No.412640

ゲイムギョウ界の守護騎士

ゆきさん

急な出会いにより、ノワールとの別れは速くも迫っていた。
ノワールはデートをしようと切り出すのであった。
そんな二人に迫り来る影。今回はかなり長くなると思います。

2012-04-22 19:58:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1195   閲覧ユーザー数:1079

第11話 ノワールとのデート

 

えーと、ここどこだ?周りを見渡す為寝ている体を起こした。

真っ暗な部屋の中央のベッドにオレは寝ていたのか。ここは協会かな?

 

「何かしら、この手紙?」

 

オレはベッドの横の机の上に置いてある手紙をとり中身を拝見してゆく。

ちなみに、オレは女体じゃなくて魔王化したままだ。

服は古風のドレスではなく、誰かさんの寝間着だった。

手紙の差出人はライカからだ。

内容は至って簡単だったがそれを実行するのは非常に苦であった。

「ずっと魔王化しとけ!」とそれだけが手紙に記されていた。

これ、ライカじゃなくてエンマじゃん!でも、あいつのことだから何か意味あってのことだろう。

 

「とりあえず着替えちゃいましょう!」

 

オレはベッドから起き上がり誰の寝間着かは知らないが、貸してくれてありがとうございます。

オレは寝間着を脱ぎ捨て古風のドレスを一瞬で形成する。これは服の役目も果たすし、防具の役目も果たすと言う優れものなのである。

このドレスはオレの力を使って形成している為、並大抵の攻撃は弾ける。しかし、チートな攻撃力を持つやつの攻撃は防ぎきれない。

閉めきったカーテンを開けると暗い部屋に光が差し込んできた。

 

 

「お兄ちゃん!起きて、大丈夫なの?」

 

いつの間に現れたのかノワールが俺の元に駆け寄ってくる。

 

「大丈夫よ。歩けるようにはなったけど、戦うのはあと一日ぐらい体を休ませなきゃダメかな」

 

「じゃあ、もう明日にはお別れなの?」

 

「うん。そうなるね。私もネプテューヌ達について行かなきゃいけないし。けど、まだラステイションにはいるから、見つけ次第声かけても構わないからね?」

 

「うん。えーとね、お兄ちゃん。今日こうして2人きりで会うのも最後だから昨日予定していたデートに行かない?」

 

「別にいいけど、じゃあ元の姿にもど「その姿でいいわよ。私がより女の子らしくしてあげるから」

 

一時間経過

 

オレはノワールによってコーディネイトされてしまった。

腰まで伸びきった髪の毛はツーサイドアップにされてしまい服は赤のパーカーに短パンと言う普通に女の子が着るような組み合わせだった。

 

「クレハを見ていると、妹を思い出すわね」

 

今のクレハと言うのはオレの魔王化時の名前だそうです。

ちなみに紅葉と書いてクレハと読むらしい。

実はこの名前はオレが気絶している間に

ノワールがネプテューヌ達と考えて付けてくれた名前だとか。

魔王化についてはライカが適当にはぐらかして言ってくれたんだろう。

適当にはぐらかしすぎたせいか、魔王化はただの仕様と言うことになっていた。

アホな子のネプテューヌとコンパは信じきっていると思うが、

ノワールとアイエフは察してるだろう。先程までのノワールの目は明らかに疑いの色が出ていた。

オレは何とか無理やりコーディネイト中に説得したのです。

俺の寝ている間にネプテューヌとノワールはすっかり仲が良くなってしまったのかな?

 

「妹?ノワールには妹がいるの?」

 

「いるわよ。まだ、女神化もできないけど」

 

「へーーー。どんな子なの?」

 

「常日頃努力をしているまじめな子かな。まだ、小さいのに結構意地ぱっりなのよねー」

 

「ノワールに似てるんだね。っと、そうじゃなくて私が倒れてからどれくらい経った?」

 

「そうね、一日ぐらいかしら。体の傷も医者が来たときには完治してたし、どうなってるんだが」

 

「は、はは」

 

オレは引きつった笑顔で返した。実際のところ、この回復能力自体はオレもよく分からない。

なんというか、結構でたらめなつくりをしてる体だな。

 

「デートってどこ行くの?」

 

「じゃあ、水族館に行きましょう」

 

ノワールはそう言うとオレの手を引き協会を後にした。

 

 

 

水族館到着

 

目の前に佇むのは超弩級の水族館。外の館内案内板は横に10メートルぐらいあった。

それだけではなくパンフレットは200ページで形成されていた。全部回るのはぜったいに無理!

