No.420250

京子×向日葵(ブログSS)

初音軍さん

ブログで綴ったCPのSS。だいぶ前のですが、なかなか新しいのが書けないので投稿させていただきます(´・ω・`)

2012-05-08 18:18:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:673   閲覧ユーザー数:667

向日葵視点

 

  夕飯の支度をするためにスーパーに寄っていた時のこと。

 後ろから妙な気配を感じて振り返ろうとしたちょっと前に胸元に手を伸ばしてくるのを

 感じて悲鳴を出す前に反射的に振り返り様に裏拳を無意識に放ってしまい。

 

  見事に相手の方の顔面にめり込んでしまった。その方はもろにぶつかった顔に両手を

 当ててしゃがみ込んで痛がっていた。良く見るとそれは歳納先輩の姿であった。

 

  うっかりとはいえ、先輩をぶちのめしてしまったことを私は慌てて歳納先輩の手を取って

 立ち上がらせて謝った。すると、何事もなかったかのように先輩はケラケラ笑いながら

 流してくれた。

 

  「うむ、いいパンチだったぞ」

  「は、はぁ・・・」

 

  どうしてここにいるのだろうと思っていると先輩はそんな私の考えてるのがわかったのか、

 両手をわきわき動かしながら。

 

 「そこにひまっちゃんがいたからだ!」

 「ど、どういうことですの・・・?」

 

 「まぁ、知り合いがいたら声かけるのは当然っしょ~」

 

 まぁ、気まずい関係ではないから、そういうものなのかもしれないけど。

それにしたって・・・。

 

 「なんか胸の方に向かって気配を感じたので櫻子と勘違いしてしまいましたわ・・・」

 「あぁ、うん。私もおっぱい狙ってた」

 

 「なっ・・・!」

 「だって、ひまっちゃんの気持ちよかったから」

 

  理由がどこか櫻子に似ていて、危うく先輩を叱りつける所だった。しかし、こういう素直な

 とこだったり、頭がよかったりする所は全然似ていないけれど。

 

 「そういえば、ひまっちゃんは何してるの?あ、買い物だよね」

 

 スーパーにいるのだから当たり前だけど、恐らく先輩は夕飯のことを聞いているのかも

しれない。

 そう思った私は籠に視線を向けながら。

 

 「今日は鍋にしようと思ってまして・・・」

 「おお、いいね。寒い時は鍋に限る~」

 

  嬉しそうに語る先輩を見ているとその流れは夕ご飯に呼んで欲しいとばかりに聞こえた。

 ここでスルーするのは申し訳ないから私は先輩に声をかける。

 

 「歳納先輩、よかったら食べにきますか?」

 「いいの!? いやー悪いね。催促しちゃったみたいで」

 

  みたいで、というよりそのままな気がするけれど、喜んでる姿を見てると嫌な

 気がしないのでそれはそれでいいかと納得したのだった。

 

  帰ってくると、新しいお客さんの姿を見て、一瞬驚いた楓だったが、すぐに表情を直して

 笑顔で迎えていた。それを見て、歳納先輩は少し驚いた様子だった。

 

 「あはは、すごいね。まるでマリちゃんみたいにしっかりしてる。妹ちゃん?」

 「あ、はい。そうです」

 「よ~し、じゃあ今日はお姉ちゃんが遊んであげようかな~?」

 

  暫く様子を見ていると、歳納先輩の取っていた主導権をいつの間にか楓が握っていて

 逆に遊ばれている感じになっていた。

 

  私は夕食の支度をすると言って、その場を離れた時に、ふと櫻子も呼ぼうか迷って

 メールを送って準備を始める。だが、一向にメールが返ってくることはなく。

 

  ようやく返って来たと思ったら、それは両親が仕事が長引いて今日は遅くなるという

 報告だけだった。普段とは全く違う人達で食卓を囲んだが、その雰囲気を吹き飛ばすような

 明るさで歳納先輩がトークを繰り広げていた。

 

