No.412922

異世界冒険譚 魔法生徒ユエま! 六時間目!

RYOさん

交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。

2012-04-23 05:46:21 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:4943   閲覧ユーザー数:4725

 

yukito side

 

修学旅行 2日目

 

フェイトの奴に1回殺された次の日の朝。3-Aの生徒は全員宿の1階の大広間で朝食を取っていた。

 

「せっちゃんなんで逃げるんー?」

 

「わ、私は別に!」

 

大きな声と走り回っている音が聞こえる。そっちを見ると刹那と近衛が追いかけっこをしていた。どうやら近衛としては幼馴染の刹那と仲良くしたいらしいが……

 

刹那も近衛と仲直りしちゃえばいいのに。その方が護衛としても楽だし。……まぁ、刹那にも色々あるからな。刹那の気持ちを考えると簡単には言えないな。自分が人間じゃないなんて好きな人には言えないだろう。

 

 

「さて、今日はどうしようかな?」

 

朝食を食べ終わった俺は今日の事を考えていた。俺は3-A唯一の男子として交流をしなくちゃいけないようなんだけど……どの班についていこうか?

 

まず1班。柿崎美砂、釘宮円、椎名桜子のチアリーディングをしている仲良し三人組。そして鳴滝風香、史伽の鳴滝姉妹。小学生並みに小さい双子だ。この半は鳴滝姉妹が騒がしい以外は比較的まともな班だ。

 

次に2班。古菲に超鈴音のチャイナ2人組。陸上部の春日美空。忍者の長瀬楓。マッドサイエンティストと噂の葉加瀬聡美。ちょっとぽっちゃりした感じの四葉五月。……ここは人外魔境だな。ほとんどが裏の住人じゃないか。関わって無い人って四葉しかいないぞ。次。

 

3班。パパラッチの朝倉和美。3-Aで一番胸が大きい那波千鶴。ネットアイドルの長谷川千雨。えっと……そばかすがキュートな村上夏美。そしてショタ狂いの委員長、雪広あやか。……ここは朝倉と雪広が面倒くさそうだからパス。

 

4班。バスケ部の明石祐菜。サッカー部の和泉亜子。水泳部の大河内アキラ。新体操部の佐々木まき絵。バイアスロン部の褐色巫女、龍宮真名。なんというエネルギッシュな班。おいちゃんみたいなおじさんが入ったら疲れること間違いなしだな。

 

5班。いつも変なジュースを飲んでいる綾瀬夕映。いつものほほんとしていて今回の修学旅行で狙われている近衛木乃香。腐女子メガネの早乙女ハルナ。前髪で目を隠した内気な宮崎のどかの図書館探検部の4人組。そしてネギまのメインヒロインの神楽坂明日菜。原作通りならこの班にはネギが入るからいいだろう。

 

6班。いつも野太刀を持った桜咲刹那。無表情のザジ・レイニーデイ。本来ならここにエヴァと茶々丸が入る予定だったのだが、エヴァが学園に封じ込められているので従者の茶々丸ごと来れなかった。なのでザジは3班に、刹那は5班に入っている。

 

さて、どの班に入れてもらおうか?

 

「ネギ君! 今日、ウチの班と見学しよーー!」

 

「わーー!?」

 

俺がどの班に入ろうか考えているとネギが佐々木まき絵に抱き着かれていた。それを皮切りに雪広と鳴滝姉がネギに班に来るように言いよってきている。

 

「ネギも大変だな」

 

「全くでござるな」

 

「…………いつの間に隣にいた?」

 

「無論。貴殿の気づかぬ内に、でござるよ」

 

いつの間にか隣にいた長瀬に武装錬金の忍者みたいなセリフを言われた。

 

「なるほど、気付かなかったでござる」

 

「真似しないでほしいでござる」

 

「そう言えばござるって忍者みたいな口調だよね? もしかして忍者なの?」

 

「何のことか分からないでござるよ」

 

忍者かどうか聞いてみたらとぼけられた。

 

「……長瀬さん」

 

「楓で良いでござるよ。高科殿」

 

「それじゃあ、俺も雪人で良い。それで俺に何か用か?」

 

「うむ。今日の京都見学に雪人殿を誘いに来たのでござるよ」

 

なるほど。2班にか。……面倒くさい未来しか思い浮かばない。不思議!