 

「どうする、クレハ?」

 

オレの横ではノワールが案内板とにらめっこしていた。

 

「ノワールが見たいやつを見に行こう!」

 

「え、いいの?」

 

ノワールはオレの両肩に手を置き顔の頬に唇が触れるぎりぎりまで近づけてきた。

 

「べ、別にいいよ。ノワールの好きなもの=私の好きなものだからね!」

 

何故か、分からないけど、ノワールが好きなものは俺も基本的好きなのだ。

ここに来る前にレストランで腹ごしらえしたのだがものの見事に頼んだものが一緒だった。

それぞれのメニューを見ていたが、何もかもが被った。デザートもドリンクも。

食事だけではなく、趣味も見事なまでに被っていた。

だから、さっきのような方程式が出来上がるわけだ。

 

「あ、あと、ノワール。近すぎない?」

 

先程から、ノワールの吐息が頬に当たってるのがこそばゆい。

 

「ふぁ、ご、ごめんなさい!」

 

ノワールはオレから離れ顔を手で隠し、後ろを向いてしまった。

あれ、オレなんかしたっけな。

 

ノワールside

 

ど、どうしよう!お兄ちゃんにあんなに顔を近づけるなんて!!

お兄ちゃんは?マークを頭の上に三つぐらい出して何かを考えている。

けど、お兄ちゃんは嫌がってなかったみたいだし、今日はもうちょっと積極的にいってみようかな?

そうだわ!お兄ちゃんとはこうして2人きりで会うのは最後になるかもしれないのに、ここで尻尾を巻いて逃げちゃダメよ!

ネプテューヌなんかに遅れを取る気はないわ!

 

「お、お兄ちゃん!」

 

私は振り向きお兄ちゃんの手をすばやく握った。

 

「ノ、ノワール?お兄ちゃんはこの姿じゃおかしいからせめてお姉ちゃんか、クレハにしてくれないかな?」

 

「じゃあ、お姉ちゃん!速く入ろう!」

 

「うん。行こうか」

 

私達は水族館の中に入っていった。それがただの水族館と思い込んで。

 

クレハside

 

えーと、さっきからおかしいです。

この水族館明らかに雰囲気がおかしい。

入っていく前に「ぞっとするほど可愛いコーナー」という垂れ幕がかかっていたからオレたち2人は興味がてらに入ってみた。それが失敗だったのだ。

先程から出てくる魚などは一つもかわいい生物はいない。どれもぞっとするものばかりだ。

しかも、オレ達が水槽に近づくたびに急に接近してくるためホントにぞっとするのだ。

さらに道は暗いから余計に雰囲気が出てるといいますか。

そのたびにノワールはオレに抱きついては離れ抱きついては離れを繰り返している。

一方通行な為、人と当たることは無いがたまにこけそうになるのは見てられない。

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

「つまづいたら、危ないからね」

 

オレはノワールの手をとり、道を進んでゆく。

これを第三者から見たらオレは間違いなく年下の女の子として見られるだろう。

そして、俺の隣にいるノワールは時々奇声を上げながらも、

オレ達はぞっとするコーナーを抜け出した。

 

「ふ、ふん!全然怖くなかったわね!」

 

「すごく怖がってたよね?私も少し怖かったけど」

 

オレはそんなノワールにちょっとからかうようにして聞いてみる。

対するノワールはもじもじとしながら「うー」とうなっていた。

 

「相変わらず可愛いね。.....じゃあ、次は普通なところを探しましょうか」

 

「う、うん」

 

俺はノワールの手を引き「普通なところ」を目指し歩くのだった。

 

 

 

 

「お姉ちゃん、あれ何?」

 

「あー、あれはペンギンだね」

 

