No.433613

世界を渡る転生物語 影技15 【刃・戦授】

丘騎士さん

 お待たせしました! スランプで文章が書き込めず、今までかかってしまいました。

 【キシュラナ流剛剣((士|死))術】・マスター編です。

 相変わらず自己解釈が多い作品となっておりますが、楽しんでいただければ幸いです!

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2012-06-06 23:16:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2582   閲覧ユーザー数:2447

ー剛 剣 振 音ー

 

 早朝の朝靄が漂う、引き締まった空気の中。

 

 横一列に並び、圧倒的重量を誇る鉄の板に取っ手のついた、剣と形容するのもおこがましい……便宜上剛剣と呼ばれるものを使い、素振りをし、朝靄を切り裂き、吹き飛ばし、その場だけぽっかり空いたようにはっきりと見える空間に佇むジン・サイ・リキュナの三人と、それを見守るザル、そして─

 

「──997・998・999・1000!」

 

「うむ、それまで!」

 

 素振りの数を数えていたフォウリーの声が修練場に響き渡り、ザルがそれに頷いて手をあげる。

 

 ジン・サイ・リキュナがこうして剛剣を使っての剣の型・【一突八閃】の素振りをするようになってから二日が経過した。

 

 体重よりも重い剛剣を振る力、そして重さによって働く遠心力や、慣性を大地へと流し、重心を安定させられるようになり、きちんと【一突八閃】を振れるようになったジン。

 

 サイの動きを【解析(アナライズ)】し、筋力をもって剛剣を制動させるサイの剣筋【剛閃】と、力の流れを利用し、流れるように制動させるリキュナの剣筋【流円】を取り入れ、未だ極めてはいないものの、剛と柔を融合させたような動きである【剛柔合一】を見せている。

 

 得物を持って戦うというのは、【呪符魔術士(スイレーム)】の呪符や、リキトアの森での弓以外では始めての事であり、当然の如くなれなかったジンではあるが……ザルのアドバイスにより『武器を自分の体の延長線上にあるもの、少し長い手や足、体の一部と思え』という言葉により、重さと特性を活かし、剛剣を振る姿も様になってきたのではないか、と自負していた。

 

「──しかし、ジンは本当に鬼才だな。よもや……これほど早く【キシュラナ流剛剣()術】習得の段階を飛び越えるとは……正直予想外だ」

 

「確かに。ジンの成長は目を見張るものがあります、お師匠様」

 

「そうですねお父様。……もう十分に我々と手合わせが出来る段階にきているかと思います」 

 

「さっすがはジンね~♪ よかったわね? 一流の人たちに認められて」

 

「俺なんかまだまだだよ、技量や技術があがっても……経験が圧倒的に足りないからね」

 

 ザルが感慨深げにジンを眺めながらそう褒め言葉をかけ、それに同意するサイとリキュナ。

 

 微妙な表情で納得がいかないように言葉を漏らすジンを置いて、我が事のようにその言葉を喜び、ジンに手ぬぐいを手渡すフォウリィー。

 

 なぜ、フォウリィーがこの場にいてアシスタントのような事をしているかというと……あの気絶してしまった事が原因である。

 

 畳の間で羞恥で転がる中……ふと気がついた事は、【影技(シャドウ・スキル)】があれほどの殺気を放つザル=ザキューレに勝ったという事。

 

 そして、それはあの殺気を向けられても平然と戦いぬけたからだという事に気がついたのだ。

 

 つまり、あの殺気に耐えられなければ、そもそも【影技(シャドウ・スキル)】の前に立つことすら出来ないと感じたフォウリィーは、次の日から朝練を含め、全ての修練に参加し、殺気漲る場にて殺気を感じ、殺気を向けられても気絶しないようにと、精神面を鍛える事にしたのだ。

 

 さらには、【キシュラナ流剛剣()術】の修練内容に組み込まれている、殺気を自分以外の敵全てに向ける対集団用の修練と、それを狙った相手にのみピンポイントで向けるという修練に混じり、どちらの殺気をも受け止める敵役として自ら立候補し、その身に叩きつけられる殺気に立ち向かう気概を身につけつつあった。

 

 フォウリィーから手ぬぐいを受け取り、汗を一通り拭いた後。

 

ー殺 気 重 圧ー

 

「……くっ!」

 

「フォウリィーさん、動けなくなってるよ! 今はまだゆっくりだけど……どんどん早くするからね?」

 

「わ、わか……ってるわ!」

 

 早速とばかりに始まった殺気の修練。

 

 ジンから向けられる殺気の重圧を受け、顔を青くして体を震わせるフォウリィー。

 

 そこへジンがゆっくりと剛剣を大上段に振り上げ、殺気と共に唐竹から振り下ろす。

 

 ジンが声をかけながら剛剣を振るったことでどうにか硬直から抜け出したフォウリィーが、ジンの左側へと避けるが……ジンがそれを見て手首と肘を返し、剛剣を右斬上に振り上げる。

 

 殺気と恐怖で今まで素振りをしていたジンよりも冷や汗で汗だくになったフォウリィーが、殺気で重くなった体をどうにか動かしてそれを後ろに下がり、剣の間合いから外れる。

 

 そこに一歩踏み込みながら、再び手首を返し、刃先を円状に動かした剣閃が左薙でフォウリィーを追う。

 

 【呪符魔術士(スイレーム)】の修行の際、訓練との事で闘気をぶつけたことはあっても殺気をぶつけたことが無かったため、明確な死のイメージを叩きつけられる殺気には耐性が無かったのである。

 

 殺気も織り込んで修行をすればよかったかなあ、などと内心苦笑しつつも、これも経験とばかりに殺気を叩きつける手を緩めることなく、自身はゆっくりとした動作・剣閃でフォウリィーを追い詰めていく。

 

 このゆっくりとした剣閃は、ジンがいつも行っている基礎修練を武器用に改良したものであり、構え・剣筋・重心・重心移動とブレを確認し、ジン自身の体の動きの無駄を無くすための修行であり……今回はフォウリィーという相手が存在する為、相手を威圧するという修行にもなる。

 

 そしてフォウリィーさんにとっては殺気に耐性をつける事、殺気を感じられるようになる事、そして徐々に早くなる俺の剣を避けることで、危機的状況下でも生き残れるための下地を作り上げる訓練となり、殺気を浴びて硬直・気絶して致命的な隙を無くすという必須の訓練ともなる。

 

「──ふむ、正しい判断だな。【影技(シャドウ・スキル)】は私の殺気を受けても平然と口元に笑みを浮かべるような御仁だ。その程度できねば一撃の元に倒されよう」

 

「そうですね。しかし……ジンの殺気も凄まじいものがあります。まさかこれほどとは……」

 

「それに……【キシュラナ流剛剣()術】の初の一の鍛練を軽く飛ばし、次の二、中の三、後の四を纏めて【剛剣法】で鍛え上げ、あまつさえものにするなど。……本当に、惜しい。キシュラナに生まれれば間違いなく第二の【剣聖】となりうる逸材なのに……」

 

 その二人の様子を見て、いい修練法だと頷くザル、ジンに感心を示すサイ、そして短い間に鍛え上げる為、【キシュラナ流剛剣()術】の訓練法を三段飛ばしで教えているにも関わらず、あっさりとそれをものにしてしまったジンの腕前を本気で惜しむリキュナ。