 

「あー……わかった。2班ね。いいよ」

 

断ったら俺がこのクラスにいる意味がないもんね。仕方ないんだ。

 

「うむ。それでは準備が出来たらロビーに集合でござる」

 

「はいよ」

 

そう言って俺と楓は別れた。

 

ネギの方を見る。どうやらネギは5班と一緒に回るようだ。あの班には明日菜も刹那もいるから大丈夫かな。でも、一応……

 

「おいネギ」

 

「あ、ユキトさん! どうかしましたか?」

 

「俺は今日は他の班と京都を回ってくるから、何かあったら連絡をくれ。すぐに行く」

 

「わかりました!」

 

ネギが頷く。

 

「それじゃあな!」

 

そう言ってネギと別れる。

 

 

さて、準備が終わりロビーに向かう。そこには楓達2班のメンバーが集まっていた。

 

「みんなお待たせ。待った?」

 

「いやいや、今来たところでござるよ」

 

楓がそう返してくる。デートの待ち合わせみたいなセリフだ。

 

そして楓はかわいいなあ。初期のネギまで一番好きな子やわ。

 

「遅いあるよユキト! だから勝負するアル!」

 

「ごめん。意味分かんない。とりあえず勝負はしないから」

 

古菲が勝負を仕掛けてきた。確かに転向した時にちょっとだけ挑発したけどこういう時には勘弁してほしい。いずれ戦うからさ。

 

「それじゃあ、行くヨ!」

 

超鈴音がそう言って俺たちは京都の見学に出発した。思えば平和だったのはここまでだった。

 

 

「おい、そこの兄ちゃん」

 

「ん? 俺?」

 

京都を観光するためにみんなで固まって歩いていると声をかけられた。声の方を向いてみると明らかに「自分は不良です」と言っているような格好をした男達が5人いた。歳は高校生くらいだろうか?

 

「えと、何でしょうか?」

 

明らかに面倒な臭いしかしないが一応こっちは中学生なので謙って聞く。

 

「ガキなのにいい想いしてんじゃねーか。俺達にも少し分けてくれよ」

 

「もらうのは少しと言わず、全部だけどな!」

 

不良A、Bがそう言うとCDFが笑う。

 

うわぁ。想像通りの展開。面倒くせえええ!

 

俺はちらりと後ろを見る。そこには不良たちの言葉が聞こえている筈なのに普通に談笑している2班の姿が! いや、春日と葉加瀬が少し面倒くさそうな顔をしているが。ちらりと古菲が談笑をしている中でこっちを見る。その眼は子供が欲しい物を買った時のような眼をしている。

 

に、逃げて―! 不良さん逃げて―! この子。あなた達が思ってるような子じゃないから! 見た目は可愛いけど性格はただのバトルマニアか何かだから!

 

「ええっと、あの子達には手を出さない方が良いですよ? (あの子達によって)死にますから」

 

「あ? おい皆! こいつ。一人で俺達をぶっ殺してくれんだってよ」

 

俺の心配して出た言葉を不良の皆さんが誤解してくれやがった。

 

不良さんたちが全員臨戦態勢に入った。

 

「ガキが粋がりやがって!」

 

「こっちが下手に出てやったらいい気になりやがってよ!」

 

いや、あんたら下手になんてなって無いだろ?

 

「ま、待った待った! ナンパだったら他でやれば良いじゃないですか! 綺麗な人なんて一杯いるでしょ!?」

 

「…………うるせえええ! ナンパが成功した奴に俺たちの何がわかる!」

 

どうやらナンパに失敗した腹癒せに絡んできたようだった。

 

「誤解です! 俺たちは学校の修学旅行で一緒に行動しているだけです!」

 

「うおおおおお! 男子校の怒りを喰らえ!」

 

すごい地雷だった。不良Aが俺の顔に向かって殴りかかってくる。俺はそれを首を傾げるようにして避ける。不良Aが殴りかかってきた事を皮切りに他の不良達も俺を囲んでくる。

 

「やっちまえ!」

 

「せ、制空圏!」

 

制空圏を発動して不良達の拳を避け、往なす。俺は流水制空圏を発動できるほどに明鏡止水は出来ていない。本当だったら白眼だったらいいのだがあれは出来ないだろう。だが制空圏程度だったらこの程度の相手の攻撃は往なせる。

 

「こ、この野郎! 後ろに目でも付いてやがんのか!?」

 

「一斉にかかれ!」

 

「ちっ!」

 

さすがに一斉に攻撃されたら素の状態じゃ避けられな……「崩拳!」……ん?