館内を周り始めてから2時間経過。

ここは館内の中では至って普通なコーナーであった。

先程から出てくるのは可愛い海の生物ばかりである。

オレたちは360度強化ガラス張りの道を歩いている。どこを見てもたくさんの魚が泳いでいる。

 

「ここだったらずっといても良いね」

 

「うん、静かでとても神秘的で......けど、どんなところでもお姉ちゃんがいてくれたら」

 

「うん?私がどうかした?」

 

「な、なんでもないわ!」

 

ノワールは顔を真っ赤にして早足で1人で前に進んでいく。

どうすればいいのだろう。先程からこんな感じなのだ。

オレって嫌われてるのか?......あ!そうか、直接聞けばいいんだ。

何で、こんな簡単なことに気付かなかったんだ。そうと決まれば、早速行動に移すべし!

 

「って、あれ?ノワールがいない?」

 

しまった!考えてる時に視線落としてたから全然気付かなかった。

まだ、そう遠くに行ってないはずだ。俺は長く続く道を駆けていった。

 

 

ダメだ、まったく見つからない。

オレはいつの間にか館内を一周していた。

いくら、スピードが速いからと言ったって

くまなく探していたら周りきるのに一時間もかかってしまった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ.....仕方ないかな。あれを使うしかないね」

 

俺は肩で息をしながらトイレに向かって行った。

 

 

ノワールside

 

「あれ、私ってばいつの間にこんなところに」

 

私はなぜか、水族館の屋上に来ていた。

館内の矢印どおりに進むんじゃなかったわね。

出口で先にお兄ちゃんが出てくるのを待ってあげようと思っていたのに....私ってば、馬鹿ね。

ちゃんと気持ちを伝えれば、済むものなのに。けど、やっぱり恥ずかしくて言えない。

 

「お兄ちゃん.....せめて、お兄ちゃんが鈍感じゃなければ。私の気持ちにも気付いたかも知れないのに」

 

けど、実際のところお兄ちゃんの鈍感は直りそうにも無い。

 

「どうすれば、いいのかしら」

 

「見つけた。対象はブラックハート。近くに魔王の気配は無し」

 

豪快な音ともに屋上に出る為の扉が破壊された。

辺りの空気が急に冷えきった。

何かがいる。扉のほうに目をやると人影が見える。

その人影を中心に吹雪が吹き荒れている。

雲はいつの間にか夕焼けの橙色の空から闇色の空に変わってしまった。

 

「あなたは誰なの!?」

 

「私はセフィアに頼まれてあなたを殺しに来た者」

 

「ふん!ずいぶん簡単に言ってくれるじゃない!私はやすやすとやられないわ!」

 

私はすばやく変身し吹雪の中にいる何かに向けて炎のバレットが装填されている銃を連発する。

だが、それらは人影を纏っていた吹雪によって防がれた。

 

「そんなんじゃ、私に勝つことは不可能」

 

「どうかしらね」

 

どうやらあの吹雪攻撃に対して自動的に防御を行うらしい。

防御をして隙ができるのはコンマ0.2秒ぐらいだろう。

ならば、防御が追いつかないスピードで攻めればいい。

こんな場面で思いつく技は一つしかない。

その名は「インフィニットスラッシュ」。

それを改造した技を今ここでやってのければ言いだけの話ね!

 

「見せてあげるわ!」

 

地面を蹴り相手の周りを回りながら吹雪に向けて銃を連発する。

時々剣戟を混ぜつつオートガードを混乱させてゆく。

さらにスピードを増した私は銃を放り捨て大剣一本で攻めに入る。

攻撃についていけない吹雪は徐々にオートガードの反応が遅れている。

(このまま、切り裂く!)