 

 【四天滅殺】の流派全部に言える事ではあるが……この【キシュラナ流剛剣()術】も、【リキトア流皇牙王殺法】も本来、同種族・血族・血筋以外には伝えられない、伝えることの出来ない門外不出の御技として伝えられるものである。

 

 こうして教えていることですら、非公式とはいえ危ない橋を渡っていることに変わりなく、ジンが【キシュラナ流剛剣()術】を習得したという痕跡は、【キシュラナ流剛剣()術】の歴史の中には残す事が出来ないのだ。

 

 それ故、リキュナの言葉に同意するザルもサイも、現状、この道場以外で行われている修練、及びその道場の師範代として立つ者達の弱さを懸念し、ジンにこの国にいて欲しいとすら内心では願っていた。

 

 叶わぬ願であろう事は理解しているのにも関わらず、それを願ってしまう事に顔を見合わせて苦笑する三人。

 

 そして……目の前のジンとフォウリィーの動きを見ながら、ザルはジンに対する修行の段階を上げる事を考えていた。

 

 先ほどリキュナが言った通り、【キシュラナ流剛剣()術】を学ぶ工程において、順番……段階というものが存在する。

 

 段階にして五つ。

 

 【五修法】と呼ばれる訓練書によって書き記され、【キシュラナ流剛剣()術】に伝わるその段階というのは─

 

 先の一と呼ばれる、体力作り・体捌き・回避・受身・足捌き等の基礎。

 

 次の二と呼ばれる、剣の握りと剣筋……【一突八閃】をその身にしみこむまで行われる素振り。 

 

 中の三と呼ばれる、【キシュラナ流剛剣()術】における重要要素である殺気・殺意と【気力】の扱い方。

 

 後の四と呼ばれる、【剛剣法】を使い、剣閃を鍛え上げ、手合わせを重ね、剣閃の極みたる一撃、【真の一刀】を習得する修練。

 

 終の五と呼ばれる、【キシュラナ流剛剣()術】の名を体現する奥義、【剛剣()】の習得。

 

 ザルの願いにより、【キシュラナ流剛剣()術】を習得することになったジンは、既に先の一、中の三を習得しているようなものであり、短期間での習得との事で一気に後の四を前倒しで行う事になった訳だが……ジンの上達振りを見るにザルの先見は正しかったといえるだろう。

 

 身の丈を越え、自身よりも重いあの剛剣を振りぬくジンの姿を見て、類稀なるその才能に見蕩れ、また鍛え上げられることに歓喜しながらも、次の段位を見据えるザル。

 

 教えなくとも、自分自身の型を省みて、それを矯正・最適化・強化する術を身につけているジンに対し、先に戦い方を教えた人物の教えがすばらしいものであることを感じ取りつつ、自分もまた、ジンにとってよき師たらんと気合をいれる。

 

 家人たる女中が、朝食のためにザル達を呼びに来るまで、ジンとフォウリィーの修練は続くのだった。

 

 やがて軽く汗を洗い流した後、着流しのような服に着替えた一堂が、食堂となっている応接間へと集まる。

 

 よき日本の食卓と呼べるような朝食……湯気立つ白米に、白味噌に大根・人参・ごぼう・豚肉らしきものの入った豚汁風の味噌汁、たくあんや白菜の漬物と思われるもの、塩焼きされた魚、小鉢に盛り付けられたほうれん草の胡麻和え。

 

ー『いただきます』ー

 

 ザルさんの声に会わせて唱和された言葉と共に、口に運ばれていく食事。

 

 無言で頷きながら咀嚼するザル・サイと、笑顔満面で実においしそうに食べているジン。

 

 そして、それを見ながら幸せそうにご飯を食べるフォウリィーとリキュナ。 

 

 女中達もまた、ジンにつきっきりで甲斐甲斐しくお代わりやレシピを尋ねるジンに丁寧に答えたり、またこうしたらどうかなどと言う提案を聞き入れては日々の料理に磨きをかけていた。

 

 ジンがこの家に来てからというもの、今までの1.5倍は食事が美味くなったと、この家の三人は実感を込めて思っていた。

 

 こうして美味しい料理に舌鼓を打ち、『ご馳走様でした』と食事を終え、お茶が振舞われ、食器が下げられ……一時の平穏が訪れる。

 

 背筋をピンと伸ばし、お茶を静かにすするザル・サイ・リキュナと─

 

「ちょ、だめだってば! ザルさん達に悪いでしょ?!」

 

「あ~ん! いいじゃない! 最近殺伐としてジン分が足りてないんだからあ!」  

 

「いや、前から言ってるけどそんな成分ないから!」 

 

 正座をしていたジンを後ろから抱き上げ、自分の膝の上に置いて抱き締め、顔をぐりぐりと擦りつけるフォウリィーの姿がそこにあった。

 

 ザル・サイに優しく暖かい目で見守られ、リキュナにうらやましそうな瞳で見つめられながら顔を真っ赤にし、フォウリィーに抗議するものの一向に離す気配のないフォウリィー。

 

 『ジン分』なるものが足りないなどと口走られ、それにつっこんでいると─

 

ー『…………なるほど』ー

 

「え?! ザルさん?! サイさん! リキュナさん?! なんで納得しちゃうの?!」

 

 しばし考えた後、声をそろえて頷くザル達。

 

 しばしジンが羞恥に耐える時間が過ぎ─

 

「──よいかジン。人それぞれの性格が違うように、太刀筋が個人によって違うように、【キシュラナ流剛剣()術】もまた、人によって理想とする一撃……理念が違う」

 

「……理念」

 

「うむ。我々武人・【左武頼(さぶらい)】の目指す先は、一刀で敵を斬り伏せる【一撃必殺】であり、それを体現したものが剣閃の極意たる【真の一刀】。自身が剣閃を極限まで鍛え、削ぎ落とし、磨き上げた一撃だ。しかしながら、それを念頭に置いたとしても、それに至るまでの経緯はみな別々であり、その身に刻み込まれた剣閃は自身の剣に対する思いで形どられるもの。【キシュラナ流剛剣()術】では大きく分けて五つの理念があるとされ、その剣の理念を【五殺刃】と呼んでいる」

 

「──【五殺刃】」

 

 ザルが場を但し、弟子達と向かい合って【キシュラナ流剛剣()術】の精神たる教えをジンに、そしてサイやリキュナに対しては復習させるためにとの思いを込め、語りかける。

 

 自分は聞かないほうがいいだろうと遠慮しようとしたフォウリィーも、リキュナの進めで同席することなり、どうにも所在なさげに話に耳を傾けている。

 

「そうだ。そしてその【五殺刃】の理念を磨き上げ、鍛え上げ、境地に至った先に生まれたものが……【キシュラナ流剛剣()術】奥義・【剛剣()】であり、【五剣()】だ」 

 

 そういってザルは【剛剣()】についての説明を、先の【五殺刃】の理念を絡めてジンに説明しはじめる。

 

 

 

 【剛剣()】とは……【キシュラナ流剛剣()術】を極めた先代達がたどり着いた境地であり、己の剣の理念を、殺気を、術者の持つ剣を触媒として具現化させるという【キシュラナ流剛剣()術】の奥義である。

 

