No.414378

超次元ゲイムネプテューヌ Original Generation Re:master 第15話

ME-GAさん

15話です
プル様が天使すぎて死んじゃう
アイリス様が女王様すぎて踏まれたい

2012-04-26 16:26:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1338   閲覧ユーザー数:1278

「……ベール? ねぷ子?」

テラは未だ寝惚けたような声で二人を呼ぶ。

二人はふるふると震えながらテラに抱きついた。

「戻ったー!」

「やりましたわー!」

「わぷ!? ちょ、二人ともいきなりなn――!」

テラはそのままの勢いで押され、三人はベッドにバタンと倒れ込む。

「お、おぉい! 二人ともとりあえず離r――ハッ!?」

部屋の入り口からとてつもない殺気を感じてテラは冷や汗を垂らす。

見れば、そこにはコンパとアイエフが現状を冷ややかな視線で見ている。

「……」

「……」

無言が痛い、とテラは内心で叫ぶ。

「え、と……アイエフ? コンパ? どうかしたのか?」

見れば、そそくさとネプテューヌとベールは部屋の隅に逃げている。

恐らく二人の異様な殺気を感じ取ったのであろうが。

テラは一歩後退るがそれと共に二人は同じく距離を詰める。

その後も殺気を受け止めながらずりずりと後ろに下がり、やがて壁にぶち当たる。

「あのですね、心配かけたのは本当に悪いと思っているのですが、実は俺にも何というか面倒くさいワケが――」

そこまで言ったところで二人は『それじゃねえよ』といったオーラを出すのだが、テラは何か――アレなので気付かない。

「とにかく、俺はこうして戻ったんだし安心しt『ゴスッ』――ゲフッ!」

コンパからは肘打ちを、アイエフからは踵落としを脳天に喰らい、テラは地に伏した――。

 

 

 *

 

 

