No.422013

超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第十話 把握

相変わらず話は地味です……。

戦闘シーン、難しいけど書きたいです……。

でもこの件が終わるまで書けないです(涙)

2012-05-12 23:15:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:964   閲覧ユーザー数:921

現在ラステイション

 

重厚なる黒の大地ラステイション

それはたとえ夜になっても色あせることを知らない。

いや、むしろ夜だからこそ、それはさらに輝きを増すのかもしれない。

至る所に建設されたパラボラ。

国を象徴するかのように建てられた数々の漆黒の工場。

一見それらは乱雑に建てられているように見えるが、夜になりネオンがそこに加わることで

それらは1つの芸術品としてそこに君臨する。

街を彩るためのネオンはその機能を十二分以上に発揮し、工場はそのネオンによって

さらに黒を際立たせ輝きを増し、人々を魅了させる。

 

 

 

その中で青年レオンは視線を落としながら歩いていた。

黒いスーツに身を包み、誰とも顔を見合わせぬように人ごみの中をただ進んでいた。

一見すればそれは何処でも見受けられるごくごく自然の光景

だが人々は知らない

その青年が人間でないことに

夜の世界の住人であることに

ただ一人たりとも

 

 

20分ほど歩いた。

別に当てがあったわけではない。

たどり着いた先がそこだった、ただそれだけだった。

「ラステイション中央図書館」

 

レオン(……ここになら。)

 

目の前にある建築物の一箇所を見つめながら心の中で呟いた。

日が落ちてからすでにかなりの時間がたつ。

もう図書館に入ろうというものなど皆無だった。

出入り口からは続々と家路へ着くものが出てくる。

そんな中をレオンは相変わらず視線を落としたまま静かに入って行った。

 

 

 

自動ドアが開くと同時に目に飛び込んでくるのは天井に点在する無数の照明だった。

目が暗闇に慣れていたせいか思わず右手を目の前にかざして照明を遮り、視線をさらに下に落として目を細めた。

目が慣れてきたところで視線を上げ辺りに目をかけた。

白い光が射す中で、棚に並んだ無数の本がその特徴的な表紙でレオンを出迎えた。

目に映る本は機械がらみのものが大多数を占めていた。

だがレオンはそんな本には全く目もくれなかった。

再び視線を下に戻し、図書館の中を静かに歩き始めた。

 

 

 

ずっと無言で歩き続けていたレオンの足取りがあるタイトルの本の前で突如止まった。

「ラステイションの現状と過去」

気がつくとレオンの手はその本に向かって伸びていた。

本を両手に持ち、パラパラとページをめくり、あるページでその動作を止めた。

 

―――我が国はゲイムギョウ界の東方をおさめる貿易国家である。

他の3国家の中心に位置するため、ゲイムギョウ界の貿易の中枢を担っている。

首都は海岸沿いにあり、ゲイムギョウ界の貿易都市として重要な役割を持っている。

現在、我が国は女神であるブラックハート様によって治められている。

 

止めたページにはこのようなことが書かれてあった。

そのページを見つめながらレオンは軽くため息をついた。

一通りそのページを読み終わるとまたページをめくり始めた。

 

―――我が国の他に3国家共々、女神は最高権力者として君臨している。

女神は別名、守護女神とも呼ばれ、人々の信仰を力の糧としている。

 

どのページをめくっても同じようなことが連続していた。

本の2/3程を読み終わったところで図書館内の静寂を1つのアナウンスが引き裂いた。

 

「まもなく閉館いたします。館内に残っているお客様は―――。」

 

アナウンスが流れると同時に館内に残っているわずかな人たちが一斉に出入口へ向かって歩き始めた。

レオンはページを無造作にめくり続け、それが終わると視線を出入り口に向け、本を棚に戻した。

もうすでにその足取りは出入口に向かっていた。

 

―――後のことはあいつ等が何とかするだろう。

 