 殺気や気迫をぶつけられた瞬間、背中に立ち上る気迫が修羅や悪鬼、虎や竜などに見えるという現象を幻視する事があるが、それをより顕著にし、物理的攻撃力を持たせたものだと思えばいいだろう。

 

 基本的に両手が刃物状になり、宙に浮かび、腰までで足の無い……闘神の姿を模した巨人として顕現し、これは術者自身が剣に賭ける理想……思いを殺気として具現化させたものであり、先代達の手により磨き上げられたそれは、理念に基づき五種類の【剛剣()】として奥義となり、完成されている。

 

 また、【剛剣()】を放ち、破られることが合ったとしても……その先。

 

 術者自身の研ぎ澄ました【牙】……己の剣の全てを込めた一撃、【一撃必殺】という理念を込めた一撃、【真の一刀】が相手に対して放たれ、敵を打ち破る。

 

 これにより、【キシュラナ流剛剣()術】は長きに渡り、古くから支配と、【四天滅殺】の一角を担ってきたのである。

 

 尚、【五殺刃】に基づき、形となった【剛剣()】は下記の通り。

 

 

 【刃・(カイナ)】……剛剣一刀。

 

 巨大な剣を両手に持つ【剛剣()】。

 

 理念は剛断。

 

 剛剣を持って、障害物ごと対象を切り裂くという両手の一撃を放つ。

 

 

 【刃・四手(ヨツデ)】……瞬刃連斬。

 

 大きな剣状の手を四本持つ【剛剣()】。

 

 理念は速断。

 

 一撃の威力が無く、手数で威力を補ったものの理念から生まれたもの。

 

 四本の刃の手が対象に襲い掛かる。

 

 

 【刃・大牙(タイガ)】……猛牙刺突。

 

 まるで獣の牙のような手を六本持つ【剛剣()】。

 

 理念は貫通。

 

 斬るのではなく、突くという剣の動作に拘ったものが生み出した。

 

 獣が牙をつきたてるかのように、対象をその両手で挟みこみ、突き穿つ。

 

 

 【刃・輪廻(リンネ)】……剣閃乱舞。

 

 両手を含め、体中に車輪に刃をつけたような姿になっており、車輪が回転して丸鋸のようになっている。

 

 理念は滅殺。

 

 【剣聖】と呼ばれし歴代最強の術者が編み出した【剛剣()】。

 

 剛剣と剣速を持って対象を包み込むようにして微塵に切り裂く。 

 

 

 【刃・(SOMA)】……乾坤一刀。

 

 巨大な一刀を持って権現する【剛剣()】。

 

 理念は必殺。 

 

 【キシュラナ流剛剣()術】を編み出した開祖が作り上げた【剛剣()】。

 

 自らの命をかけることによって、自分の実力以上の一撃を放つ……文字通りの捨て身の一撃。

 

 己が魂をかけて放たれるこの一撃を食らい、生き残ったものはいないとされる剛剣の極み。

 

 自身の【気力】全てを刃と化して放たれる一撃であり、使用した術者は生命力たる【気力】を失い、瀕死ともいえる状況となる。

 

 この状態で【刃・(SOMA)】が避けられたり、死ななかったりした場合、この後に術者が放つ【真の一刀】は命の煌きといわれ、自身の命と引き換えに相手の命を奪うとされる。

 

 

 

「───【五修】・【五刃】・【五()】をもち、【殺】一文字を【牙】と成す。其即ち【左武頼(さぶらい)】也。これが【キシュラナ流剛剣()術】だ」

 

「…………」

 

 低く渋い声が、静かな部屋に響き渡り、その言葉に息を飲み、じっとザルを見つめるジン。

 

 確固たる意思を言葉に乗せ、その心に相手の命を奪う【殺】一文字という【牙】を持ち、命を奪う覚悟を胸に刃を振るう。

 

 【左武頼(さぶらい)】。

 

 その在り方を示すのが、現【キシュラナ流剛剣()術】・武術指南役ザル=ザキューレであり、その師弟たるサイ=オー、リキュナ=ザキューレである。

 

 殺気などではなく、言葉の重みで引き締まった場で、静かに頷くジンと、それを見て頷くザキューレ。

 

「──フッ、もっとも、ジンに【覚悟】を説くのは無粋であったな。…………午後からは剛剣を使っての総当りでジンの適正を見る。体を休め、昼食をとって活力をつけた後、午後の修練に挑むがいい」

 

ー『はっ!』ー  

 

 ジンを見て柔らかい微笑みを浮かべ、部屋から出て行くザルを見送り、溜息のような息を吐いて立ち上がるジン達。

 

「──見事だジン。最年少にして最速。歴代の【キシュラナ流剛剣()術】の中でも燦然と輝く記録を持って、お前は終の五へと手をかけた。幼少時から鍛え上げ、才能のあるものでも10年。お前はその膨大な修練の期間を僅かな時で身につけたのだから」

 

「…………ジン殿。本当に私達の仲間に、なんなら養子でもいい! キシュラナに住まない? 貴方程の才能の持ち主が、仮に習得しても扱えない【剛剣()】を持って国外にいくよりも、このキシュラナに残って名を残すほうが幸せだと思うのだけれど」

 

 肩に手を置き、静かに微笑むサイと、同じく肩に手を置きながらも、真剣にジンをキシュラナへと誘うリキュナ。

 

「……ですって、どうするの? ジン」

 

「……わかってるくせに聞くんだもんなあ、フォウリィーさんってば。……申し訳ありませんリキュナさん。そこまで真剣に俺を心配し、望んでくれることは嬉しく思います。ですが……俺はまだ旅をしたいんです。このアシュリアーナを、そして四国を。俺が生きるこの世界を見たいんです。俺が俺として存在する……この世界を」

 

ー『…………』ー

 

 おどけるような視線を向けるフォウリィーに溜息をもって応えつつ、真剣な眼差しでリキュナを見つめて答えを返すジン。

 

 転生者という立場でこの世界に関わってしまったジン。

 

 己の立ち居地を定めきれず、ただ生きるのではなく、この世界を巡る中で自分の存在意義を見出したいと切に願うようになった彼の心中を吐露したようなその言葉は……目の前の三人に息を飲ませ、言葉をなくさせるのには十分であった。

 

「あ、あはは、えらそうにいっちゃった……し、失礼しま~す!」

 

「あ、ジン?!」

 

 自分のいった言葉に恥ずかしさを覚えたのか、頭を掻いた後に障子の扉を開けて部屋を出て行くジン。

 

 手を向けてジンに声をかけようとするリキュナの手を押さえ、首を横に振るサイ。 

 

「──つかぬ事を聞くが……フォウリィー殿、彼の両親というのは?」

 

「……亡くなったらしいわ。それに……所々記憶が曖昧でよく覚えていないそうなの。姉と慕う人に育ててもらっていたらしいのだけれど……その人とも別れて一人旅をしていたらしいし」

 

「そうなんだ。そっか……小さい身の上で孤独になった事で……彼は彼自身を見失っちゃったんだね。彼が彼として存在し、この世界で立つ場所を。早熟で子供らしくないとは思っていたけど……生きるためにもそうならざるを得なかったんだ……」

 

 ジンを見送った後低い声でそう言葉を漏らすサイと、事情を話すフォウリィー。

 