ついについていけなくなった吹雪は散開して薄い膜で相手を覆ってゆく。

 

「遅いわ!」

 

私は膜が相手を覆う寸前で剣を上から振り下ろす。

吹雪は一気に消散し中の人物がようやく姿を現す。

現れたのは青い眼をした水色の髪の女の子。眼には光が無い為、感情が無いようにも見える。

年は私よりも少し下ぐらいね。まさか、こんな子が私を殺そうと思っていたなんて。

 

「あなたは自ら死を選ぶの?」

 

「何を言ってるの?そんなに強がっても!」

 

私はすばやく後ろに回り剣を横一閃する。

 

「あまい」

 

私の剣は少女に届く前に不可視の壁に受け止められていた。

少女はすばやく振り向き私の胸に手をかざした。

 

「これでチェックメイトよ。凍てつく氷よ、汝、我が敵の心を貫け!」

 

「剣舞<不知火>!」

 

紅葉のような真っ赤な炎が私の目の前にいた少女を吹き飛ばした。

私の目の前には紅い髪をした古風のドレスの少女の後姿があった。

 

「紅き炎よ、紅蓮の翼を、我が身に!」

 

少女の背中に炎が集まり剣のようなものを形成してゆく。

それは私のプロセッサユニットに似ていた。

炎は形を成し八つの紅の剣が四つで対になり翼を成してゆく。

 

「ノワール。後は私に任せて!」

 

「お姉ちゃん......好きだから!!だから、がんばってよね!?」

 

そして、お姉ちゃんは敵に向かって飛んでいった。

 

クレハside

 

私は飛びながら思考を巡らせていた。何で、いきなりあんなことを言われたの!?

ちなみに私の心までも、女の子の口調になりました。

まあ、あんなことしたらさすがにこうなるよね。

 

「でやぁぁぁぁ!」

 

振りかざす火焔の剣から、炎が爆発的に広がり不可視の壁を焼き尽くしてゆく。

相手の少女は驚きの表情でこちらから背を向けるようにして逃げてゆく。

 

「どうして、こんなことありえない。あの結界を見破るのは不可能なはず」

 

この少女の言うとおり此処には不可視な巨大な結界が張られていた。

それもかなり大規模な結界。

 

「魔王の力を使えば、これくらい見抜ける!」

 

膨大な炎が火焔の剣から発せられてゆく。

少女は袖の中から石を取り出しそれを地面に向けて叩きつけた。

石は砕け散り地面が裂け空間の中に少女は吸い込まれるようにして逃げていった。

火焔の剣と紅き翼と古風のドレスは粒子となり消えていった。

もちろん先程の服は元に戻ってるいる。

私は座り込んでいたノワールの元に駆け寄り手を取ってあげた。

 

「.........」

 

何も話さないノワールに対して私は笑顔で

 

「私も大好きだよ。ノワールは私の大切な友人だから」

 

「う、うん!わ、私も友人として大好きよ!.......ホント、鈍感なんだから」

 

ノワールの最後の言葉はよく聞き取れなかった。

私って、嫌われてないよね?

ノワールはクスっと笑って私を抱きしめていた。

 

「私はあなたのことを心から愛してるわ。タイチ」

 

「ノワール」

 

彼女は本当に私のことを好きということが今分かった。

ノワールは私を抱きしめて、満足したのか顔を真っ赤にしながら私から離れる。

私の気持ちは........。

 

「だからこそ、あなたを攻略して見せるわ!」

 

ノワールは私に対して人指し指をびしっと立て宣言した。

顔は以前に真っ赤だが同時に少し笑ってるように私には見えた。

私は片手で短パンのポケットに入っていた

黒の小さな水晶を取り出しノワールの両手にそれを置いた。

 

「これは何?」

 

「これは私からノワールに贈り物ってところかな。ぜったいに肌身離さず持っておいてね。誰にも言っちゃダメだからね?」

 

「.....ありがとう!大事にするわ!」

 

そんな可愛いノワールの笑顔に私は照れてしまった。

こんなに笑顔で見られたら私おかしくなりそう。

 

 

 

 

 

協会到着

 

「じゃあね、ノワール!」

 

「うん!次ぎに会うときは必ず落としてあげるわ!」

 

落とす?何を?

そんな言葉に震えながら私は協会を後にした。

目指すのはネプテューヌ達の宿泊しているホテル。

無理に力を出したから全身が痛むがまあ、気にしないでおこう。

ノワールってばかわいいんだから。

先程のノワールの言葉を思い出し私は頬の真っ赤にしながらホテルに向かって行った。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択