No.412018

【獣機特警K-9】緊急任務!ポレモサイト密輸を阻止せよ【交流】

古淵工機さん

前回(http://www.tinami.com/view/410750 )
いまだかつてない大規模な密輸阻止作戦が始まった!!

◆出演
K-9隊全員

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2012-04-21 19:40:51 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:760   閲覧ユーザー数:716

ラミナ市郊外、ル・ブラン宇宙港。

数多くの宇宙便が発着するこの宇宙港は、いつになく緊張した雰囲気に包まれていた。

ラミナ署を初めとする各警察署の機動捜査課やら、宇宙港の警備を行うル・ブラン宇宙港警察署の職員、

さらには本部のエリート刑事たちも集結して警戒任務に当たっていた。

 

その面々の中にはラミナ署署長のマキ・ロックウェル警視や、同署の捜査課長を務めるジース・ミンスター警部、

そして「K-9隊」こと特殊機動9課の面々が、神妙な面持ちでターミナルビル内に並んでいた。

そんな警官たちの目の前に、アイヴィー・ヒルトン総監が現れると、警官一同は揃って敬礼した。

 

「どうもご苦労様。本日集まってもらったのは他でもありません。今回は、ローゼン海賊団によるポレモサイト密輸の阻止にあたってもらいます」

アイヴィーの言葉に警官たちの表情がこわばる。普段はにぎやかなターミナルに緊張が走る。

「先ほど、ファンガルド各軍の情報部から、採掘されたばかりのポレモサイトを載せた宇宙船がこのル・ブラン宇宙港に入港するとの情報が入ったわ」

(…おい、マジかよ…?)

(マジじゃなきゃ集まらないだろって…)

警官たちの額には冷や汗が流れていた。さらにアイヴィーは続ける。

「もしも今ここでポレモサイトの密輸を食い止めなければ、やつらに資金を与えるも同然よ…。今回はいつも以上に気を引き締めて任務にあたること。いいわね」

「了解!!」

かくして、アイヴィーが総監の座について以来最大規模となるであろう、ポレモサイト密輸阻止作戦が始まったのであった。

作戦開始から15分後、旅客ターミナル到着ロビー。

「しかしなんだな、ポレモスからの便は一日に6本到着するってわけだが…そこから降りてくる客全員を調べなきゃならねえってのはキツいんじゃねーか?」

と、ぼやいているのはK-9隊5号機の超 五華(チャオ・ウーファ)。そこに、6号機のシス・セザンヌが声をかける。

「……それでも我らの成すべき事は、与えられた任務をこなすことのみ」

「けどよォ。あんだけの乗客だぜ?いちいち調べるのはやっぱり面倒だって!」

「……汝の性格…とてもロボットとは思えぬのだが」

「うっせー。ロボットでも得意不得意、出来不出来っつーモンがあんだよ」

 