 ジンの出て行った戸口を見つめ、瞳に悲しみの色を浮かべるリキュナ。 

 

「……それ故、ジンは一期一会の出会いを大事にするのであろうな。相手に自分を覚えてもらうため、そして自分もまた、自分の生きる世界の人々を心に刻み付けるために」

 

「そのための旅、か。……今の私達に出来るのは、その旅の中で少しでもあの子が死なないように、全力で鍛え上げてあげること。そうなのですね? サイ殿」

 

「然り。【キシュラナ流剛剣()術】を学ぼうとも、【剛剣()】を振るう機会はないかもしれん。しかし……その身を死から遠ざけ、生きてより多くの人々とのつながりを作るのには役立とう」

 

「まあ、そこまで悲観しなくても大丈夫よ。……あの子もいつかきっと気がつく。自分の周りにはもう手に入れたいと思っていたもので溢れている事を。それに……私もついているしね♪」

 

「ふっ……そうでしたな」

 

「ええ。本当に……よかった」

 

 静かに目を閉じてジンを思うサイと、その言葉に決意を新たにするリキュナ。

 

 そんな二人に微笑みかけ、自分がいるから大丈夫だと微笑みかけるフォウリィーにつられるかのように、穏やかな雰囲気で話を続ける三人。

 

 やがて、意気投合したフォウリィーとリキュナが部屋を出てジンへと赴き、ジンを抱き締めたりして過剰にかまい、助けを求める声が聞こえるのに苦笑を漏らすサイ。

 

 それは昼食を告げる女中が来るまで続けられ……ザルにやりすぎだと叱られる事になるリキュナとフォウリィーであった。

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

「ふん!」

 

ー剛 剣 激 打ー

 

 昼食を終え、一息をいれた午後。

 

 【剛剣()】を振るう実力があるのかどうかを試すために、総当りとザルが口にした……サイ・リキュナと連続して戦う修練を行う事になったジン。

 

 まずはと剛剣を持って向かい合うジンとサイが、ザルの掛け声の中で一礼し、正眼と八双という構えから放たれた唐竹と袈裟斬の一撃がぶつかり合い、火花を散らし、剛剣を振るわせる。

 

 ぶつかり、弾ける勢いで回転しつつ、地面に擦るかの勢いで右斬上に振り上げられる剛剣と、跳ね上がった勢いを利用して、上段から振り下ろされる唐竹の剛剣が再び激突し、火花を上げ、その重みを伝えるような振動と音が響き渡る。

 

 弾かれるのを筋力で押さえ、剛剣を遠心力を持って振り下ろし、力と速度で剛剣を振るい、ジンを押し込んでいくサイ。

 

 ジンもまた、重さとリーチという間合いの長さで負けていることを自覚し、回転という遠心力を利用する事によってサイと変わらぬ一撃を繰り出し、両者の攻撃によって手にもたれた剛剣が悲鳴にも聞こえる鈍い金属音を上げる。

 

 剛剣を伝い、手を駆け抜ける衝撃に顔を顰めつつ、サイの振り下ろした剛剣の勢いに負け、押し返されたのを利用して回転しながら唐竹から剛剣を振り下ろすと、それを左薙に横から剛剣の腹を叩いて軌道を逸らし、弾かれた反動で剣が跳ね上がり、俺の顔へと分厚い剛剣が突き出される。

 

 その突き出された剛剣を、剣の柄で叩いて逸らし、剛剣を斬りつけて弾き、腕の長さ分短いリーチを補うために懐へと入り込むが、それをさせないとばかりにサイが柄を突き出し、俺が避けるのと同時に手首を回転させながらの剛剣の左薙の一撃が俺を吹き飛ばさんと迫り、咄嗟に自分の剛剣を盾にしてその一撃を受け止める。

 

 振りぬかれたその剛剣により、重さのない俺は吹き飛ばされて間合いを離すこととなり、仕切り直しをするように離れた位置へと着地する二人。

 

 互いに八双の構えを持って剛剣を構え、前傾姿勢になり……両足に力が集約していき─

 

「せい!」

 

「はっ!」

 

ー剛 剣 激 打ー

 

 地面を抉りながら踏み出された一歩で、離れていた間合いが一瞬で詰められ、互いの剣が届く位置へと移動し、その移動の力も含めた剛剣の袈裟斬がぶつかり合う。

 

 激しい火花が散り、剛剣を握る両手に衝撃が駆け抜け、剛剣が弾き落とされそうになるのを歯を食いしばって耐え……力が弾け、吹き飛ばされて再び間合いが開く。 

 

「それまで! 次はリキュア!」

 

「はっ! よろしくお願いします、ジン殿!」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

 

 そこに待ったをかけるザルの声に答えて息を整え、ザルの指示通り向かい合うジンとリキュナ。

 

 互いに一礼をした後、正眼に剛剣を構え─

 

「始め!」

 

ー『はっ!』ー

 

 ジンとリキュナの剣閃が、流れるように交差する。

 

 サイの叩きつけ、剣速と豪腕を持って両断するような一撃ではなく、剣の特性を活かし、遠心力を利用し、弧を描く軌道で迫るリキュナの剣閃。

 

 ジンはそれを【解析(アナライズ)】ながら、流れに身を任せるかのように剣を交える。

 

 重さを最大限に生かすべく、振り下ろしの動作である唐竹・袈裟斬・逆袈裟と手首と肘を回す事によって円運動を行い、剛剣を叩きつけてくるリキュナ。

 

 それを受け止めつつ、その円運動の流れに乗せ、刃を交えては……川の中にある岩のように、その刃の流れを逸らし、直接刃をぶつけるのではなく、刃の表面を流すようにいなすジン。

 

 鉄の板が形となった剛剣とは思えない剣舞が続く中─

 

「ふっ!」

「はっ!」

 

ー剛 剣 殴 打ー

 

 右薙の一撃をフェイントに使った後、踏み込みと同時に体を回転させるリキュナ。

 

 同じく踏み込んで体を回転させながら、重心が流れないようにと腰を落とすジン。

 

 円運動が遠心力を呼び、踏み込みの回転力・速度・重心・筋力が上乗せされた一撃が交差する。

 

 火花が閃光を発するほどの一撃が視界を焼き、刃をそらして互いに体がぶつかる。

 

 至近距離での柄の打撃、蹴り等の応酬を交わし、鍔迫り合いへと持ち込まれたところで─

 

「そこまで! 次は─」

 

「──すいません、譲ってもらいます!」

 

「?! フォウリィー殿?!」

 

ー炎 刃 斬 閃ー

 

「はっ!」

 

 サイが再び剛剣を構え、ザルの指示の元、ジンと戦おうとした矢先。

 

 そこに滑り込むように割り込み、呪符を発動させるフォウリィー。

 

 両腕に持った【炎刃】を【詠唱破棄】で発動させ、逆風と左薙の十文字の炎の刃がジンを焼き斬らんと迫るが、それを剛剣が旋風のように逆袈裟に切り裂き、炎が飛散する。

 

 重心を落とし、炎を隠れ蓑とし、そのまま体を回転させながら踏み込んで間合いを縮め、足元を狙った左薙の一撃がフォウリィーを捉えんと迫るが─

 

「くっ!」

 

「甘いわよ!」

 

ー氷 槍 連 突ー

 

