する。

 

 

 

「そうか、ならば私も久しぶりに実践感覚で行かせて貰うよ」

 

 

 

ミカヤも目を鋭くし、右手で刀の柄を持って構える。

 

青年も触発されたのか目を鋭くし、闘志を体から溢れ出しながら拳を顎の前近くに置き、脇を締めて目線を前に向ける(所謂ボクシングのファイティングポーズ)。

 

両者は構えた後、意識を互いの敵に対して向ける。

 

緊迫した雰囲気を両者共に纏いながら黙り込み、睨み合う。

 

そして・・・この空気の中、先に動いたのは・・・

 

 

 

「シッ!」

 

「ッフッッ!!」

 

 

・・・ミカヤだ。

 

ミカヤは刀を鞘から出しながら抜き身で青年に襲いかかり、青年も攻撃を左手のグローブで防ぐ。

 

青年は防いだ直後に一気に空いた右手でミカヤの顎狙いでアッパーを放つ。

 

「ハッ!」

 

ミカヤは顔を傾げてアッパーを避け、刀身を引いて次に横を斬る。

 

しかしその斬撃も左掌で受け止め、右手で手刀を首狙いに放つ。

 

「その手は喰らわない!」

 

ミカヤは刀の柄を右手だけにし、離した左手で手刀を受け止める。

 

「ッ!!」

 

両腕が塞がった青年は右足を浮かせ、回し蹴りをミカヤのがら空きとなった左脇腹に蹴り込む。

 

「カハッ!」

 

蹴られたミカヤは思わず左手の力が抜け、右手を離してしまう。

 

青年は刀の刀身を受け止めている左手で刀身を離れないように強く握り、ミカヤの左手を振り解いて自由となった右手でミカヤの右手首を狙う。

 

「ッハァッ!!」

 

「ガハッ!?」

 

しかし右手首に当たる直前にミカヤの左手による掌底が青年の胴を直撃し、後ろに飛ばされる。

 

青年は刀の刃によって手が傷付くのを防ぐ為に握り締めていた左手をとっさに離し、左手で後ろに下がるのを止め、前屈みとなったままミカヤ目掛けて走り出す。

 

ミカヤは刀を再度両手で持って横に斬るも、刀の刃が青年に当たる前に青年は飛び前転して潜り抜け、直ぐに振り返ってミカヤの背後を取る。

 

「しまっ!?」

 

「貰ったッ!」

 

ミカヤも慌てて振り向くがそれよりも青年の方が1歩早くミカヤが振り向いた瞬間に胴に連続ジャブを叩き込む。

 

「グッ!ガッ!アッ!」

 

続けざまに右ストレートパンチから左二―キックでミカヤの右脹脛を蹴って重心をずらす。

 

「グッ・・クゥ・・カハッ・・・」

 

此処までの格ゲーでいう連続コンボを体に打ち込まれた為に防御が出来なくなったミカヤの体に情け容赦一切無しに右アッパーを繰り出して浮かせ、トドメと言わんばかりに最後に踵落としを放つ。

 

「ッぐはぁ!?」

 

ミカヤは踵落としをモロに喰らってダウンし、倒れる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「クッ・・・強いな君は・・・!流石に今の攻撃は効いたよ、身体が言う事を聞いてくれない・・・」

 

ミカヤは痛む体のまま息切れをしながら青年を褒め、自分に勝ったというのに青年を称賛する。

 

「スマンな、流石に少し本気で行ってしまった」

 

「本当だよ、もう少しは手加減というものをして欲しいよ・・・ッ!」

 

「・・・大丈夫か?」

 

「それを聞くくらいなら手を貸して欲しいね・・・」

 

「それもそうか・・・」

 

青年は配慮が足りないとミカヤに指摘され、手を貸して引っ張ってミカヤを起こす。

 

「よっ・・・と、ありがとう。私的には良い試合だった、君からしてみればつまらなかったもしれないけどね」

 

「そんなことは無い。俺も楽しかったし、ちゃんと完全燃焼した。ありがとうな」

 

「お礼は私が言いたいよ、此処最近怠けていた体がシャキッとしたよ」

 

「そいつは良かった」

 

ミカヤから礼を言われ、少し照れる青年。

 

「それじゃ私は学校へ行かせて貰うよ、君もバイトがあるんじゃないかな?」

 

「そうなんだが、この収まらない闘志のまま行っても集中出来なくて捗らなかったら元も子も無いからな」

 

「ハハッ、そうか。やはり君はバトルマニアだね」

 

「冗談、俺が戦闘狂だなんて止してくれ。気味悪くなる」

 

「そうか、済まない。それではそろそろ・・・」

 

「そうだな、俺も失礼する。今日は助かった」

 

「礼には及ばない。何時でも歓迎してるよ」

 

そう2人は話し合った後、ミカヤは道場の奥に、青年もバイト先である市立図書館に向かった。


 
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