レオンは心の中で呟きながら出入口を出た。

その目にはラステイションのネオンが放つ光が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

  ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在ルウィー

 

エスター「犯罪組織ィ?」

少年「うん、そうだよ。」

 

疑念を帯びたエスターの言葉に少年が返す。

ルウィーの中心部から少し離れた広場にエスターはいた。

日が暮れて闇に包まれている公園にもなお子供達は遊び続けていた。

そんな子供達にエスターは情報を聞いていた。

 

エスター「そいつらが町外れの倉庫に居るんで?」

少年「うん。パパもママもそう言ってる。」

少女「でも危ないから近づいちゃいけないって大人は言うの。」

 

エスターの問いに少年と少女が答える。

少女はどこか不満そうな顔をしていた。

エスターは視線を少女に向けて少女に問いかけた。

 

エスター「その犯罪組織ってのは何か悪いことでもすんのか?」

少女「う~ん、わかんない。でも無料でゲームをダウンロードできるマジェコンって言うのをくれるから

私たちにとってはいい人たちかな?」

少年「でも最近全然姿を見かけないし、マジェコンもなぜか動かなくなっちゃったんだ。」

エスター「ふーん、ありがとよ。じゃ、良い子はもう帰る時間ですぜ。」

子供達「はーい!」

 

そう言ってエスターは子供達に背を向けて歩き出した。

もうすでにエスターの向かう先は決まっていた。

銀の粉粒が風を舞い、地面に降りては姿を消す。

その中を足元の白い絨毯を踏みしめながらエスターの足取りは町外れへと向かっていた。

 

 

 

 

夢見る白の大地ルウィー

その幻想さは夜になると独特の妖艶さを出す。

昼にはきらびやかな光景が映し出されるルウィーであるが、夜は全くその姿を変え、妖艶さが浮き彫りになる。

美しさという点では昼も夜も大差は無い。

だが昼の輝かしい美しさとは対照的に夜はその白い大地を包む闇と月光が、ルウィーをこの世ならぬ幻のように見せていた。

 

 

 

約30分後、ルウィー町外れの倉庫にたどり着いた。

倉庫はエスターが想像していたよりも遙かに大きかった。

それは巨大な鋼の箱にも見えた。

縦30m、横70m、高さ7mのそれは、ルウィーの郊外に場違いな構造物として建っていた。

エスターは一切躊躇せず、倉庫の扉の隙間から両手をポケットに入れたまま静かに入って行った。

エスターはふと、倉庫のあちこちに目線を配った。

薄暗い倉庫の中は多少、物が乱雑に置かれている程度でがらんとしていた。

だがエスターは気づいていた。

そこに潜むいくつもの気配に。

 

 

突如、背後から大きな音が鳴り響いた。

振り向くと倉庫の扉が勢いよく閉められていた。

それと同時に薄暗い倉庫から何処からとも無く数十人の男達が現れ、エスターを取り囲んでいた。

その手に握られているのはある者は鉄パイプ、ある者は斧、他に銃、金属バット、刀剣など、どれも凶器であふれ返っていた。

しばらくしてここのリーダーと思われる男がずかずかと前に出た

 

男「ここが犯罪組織の拠点と知って来たのか?」

エスター「あー、まぁ。」

 

男は脅迫するようにエスターに問いかけるが、エスターは相変わらずポケットに片方の手を突っ込んだまま

もう片方の手で後頭部を掻きながら緊張感無く答える。

だがその視線は心なしか先ほどよりも鋭くなっていた。

 

男「目的は何だ?」

エスター「目的なんか何にも無いでさァ。興味があったから来ただけでィ。でもこの分だとお邪魔みたいだから帰らしてもらいまさァ。」

男「そんなことが通用すると思っているのか?」

 

ふとエスターが周りに目をやると、すでに他のメンバー達は武器を構えてエスターのほうに向けていた。

エスターは軽くため息をつき、再び男の方へと視線を戻した。

 

