No.431765

IS 白い翼/可能性の獣

さん

この小説はISと一部のガンダムシリーズを混ぜた処女作です。
一夏たちの一つ年上のオリジナルの主人公で進めます。
一応ガンダムW、ガンダムUCのを出すつもりでいます。
できるだけ偏りがないようにしていくつもりです。
原作の兵器やシステムの意味合い、性能がかなり変わっています。

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2012-06-02 23:50:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5158   閲覧ユーザー数:4992

 

プロローグ 喪失と目覚め

 

 

市崎竜胆〈しざき りんどう〉はどこにでもいる男の子だった。

両親がいて友達がいて元気な男の子だった。

だが竜胆の人生を大きく変えてしまう出来事が起きた。

十月、竜胆の7歳の誕生日を祝って家族で

高速道路での5台の車を巻き込む玉突き事故。

内4台は大破炎上最後尾の竜胆たちが乗っていた車は奇跡的に後部座席は無事というあまりにも不幸な奇跡だった。

 

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「・・・うっ」

 

竜胆は前の座席に思いっきり頭をぶつけて気絶していた。

朦朧とする意識で必死に両親に呼びかけた。

 

「・・・父さん母、さん。大丈夫・・・?」

「・・・・・」

狭い視界の中で両親を探した。

体も強くぶつけて体中のあちこち痣や擦り傷ができていた。

それでも痛みを無視して両親が座っている運転席と助手席の間に自分の体身体を押し出した。

 

「・・・・え?」

 

竜胆の目に映ったのは身体に鉄パイプが突き刺さっている両親の姿だった。

顔に、腹に、腕に、至る所に鉄パイプが刺さっていた。

 

「あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

喉が張り裂けんばかりの大声を上げて竜胆はもう一度意識と手放した。

そのあとその声を聴いた一人の大人が危険を顧みず竜胆を車から救出した。

名前は桐谷星治、代々暗部更識家に仕えている家柄で最年少で現桐谷家当主に成り、若くして星治は更識家の右腕とも称される人物だった。

 

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楽しい夢を見た水色の髪をした女の子二人と遊んでいる夢だ。

何をして遊んでいたかはわからないけど三人で笑ってとても心地が良い夢だ。

しかし夢は少しずつ確実に覚めていく。

 

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竜胆が目を覚ましたのは病院のベットの上だった。

身体が鉛のように重い、だが視界だけははっきりとしていた。

 

「おぉ、起きたか」

 

声のしたほうに目を向けると病室の扉の前で立っている男性がいた。

見た目は20歳後半で長身でこげ茶の髪を無造作に束ねていてやる気のない目をしている。

 

「なぁ、お前今失礼なこと考えただろ?」

「・・・そんなことは、ない」

「はぁ、今の間はなんだよ。ま、いいか。ん~じゃまず自己紹介と行きますか。」

 

男はゆっくりと椅子に腰を掛けた。

 

「ふぅ、俺の名前は桐谷星治。お前は?」

「市崎竜胆」

「へぇ、記憶が無いわけじゃないんだな」

「あと、覚えてない」

「・・・え~ウソ」

「ウソじゃない」

「はぁ、じゃあ自分の名前しかわかんないんだな?」

「うん」

「えぇ~っと」

 

星治は顎に手を当てていかにも考えてるポーズをとっている。

でも真面目に考えてるようには見えない。

 

「あぁ、じゃあ親のことも忘れたのか?」

「うん」

「そっか」

 

キリヤの質問に即答すると今度はう~んと唸りながら頭を抱えている。

頭でもいたんだろうか?

そんなことを考えているとキリヤが急に椅子から立ち上がった。

 

「なぁ、お前ウチに住む気はないか?」

「え?」

「いやぁ、だから俺の家がお前の家にもなるってことだ」

「・・・・」

 

目覚めてからあまり時間もたってないのにこんな話をされたら誰だって混乱する。記憶が無いならなおさらだ。

星治は心の中で自分の発言に対して自分を罵倒していた。

 

《バカか俺は・・・こんな状態で俺は何を焦ってるんだ?》

 

自分の軽率な発言の理由は後回しにして星治はとりあえず竜胆に謝罪することにした。

 

「あぁ、悪い、急にこんな話されたら困るよな」

「・・・住みたい」

「ん~、話を振っておいてなんだけどそんな簡単決めていいのか?」

「うん・・・でも迷惑なら」

「いやぁ、俺は全然迷惑じゃないけど」

「・・・ホント?」

 

竜胆は少し怯えた表情で星治を見ていた。

星治から言い出したことでもあり断る理由はない。

 

「おぅ、こんなタチの悪い冗談なんて言わないって。で、どうする?無理にとは言わないが」

「なら住む」

「あぁ、これからよろしくな」

 

そう言いながら星治は優しく頭を撫でてくれた。

竜胆は頭を撫でられて気持ちがよかったのかほんの少しだけ笑った。

 

「ん~、じゃあ今痛い場所とかないか?」

「ない」

「えぇ~っと、すぐに動けるか?」

「すぐには無理」

「まぁ、怪我は完治しても1ヵ月も寝てて急に動けないか、今から医者呼んで少し待ってろ」

「うん」

「よぉし、大人しく待ってろよ?」

「待って」

 

竜胆自身なんで星治を呼び止め止めたのかはわからなかった。

強いて言うならただの気まぐれだろう。

 

「ん~、どうした?」

「夢を見た」

「ほぉ、夢ね。どんな夢だ」

「水色の髪をした同い年くらいの二人の女の子と遊ぶ夢」

 

それを聞いた星治は少し動揺した。

それを表情に出さずに会話を進める。

 

「ん~っと、じゃあ二人の顔を覚えてるか?」

「よく覚えてないけど、とても顔が似ていた気がする」

 

星治もこれには驚いた。

なんせ自分が知っている人物たちとほぼ一致するからだ。

 

「ふ~ん、会いたいのか?」

「できれば会いたい」

「そっか、会えるといいな」

「うん」

 

竜胆の返事を聞くと星治は急ぐように病室から出て行った。

 

 

 
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