No.432463

【獣機特警K-9】光と影の間で【交流】

古淵工機さん

こちら(http://www.tinami.com/view/430320 )の続きになります。
巨大な悪と立ち向かう少年たち。果たして彼らの目的とは!

◆出演:
K-9隊の皆さん

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2012-06-04 00:49:17 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:812   閲覧ユーザー数:752

さて、K-9隊がラミナ市を出発したその頃…。

 

「なっ!なんだ貴様らは!!」

「…大人しくしていれば、危害は加えない…」

フェザントヒル市内の路地裏では、黒服の男たちが複数の少年に取り囲まれていた。

少年たちは鉄パイプや刀、リニアガンなどで武装していた。

黒服の男たちも拳銃やナイフを持ってはいたが、その少年たちに蹴り飛ばされ今や丸腰の状態であった。

「さあ、全部話してもらうぜ悪党ども。ローゼン海賊団との裏取引をな」

威勢良く啖呵をきったのは、オセロット形ロボットの少年であった…。

翌日。夜も明けたばかりの街に、輸送車両が群れを成して走り過ぎる。

各地から集められたプラネットポリスの精鋭部隊が、次々とフェザントヒル市内に到着していたのだ。

その車両群の中に、K-9隊のナインキャリアーやナインチャリオット、そしてアイヴィーの駆るベティ・スピアGTの姿もあった。

「うひゃー、しかしヒデぇな」

と、ナインキャリアーの助手席から市街地の様子を見てウーがぼやく。

「それだけ治安状況が悪いということだな…」

と、助手席の後ろにある指揮官席で、エルザはぽつりと呟いた。

さらにその後ろにあるオペレーター席では、フィーアが状況を報告してゆく。

「まもなく、作戦目的地点に到達します」

 

やがてスピアGTを皮切りに各車両の扉が次々に開け放たれ、機動部隊の隊員たちが次々とフェザントヒルの地を踏みしめる。

警官隊の先頭に立ったのはアイヴィーだった。

「全部隊に通達。これよりフェザントヒル周辺地区の治安回復任務を開始します」

緊張した面持ちで身構える警官隊一同。その一方で、アイヴィーはさらに続ける。

「今作戦では私が最前線で自ら指揮を執ります。なお作戦上、長期戦が想定されるので十分注意のうえ、負傷もしくは機体破損があった場合はムリをせず救護班へ向かうこと。いいわね」

「了解!!」

そして作戦が始まった。K-9隊は3人ずつのチームに別れて作戦行動に臨んでいた。

そのうち、エルザはクオン、イシスとともに正面の廃倉庫へ突入しようとしていた。

「正面廃倉庫内に熱源反応あり。被疑者と思われます」

「よし、直ちに確保する。突入…」

エルザがその指示を出そうとしたその時だった。

なんと、3人の頭上を通り過ぎる少年たちが現れたではないか。

少年たちは窓ガラスを叩き割ると、すばやく突入した…。

 

「な、何なのアイツら!?」

「すぐに追うぞ!一気にこの倉庫を制圧する!!」

「了解!!」

すぐさま、少年たちの後を追って倉庫に突入する3人。そこで彼女らが見たものは…。

 

海賊の構成員と思われる女たちが縄で縛られ、先ほどの少年たちが取り囲んでいる光景だった。

「どういうこと!?」

「さ、さぁ…」

状況がよく把握できないクオンとイシス。そんな二人をよそに、エルザは縄で縛られている女性たちの下へ歩み寄る。

「警察だ!おとなしくしてもらおう」

その怒号の前に、女性たちは成す術もなかった。

しかし、それを見ていた少年の一人がエルザに問いかける。

「アンタたちが例のK-9隊か?」

「ああ、いかにもそうだが…」

しかし、目の前のオセロット形ロボットの少年は、信じられない言葉を発した。

「…ならさっさと引き上げるんだな…この街が危険だってのは知ってるだろ?」

「なんだと?」

「……この街には何度か警官が来たがみんな殺されちまってる。そんだけヤバいってことさ…」

「待て!お前たちは一体…」

 

「自警団さ」

「なに!?」

「この街の平和は俺たちが守ってるってことだよ」

 

その問答を聞いていたクオンは、すぐに駆け寄った。

「ダメだよ!だったら尚更、警察に」

「やられてばっかりの警察なんかアテになるのかよ」

「な…!?」

「それだけ危険な場所なんだ。結局俺たち自身が闘ってくしかねえってことさ」

「でも、キミだって見た感じボクと同じくらいか、それぐらいの子供じゃないか!」

クオンの言葉に対し、目の前のロボットは握りこぶしを作りながら答えた。

 

「…そうしてる間にも、その子供たちが狙われてんだ…」

「…!」

「とにかく何度も言うけどここは危険だ。死にたくなきゃさっさと帰るんだな…行くぞ」

そう言って立ち去ろうとした少年に対し、エルザが叫ぶ!

「…待て!」

「!?」

 

「せっかくの忠告を無視して君には申し訳ないが…我々にここを去る意思はない」

「バカか!?死ぬかも知れねーんだぞ!!」

エルザの言葉に驚く少年ロボット。それをなだめるように、イシスとクオンが続く。

「私たちはいつでも命懸けです。それに」

「キミたちだっていつ死ぬかもわからないってのに、こんな状況をいつまでもほうっては置けないよ」

「あ、アンタら…」

「そういうことだ…我々は帰らない」

 

倉庫内はしばらく沈黙が続く。見つめあうエルザと少年形ロボット。

お互い、目を背けるそぶりすら見せぬまま時間が過ぎる。

そして、先に沈黙を破ったのは…。

「…アンバーだ」

少年形ロボットのほうだった。

 

「?」

「アンバー・ホイットニー。こっちの無口なのはクラリス・ヤスカワだ」

「エルザ・アインリヒトだ、こちらはイシス・トライスター、そして九段下久遠だ」

「…いつでも命懸けか…でもこれだけ言っとく。もう後戻りはできねーぞ」

「ふっ…もとよりそのつもりだ」

「野暮な話は後だ。これからアンタたちを隠れ家に案内するよ。そこで作戦会議やるから、ついて来な」

 

それは小さな一瞬の出来事に過ぎなかった。

しかし、その一瞬の出来事の中で、確かに少年自警団は、そしてK-9隊は、お互いを認め合ったのだった…。

光と影に挟まれたこの街の中で…。


 
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