 炎を隠れ蓑としたのはジンだけではなく、足払いを見越してジンの頭上を跳び越していくフォウリィーが、左薙を繰り出したジンの背中に対して【詠唱破棄】の【氷槍】で襲いかかる。

 

 左薙の勢いをそのままに回転速度をあげ、【氷槍】を斬り払うジン。

 

 氷が砕け、粉砕されてキラキラと舞い散る奥で、着地と同時に─

 

「─フォウリンクマイヤー=ブラズマタイザーが符に問う。応えよ、其は何ぞ!」

 

ー【発 動】ー

❝『我は電撃─』❞

 

 振り向き様に両手に呪符を扇状に展開させ、魔力を通してお伺いを立てたフォウリィー呪符が発動し、ジン目掛けて真っ直ぐに放たれた符は、呪符のトンネルという感じで並列に飛びながら突き進む。

 

ー【魔力文字変換】ー

❝『電光にて我が敵を縛る者也』❞

 

 【氷槍】を砕き、氷の霧を突っ切ってフォウリィーへと肉薄しようとしていたジンを挟み込む位置で展開された呪符。

 

ー【呪 符 発 動】ー

ー電 撃 包 網ー  

 

「ッ!」

 

 発動と同時に、呪符と呪符の間に電撃が迸り、それが球状の電撃の網となり、ジンの前に電撃の壁となって行く手を阻みながらも、ジンを補足せんと迫ってくる。 

 

 そして、そんな電撃の壁の向こうでは、次の符をその両手に準備するフォウリィーの姿。

 

「──せいやあああああ!」

ー剛 剣 投 擲ー

 

 目の前に迫る電撃の網が眼前に迫る中。

 

 全力で踏み込んだ足が地面を抉り、上体を弓形にそらしたジンが全力で剛剣を振り下ろすと共にその手を離す。

 

 分厚い鉄の塊は、その勢いのままで、大よそ投擲されたものが出す音ではない重い音を伴い、回転しながら目の前の電撃の網、【電撃結界】に突入。

 

 【電撃結界】は自分の内部に進入したものを捕縛するため、その電撃の悉くを鉄の刀身が誘導し、受け止め、帯電し、電撃剛剣となって突き進み、【電撃結界】の悉くを打ち破っていく。

 

「え?! うそ!」

 

 まさかあの鉄の塊を投げれるとは思っていなかったフォウリィーが不意をつかれ、【電撃結界】でしびれたジンに対して呪符を突きつける予定だったはずが、眼前に迫る圧倒的なプレッシャーを放ち、自分を押しつぶさんと迫る物体に慌てて半身を逸らし、帯電した剛剣がフォウリィーの眼前を通りすぎていく。

 

「あぅ!」

 

 その際、盛大に放電していた剛剣がフォウリィーの体を掠り、その一瞬で体が痺れたフォウリィーが思わず呪符を取り落としてしまい、帯電していた剛剣が地面に突き刺さり、地面をアースにして放電する。

 

 その刹那、悪寒がフォウリィーの背中を駆け巡り─

 

「ッ!!」

 

ー風 刃 斬 閃ー

 

 訓練で身についたこの危険察知能力に従い、振り向き様に【詠唱破棄】の【風刃】を左薙に一閃する。

 

「ふっ!」

 

「あっ?!」

 

 【風刃】は空を切り裂き、手応えがないと思っていたフォウリィーの眼前には、なぜかジンの逆さまになった顔があり─

 

 咄嗟に右手を上げて顔をカバーすると、交差気味にジンの裏拳がフォウリィーの顔を狙って放たれ、ガード越しであるにも関わらずフォウリィーの障壁・腕の防御を無視するかのような衝撃がフォウリィーを後方に吹き飛ばす。

 

「くっ……まだよ!」

 

 吹き飛ばされながらも左手で再び呪符をホルダーから抜き放ち、【風刃】を飛ばすフォウリィー。

 

 残していた右手で地面に触れ、着地をし、ジンを視線で追うと、その【詠唱破棄】の【風刃】を絶妙のボディーバランスで身を捻って避わし、着地したと同時に放電を終えた剛剣の柄を掴み終えるところだった。   

 

(さすがジン、予想外だわ。でも……まだいける!)

 

「フォウリンクマイヤー=ブラズマタイザーが符に問う! 其は何ぞ!」

 

ー【発 動】ー

❝『我は炎 熱き烈火となりて』❞

 

 先ほどの裏拳を受けて痛む右手を押しながら、指の間に挟みこんだ呪符を発動させる。

 

ー【魔力文字変換】ー

❝『貴公の敵を焼き尽くす者也』❞

 

 両手を交差し、赤々と輝く呪符を─

 

ー【呪 符 発 動】ー

ー烈 火 炎 上ー

 

 ジン目掛けて交差させながら振りぬくと、発動した【紅蓮】の呪符が地面を伝ってなめるように炎上線となってジンに迫る。

 

 それを見て、ジンは地面に刺さったままの剛剣を持ってそのまま真っ直ぐに地面を抉りながらフォウリィーへと間合いを詰める。

 

「はっ!」

 

ー地 面 破 斬ー

 

 やがて、ジンと炎が衝突しようかとしたその時。

 

 ジンが逆風に剛剣を地面に刺さった状態で振りぬくと、その勢いに地面が巻き込まれ、砕かれ、眼前の炎を地面ごと砕きながら土のつぶてを撒き散らし、炎を巻き込みながら土煙となる。

 

「うっ?!」

 

 土の散弾がフォウリィーの視界を潰しながら炎を消し、障壁の呪符で体を保護するフォウリィーではあったが─

 

「しまっ!!」

 

 その僅かな隙が致命的なものとなり……結果。

 

「……参りました」

 

「…………ふ~…………びっくりしたあ。いきなりどうしたの? フォウリィーさん」     

 

「ごめんなさいねジン。でも……私も時間がないのよ。もう目前に【影技(シャドウ・スキル)】との戦いが迫っているのだから。少しでも実戦を感じないと……彼女には勝てないわ」

 

 へたり込んだフォウリィーの眼前に突きつけられる剛剣に、フォウリィーが項垂れて降参の言葉を零す。

 

 息を吐き、戦闘体制を崩してフォウリィーに手を差し出し、立ち上がらせて事情を聞くと、対【影技(シャドウ・スキル)】戦を想定した戦闘経験を積みたいのだとか。

 

「ザルさん、サイさん、リキュナさんも、修練に割り込んでしまって申し訳在りません。お叱りはいかよういも」

 

「いや、よい。よいのだフォウリィー殿。今の戦い、見事であった」

 

「然り。これが今の【呪符魔術士(スイレーム)】の実力……侮れませんな」

 

「ええ、本当に。まさかジン殿の動きについていけるとは……これは術者に対する体術のレベルを見直さなくてはなりません」

 

「え? あ、いや……えっと、たぶんフォウリィーさんは少数派ですよ? 元々対【影技(シャドウ・スキル)】を見越して、俺と一緒に体術を鍛えていたので……」

 

「もう! それどういう意味?! ジン!」

 

ー『……なるほど』ー

 

「納得しないで?!」

 

 修練に割り込んでしまったことを深く頭を下げて詫びるフォウリィーではあったが、その行為を手をあげて遮り、戦いを見事だと褒めるザルと、それに頷きながら今の【呪符魔術士(スイレーム)】は体術もできるのか、と認識を改めるサイとリキュナ。