そんな超熱血と超クールの漫才が続く傍らでは、エルザ・アインリヒトとジース・ミンスターが話をしていた…。

「…体内に?」

「ええ、おそらくこの密輸にかかわっている者は細心の注意を払っていることでしょう。怪しまれずにポレモサイトを運べるようにね」

そこに、ミンスターの相棒であり、エルザの弟であるミハエル・アインリヒトが割って入る。

「でも、それだったらスーツケースの中とか、いくらでも隠し場所はあるような気がするんスけど…」

「確かにそこも隠し場所としては有効かもしれません。しかし手に提げていることで、他の乗客を接触した拍子に落下して中身が暴露されてしまうというリスクもあります」

「あー…それで体の中にってワケですかい」

「しかし、まさか飲み込むわけにも行きませんよね。外部からの手術…も手間がかかりすぎると思いますし」

「体内、といいましてもテラナーやファンガーの体内とは限りません。思い出してみてください。この星には我々のような血の通った身体を持つ者の他に…」

と、ミンスターが言いかけたところで、ミハエルがポンと手を叩きながら叫んだ。

「そ、そうかっ!ロボットなら手術する必要もないし、簡単に隠せるってワケっすね!」

「そう…その通りです。それも女性のね」

「つまり…アレだ、女ならおm…(ブツッ)」

と、ヤバそうな発言をしかけたミハエルの発声装置のスイッチを切りながらエルザが続ける。

「つまり、女性型なら下腹部にポレモサイトを詰め込んで運ぶことができる…ということですね」

「まあ、そういうことです…と。そろそろ第1便が到着するようです。我々も早速検査に向かいましょう」

「(…カチッ)…あー、なんだよ姉貴、いきなりスイッチ操作しないでくれよ…」

「このままおまえに言わせたら危ない発言が飛び出しそうだったからだ。いろんな意味でな」

早速三人はゲート前に向かうのだった。

「しかしどうやって検査すれば…」

と、頭を抱えるエルザの眼前に現れた作業服姿の女性。ラミナ警察署ロボット整備班の須国直子警部補である。

「なんだナオコか。こんなところにいったいどうしたんだ?」

「なんだとはなんですか、なんだとは…それよりもですね!趣味で作ってた装置が完成したんですよー」

ナオコが持ってきた装置はなにやら大掛かりなものだった。ゲートだろうか?

 

「…あの、ナオコさん」

「何かな、ミハエルくん」

「これ一体何なんスか」

「あーこれね…」

 

ナオコの説明によると、ポレモサイトは特殊な波長の不可視光線を発するらしく、通常の探知機では見つけることはまず困難であるという。

しかし今回持ってきた装置はその波長をキャッチすることで、ポレモサイトを隠していることが一発でわかるようになっているらしい。

 

「ま、ざっとここのゲートというゲートにこの装置を設置してきたんで、もし密輸があったらアラームが鳴るはずですよー」

「おお!ブラボー!科学の力ってすげー!!」

「……手間が省けるのなら」

と、大はしゃぎのウーと、ただ静かに見守るシス。

そして得意げになっているナオコに、九段下久遠の冷静なツッコミが入る。

「…ナオコお姉ちゃん、それ趣味で作ったって言うレベルじゃないから…」

「え!?」

そして、いよいよ第1便が到着し、一斉検査が始まった。

ナオコの趣味の産物…にしては非常によく出来た発明品『ポレモサイト検出装置』により、即座に密輸者を発見するというわけだ。

ミンスターの読みが正しければ、今回の密輸にかかわっているのは女性型ロボットのはずである。

そして降りてくる乗客の中に、早速検出装置に引っかかった女性がいた。

 

「うっ…!?」

突然のアラームに、一瞬戸惑いの表情を浮かべたのは褐色の肌を持つテラナー形ロボットであった。

「どうやら、引っかかったみたいね…」

そう言いながらその女性に近づくのは、マキ署長とK-9隊4号のフィーア・天神、そして同じく3号のイシス・トライスター。

「くっ…なんでアタシがポレモサイトを機体(カラダ)の中に隠してるってバレたってのよ…」

「さあ、観念してもらいましょうか」

そう言ってフィーアはすばやく後ろに回りこむと、その女性に手錠をかけた。

その後も、便が到着するたび次々と捕まっていく密輸ロボット。

しかし中には暴れだす者もいたようで…。

 

「うわっ!?」

突然、警官隊を跳ね除けてレーザーナイフを取り出して暴れだす二人組のジャガー形ロボットの女性。

「ちくしょう!もうすこしでローゼン海賊団からがっぽりいただけるところだったってのによぉ!!」

「アタシらの商売のジャマしやがって!オトシマエはつけえぇぇる!!」

文字通り猛獣の顔をしたロボット女二人組の気迫に押されて退いていく警官隊。

だが、その戦慄も長くは続かなかった。

 

「ぎゃあ!?」

まず女ロボットの一人に、K-9隊8号機の煌月陸斗が蹴りこんだサッカーボール型電気ショック装置が命中した。

強烈な電撃により電子回路が麻痺し、そのまま倒れこむロボット。

「アネキ!?このガキ…よくもアネキをっ!!」

もう一人が逆上し、リクに飛び掛ろうとする。だが、リクの近くにウーが立っていたことには気がつかなかったようだ。

「ウーお姉ちゃん!!」

「よくやったぜリク。あとはオレに任せろ!でえりゃあぁぁぁぁっ!!!」

 

ウーの膝蹴りが顔面に直撃、後ろに吹っ飛ばされるロボット女。

「よーし。シス!グーテ!こいつらまとめて取り押さえとけ!」

「…承知」

「グーテも了解だよ!」

こうして、K-9隊の活躍で一人また一人と確保されていく女ロボットたち。

他の警官たちにも俄然やる気が入る。

「さすがだな、マキ署長のトコのK-9隊は」

「ああ、あたしらも負けてらんないよ」

そして最後の便が到着し、順調に確保が進むかに思われたが…。

「どけどけどけどけーっ!!」

「うわ!?」

なんと警官隊を押しのけて、黒ヤギ形ロボットの少女三人組がハイジャンプを使い網を逃れようとしていたのだ!