 「いやぁ、美味しかったよ~。結衣と同じくらいかなぁ~」

 「あぁ、確か船見も料理が得意という話を聞きましたね」

 

 「そうなんだよ~。いつも食べにいってるけど、癖になっちゃいそうで。今度ひまっちゃんも

 呼んであげるね~」

 

  一々ケンカ腰の櫻子と違い、ストレスを溜めないように気を遣ってるのかなんだか

 穏やかな気持ちで話をしていたら。

 

 「いつも一緒にいる櫻子も歳納先輩みたいに素直に感想くれると嬉しいですけれど・・・」

 「そうなのか~」

 

 「はい、褒めるどころかいつも、ケンカ腰で疲れてしまいますわ」

 「へ~・・・」

 

  溜息を吐く私に先輩がにじりよってきて、顔を近づけてくる。普段ふざけているような先輩も

 黙って私を見つめるその表情が少し凛々しく見えてかっこよく見える。

 

 「後輩ちゃんはわかってないのか、素直になれないんだね~」

 「えっ、ちょっ・・・。歳納先輩・・・?」

 

  どんどん近づいてくる先輩は止まる気配を見せずに、ついには顔がつきそうになるくらいの

 距離まで縮まっていたではないか。冗談なのだろうか、それにしては目が本気に見えて

 怖いキモチと、別の意味でドキドキしているのが一緒になって頭が真っ白になってきた。

 

 「ひまっちゃん、こんなに魅力的なのにね!」

 

  すると、表情がいつもの先輩に戻って、いきなり私の胸を鷲掴みにしてきた。

 それも、強く掴むのではなく勢いの割りに優しく掴まれて、思わず変な声が漏れてしまう。

 

  普段から櫻子に酷い扱いを受けているせいもあって、その反動か自分でも驚くほど

 感じてしまっていた。その時に、玄関から大きな音を立てて入ってくる音が聞こえた。

 

  「向日葵ー!ご飯を食いにきてやったぞー!」

  「さ、櫻子・・・!?」

 

  急な訪問に更に驚いた私は目の前にいた歳納先輩を押しのけて立ち上がった。

 さっき、まるで押さえつけられていたような感覚が嘘のようにあっさりとその体勢から

 逃れられていた。

 

  「あはは、ごめんね。怖がらせちゃって。今日は楽しかったよ~、よかったらまた呼んでね」

  「あ・・・は、はい・・・」

 

  通りすがりに櫻子と先輩が軽く挨拶を交わした後に、いつものように偉そうな態度で

 櫻子が来た頃にはすっかり私の気持ちは落ち着いていた。あの感覚はなんだったのか。

 

 私にはよくわからなかったけど・・・ただ・・・あまり嫌はなかった。

体や頬が火照って変な感じ。

 

 櫻子の時とは少し違う、刺激を感じたのだった。あれは言葉にすると何と言うのだろう。

 

  「ほら、櫻子さまがせっかく来たんだから、さっさと用意しなさいよ!」

  「わ、わかってるわよ・・・!?」

 

  いつの間にか目の前には櫻子が偉そうに私に言うと、私はいつものように反撃をしようと

 してから、部屋を出ようとすると、櫻子に腕を掴まれる。視線を戻すと、櫻子は怪訝な顔をして

 私に聞いてきた。

 

  「なんかいつもと違うけど・・・なんかあった?」

  「な、何もないわよ」

 

  何もないわけじゃないけど、何もなかったから嘘ではないだろう。櫻子には先輩が来たから

 緊張して疲れただけと言っておいた。そんなことで、と笑われつつも、いつもの空気に体が

 慣れてきて、調子が戻ってきて、いつものように振舞うことができた。

 

 やはり、今の私にはこの生活の方がしっくりきていいのかもしれない。だけど、歳納先輩の

ことが頭から離れないのも事実で、考えると胸が鳴って落ち着かなくなるのだ。

 

  これからどういう顔をして会えばいいのか。別のことで気を遣うことになってしまうので

あった。

 


 
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