 

 ジンがフォロー気味にフォウリィーだけが特殊なのだと語るが……よく考えるとそれはなんのフォローにもなっておらず、フォウリィーが怒りの声をあげるが、そのジンの言葉になぜかザル達が納得し、涙目のフォウリィーが突っ込みをいれるという、いじられキャラ的立場のフォウリィー。

 

 しかし、体術も【呪符魔術士(スイレーム)】としての腕前も上位であるフォウリィーの戦い方を学べれば、今後自分達が術者と戦う際の判断基準になるとの事で、総当りの中にフォウリィーも組み込まれる事となり、サイ・リキュナ・フォウリィーの順番でローテーションを組み、体力が無尽蔵なジンを徹底的に戦わせ、鍛え上げていくこととなった。

 

「──しかし、どれだけの修練を積んだものやら。汗も掻き、息も乱れているものの、いまだ疲れを見せぬとは……姉と呼ばれていた人が、よほど基礎に絞って鍛え上げたのであろうな」

 

「はっ、はっ、はっ、え、ええ。以前からジンはそういうのに強かったですから。……なんというか、ジン自身才能の塊で、全てにおいて高い吸収率を誇っているのですが……彼はそれが自分の力ではなく、天から与えられた才能であると負い目を感じているようなんですよ。時折、褒め言葉を送っても曖昧な笑顔になりますし」

 

 ザルが、ローテーションを終え、荒い息を吐くフォウリィーに対して、独白に近い形で話しかけ、フォウリィーがその言葉に対して思った事を口にする。

 

「ふっ……さすがにまだ子供か。いや……むしろ子供らしからぬといったほうがいいかもしれぬ。子供であれば、その才に奢り、天狗になって努力を怠るものだ。それを……毎朝我々の修練が始まる前に体捌きなどの基礎鍛練を欠かさず行い、気の扱いを確認するその姿。ただ才能を奢っているものには出来ぬことであろうに」

 

「そうなんですけどね……こればかりは諭しても通じるかどうか。何かきっかけがあればいいのですけれど……」

 

「才もあり、努力をするものに成功せぬものなどありえないのだ。この問いにすぐにでも答えはでるであろうがな」

 

 目の前でリキュナと剛剣をぶつけ合うジンを見据え、互角の打ち合いを見せる二人に嬉しそうに目を細めるザル。

 

 【流円】一拓だったリキュナが、ジンに釣られるように【剛閃】を僅かに扱うようになり、サイもまたジンにならって【流円】を扱うようになっていくのを見て、この数日で成長したのがジンだけではない事を理解しているザルは、その口元に笑みを浮かべる。

 

(ふふ、私の敗北という件もあったのだろうが……この数日で圧倒的成長を見せるジンに触発され、二人の技量もあがってきている。先達として負けたくないという意思が成長力を押し上げているのだろうな。それに……フォウリィー殿もあの殺気に負けていた最初とは見違えるような動きになっておる。……惜しいものだ。この体さえ満足に動けば、私も未だ未熟な我が身を鍛えなおせるというのに) 

 

 その心に、嬉しさと悔しさを抱きながらも、次々と相手を変えて戦い抜いていくジンを見守るザル。

 

(…………うむ。使うにしろ、使わざるにしろ。明日からは終の五に入るとしよう。もしかすれば……ジンは五の五の五、長きに渡り崩されなかった【キシュラナ流剛剣()術】の常識、理念を崩す存在になりえるかもしれぬからな)

 

 そこに湧き上がる期待を載せ、修練の時間は過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

 こうしてザルから、奥義たる【剛剣()】を学ぶ……終の五の修練に入る事になったジン。

 

 まずは手本からとの事で、今まで振っていた剛剣を置き、真の剛剣・キシュラナの牙とも呼ばれる、【剛剣()】を顕現させるための剣。

 

 士剣【牙斬】を手にする二人。

 

 剛剣とは比べ物にならないぐらい細く、僅かに沿った片刃の長い剣。

 

 鍔の部分には目のような意匠が凝らされ、これは心に宿す【殺】一文字を投影するための【心眼】を模したものだという。

 

 柄には滑らないように工夫の凝らされた革が巻かれ、握りやすいようになっている。 

 

 久しぶりに手にした士剣【牙斬】をゆっくりと鞘から抜き放つ二人。

 

ー瞬 連 閃 走ー

 

 正眼に剣を構えたと思った瞬間、複数の剣閃が空間に走り、二人の手がぶれる。

 

「か、軽い……」

 

「……ふむ、やはり剛剣での鍛練は身につくな」

 

 驚いたように剣を振るリキュナと、満足げに頷くサイ。

 

 やがてザルが視線で合図をすると─

 

ー重 圧 空 間ー

 

 ゆっくりと剣を八双に構え─

 

❛【殺】の一文字、心に懐け❜

 

 サイさんとリキュナさんの声が重なり、音が消え、静寂に包まれた修練場に響き渡る。

 

 その場を満たすのは……二人の殺気。

 

 肌をさすプレッシャーとなって押し寄せる明確な殺意が、その身に宿す理念を元にして剣へと注ぎ込まれる。

 

❛さすれば、その一文字は─❜

 

 殺気……【気力】が剣へと集約され、【気力】に込められた殺気と殺意は……やがて剣に明確な変化をもたらす。

 

 天を指すように片手で掲げられた剣が、霞のように空間へと広がり、術者たるサイやリキュナの五倍はあろうかという巨大な人影へと変化していく。

 

❛牙となる❜  

 

 ゆっくりと正眼に剣を構えると、その輪郭が明確になり、剣を持ちて戦う武神のような姿が顕現する。

 

ー『【殺】文字──【剛剣|()】』ー

ー【剛剣|()見参!!】ー

 

 二人の声が重なり、【剛剣()】が武器となるその両手を広げる。

 

「──【刃・(カイナ)】」

「──【刃・四手(ヨツデ)】」

 

 サイが顕現させた【剛剣()】は【刃・(カイナ)】。

 

 彼の剣の理念たる、【剛閃】を体現した巨大な剣の腕を持つ【剛剣()】である。 

 

 リキュナが顕現させた【剛剣()】は【刃・四手(ヨツデ)】。

 

 女性であり、【剛閃】が巧く扱えない彼女が選らんだのは……手数。

 

 【刃・(カイナ)】よりも細い剣の手を四本持つ【剛剣()】が、リキュナの頭上へと鎮座する。

 

 二人の眼前には人の身の丈以上の巨大な岩が用意されており、サイがリキュナに一瞬視線を送った後─

 

「はっ!」

 

ー剛 刃 十 字ー

 

 【刃・(カイナ)】の巨大な剣が、瞬く間にその岩を唐竹・右薙に切り裂く。

 

「せい!」

 

ー瞬 刃 四 斬ー

 

 サイに続くようにリキュナが【刃・四手(ヨツデ)】を繰り出し、剣閃が奔ると、十字に切り裂かれた岩が細切れになって地面へと落ちていく。

 

 目標を切り裂き、殺気を解くと同時に【剛剣()】が霧散し、剣は普通の刃を取り戻す。

 