 

「くそっ!なんて奴らだッ!」

すかさず追いかけるクオン。しかし相手のほうが違法改造を受けているからか、クオンの性能では追いつくことが出来ない。

(ダメだ、このままじゃ逃げられる…最後の最後で…!!)

クオンがそう思っていたその時だった。

 

「いたっ!?」

「ちょ、ちょっと何なの!?」

例の三人組の目の前に、アイヴィーが仁王立ちしていた。

「まったく…私たちがそう簡単に見逃してやるとでも思ってるの?」

「くっ、また例のジャンプで逃げるのよ!!」

「おーっ!」

咄嗟に逃げようとするロボット娘三人組。

しかし、ジャンプをしようとしたその瞬間、アイヴィーは三人組に足払いを食らわせる。

バランスを崩し、尻餅をついた拍子に、彼女たちが履いていたスカートの中から光り輝く石が転がり落ちた。ポレモサイトだ!!

 

「くっ…!」

「観念なさい。ポレモサイト検出装置にしっかり引っかかってるんだから。逃げようったってムダよ」

アイヴィーはそう言うと、三人娘に次々と手錠をかけていく。すでに陽は沈み、あたりはすっかり暗くなっていた…。

ともあれ、ル・ブラン宇宙港での密輸阻止作戦は、ひとまず成功を収めたのであった。

数日後、カフェ・ラ・ヴォルペ。

『次のニュースです。長らく紛争状態が続いていたポレモス星ですが、ファンガルド軍情報部によりますと、各勢力の代表が会合を開き、臨時政府を……』

「これで、やっとポレモス星も平和への第一歩を踏み出したんだね」

と、ほっと一息つくモニカ・マルティーニ。彼女の言葉に対し、オレンジジュースを飲みながらリクが一言。

「うん、だけどこれはほんの一歩だよ。今もテロは続いてるって言うし、ローゼン海賊団もジャクア社もあれで諦めるとは思えない…」

「リク君……」

「だからボクたちは戦っていかなきゃならないんだ。少しでも、みんなが笑顔になれるようにって」

強い決意を秘めた表情のリクを見て、モニカは思わず頬を染めていた。

しかし、その傍らの席では…。

 

「だああぁぁあああああ!!ヤバいヤバいヤバい!明日試験だって事すーーーっかり忘れてたぁ!!!」

叫び声の主はジャネット・エマソンだった。その脇でため息をついているのはデイジー・ハインツだった。

「こんなことならライブ行く前に勉強しとくんだった!デイジー!ここ教えて!!」

「だーめ」

「そ、そんな!教えてくれたって…」

「ダメったらダメ。人に会計押し付けといて勉強まで教えてもらおうなんて虫が良すぎるよ」

「いや、あれはなんていうかさ!大体それ言ったらクオンも一緒だったじゃん!!」

と、騒ぐ二人をよそ目に、クオンはやや呆れ顔で答える。

「あのさぁ、PANさんのライブが見たかったからって勉強おろそかにしてるジャネットが悪いよ、それは」

「あんたもデイジーに会計押し付けてたじゃん!どーせ勉強だってろくにしてないんでしょ!?」

と、やや涙目になっているジャネット。しかしクオンは慌てるそぶりもなく、学生鞄からノートを取り出した。

 

「…残念でしたー。待機中にちゃーんと勉強してたんだよ」

「ぐ…!!!」

さらにデイジーが続ける。

「あのねジャネット、遊びに行ってたあんたと違って、クオンは警察のお仕事をしてきたんだよ。だからクオンは今回お咎めなし」

「そ、そんな~~…」

ジャネットは頭を抱え込んで俯き、目からは滝のような涙を流していたのだった。

 

「クオン!一生のお願いだからこの問題教えて!!」

「そーだなー…どーしよっかなぁw」


 
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