涙目で脳天にこさえたタンコブをさすりながら、テラは促されるとおりに協会の応接室の椅子に腰掛ける。

向かいに座るベールは申し訳なさそうな表情をしてから重々しく口を開く。

「迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳ないですわ……」

「でも、まだ終わったワケじゃないよ。宣教師もどきには逃げられちゃったし」

アイエフは背もたれに身を預けて口を開く。

「それに、貴族と協会の問題だって解決はしてないわ。争いが無くなったって言ってもまだ休戦状態って感じだしね」

「でも、とりあえずは何かをされる前に宣教師さんが先です。あんだけ目立った格好をしてるんですから分かりやすいですよ!」

4人は立ち上がり、リーンボックスの街へと繰り出していく。

「気をつけていってらっしゃい」

ベールの言葉を背に受けて4人は協会をあとにした。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

情報を受けて一行はとあるダンジョンに来ていた。

ふとしばらく進んでいると行き止まり、そこには宣教師、もとい謎の女性が佇んでいる。

「待ちわびたぞ。……我が正体を知られたからには生かしては返せないな、覚悟しろ!」

アンタホントにバトル好きだな、と一行は胸の内で思った。

しかし、今回は勝手が違っていた。

女性が何やら指示をすると、頭上から大きな影が落ちてくる。

「ッ!」

テラは3人を抱えて横に跳ぶ。

ズシンと重量感のある音が響き、濛々と砂煙が舞う。

煙が晴れた先には大きな剣を構えた蜘蛛と人の融合体のようなモンスターがテラ達を睨みつけている。

「おいおい……、随分と強そうな相手じゃねえか……?」

テラは武器を構えつつも、ひくひくと顔を引きつらせる。

「フン……。本当ならこんな場まで連れてくるモノではなかったのだが、しかたがない!」

女性が右手を振り下ろすと同時にモンスターも剣を構えて突進してくる。

ネプテューヌは姿を変えてまずモンスターを斬りつける。

バキンと硬質な音と共にネプテューヌの太刀が弾かれる。

「硬っ……!」

その隙にモンスターはネプテューヌに剣を振る。

刃は太刀で防いだが、そのまま勢いに乗ってネプテューヌは壁に叩き付けられる。

「く……!」

「てい!」

コンパの叫びと共にモンスターの身体のあちこちから爆炎が上がる。

コンパの支援放射で何とか脱出したネプテューヌは壁を蹴ってモンスターの頭上に跳び、そこからモンスターの脳天に跳び蹴りを入れる。

「ハッ!」

女性は火球を発射する、しかしテラが氷弾を撃ち、それを相殺する。

ナイフと杖がぶつかり、火花を散らせる。

「アイエフ!」

「了解!」

アイエフが女性にハイキックを叩き込む。

怯んだ女性にローキックで攻めるも、女性は後ろの大きく跳んで攻撃を避ける。

「……流石に、この状況では分が悪いな。引かせて貰おう」

女性はそう言うと瞬く間に靄のように姿を消した。

「……逃げた?」

「逃げたわね……」

二人はしばらくポカーンとしていたが後方からの轟音で身体の向きを変える。

「ちょ、おま……! これはっ!」

ドカンとテラの真横に以上に『巨大化』した剣が振り下ろされる。

「何したの!? 私達が目離してる間に!」

モンスターは口(?)からボフッと炎を吐き、その姿は先程の2、3倍はあろうかと言うほどに『巨大化』している。

「知らないですぅ! ずっと撃ってたらこんなになっちゃったんです!」

涙目でそう叫んでくるコンパを横目にテラはがら空きになったモンスターの足下に潜り込んでそこから頭上に向かって氷弾を撃つ。

暫しの静寂の後、モンスターはがくといくつかの脚を傾けて地面に片手を突く。

テラはそこを離れてから叫ぶ。

「腹は結構いけるぞ! そこに集中砲火!」

ネプテューヌは下に潜り込んでから太刀を一薙ぎ、モンスターをしたから斬り上げる。

 

モンスターは叫び、その身体は土片になってボロボロと崩れ落ちる。

そこからは光り輝く小さな破片が現れる。

「これは……」

「鍵の、欠片?」

現れるそれはただの石片に過ぎない、しかし一際異彩を放つそれはまがう事なき『鍵の欠片』、彼らが求めたモノであった。

「これで3つ目、です!」

コンパと変身を解いたネプテューヌはやった、とハイタッチで喜びを噛みしめている。

「やれやれ……リーンボックスの鍵の欠片集めもようやく終わったな」

テラはポリポリと後ろ頭を掻いて溜息を吐く。

「とは言っても、まだ問題は解決してないわよ」

アイエフはハアと一際大きな溜息を吐いてまだやたらテンションの高いネプテューヌとコンパを引き連れてそそくさとダンジョンを後にした。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

協会の応接室の扉を開ければ、そこにはベールと貴族長であるテュルコワーズに教院長のイヴォワールが神妙な面持ちで座っていた。

ベールは一行の姿を見ると近くのソファを指示して座るように促す。

一行はとりあえずソファに腰掛ける。

ネプテューヌの姿を見てイヴォワールは声を荒げて立ち上がる。

「なぜ彼女らがココに!? ネプテューヌは女神様の宿敵ではないのですか!?」

「皆さんも当事者ですわ。異論が有ろうとも、私は認めません」

ベールの言葉にイヴォワールは表情を苦くして再び腰掛ける。

「そもそも、今回の事変は協会の事実隠蔽が発端と聞きましたわ。なぜそのような……?」

「国政院の反乱は協会の恥、なので私はそれを隠蔽しようと考えました……」

そんなイヴォワールの言葉にネプテューヌはバンと机を叩いて反論する。

「嘘! ジャッドは言ってたよ、隠そうとしたのは反乱の理由が教院の弾圧から異端者を逃がすためだって知られたくなかったからだって!」

イヴォワールはふっと顔を背ける。

「その反応は、肯定ととっていいのか?」

「答えなさい、イヴォワール」

テラとベールの言葉にイヴォワールは息を呑んだ後、重々しく口を開いた。

「……否定はしません。異端を取り締まるのは協会の務め、女神様の風聞を汚さぬのも協会の務め! 私は女神様のために最善を尽くした……これだけは、本当です!」

ベールはそれを黙って見ていた。

やがて、フゥと溜息を吐き、口を開く。

「今回のことは私の責任でもあるかもしれませんわね。教院長の処罰についてはまた、貴族長や協会上層部と話し合って決めましょう……」

その言葉に、一同はそれが最善だろうと納得し、一度この会は解散となる運びとなった。

 

 *

 