「──見たかジンよ。これが……これこそが我等が【キシュラナ流剛剣()術】、奥義・【剛剣()】也。これこそが我等が剣の理念の形。我等が御技だ」

 

「す、すごいわね……」

 

「うん。本当にすごい……」

 

 ザルが静かにジンにそう語りかけると、固唾を呑んで魅入っていたフォウリィーが感嘆の声を漏らし、ジンが【|解析《アナライズ》】を士ながらも尊敬と羨望の眼差しをサイとリキュナに送る。

 

 そんな視線を受け、そっと顔を見合わせて微笑みあう二人。

 

「最初の言の葉は、【剛剣()】を呼び出すために自らと剣の意思を合一し、心に浮かべた【殺】一文字を剣に伝え、【剛剣()】として顕現させる儀式のようなものだ。一度剣との意思を疎通させてしまえば、剣は術者の【殺】一文字を振るう理念に答え、その姿を顕現させるようになる。リキュナ、サイ!」

 

ー『承知!』ー

 

ー【剛剣|()見参!!】ー 

  

「──【刃・大牙(タイガ)】」

「──【刃・輪廻(リンネ)】」

 

 ザルがそう説明し、二人に呼びかけると、それに応答した二人が、剣で天を指し……殺気を漲らせると、瞬時に剣が霧散して膨張し─

 

 リキュナの剣が円錐状の六本の腕を持つ【剛剣()】……【刃・大牙(タイガ)】に。

 

 サイの剣が、全身に刃のついたブレスレットのようなものを見につけた【剛剣()】……【刃・輪廻(リンネ)】へと変化する。

 

 挟み込むように六本の腕を交差させる【刃・大牙(タイガ)】と、全身の刃を回転させて空を切り裂く【刃・輪廻(リンネ)】。

 

 さすがに己の魂をかける【刃・(SOMA)】は見ることは出来なかったが、ザル・ザイ・リキュナはその奥義を惜しげもなくジンへと晒し、ザルがジンの剛剣を受け取り、士剣をジンに手渡す。

 

「見取り稽古は済んだな? ジンよ。……さあ、御主の剣。御主がここに来て、我等と共に学んだ剣の理念を……私達に見せろ! 示してみせろ! 御主が胸に刻んだ、その【殺】一文字! その意思を表せ!」

 

 ザルがあらん限りの裂帛の気迫をジンに叩きつけながら、ジンの覚悟を問う。

 

 真剣なザルと視線を交え、静かに士剣を構えるジン。

 

 初の一で土台を作りあげ。

 

 次の二で骨子を作る。

 

 中の三で心を鍛え上げ。

 

 後の四で神経を作り。

 

 終の五で肉体となす。

 

 其は剣鬼。

 

 その身に降ろすは剛なるものの志。

 

 剛を持って断ち切り。

 

 速を持って切り刻み。

 

 突を持って突き穿ち。

 

 滅を持って微塵とす。

 

 魂を持って無に返す。

 

 其は刃。

 

 腕を持ちて剛剣を振るい。

 

 四手を持ちて連剣を振るい。

 

 大牙を持ちて牙剣を振るい。

 

 輪廻を持ちて滅剣を振るい。

 

 梵を持ちて魂剣を振るう。

 

 其は士。  

 

 五つの過程を経て。

 

 五つの刃を心に宿し。

 

 五つの士を持って体現する。

 

 【五修法】を持ちて【五殺刃】を宿し、【五【剣()】に至る。

 

 其は【左武頼(さぶらい)】。

 

 其の名こそ、【キシュラナ流剛剣()術】の誉れ也。

 

 一度目を瞑り、静に自身の中へと埋没するジン。

 

ー重 圧 満 足ー

 

ー『……!!』ー

 

 八双に剣を構え、ジンの体から透明で混じりけのない気が立ち上る。

 

 そして……ジンが目を開いた瞬間。

 

 静かに……ただ静かに。

 

 それでいて大海に飲まれたような圧倒的な重圧・威圧感が周囲に満ち、空気が、風が、そして一同の息吹すら聞こえぬ無明の場となす。

 

❛【殺】の一文字、心に懐け❜

 

 思いを志に。

 

 ジンの纏う純粋な殺意という意思を込め、殺気となった気が剣へと集約されていく。

 

❛さすれば、その一文字は─❜

 

 殺気を刃に。

 

 天を突くかのように掲げられた剣の刃を形成する殺気が、やがてその剣を拡散させ、立ち上り、巨大な形へと姿を変える。 

 

❛牙となる❜

 

 剣を牙に。

 

 再び構えられた剣は、その形を剣という物理的なものから、【剛剣()】という……自らの【殺】一文字を体現する存在へと変貌を遂げる。

 

❛【殺】文字──【剛剣|()】❜

ー【剛剣|()見参!!】ー 

 

「──【刃・(カイナ)】」

 

ー剛 剣 一 刀ー

       

 ジンの意思に基づき、顕現した【刃・(カイナ)】が、その腕を十字に振るう。

 

「──【刃・四手(ヨツデ)】」 

 

ー瞬 刃 連 斬ー

 

 瞬時に剣が変貌し、【刃・四手(ヨツデ)】となった【剛剣()】がその腕を同時に振るい、剣閃を走らせる。

 

「──【刃・大牙(タイガ)】」

 

ー猛 牙 刺 突ー

 

 【刃・大牙(タイガ)】へと変貌した【剛剣()】がその六本の腕を振るい、まるで獣が噛み付くような動きで腕を挟む。

 

「──【刃・輪廻(リンネ)】」

 

ー剣 閃 乱 舞ー

 

 【刃・輪廻(リンネ)】へと変貌した【剛剣()】が、その体中の刃を回転させ、微塵に切り刻む。

 

「──見事!」

 

「すごい、こんな短期間で【剛剣()】をここまで……!」

 

 感嘆の声をあげるサイとリキュナ。

 

 しかし─

 

「否! まだ、まだだ! ジンよ、御主は何のために心に【殺】一文字を抱いたか! 何を背負い、何を持って【牙】となしたか! 御主はそれを見せておらぬ! さあ……我等に……その思いを! 【殺】の刃を! 【牙】を! 新しき一文字……見せてみよ!」

 

ー『?!』ー

 

 ザルは、まだその先があるとジンに激を飛ばす。

 

 ここで終わるようなものではないと。

 

 短い間ながら、自分が知りえたジンの思いの丈を全身全霊を持って支持し、その大きさを刻み込むために。

 

「───承知!」

 

 ザルのその熱い思いに答え、再び目を瞑るジン。

 

 【刃・輪廻(リンネ)】が解け、再び剣となった得物を持ち、ジンは剣を眼前に構える。

 

 大上段。

 

 額につけるかのように構えるジンが、自らの思いを、刃を殺気に込める。

 

 立ち上る殺気が大上段に構えられた剣へと集約され……剣がその形を……変える。

 

 刃を持って殺し、刃を持って屠り、刃を持って……守る。

 

 背後に背負う、仲間を、家族を、思いを守るために。

 

 絶対不可侵。

 

 刃の【結界】を持ってゆく手を阻む。

 

ー不 退 転 刃ー

 

 胸の前で合掌し、刃を掴むは白羽取り。

 

 その手で祈るは守護者の幸福と、眼前の敵への鎮魂。

 