 

「がはっ!」

 

一瞬のうちに不良が何者かの攻撃で2人吹き飛ぶ。

 

3人なら何とか捌ける!

 

俺は不良の攻撃をさばく。

 

「ふっ! はぁ! ハイ!」

 

その不良達がまた何者かによって吹き飛ばされる。

 

「……古菲」

 

俺は不良達を吹き飛ばした人物に話しかける。

 

「何アルか?」

 

俺が話しかけると古菲はキョトンとして聞き返してきた。

 

「助かった。ありがとう」

 

「そうアルか! なら、お礼として勝負するネ!」

 

古菲が勝負を仕掛けたそうにこちらを見ています。勝負しますか?  はい

                               →いいえ

 

「いや、待て待てやらないからな!?」

 

「え~……」

 

古菲は残念がっている。

 

「とにかく、やらないからな」

 

「フリあるか?」

 

「フリじゃない!」

 

そんな感じで俺の京都見学は終わった。

 

 

夜。ネギに相談された。俺の他には明日菜と刹那がいる。ネギが言うには朝倉に魔法がバレたらしい。

 

「ええ~!? ま、魔法がバレた~~!? しかも、あ、あの朝倉に!?」

 

「は、はい」

 

ネギは涙目になりながら言った。

 

「何で!? どうしてよりによってあのパパラッチ娘に!?」

 

明日菜もかなり慌てている。そりゃそうだ。

 

「し、仕方なかったんです! 人助けとか、猫助けとか……」

 

「う~~ん。朝倉にバレるって事は世界にバレるって事だよ」

 

「全くです」

 

刹那も明日菜の言葉に同意している。そこまでか。

 

「まあ、大丈夫だろ。普通の人間なら魔法? あるわけないだろ?って感じだろうからさ。もし、機会があったら脅してやれば何とかなるだろ」

 

「え~……朝倉が脅しに屈するなんて思えないんだけど……」

 

「あはは……もしそれでダメだったら壊しちゃえば良いじゃない」

 

「ちょ、ちょっと待った! 冗談でもやめてよ高科君」

 

俺が朝倉対策を提案していると焦った声が後ろから聞こえてきた。後ろを見ると肩にカモを乗せた朝倉が居た。ほんの少しだけ焦っていた。

 

「ははは、冗談だよ。2割ぐらい」

 

「ほとんど本気!?」

 

朝倉が少し俺から離れるように後ずさる。

 

「それで? 何しに来たの? 自分から脅されに来たとしたらなかなか殊勝じゃないか」

 

「ち、違うよ」

 

「そうだぜ。文屋の姉さんは俺らの味方なんですぜ」

 

朝倉の肩に乗っているカモが朝倉の弁護をする。

 

「え……味方?」

 

ネギがカモに聞く。

 

「報道部突撃班、朝倉和美。カモっちの熱意にほだされてネギ先生の秘密を守るエージェントとして協力していく事にしたよ。よろしくね」

 

「え? ええええええ!? ほ、本当ですか!?」

 

味方にならないと思っていた朝倉が急に味方になったのでネギが喜ぶ。

 

「今までの証拠写真も返してあげる」

 

そう言って朝倉は写真の束をネギに差し出す。ネギは喜びながら朝倉に近づいて行って受け取る。

 

「よ、よかった。問題が一つ減ったですー」

 

「よしよし。よかったわねーネギ」

 

明日菜が胸を撫で下ろしているネギの頭を撫でる。

 

「あ、ネギ先生。どうしたんですの?」

 

そうしていると雪広がネギに話しかける。

 

「あ、皆さんお疲れ様です。実は今、朝倉さんと仲良くなったとこなんですよ」

 

ネギが皆を労った後に爆弾発言を放り投げた。雪広がショックを受けている。

 

「ちょっ! ネギ先生それは……」

 