エスター「何のつもりで?」

男「とぼけるな!貴様、教会の回し者、女神の信者だな!」

エスター「女神の……プッ、アッハハハハハハ!」

 

男の言葉に突如、エスターは腹を抱えて笑い出した。

その奇怪な行動に男は少し動揺したが、すぐに持ち直してエスターを睨みつけた。

 

男「なっ、何がおかしい!」

エスター「アハハハッ、いやあ、俺が女神の信者だって? 逆ですぜ、そいつぁ。俺ァ女神を殺したくってうずうずしてんでさァ。まあ、あんたらの味方でもないですがねェ。」

男「ほう。まあいい。だが少しは自分の心配をしたらどうだ?」

 

男はあざ笑うかのようにエスターに言い放つ。

それは決して間違った言葉ではなかった。

エスターを取り囲んでいるメンバーはざっと見積もっても80人はいる。

さらにそのメンバーはすでに思い思いの武器をエスターに向けて構えている。

対するエスターは丸腰な上にその両手をポケットに突っ込んでいる。

誰がどう見てもそれは正気の沙汰ではなかった。

だがエスターは少しも臆することなくその場に静止している。

 

男「ここに来たのが運の尽きだったな……殺れ!」

メンバー達「おおぉぉぉぉおおお!!」

 

男の合図と共にメンバー全員が奇声を上げてエスターめがけて武器を構えて特攻を仕掛け、銃を乱射した。

 

 

 

 

 

 

数多の銃声と奇声が響くその中で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスターはその姿勢を崩さぬまま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不気味に頬を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

現在リーンボックス

 

雄大なる緑の大地リーンボックス

周りを緑で囲まれた都市部は夜にはその近代さを際立たせる。

周りの緑が漆黒に染まる中、都市部のハイウェイは緑色の光を帯びて美しい線を描く。

周りが漆黒であるがゆえに、町中を包む緑のネオンはより一層人々の目を釘付けにする。

 

 

ライはリーンボックスの中心部を歩いていた。

夜気は心地よかった。

リーンボックスに吹く風は新緑の香りを乗せながらビルの間を吹き抜け、ライの美しい青い髪をなびかせていた。

すでにこの辺りを歩き始めて1時間近くたっていた。

 

ライ(情報って言ってもなぁ……。)

 

心の中で愚痴を漏らしながら、ライは眉を細めつつ、後頭部をがしがしと掻いて歩いている。

五、六歩行ってからライの視線は彼の真横の建物に釘付けになっていた。

正確にはそこから発せられるなにかがライの嗅覚を釘付けにしていた

 

ライ(こういう所にこそ情報はあるんだよな、うん。)

 

何やら心の中で自身に言い聞かせながら、その建物の扉を無造作に開けた。

 

「らっしゃい! お一人様で?」

 

威勢のいい声が辺りに響き渡る。

長時間歩き続けたせいで、ライはその飲食店から流れる食べ物の匂いに釘付けになっていたのだ。

 

ライ「ああ、一人だよ。」

店長「相席になるけどいいかい?」

ライ「かまわねえよ。」

 

案内された席にはすでに3人の客が各々酒を酌み交わしつつ、長話に興じていた。

 

ライ「おじゃまします。」

 

 

 

30分後

 

 

 

客1「ハッハハハッ、兄ちゃん面白いこと言うな。よし!今日は奢ってやるよ。好きなだけ食って飲め。」

ライ「ありがとな。おじさん。」

 

ライと話している3人の客は、どれも中年ぐらいの男であり、ライトは相当年が離れていた。

それでもライは年の差を感じさせないほどにその場に溶け込み、気楽に話していた。

 

ライ「ところでおじさん。俺、まだこの国に来て日が浅いんだ。だからこの国のこと色々と教えてくんねえか?」

客1「おう、いいぜ。」

 