 その背後に浮かぶ後光は()の刃。

 

「──【刃・戦授(センジュ)】」

 

ー剣 閃 界 斬ー

 

 ジンが目を見開き、【刃・戦授(センジュ)】が顕現した刹那。

 

 目視できないほどの剣閃が一瞬で奔り─

 

 先ほど試し斬りで微塵になっていた岩を含め、ジンが立つ位置以外の空間にあるもの全てが塵となる。 

 

 神々しいほどに……透き通った殺意と思いの元に生み出された新たな一文字。

 

 【刃・戦授(センジュ)】……剣閃界斬。

 

 不退転を持って自身を壁となし、範囲内の敵を塵と化す刃の【結界】を作り出す【剛剣()】。

 

 理念は守護。

 

「──見事ッ!! 【刃・戦授(センジュ)】……真、御主の心が形となった……真なる【殺】一文字!! 殺意を持って相手を殺す……それしか学ばず、それしか出来ない我等には生み出せなかった一文字よ。死中に活を、道には死を。死を思い、死と共に歩む我等が剣にはたどり着けなかった境地。……歴史には残らぬやもしれぬ。表には出せぬかもしれぬ。しかし……この一文字を我等は残そう。我等は紡ごう! 後の世へと。語る事が許されなかった……真なる刃がある事を!」

 

 膝を叩き、武者震いに心を、体を震わせるザル=ザキューレ。

 

 数千年続いてきた【キシュラナ流剛剣()術】において、まったく変化の無かった【剛剣()術】に新たな一文字を加える瞬間を見た歴史の証人として、そしてその剣の師となれたことに、ザルは感無量であった。

 

 静かに息を吐き、殺気を収め……ゆっくりと目を閉じて見開いたときには─

 

「──出来た、俺の……俺の【殺】一文字。俺の【刃】、俺の【牙】。俺の……【剛剣()】!」

 

 やり遂げたという顔で優しく満ち足りた顔で微笑むジン。

 

 その穏やかな顔に息を飲み、見蕩れるザル・サイ・リキュナと─

 

「すごい! すごいすごいすごいすごい、すごいじゃな~いジン! もう! あ~んもう、こんなに強いのにこんなに可愛い……ジンってば本当に最強ね!」

 

「むわ~?! ふぉ、フォウリィーさん?! い、息! いぶにゅふあわあ」

 

 感極まって涙目になりながら、ジンの顔を抱き締めるフォウリィー。

 

 胸に顔をうずめる形となり、顔を真っ赤にしながら離してくれるように頼むジンではあったが、暴走モードに入っているフォウリィーが聞き入れるはずもなく……無理に引き剥がすことも出来ずにタップや腕を叩いたりしてアピールするも、顔を嬉しそうにジンの頭にこすりつけるフォウリィーに翻弄され続けていた。

 

「…………ふ、ふふ! ふははははははははははははは!」

 

「く、くくくく! はははははははははははは!」

 

「ふふ、あはは! あはははははははは!」

 

 その状況を見て、先ほどまでの雰囲気が壊され、嘘のように陽気な雰囲気が修練場を満たし、あまりにもな現状に思わず笑うザル達。

 

「ふふ、ジンも人の子。女子には……まして連れ添いの母親代わりのフォウリィー殿には勝てぬか」

 

「く、ふふ……【キシュラナ流剛剣()術】を切り開いた稀代の剣士も、やはり人の子という事ですね、お師匠様」

 

「見てくださいサイ殿、お父様! あのジンの真っ赤な顔! ふふ、可愛い~!」

 

 三者三様、優しく暖かな視線でその様子を見守りながら……三人は頷く。

 

 いつか、いつかこの一文字が正式に日の目を見る日を願い、その日まで語り継ぎ、また、ジンの痕跡を隠蔽し、来る日までジンを要らぬ雑事から護る事を。

 

 それは奇しくも、【刃・戦授(センジュ)】と同じ理念。

 

 守護の心構えであった。

 

 

 

 

 

『ステータス更新。現在の状況を表示します』

 

登録名【蒼焔 刃】

 

生年月日  6月1日(前世標準時間)

年齢    7歳

種族    人間?

性別    男

身長    123cm

体重    30kg

 

【師匠】

カイラ=ル=ルカ 

フォウリンクマイヤー=ブラズマタイザー 

ワークス=F=ポレロ 

ザル=ザキューレ 

 

【基本能力】

 

筋力    AA+    

耐久力   B   

速力    BBB ⇒AA+ New

知力    S 

精神力   SS+   

魔力    SS+  【世界樹の御子】補正  

気力    AA+ ⇒SS+ New

幸運    B

魅力    S+   【男の娘】補正

 

【固有スキル】

 

解析眼   S

無限の書庫 EX

進化細胞  A+

 

【知識系スキル】

 

現代知識   C

サバイバル  S  

薬草知識   S  

食材知識   S  

植物知識   S    

動物知識   S    

水生物知識  S    

罠知識    A

狩人知識   S    

応急処置   A

地理知識   S  

医療知識   A+  

人体構造   S      

剣術知識   A

 

【運動系スキル】

 

水泳     A 

 

【探索系スキル】

 

気配感知   A

気配遮断   A

罠感知    A- 

足跡捜索   A

 

【作成系スキル】

 

料理     A+   

精肉処理   A

家事全般   A  

皮加工    A

骨加工    A

木材加工   B

罠作成    B

薬草調合   S  

呪符作成   S

ガーデニング S 

植物栽培   S 

 

【操作系スキル】 

 

魔力操作   S   

気力操作   AA 

流動変換   C     (魔力を気力に、気力を魔力に操作する能力。【自然力(神力)】解析において習得)

 

【戦闘系スキル】

 

格闘            A 

弓             S   【正射必中】(射撃に補正)

剣術            B+ ⇒A New

リキトア流皇牙王殺法    A+

キシュラナ流剛剣()術 B+ ⇒S New (【刃・戦授(センジュ)】創造)

 

【魔術系スキル】

 

呪符魔術士  S   

魔導士    EX  (【世界樹】との契約にてEX・【神力魔導】の真実を知る)

 

【補正系スキル】

 

男の娘    S (魅力に補正)

正射必中   S (射撃に補正)

世界樹の御子 S (魔力に補正) 

 

【特殊称号】

 

真名【ルーナ】   【呪符魔術士(スイレーム)】の真名。 

            自分で呪符を作成する過程における【魔力文字】を形どる為のキーワード。

 

【ランク説明】

 

超人   EX⇒EXD⇒EXT⇒EXS 

達人   S⇒SS⇒SSS⇒EX-  

最優   A⇒AA⇒AAA⇒S-   

優秀   B⇒BB⇒BBB⇒A- 

普通   C⇒CC⇒CCC⇒B- 

やや劣る D⇒DD⇒DDD⇒C- 

劣る   E⇒EE⇒EEE⇒D-

悪い   F⇒FF⇒FFF⇒E- 

 

※+はランク×1.25補正、-はランク×0.75補正

 

【所持品】

 

呪符作成道具一式 

白紙呪符     

自作呪符     

蒼焔呪符     

お手製弓矢一式

世界樹の腕輪 

衣服一式

簡易調理器具一式 

調合道具一式

薬草一式       

皮素材

骨素材

聖王女公式身分書 

革張りの財布        


 
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