「こら、お前たちもうすぐ就寝時間だぞ。自分の班部屋に戻りなさい!」

 

雪広がネギにどういう事かを聞こうとしたが鬼の新田と呼ばれている、麻帆良学園の広域生活指導員だ。良い先生だが生徒からしたら口うるさい先生だろう。

 

その後、3-Aは自分達の班部屋に帰って行ったがお祭り好きな3-Aが修学旅行で静かに出来る訳もなく、宿中に聞こえるほどに騒ぐ。

 

終いには新田先生に怒られて朝まで自分の部屋から出るのを禁止されてしまった。そしてもし出ているのが見つかったらロビーで朝まで正座させられる事になり、ようやく静かになった。

 

だが、それから少し経つと宿に異様な雰囲気が蔓延し始めた。

 

…………嫌な気配だ。何か狙われているような気がする……

 

「ネギ。俺、ちょっと見回りに行ってくるよ」

 

「あ、雪人さん。僕も行きます。身代わり人形。使います?」

 

そう言ってネギが刹那から受け取った紙の束を差し出してくる。

 

「いや、俺は自前の分身があるから大丈夫」

 

「そうなんですか。便利ですね」

 

「すごい便利だな。うん。じゃあ、俺は先に行ってるぞ」

 

「はい」

 

俺は影分身を出して窓から外に出る。

 

side out

 

 

yukito K side

 

影分身の俺はネギと本体を見送る。ネギも人形に名前を書いて身代わりにした。何度も書き直して失敗作をゴミ箱に捨てていたが、何とか自分の名前を書いて身代わりを作っていた。

 

「さて、ん!?」

 

「こんにちは。ぬぎです」

 

「みぎです」

 

「ホギ・スプリングフィールドです」

 

「やぎです」

 

ゴミ箱を見るとネギの身代わりが大量に出てきていた。失敗した身代わりでも形を成すのか? それともネギの魔力量が多かったからかな?

 

「ネギです。なんだかたくさん出て来てしまいましたね」

 

「はい」

 

「そうですね」

 

ネギの身代わりが話し合っている。

 

「僕はここで寝てるように命令されました」

 

「僕は命令ないよ」

 

「僕も」

 

命令を受けて何かを実行するタイプの身代わりのようだ。原作では何か面倒なことが起こっていたはずだ。だから消しておくか。

 

「えっと……悪いんだけど、ネギ以外は消えてくれるか?」

 

「嫌です」

 

身代わりごときに命令を拒否された。うぜえ。

 

「何でだよ?」

 

確か誰の命令でも受けていたはずだけど……記憶違いかな?

 

「あなたは人間じゃないので。命令権はありません」

 

「…………」

 

分身だからだよ……な? さて……どうしようかな?

 

「メンドイや。このまま寝ちまおう」

 

少し考えたが面倒くさかったので俺はさっさと布団に入る。ネギを見ると布団に入って眠っていた。

 

 

少し時間が経つと部屋の外からドタドタと音がし始め、誰かが押されるような形で部屋に入ってきた。薄目で入ってきた人物を見ると宮崎のどかだった。

 

宮崎のどかはネギまでのヒロインの一人で初期の頃からネギを好きだった子の一人だな。最初の頃に本を運んでいて階段から落ちたところをネギに助けられネギに恋心を抱いたと。危ないところを主人公に助けられる。空からじゃないけど落ちてくるという。ヒロインに相応しい出会い方をしている。明日菜よりヒロインヒロインしている。

 

宮崎はそろりそろりとネギに近づいてぺたりと座り込む。

 

「すみませんネギ先生。こんな形で。でも……でも私嬉しいです。先生……キスさせてください」

 

そう言って宮崎はネギの身代わり人形にキスをしようとする。だが……

 

「キスですか」

 

「チュー」

 

「了解しました」

 

それは身代わり人形たちの声で宮崎は動きを止める。

 

「ひ……ひゃああああああああ!」

 

周りをネギに囲まれているというあり得ない状況に陥った宮崎は混乱した。それではSAN値チェックをどうぞ。

 

「あ、あう~~~~」

 

宮崎は気絶した。……狂気に気絶なんてあるんだろうか?