貴族長、教院長は退室し、部屋には5人だけが残った。

「結局、私の役不足が招いた結果となってしまいましたわね……」

ベールは哀しそうに目を伏せる。

「仕方がなかった事じゃないかしら? 誰も、教院長がそんなこと考えるなんて予想できるわけないもの」

アイエフはフォローのようにそう入れるが横からネプテューヌは口を挟む。

「後悔先に立たずって奴だよね。でも、後悔すればそれを次に活かせばいい話だよね?」

何様のつもりだ、と突っ込みたくなったテラだがここでは口をつぐんでおいた。

「そうですわね……。それで、みんなはいったい何時までリーンボックスに滞在するつもりですの?」

ベールの問いに一行は顔を見合わせた後にコンパが口を開く。

「えーと、今度の接近の日にルウィーに行こうと思ってるです」

「ここでの目的も達成したし、次に行かないとな」

「あら……寂しいですわね」

ベールは心から寂しそうな表情をする。

「でしたら、どうぞ今日のパーティで楽しんでいってください。とは言っても、大したお持てなしも出来ないかもしれませんが……」

「パーティ? やったー、またパーティだ! ご馳走だー♪」

ネプテューヌはコンパとアイエフを引き連れてさっさと一階のパーティホールへと向かっていってしまった。

テラはそんな彼女たちを見て苦笑いを浮かべる。

「相変わらず、っていうか……」

「テラ」

いきなり自分の名を呼ばれてテラはどきりと心臓が飛び跳ねた。

「え、何?」

「その……」

ベールはもじもじと両手の指を組んだり離したりと繰り返して頬を紅潮させる。

テラは何事かと思いながら、そんな彼女を見つめる。

「……や、やっぱり何でもないですわ」

「えぇー……。気になるだろ」

「気にしないで」

ベールはそう言って両手で顔を隠す。

テラはそんな彼女を見て妙な違和感に駆られる。

 

否、違和感と言っては語弊がある。

違和感ではなく、何処か『懐かしい』ような――。

テラはしばらくに言葉を選んだ後に口を開く。

「あのさ、ベール?」

「……はい」

未だ顔を隠したままのベールを見て冷や汗を垂らしたが、それはそれとしてテラは話を続ける。

「俺達、何処かで会ったこととか、あったっけ?」

「え……」

ベールは依然として顔を赤く染めたままでテラの言葉に耳を疑う。

「何処かって、初めて会ったのはこの協会で――」

「そうじゃない。もっと前――うん、凄く前に会ったこととか、話したこととかないか?」

テラの表情は真剣なのでベールもただの話じゃないと思い、テラの言葉を聞き入る。

「この旅を始めてから、たまにあったんだ。懐かしいなって思うことが。

でも、特にこのリーンボックスではそれが凄くあるんだ。もちろん君にも――」

ベールはそんなテラの声に少し考え込む。

しかし――

「いえ、残念ですが、私には以前にテラとお会いした記憶は……」

そこまで言ったところで、ベールはふと頭痛に見舞われて頭を押さえた。

「な、おい! 大丈夫か……?」

「え、ええ。ちょっと頭痛がしただけ……。もう直りましたわ、心配しないで」

「そう、か……」

テラは未だに心配そうな表情を見せるも、本人が大したことはないと言っているのなら大丈夫だろうと思い、席を立つ。

「ま、お互い覚えのないことに下手な論議してもアレだな。パーティでも楽しんでこようぜ」

そう言ってテラはベールの手を取る。

「あ……」

「『行こう、ベール』」

そんな彼の姿は、ベールには一瞬――

 

 

 

 

『誰かの影』と重なって、見えなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

接岸場

ルウィー接近の日。

一行はこうして早朝から接岸場へと赴いている。

目の前に広がる『白の大地』からは身震いするほどに冷気が立ち込め、しかしそれを忘れさせるほどに幻想的な風景が広がっている。

「ぅお~……、寒っ」

「ホント、何時来てもここは不思議なところよね……」

そう愚痴を零しながらも一行は振り返り、リーンボックスの町並みを見渡す。

「いや~、色々あったね、リーンボックス!」

「ホントですね~」

「全くだ、主に誰かさん関係でな……」

「アンタが言う……?」

ともかくとして、一行は眼前に広がる白き大地へと足を踏み入れる――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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