ライの問いかけに客の3人は気前よく答えた。

3人とも顔はトマトのように真っ赤になってはいるが、特に滑舌を崩さずに話し始めた。

 

客1「まず、この国はリーンボックス。ゲイムギョウ界の南にある国だ。」

客2「この国で自慢できるのは豊かな緑と……軍事だな。」

ライ「軍事?」

 

軍事という言葉にライが眉を動かして反応する。

だが客達はそんなことは一切気にせずに話を続けた。

 

客2「おうよ。4国家の中じゃここが1番だ。」

客3「んでもって1番交流が深いのがラステイションだな。まぁ、互いにライバル視してるけどな。」

ライ「ふーん。」

 

ライはグラスを片手に軽く首を上下させながら3人の話を聞いていた。

大体国の話が終わりかけたところで一人が切り出した。

 

客1「そうそう忘れちゃいけねえや。この国は女神、グリーンハート様が治めてんだ。」

ライ「あーその話!詳しく聞かせてくれ!!」

 

待っていたといわんばかりに客を指差してライは話に食らいついた。

客の3人はニヤけながら話を続けた。

 

客2「おしとやかで綺麗なんだよ。それにすごい巨乳だしな!アッハハハ!!」

客3「こらこら。まあとにかく綺麗なんだよ。でもあんまり人前に顔を出さないな。」

客1「まぁそう言やぁそうだな。それに最近おかしなことの連続だしな。」

ライ「おかしな事?」

 

ライが首をかしげた。

3人の客は互いに顔を見合わせてあぁあぁと首を縦に振った。

 

客3「3年ぐらい前かな? ずっと女神様が姿を見せなかったんだ。でも1ヶ月ちょっと前、急に姿を見せてな。」

客2「んで、すぐまた姿が見えなくなったと思ったら、リーンボックスがいきなりプラネテューヌって名前を変えちまったんだよ。」

ライ「何で?」

客1「さぁ? でもまたこの間、女神様が姿を見せて、名前も元のリーンボックスに戻ったんだ。」

ライ「なるほどな。」

 

ライは顎に手を当てて視線を少し下に向けていた。

だがしばらくして視線を戻してグラスをその場に置いた。

 

ライ「色々ありがとな。じゃ、俺そろそろ行かなきゃなんないから。」

客1「おう。また飲みに来いよな。」

 

ライは店を出る前に客の3人に軽く手を振って店を後にした。

ライが出て行ってからしばらくして、客の1人がライの話を切り出した。

 

客1「しかしあの兄ちゃん、美形だったし、おもしろかったよな。」

客2「兄ちゃん? お前誰のこと言ってんだ?」

客1「はぁ? さっきまで一緒に飲んでた兄ちゃんだよ。なぁ?」

客3「いや、俺たちはずっと3人で飲んでたじゃねえか。」

 

客の1人がライの話をすると、もう2人が首をかしげて知らないと言った。

2人の言葉に残りの1人が呆れた表情をした。

男は頭をぐしゃぐしゃと掻いてグラスをテーブルに置いた。

 

客1「お前らもう酔ったのか? おーい、店長。さっき俺たちと一緒に飲んでた兄ちゃんが店を出て行ったよな?」

店長「さぁ? どんな人でしたか?」

客1「どんな人って……?」

 

男はふと、大事なことを忘れたように首をひねった。

 

客1「どんな人だっけ? そもそも人なんか居たか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライ「こんな物でも役に立つ時はあるもんだな。」

 

歩きながらライは左手の中にあるそれを見ながら小さく呟いた。

 

ライ(記憶の(ランプ)、あんまり使いたくないぜ。)

 

ライはため息を漏らして歩き続けている。

視線を下に向けながら、ずっと1つの思いを頭の中で考え込んでいた。

 

ライ(人間にも……色々あるってか。)

 

思いながら左手の中にある記憶の灯を袖にしまいこんだ。

その後、ライは裏の通りへと入っていって、闇の中にその姿を落としていった。

 


 
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