 

そしてネギの身代わり達は窓からどこかに行ってしまった。

 

「のどか。どうしたですか!?」

 

「本屋! どうしたアルか!?」

 

宮崎の悲鳴で皆が入ってきた。綾瀬夕映、古菲、長瀬楓、鳴滝姉妹入ってくる。

 

「あ! 窓から逃げられた! 追うよ史伽!」

 

「あ、待ってよお姉ちゃん!」

 

そう言って鳴滝姉妹は窓から飛び降りる。

 

「のどか! しっかりするです!」

 

綾瀬が宮崎を介抱する。

 

「うぅ? ……一体何が……」

 

俺はいま起きたふりをして起きる。

 

「む、ユキト! 勝負するアル!」

 

「げぇ! 古菲!?」

 

「拙者も居るでござるよ」

 

「楓まで!?」

 

古菲と楓が入口を防ぐようにして立ちはだかる。

 

「行くアルよ!」

 

「ちっ!」

 

古菲が拳を放ってくる。俺は拳を往なし距離を取る。

 

「拙者も行くでござるよ」

 

「ま、待て!」

 

「問答無用。でござる」

 

やめてもらおうと楓に言うが楓はそれを無視して俺に一歩で近づいてきた。

 

「は、はやっ! っくぅ!」

 

楓の拳を何とか皮一枚で避ける。そのまま楓は連打を放ってくる。

 

「古菲はまだしも何で楓まで仕掛けてくるんだよ!」

 

「いや~昼間に見せてもらった技が気になったからでござる。まるで史上最強の弟子ケンイチの制空圏みたいでござったから幼心をくすぐられたでござるよ。名前も一緒にしているようでござったし」

 

あ、この世界ケンイチあるんですね。でもこういうのは勘弁してほしいな~。ほら、俺、唯の分身だしさ。でも分身の事は気付かれてないみたいだな。

 

「楓、ズルいアル! 私もユキトと勝負するアルよ!」

 

「せ、制空圏! うぉおおおお!?」

 

制空圏を発動し古菲と楓の攻撃を防ぐ。

 

「でや!」

 

「むむっ!」

 

「おぉ」

 

古菲に拳を、楓に蹴りを放つ。両方とも後ろに跳んで回避する。

 

「ちぃ。仕方ない。ならここは俺の奥義を使ってやる!」

 

「本当アルか!」

 

俺の言葉に古菲が目を輝かせる。

 

「ああ。つまり逃げるんだ「逃げるんでござるな?」…………よ~……」

 

逃げようとしたら楓に回り込まれた。バカな! 俺の奥義が!

 

「ダメでござるよ。本当に逃げたい時にネタを使っては」

 

楓がそう言う。楓がさっきから漫画のネタを知っている。これはつまり……

 

「貴様! 見ているな!(漫画やアニメ)」

 

「見ているでござるよ」

 

さて、ギャグを言ってみたがこの状況をどうするか……まさに前門の楓。後門の古菲。今のままでは逃げられない。なら……

 

「押し通る!」

 

狙うなら……楓! 楓を何とかしてどかして窓から逃げる!

 

「行くぞ! 神速!」

 

脳のリミッターを外し高速で動く。

 

「……む……む……」

 

普通なら視認できないほどの速さで動いている筈なのだが楓は少し見えているようだ。俺は楓の横を通り窓から外に出る。わざとなのか本気で着いてこれていないのかは分からないが楓は少し動いただけでほぼ棒立ちだ。そして、俺は逃げ切った。

 

side out

 

 

kazumi side

 

私は旅館のある部屋の一室でカモっちと一緒にパソコンでゲームの様子を見ていた。さらに各部屋のテレビにゲームの様子が映っている。

 

ゲームのルールはネギ君と高科君にキスをすれば勝ち。妨害は可能だけど武器は枕のみ。入賞者には豪華プレゼント! 名付けて「くちびる争奪! 修学旅行でラブラブキッス大作戦!」!

 

さて、どうなってるかな?実況もしなきゃいけないし。パソコンの画面を見る。まき絵と長谷川さんは新田に捕まって正座させられている。

 

おっとネギ君と高科君の部屋に4人が入っていった。さすがにあの部屋にはカメラを仕掛ける時間も隙も無かったから見えない。一応、キスは失敗したみたいだけど。

 

「5班宮崎のどかが果敢にも部屋に突入しましたがどうやらキスは失敗した模様。ネギ先生は逃走した模様! 鳴滝姉妹はネギ先生を追う! 他の4人はどうなったのか!」

 

「ね、姉さん。朝倉の姉さん」

 

実況しているとカモっちが話しかけてきた。私はマイクのスイッチを切る。

 

「何よ」

 

「何か……俺っちの目の錯覚かな? ネギの兄貴が5人いるように見えるんだけど」

 

そう言ったカモっちの指した画面には本当にネギ君が5人映っていた。

 

「おおっと! あ、あれ?」

 

おかしい。どうなってるんだろう? 映っちゃったのは仕方ない。と、とにかく実況を続けないと!

 

画面を見るとネギ君たちが一斉に告白していた。

 

私はマイクのスイッチを入れる。

 

「これはどういう事だ!? ネギ先生が5人!? それも一斉に告白タイム!」

 

私はそこまで言うとマイクのスイッチを切る。

 

「何なの何なのあれは! あんた妖精でしょ!? 何とかしなさいよ!」

 

私はカモっちに言ったけどカモっちも慌てている。

 

「いや~大変な事になってるな」

 

「本当だよ。……え?」

 

私の後ろからカモっちじゃない男の子の声がした。後ろを見ると高科雪人が居た。

 

「ど、どうやってここが……」

 

「やだなあ。君が関わってるのは魔法だよ? この程度は朝飯……いや就寝前さ」

 

と、高科君は冗談を言った。

 

「それにしても……中々やるじゃないか? 脅すぞ。壊すぞって言われた傍からこんな事をするなんてさ。どMなの? それとも……死にたいのか?」

 

「っひ……ぎっ……」

 

高科君に睨まれる。するとすごいプレッシャーみたいな物を高科君から感じる。

 

息が詰まる。体が引きつり震える。

 

「まぁ。初犯だしな。若気の至りってのはよくある事だ」

 

「……え?」

 

高科君が笑うとプレッシャーが消える。

 

「あはは。死ぬかと思った? 息が詰まって体が動かなくなった? ああ、ほら涙流しちゃって」

 

そう言うと高科君は浴衣の袖で涙を拭ってくれた。

 

「怖かったよね? それが、魔法に関わるって事なんだ。面白そうだからで関わるといざって時に動けずに死ぬ。君にとっては魔法はフィクションの存在だったけど知ってしまったことでそれは現実になった。だから知らない子を関わらせちゃダメ」

 

高科君は腕を組んで言う。

 

「ま、最初にも言ったけど初犯だし、俺は何もしないよ。ネギが対処するさ。ほら、今は皆にゲームを楽しませる事を考えて」

 

高科君は私を画面に向かせる。そこでは本屋ちゃんとネギ君がキスをしていた。

 

「えっと……宮崎のどかがネギ君の唇を奪ったー! この勝負! 5班の勝ち!」

 

私は先ほどの事を振り払うように大声で言う。その時、この場所にカードが現れた。収入はあったけど、怖かったなあ。高科君本当に怖いな。二度と逆鱗に触れない様にしよう。私はそう誓った。

 

私がそう思った時、部屋のドアが開く。

 

「なるほど。お前が主犯か。朝倉」

 

入ってきた人物は私にそう言ってきた。知っている声だ。見つかっちゃったいけないような……

 

私は後ろを向く。そこには新田が居た。

 

「ぴぎいいいい!?」

 

その後、私はロビーに連れて行かれゲームに参加した人とネギ君と一緒に正座させられた。幸い朝までは正座させられなかったけど。それに高科は捕まらなかったなんて……理不尽だなぁ。

 

side out

 

 

kaede side

 

それにしても面白い人でござるなぁ。雪人殿は。

 

拙者はロビーで新田先生に正座させられながら思い出す。

 

史上最強の弟子ケンイチの制空圏もそうでござるが、武術の技の冴え。技の能力かは分からぬがあの速さ。それに……あの影分身。

 

今日戦った雪人殿の事を思い出す。

 

拙者の影分身とは明らかに違った。ますます、面白いでござる。

 

拙者は楽しめそうなこれからを思って笑うのだった。……いつも笑ったような表情と言うのは無しでござるよ。

 

 


 
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